商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#37

特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。

本願商標:「B3/B-Three」

1.出願番号  商願2001-106713
2.商  標  「B3/B-Three」
3.商品区分  第9類:電子計算機用プログラムその他の電子応用機械器具及びその部品等
4.適用条文 商標法第3条第1項第5号
5.拒絶理由  本願商標は、各種商品の品番・規格等を表示するための記号・符号として一般に採択使用される欧文字一字と数字との組み合わせの一類型と認められる「B3」の文字とそれを英語読み風に表記したにすぎない「B-Three」よりなるものであるから、これをもってしては、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ない。

拒絶理由通知
商標登録第4617423号

拒絶理由通知 意見書における反論

(1)この拒絶の理由は、『本願商標は、各種商品の品番・規格等を表示するための記号・符号として一般に採択使用される欧文字一字と数字との組み合わせの一類型と認められる「B3」の文字とそれを英語読み風に表記したにすぎない「B-Three」よりなるものであるから、これをもってしては、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと認める。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する』というものでありますが、本出願人は、本願商標は「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標」(商標法第3条第1項第5号)ではなく、その指定商品との関係においては、十分に自他商品識別標識としての機能を果たし得るもので、登録適格性を備えているものと思料します。
 即ち、本願商標は、審査官殿ご指摘のように、成る程、欧文字一字と数字との組み合わせからなる「B3」の文字と、それを英語読み風に表記した「B-Three」の文字とからものであることは事実であります。
 しかしながら、本願の指定商品、例えば、「電子計算機用プログラムその他の電子応用機械器具及びその部品」等との関係にあって、これら「B3」「B-Three」は、その商品の品番・規格等を表示するための記号・符号として一般的に採択使用されているような事実はありません。それ故、例えば、これを指定商品のパッケージなどに付して商標的使用態様で使用した場合、これを見た取引者・需用者は、この「B3/B-Three」を自他商品を区別するための標識(商標)と理解し、「ビースリー」と称呼して取り引きにあたるはずであり、他の同種の商品と十分に区別できるものと思料します。その意味で、本願商標は、「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章」ではなく、自他商品識別機能を備えた商標であると思料します。
(2) このことは例えば、本願商標と同じ第9類の指定商品を含む以下のような商標が登録されている事実からも、伺い知ることができます。
 (a)「M-ONE」(登録4053930、H9.9.5登録、(株)アポロン)
 (b)「T-One」(登録4446539、H13.1.19登録、ドイチェ テレコム…)
 (c)「e-one」(登録4432891、H12.11.17登録、(株)ソーテック)
 (d)「e-two」(登録4461867、H13.3.23登録、(株)ソーテック)
 (e)「e-three」(登録4469513、H13.4.20登録、(株)ソーテック)
即ち、これら(a)~(e)の登録商標は、全て欧文字一字と数字を英語読み風に表記した態様からなるものであるという点で、本願商標の「B-Three」と同じ態様の商標でありますが、御庁において上記の通り、全て商標登録されております。「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章である」(商標法第3条第1項第5号)などとして拒絶されているわけではありません。これら「M-ONE」とか、「T-One」とか、「e-three」などの商標であっても、指定商品との関係において、十分に自他商品識別力を有すると認定され、登録されております。
 然るに、これら「M-ONE」、「T-One」、「e-one」、「e-two」、「e-three」の商標が登録できて、同様に欧文字一字と数字を英語読み風に表記した態様「B-Three」からなり、かつ、同様の指定商品分野を対象とする本願商標が登録できない謂れはありません。
 本願商標もこれらの登録商標と同様に、商標法第3条第1項第5号に該当するものではなく、十分に自他商品識別力を有し、登録適格性を備えたものと思料します。

商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例目次

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商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#36

特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。

本願商標「「Club Access24/クラブ・アクセス24」×引用商標「ACCESS/アクセス」

1.異議番号  異議2001-90201(商標登録第4441150号)
2.商  標  「Club Access24/クラブ・アクセス24」
3.商品区分  第28類:ゴルフクラブ 他
4.適用条文 商標法第4条第1項第15号
5.異議理由 「Club Access24/クラブ・アクセス24」は
       異議申立人の「ACCESS/アクセス」と出所混同を来す。

拒絶理由通知
商標登録第4441150号
拒絶理由通知
引例商標・商標登録第1961916-2号

拒絶理由通知 意見書における反論

(1)取消理由通知書の中で、審判官殿は、本件の指定商品中、第28類の「キャディーバッグ・ゴルフクラブ・ゴルフクラブ用カバー・グリーンマーカー・ティー・ゴルフ手袋・ゴルフボール・その他のゴルフ用具,その他の運動用具」について、本件商標の登録を取り消すべきものとの認定をしております。
 そして、その理由として、
(a)異議申立人であるブリジストンスポーツ株式会社の商標「ACCESS」「アクセス」(以下「引用商標」という)の周知・著名性を認め、一方で、
(b)本件商標「Club Access24/クラブ・アクセス24」の「Club/クラブ」の部分をゴルフクラブをあらわすものとし、また「24」の数字を品番やサイズ等をあらわすに過ぎないものとして、「Access/アクセス」の部分が注目されて取引されると認定し、本件商標は、異議申立人の「ACCESS/アクセス」と出所の混同を来すと結論付け、商標法第4条第1項第15号に該当するとしております。しかしながら、このような判断は誤った周知・著名性の認定に基づくもので、しかも本件商標の構成を良く理解せずに行ったものであって、到底納得することは出来ません。以下に意見を申し述べます。
(2)商標法第4条第1項第15号の判断時点について
 今回審判官殿が拒絶の根拠として挙げた商標法第4条第1項第15号は、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生じるおそれのある出願商標を排除する規定でありますが、この15号の規定は、査定時にこれに該当していることを前提とし、且つ商標登録出願時点においても該当していた場合に適用される規定であります。換言すれば、査定時に15号に該当しても、出願時に該当していなければ適用されない規定であります(商標法第4条第3項)。
(3)「ACCESS」「アクセス」の周知・著名性の有無について
取消理由通知書の中で、審判官殿は、『申立人の提出した証拠によれば、申立人は、主に商品「ゴルフクラブ、ゴルフボール、キャディバック」について「アクセス」及び「ACCESS」の文字からなる商標(引用商標)を使用しており、これらの商品については、雑誌、テレビを通じて広告、宣伝をし、北海道、東京、石川など広範な地域において販売をした結果、引用商標は、本件商標の登録出願の時には我が国の取引者、需要者の間で周知、著名に至っていたものと認められ、その事実は本件商標の査定時においても継続していたものと推認することができる。』としております。
 しかしながら、テレビを通じて宣伝広告がなされたのは、甲第8号証及び甲第9号証によれば、2000年(H12)4月1日から5月31日までの2カ月間であり、これは本件商標出願日の1999年(H11)10月19日よりも半年も後のことであります。従って、出願時点における周知・著名性を立証する材料として、甲第8号証及び甲第9号証のテレビCMは証拠能力を欠くものであります(前記した商標法第4条第3項)。査定時の周知・著名性の立証であれば兎も角、出願時の周知・著名性の立証にテレビ広告の事実を証拠とすることは出来ません。テレビでの宣伝広告をも証拠として本件出願時点における引用商標の周知著名性を認定している審判官殿の判断は明らかに誤解であります。そして、このような時期的な点に注意して提出された証拠を見てみますと、出願時点の周知著名性を立証するための証拠として証拠能力を有すると思われるものは、甲第12号証の雑誌「パーゴルフ」の一部(同号証の1~9,11~13)と、甲第13号証の雑誌「ゴルフダイジェスト」の一部(同号証の1~19)のみであります。他の証拠は上記テレビ放送を含め、全て本件商標の出願時点(1999年10月19日)よりも後に発行された雑誌等の証拠であり、査定時ならば兎も角、少なくとも出願時点における周知著名性の証拠としては証拠能力がありません。
 即ち、甲第4号証の「ゴルフ用品カタログ」は2001年1月頃発行、甲第5号証の雑誌「ALBA」は2001年3月8日発行、甲第6号証の雑誌「ゴルフダイジェスト」は2001年3月20日発行、甲第7号証の雑誌「Golf Classic」は2001年4月号であり、また、甲第8号証の電通発行に基づくテレビコマーシャルは2000年4月16日~同5月14日であり、甲第9号証の株式会社アイアンドエス・ビービーディーオー発行の証明に基づくテレビコマーシャルは2000年4月1日~同5月31日であります。また、甲第10号証の日経産業新聞は2000年7月27日発行であり、この中の『スイングが遅いゴルファー対象の「アクセスブランド」でも、アイアンの「HD635」が好調だった。』との記載は、これをもって周知著名性を立証するような性質のものではなく、これは単にアクセスブランドの中でアイアン「HD635」の売れ行きが99年は好調だったということを端的にあらわしているに過ぎないもので、それ以上のものではないと考えます。むしろ、この記事の中には、「上級者向けブランドのツアーステージV3000が業界のトップ級に育った」との記載があり、こちらこそが有名なのではなかろうかと考えます。なお、甲第11号証には取扱店リストなるものがありますが、いつの時点のものかが不明であります(これは、ごく最近のものではないかと思われます)。しかも、「ACCESS取扱店リスト」とありますが、「ACCESS」の何の商品を取り扱っている店舗なのか全く不明であります。さらに、甲第14号証の雑誌「Golf Classic」は2000年4月1日発行、甲第15号証の雑誌「Choice」は2000年5月号、甲第16号証の雑誌「Forbes」は2000年6月号のものであります。
このように見てくると、提出された証拠のうち、本件商標の出願時点における引用商標の周知・著名性を立証する証拠能力ある証拠は、甲第12号証の雑誌「パーゴルフ」の一部(同号証の1~9,11~13)と甲第13号証の雑誌「ゴルフダイジェスト」の一部(同号証の1~19)のみであり、他の証拠は全て本件商標出願以降のものであります。特に、宣伝広告能力の優れたテレビCM(甲第8,9号証)なども、出願時点における周知著名の証拠にはなり得ません。しかも、前記甲第12,13号証で掲げているのは、圧倒的に「ゴルフクラブ」の宣伝であり、偶に「ゴルフボール」が載せられておりますが、ご指摘の「キャディーバック」についての広告は全くありません。「キャディーバック」の掲載は、本件商標の出願日より1年以上も後の2001年1月頃発行の「ゴルフ用品カタログ」(甲第4号証)だけであります。
 以上の次第でありますので、取消理由通知書の中で、『申立人の提出した証拠によれば、申立人は、主に商品「ゴルフクラブ、ゴルフボール、キャディバック」について「アクセス」及び「ACCESS」の文字からなる商標(引用商標)を使用しており、該商品については、雑誌、テレビを通じて広告、宣伝をし、北海道、東京、石川など広範な地域において販売をした結果、引用商標は、本件商標の登録出願の時には我が国の取引者、需要者の間で周知、著名に至っていたものと認められ』るとした認定は、明らかに誤りであります(特に、テレビでの宣伝広告によって、引用商標は、既に本件商標出願時点において周知・著名になっていたというのは全くの間違いです)。
ところで、本件出願日以前の証拠である甲第12号証の雑誌「パーゴルフ」の一部(同号証の1~9,11~13)と甲第13号証の雑誌「ゴルフダイジェスト」の一部(同号証の1~19)を証拠として採用したとしても、周知著名の立証として十分であるか甚だ疑問であります。この雑誌による宣伝広告の開始は本件商標出願の僅か1年前に当たる1997年11月25日からのことであり、商品「ゴルフクラブ」に限ってみても、本件出願日までの僅か1年間の雑誌による広告のみで、商標法第4条第1項第15号を適用して他人の出願商標(全体としては非類似の商標)を拒絶する程の周知・著名性を獲得したとは、到底思えません。まして、ゴルフクラブ以外のゴルフボールとか、キャディーバッグとか、更にはそれ以外のゴルフ用具やその他の運動具に至るまで、誤認混同を起こさせるほどの周知著名性を引用商標が獲得していたとは、到底思われません。
 1999年暮れの時点では、まだ十分に取引者・需用者に「ACCESS」が浸透していなかったからこそ、異議申立人は、その翌年である2000年の春になって、今までにないような多額の予算を費やしてテレビによるコマーシャルをおこない、更にはゴルフ雑誌以外の一般雑誌への広告掲載に踏み切ったのではないかと推察されます。
(4)本件商標の構成態様について
本件商標の構成は、前述のように、二段に「Club Access24/クラブ・アクセス24」と表記してなるものでありますが、審判官殿は、本件商標のこの態様に対し、「Club/クラブ」はゴルフクラブの略称を表し、数字の「24」は品番・サイズ等を表すものであるから、取引者・需用者は本件商標の「ACCESS」及び「アクセス」の文字に注目して取り引きし、引用商標「ACCESS」「アクセス」と出所の混同を起こすおそれがあると判断しております。
 しかしながら、この判断は、分断すべきでない商標を予見をもって短絡的に分断した結果起こった誤解であります。
 本件商標は、ゴルフクラブの「クラブ」や、品番・サイズ等の「24」から成るものではなく、同じ目的の人たちが作った団体を指称する「クラブ」と、そのクラブへの「アクセス」が「24」時間可能であることを意味する「アクセス24」の文字から成るものです。そして、本件商標は、この態様より、「クラブへのアクセスが24時間可能」(「クラブアクセス24時間」)とか、「24時間アクセス可能なクラブ」とか、「いつでもアクセス可能なクラブ」とかを端的にイメージさせようとしたものであります。
 そして、取引者・需要者も本件商標の構成態様「Club Access24/クラブ・アクセス24」を見て、「クラブへのアクセスが24時間可能」(「クラブアクセス24時間」)とかを観念し、素直に「クラブアクセスニジュウヨン」と一連に称呼するものと思われます。全体として特定の観念をイメージさせる商標は、全体を一体のものとして把握するのが自然であり、本件商標は一連一体に把握してこそ特定の観念を生じさせるものでありますので、各単語を分断するような不自然な把握の仕方はなされるはずはありません。
そして、本願商標は、上段の「Club」と「Access」の単語間にやや間隙を開け、下段の「クラブ」と「アクセス」の間に中黒「・」を介した構成ではありますが、このような態様を有することを理由に、両者を分断して別々に把握するような捉え方や、「Club/クラブ」や「24」に商標の要部を認めず「Access/アクセス」の部分のみを抽出するような捉え方をすべきではありません。このような態様の商標でも、全体が軽重の差なくバランス良く配置されており、しかも全体として特定のイメージを観念させるようなものは、一体不可分の商標と捉えるのが自然であります。なお、例えば、左右の文字間に間隔を開けて配されたものでも一体の商標として把握されている商標は、例示するまでもなく枚挙にいとまがありません。
本件商標は、全体として一個不可分の観念を生じさせる1つの商標であり、全体としてとらえて十分に自他商品等識別力を発揮するものでありますし、全体を称呼して決して冗長でなく、むしろ一気に称呼して語呂良く一連に「クラブアクセスニジュウヨン」(クラブアクセス24時間)と称呼・観念できる態様のものでありますので、あくまでも一連一体の商標と把握すべきです。
 審判官殿は、このように1つの本件商標から、無理矢理に「Access/アクセス」の部分を抽出して要部と把握し、一方で、引用商標の「ACCESS」「アクセス」は周知著名であると把握して(この認定は前述したとおり大いに疑問です)、出所の混同が生じるという認定をしておりますが、そもそも「ACCESS」「アクセス」の言葉は、コンピュータ等にアクセスするというような意味で普通一般に使われている言葉であり、異議申立人が初めて作ったような造語ではありません。
 本件商標は、その普通一般に存在する既成語である「Access/アクセス」の文字を用い、他の既成語である「Club/クラブ」及び「24」の文字と組み合わせて、一つの商標を構成したものであります(その意味で、本件商標は違和感なく全体を1つの商標と把握できるはずです)。例えば、「SONY/ソニー」とか、「Panasonic/パナソニック」とか、あるいは「DoCoMo/ドコモ」とかのように、元々が造語であればまだしも、この「ACCESS」「アクセス」の言葉は、日本でも広く使用されて馴染みのある既成語なのでありますから、譬え引用商標が周知著名であったとしても、本件商標「Club Access24/クラブ・アクセス24」を見た取引者・需用者は、その中から「Access」「アクセス」のみを抽出するような見方をするはずもなく、本件商標は引用商標の単なる「ACCESS」ないし「アクセス」と出所の誤認混同を来すようなことはあり得ないことであります。
(5)結語
 以上の通り、商標法第4条第1項第15号は、①本件商標査定時に該当していても、出願時に該当していなければ適用されない規定であり(商標法第4条第3項)、②また、引用商標の「ACCESS」「アクセス」は、本件商標査定時は兎も角としても、出願時において周知著名性があったというのは甚だ疑問であり(出願時点における周知著名性の判断資料は甲第8,9号証の一部のみである)、③更に、本件商標は、同じ目的の人たちが作った団体を指称する「クラブ」と、そのクラブへの「アクセス」が「24」時間可能であることを意味する「アクセス24」の文字から成るものであって、常に「クラブアクセスニジュウヨン」と一連に称呼され、且つ「クラブへのアクセスが24時間可能」(「クラブアクセス24時間」)と観念されるものでありますので、これらを総合的に勘案すれば、本件商標は引用商標と出所の混同を起こすおそれはないと思料します。
 そして、仮に、引用商標の「ACCESS」「アクセス」がゴルフクラブについて本件出願時点で周知著名だったとしても、既成語でしかない「Access」「アクセス」を含む本件商標は、あくまでも全体として1つの観念をイメージさせ一連に称呼されるとみるのが自然でありますので、本件商標は常に一体不可分の商標として称呼・観念され、「Access/アクセス」の文字のみが注目されて把握されるようなことはないと考えます。
従って、本件商標「Club Access24/クラブ・アクセス24」は、異議申立人の所有する単なる「ACCESS/アクセス」の商標と本件出願時点において誤認混同を起こすようなことはなく、査定時の他に、出願時における周知・著名性を要求する商標法第4条第1項第15号の規定に該当するものではないと考えます。よって、再度御審理いただき、本件の異議申立は理由がないとの決定を賜りますようお願い申し上げます。

※結局、本件からは「クラブアクセスニジュウヨン」或いは「クラブアクセス」の称呼のみが生じ、単なる「アクセス」の称呼は生じないと認定された。また、「ACCESS/アクセス」の著名性も否定。

商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例目次

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商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#35

特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。

本願商標「ASSAM HelpDesk/アッサムヘルプデスク」

1.出願番号  商願2001-086005
2.商  標  「Assam HelpDesk/アッサムヘルプデスク」
3.商品区分  第9類
4.適用条文 商標法第4条第1項第16号、第4条第1項第11号
5.拒絶理由
 (1)その構成中にコンピュータやソフトウェアの使い方等の相談、質問に応答するサービスを認識させる「HelpDesk」の文字を有してなるものであるから、これを本願の指定商品中、上記に照応する商品(例えば「ヘルプディスクの運用管理に用いるコンピュータプログラムを記憶させた記録媒体」)以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせる(4条1項16号)。
(2)登録第2138861号の登録商標「アッサム/ASSUM」と類似する(4条1項11号)。

拒絶理由通知
出願商標・商標登録第4609731号
拒絶理由通知
引例商標・商標登録第2138861号

拒絶理由通知 意見書における反論

(1)第2回目の拒絶理由通知書において、審査官殿は、以下1,2のような拒絶理由通知を発せられたが、本出願人は、斯かる認定に承服できないので、以下に意見を申し述べます。
 1.この商標登録出願に係る商標は、その構成中にコンピュータやソフトウェアの使い方等の相談、質問に応答するサービスを認識させる「HelpDesk」の文字を有してなるものであるから、これを本願の指定商品中、上記に照応する商品(例えば「ヘルプディスクの運用管理に用いるコンピュータプログラムを記憶させた記録媒体」)以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものと認める。
 したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する。
 2. この商標登録出願に係る商標は、登録第2138861号(商公昭63-081357)の登録商標(以下、引用商標という)と同一又は類似であって、その商標に係る指定商品)と同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2) まず、審査官殿は、本願商標を構成する「HelpDesk」の文字について、コンピュータやソフトウェアの使い方等の相談、質問に応答するサービスを認識させる言葉であるとして、これを指定商品中、例えば、「ヘルプディスクの運用管理に用いるコンピュータプログラムを記憶させた記録媒体」以外の商品に使用するときは、あくまでも、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあると認定しております。
 しかしながら、「HelpDesk」の文字は、「コンピュータシステムのサポートを行う組織や窓口」(一種の“団体”のイメージ)という意味に使われておりますので、コンピュータとは関連があるものの、「ヘルプデスクの運用管理に用いるコンピュータプログラム」を普通に認識させるとまでは言えないと思料します(この点は、先の平成14年8月26日付け意見書でも述べたとおりであります)。つまり、ここでいう「HelpDesk」の言葉の意味合いとしては、せいぜい「コンピュータシステムのサポート組織・窓口」(一種の“団体”)ぐらいの意味でしかないと思料します。
このことは、例えば、
(イ)「Help desk Builder」(第3279425号、H09.04.11登録、日本電気)や、
(ロ)「ClearHelpdesk」(第4205117号、H10.10.30登録、米国法人)
などの登録商標の指定商品が、「ヘルプデスクの運用管理に用いるコンピュータプログラム」などに限定されておらず、電子応用機械器具及びその部品やその他の第9類に属する一般的な指定商品を指定して登録されている事実からも理解できます。
 つまり、仮に、この「HelpDesk」が品質を表示する用語であるとするならば、指定商品には、例えば「ヘルプデスクの運用管理に用いる……」という限定がなければおかしいでありましょうが、これら過去の登録例(イ),(ロ)を見ても(過去とは言ってもそれほど遠い過去ではない)、その様な限定は付されておりません。この「HelpDesk」でも他の文字との結合によって、十分に識別機能を発揮する商標であると考えます。
 したがって、本願商標の「HelpDesk」を品質表示用語と捉え、例えば、「ヘルプディスクの運用管理に用いるコンピュータプログラムを記憶させた記録媒体」以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるとの認定は妥当ではないと考えます。よって、本願商標は、その指定商品を限定せずとも、商標法第4条第1項第16号に該当することはないと考えます。
(3) 次に、審査官殿は、第2138861号登録商標「アッサム/ASSUM」(日本電子計算株式会社)を引用して、本願商標「Assam HelpDesk/アッサムヘルプデスク」は、この引用商標と同一又は類似であって、その商標に係る指定商品と同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当すると認定しております。
 しかし、この認定は、「HelpDesk」が品質表示であって、自他商品識別力がない、ということを前提とする認定であり、その前提自体がおかしい以上、その様な認定に納得することはできません。上述したとおり、「HelpDesk」の文字自体は、コンピュータプログラムは勿論、その他の第9類に属する商品との関係にあって、その品質を普通に表示する用語ではありませんので、本願商標の「Assam」の文字のみを抽出して、引用商標「ASSUM」との類否を論じるような比較の仕方は、適当ではないと考えます。
本願商標は、先の意見書でも述べたように、「Assam HelpDesk」という商標として、左右に分断できない1つの造語商標であり、これら全体が一体となったところに造語商標としての意味があります。つまり、本願商標は、“コンピュータ用プログラムを含む電子応用機械器具及びその部品”(第9類)等の本願指定商品との関係にあって、単に「インドのアッサム州産」だとか、或いは単に「ヘルプディスクの運用管理に用いるコンピュータプログラムを記憶させた記録媒体」だとかの観念を生じさせるものではありません。その様な左右を分断する本願商標把握の仕方は誤りであります。常に一体不可分の商標と捉えるべきであります。
先の意見書でも述べましたが、本出願人は、「Assam」の文字を含む登録商標を以下のとおり所有しております。
 A.「Assam Whois」(第4173443号、H10.7.31登録)、
 B.「Assam Internet Applets」(第4209005号、H10.11.6登録)、
 C.「Assam WebBench」(第4393720号、H12.6.23登録)、
 D.「Assam WebGuard」(第4573808号、H14.5.31登録)。
本願商標の「Assam HelpDesk」は、この一連の「Assamシリーズ」に加えるべき一商標であって、同じ商品を指定し、使用するものである以上、取引者・需用者を同じくするものであります。その様な取引状況の中にあって、本願商標だけを今までの「Assamシリーズ」とは別の物であるなどと取引者・需用者が認識するはずはありません。同じ出願人が、同じ「Assam○○○」の商標を用いていて、何か今までの「Assamシリーズ」とは別の意味を持つ商標だなどと、誰が認識するでありましょうか。今までの上記A.B.C.Dの「Assam」シリーズと同一のコンセプトに基づく仲間の商標と認識するのが自然でありましょう。ましてや、「Assam」と「HelpDesk」とを分断して把握するような取引者・需用者はいないでありましょう。全体を一つの商標として捉え、片仮名文字で読みをあらわしたように、「アッサムヘルプデスク」と一連にのみ称呼するはずであります。そう称呼してこそ、「Assamシリーズ」の中の一シリーズものであるとの認識を持つことができます。単なる、「アッサム」や「ヘルプデスク」と称呼したのでは、何のことか分かりません。一連に「アッサムヘルプデスク」と称呼してこそ、本願商標は自他商品識別力を発揮し、商標としての価値を持ちます。その様な意味を持つ商標であるからこそ、今までのAssamシリーズと同一の取引者・需用者は、本願商標を一体不可分の商標と認識し、一連に称呼するものと思います。
 したがって、本願商標「Assam HelpDesk/アッサムヘルプデスク」は、引用商標の「アッサム/ASSUM」と類似することはなく、商標法第4条第1項第11号に該当することはないと考えます。

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商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#34

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本願商標:「AdMail」

1.出願番号  商願2000-9611
2.商  標  「AdMail」
3.商品区分  第38類:電子メールによる通信
4.適用条文 商標法第3条第1項第3号(6条1項2項も含む)
5.拒絶理由  本願商標は「電子メールによる広告」の意味合いを認識させるにとどまる。

拒絶理由通知
商標登録第4604200号

拒絶理由通知 意見書における反論

(1)発送番号073872の拒絶理由通知書の拒絶理由(1)において、本願商標は、「広告、宣伝、広告物」を意味する「Ad」(「advertisement」の略)の文字と、「コンピュータ等を利用した郵便物、電子メール」を意味する「Mail」の文字とを「AdMail」と書してなるので、これよりは「電子メールによる広告」の意味合いを認識させるにとどまり、これをその指定役務に使用しても、単に提供する役務の質(内容)を表示するにすぎず、商標法第3条第1項第3号に該当すると認定されました。
しかしながら、本願商標の「AdMail」は、特定の観念を生じない造語であって、役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章ではなく、十分に識別力を有るものと思料しますので、斯かる認定に承服できず、以下に意見を申し述べます。
(1-A)まず、本願商標の構成態様は、願書に明示したように、欧文字で「AdMail」と一連に書した態様から成るものでありますが、出願人の主観的な意図を申し上げれば、この前半部分の「Ad」の文字は、「あて先,住所」等を意味する「address」の語頭二文字と、「有利,好都合,便利,役立つ」等を意味する「advantage」の語頭二文字との、双方から採用したものであって、審査官殿の指摘するように、決して、広告を意味する「advertisement」の「ad」ではありません。
つまり、本出願人は、本願商標の「AdMail」を、「AddressMail」と、「AdvantageMail」の両方の意味合いを込めて作ったもので、「AdvertisementMail」を表示しようとしたものではありません。「AdMail」と表すことによって、あくまでも、「事前に登録された会員のアドレスにのみ送信する便利で役に立つ(アドバンテージな)電子メール通信」というような意味合いを込めて作ったものであります。
このようなことを申し上げると、欧文字だけからなる「AdMail」の態様から、その様な出願人の主観的意図が取引者・需用者に分かるわけはないではないかとの反論を受けそうですが、かといって、審査官殿の言うように、「広告」を意味する「advertisement」の略の「Ad」を語頭部分に用いているとも断言できないわけであります。つまり、本願商標の「Ad」は、「アドレス」の「ad」かも知れないし、「アドバンテージ」の「ad」かも知れないわけです。例えば、広辞苑で「アド」を引いてみても、「アドレスの略。」と言う説明と、「ad アメリカ(advertisementの略)広告。」という説明の2つがあります。
このように、出願人の主観的な意図を正確に本願商標に反映できなかったことは残念ですが、本願商標は結局のところ、客観的に見れば意味のはっきりしない「Ad」と、電子メール等を意味する「Mail」の文字が結合して成り立っているわけですから、全体として確立された特定の意味など生じないはずであります。ましてや、「電子メールによる広告」などという意味合いを生じさせるものではありません。
 それ故、本願商標が特定の観念を生じさせ、しかもそれが役務の質を表示していると言う今回の判断は、誤った認識に基づくものと考えます。
 (1-B)過去の登録例を見てみましても、例えば、第35類の広告関係を指定役務とする商標として、
 a.登録商標第3043980号「アドネット」(H07.05.31:(株)明通)(第1号証)、
b.登録商標第3353064号「アドフォン」(H09.10.24:(株)スーパーステージ)(第2号証)、などが存在します。
しかし、審査官殿のような上記考え方を採れば、この商標は両方とも登録に成り得なかったはずであります。
 つまり、審査官殿の考え方に従えば、第1号証の「アドネット」は、「広告、宣伝、広告物」を意味する「ad」(「advertisement」の略)の片仮名表記と、「情報通信ネットワーク」の略である「net」の片仮名表記とを「アドネット」と書してなるので、これよりは「情報通信ネットワークを用いた広告」の意味合いを認識させるにとどまり、これをその指定役務に使用しても、単に提供する役務の質(内容)を表示するにすぎないから、拒絶されるべきであるということになるのでありましょうし、また、第2号証の「アドフォン」は、同じく「広告、宣伝、広告物」を意味する「ad」(「advertisement」の略)の片仮名表記と、「テレフォン」を略して呼ぶときに使う「フォン」の文字から成るもので、これよりは「電話による広告」の意味合いを認識させるにとどまり、これをその指定役務に使用しても、単に提供する役務の質(内容)を表示するにすぎないと言うことになるのでありましょう。従って、審査官殿の考え方に従えば、これらは拒絶されてもおかしくないわけです。しかし、現実には双方とも登録されております。これは、「アドネット」も、「アドフォン」も、特定の観念を生じない造語商標と判断されたからだと思います。
然るに、「アドネット」や「アドフォン」が登録できて、本願商標の「AdMail」が登録できないというのは釈然としません。本願商標もやはり特定の観念を生じさせない造語商標なのですから、これら「アドネット」や「アドフォン」と同様に登録されてしかるべきと考えます。
 (1-C)以上のように、本願商標は、あくまでも特定の観念を生じさせない造語商標であって、役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章ではありませんので、十分に識別力を有し、商標法第3条第1項第3号の規定に該当するものではないと思料します。尚、本出願人は、上記出願人の主観的な意図をはっきりさせると共に(客観的には余り関係ありませんが)、指定役務の内容及び範囲を明確にするために、本日付けで手続補正書を提出し、指定役務を第35類の「広告」とは全く関係のない、第38類の「電子メールによる通信」に補正しました。
(2)次に、発送番号073875の拒絶理由通知書の拒絶理由(2)の指定役務が不明確であると指摘された点につきましては、上述したように、本日付け提出の手続補正書によって、指定役務を「第38類 電子メールによる通信」に補正しましたので、明確になったものと思料します。それ故、本出願は、商標法第6条第1項及び第2項の要件をも具備したものと思料します。

商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例目次

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商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#33

特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。

本願商標:「HAND DRIP CAFE /EXQ./エクスキ」

1.出願番号  商願2001-27584
2.商  標  「HAND DRIP CAFE /EXQ./エクスキ」
3.商品区分  第16、21,30,42類
4.適用条文 商標法第4条第1項第16号
5.拒絶理由  本願商標は、その構成中に「コーヒー」を意味するCAFE(Eの上にはアクサン-テギュが付されている)の文字を有してなるものであるから、これを本願指定商品中の「コーヒー」以外の第30類に属する商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある。

拒絶理由通知
商標登録第4566652号

拒絶理由通知 意見書における反論

(1)拒絶理由通知書において、審査官殿は、本願の拒絶理由として、以下の2つの点を示された。
「1.この商標登録出願に係る商標は、その構成中に「コーヒー」を意味するCAFE(Eの上にはアクサン-テギュが付されている)の文字を有してなるものですから、これを本願指定商品中の「コーヒー」以外の第30類に属する商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものと認めます。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第4条第1項第16号に該当します。
 2.この商標登録出願に係る商標は、第4452468号登録商標(以下、引用商標という)と同一又は類似であって、その商標に係る指定商品(指定役務)と同一又は類似の商品(役務)について使用するものですから、商標法第4条第1項第11号に該当します。」
これに対し、本出願人は、以下のとおり意見を申し述べます。
(2)拒絶理由2について
 本願商標の商標構成態様は、「EXQ.」の文字を中央に大きく描き、その上に欧文字で小さく「HAND DRIP CAFE(Eの上にはアクサン-テギュ)」と書し、且つ「EXQ.」の下には小さく「[エクスキ]」と書した三段構成であるのに対し、引用商標は、「EXQ」の欧文字を上段に、「イクスキ」の片仮名文字を下段に書した二段構成から成るものであります。したがって、これら両者は「EXQ」の文字を共通にし、且つ称呼も「エクスキ」と「イクスキ」でありますので、互いに類似する標章であることは認めます。
 しかしながら、本出願人は、その指定商品中より、引用商標の指定商品(具体的には引例の第14類「貴金属製食器類」)と同一又は類似する指定商品の第21類「食器類(貴金属製のものを除く。)」(類似群19A03)を削除する補正を行いましたので(本日付け提出の手続補正書参照)、両商標の指定商品同士は抵触する可能性が全く無くなりました。
 よって、本願商標は商標法第4条第1項第11号には該当しなくなったものであり、拒絶理由2は解消したものと思料します。
(3)拒絶理由1について
 そこで、次に、拒絶理由1について意見を申し述べます。
(3-1)
 審査官殿のご指摘によれば、本願商標は、その構成中に「コーヒー」を意味するCAFE(Eの上にはアクサン-テギュが付されている。以下同じ。)の文字を有してなるものであるから、これを本願指定商品中の「コーヒー」以外の第30類に属する商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある、ということであります。
 しかしながら、本願商標は、「CAFE」の文字を中心に置いて殊更に「CAFE」を強調するような態様ではなく、中心に置いた文字はあくまでも欧文字で大書した「EXQ.」であります。そして、その下には読みを表す小さな[エクスキ]の文字を書し、「HAND DRIP CAFE」は、中央の「EXQ.」の上に小さく書したいわば説明書きであります。つまり、「HAND DRIP CAFE」は「ハンドドリップスタイルにこだわったCAFE(喫茶店)あるいはコーヒー」であることを謳ったものであります。
 本出願人は、本願商標の指定対象として、この第30類その他の指定商品以外にも、第42類の指定役務「飲食物の提供」を指定しております。そのことからも容易に理解できると思いますが、本願商標「EXQ.」は、喫茶店での使用(店名としての使用)を想定しております。上段の説明書き「HAND DRIP CAFE」は、「ネルドリップによる一杯だてのハンドドリップスタイルのコーヒーにこだわったカフェ(喫茶店)」ということを表示したものです。この「CAFE」の文字は、フランス語として捉えれば「コーヒー」ですが、「喫茶店」という意味もあります(広辞苑で「カフェ」を引くと「喫茶店」を意味しておりますし、日本で「カフェ」といえば一般的には「喫茶店」を指称すると思います)。
 すなわち、本出願人は、新しいタイプのカフェ「ハンドドリップカフェ~EXQ.(エクスキ)」を昨年(平成13年)6月11日(月)、日本橋本町にオープンいたしましたが、「HAND DRIP CAFE」は「本物のコーヒーにこだわった喫茶店」を強調するために表記したもので、ネルドリップによる一杯だてのハンドドリップスタイル<Cafe>に、毎日工場直送の新鮮なレギュラーコーヒーを販売する<Shop>を併設した、本当においしいコーヒーを楽しんでもらうための新しい業態のカフェを志向したものです。つまり、「コーヒーマシーン抽出」が前提のカフェが増化する中、その味やサービスに満足できない、飽き足らない顧客のために「本物のコーヒー」にこだわり、これを追求した喫茶店です。現在、コーヒーのいれ方は多種多様になっていますが、最もおいしいと言われる抽出方法はネルドリップです。「EXQ.」では手作りの良さを追求し、かつ安定した味のコーヒーを提供するため、ネルドリップ抽出器具を特別に開発し、1杯1杯丁寧にネルドリップで抽出したコーヒーを提供する。そんなこだわりの喫茶店を表すために、「HAND DRIP CAFE」(ハンドドリップスタイルのコーヒーを提供するカフェ)の文字を店名とともに「EXQ.」の上に表記したものです。
このように喫茶店名(若しくは喫茶店におけるコーヒー抽出方法)としての本願商標を想定するならば、「HAND DRIP CAFE」の文字が商標中にあるからといって、「コーヒー」に商品を限定しなければならない理由はないはずです。まして、商品の品質の誤認が生じるなどということはあり得ないはずであります。なぜなら、「コーヒー」しか提供しない喫茶店など常識的にあり得ないからであります。逆に言うと、喫茶店名に「HAND DRIP CAFE」の文字があるからといって、コーヒー以外のものは何も提供しない喫茶店だなどと誰も思うはずがないということであります。この文字があってもせいぜい「ハンドドリップで入れるコーヒーにこだわりのある喫茶店」程度のことしか、需用者は想定しないと思われます。したがって、審査官殿が主張する品質の誤認など、実際の取引の場においては起こり得るはずはないものと思われます。
(3-2)
このことは、過去の商標登録例を見ても言い得ることです。つまり、審査官殿の主張が正しいとすれば、「CAFE」の文字を含む商標は、第30類(旧29類)を指定する場合において、その指定商品は全て「コーヒー」でなければならないということになるのでありましょうが、実際にはコーヒー以外の商品を指定しても、以下の如く多数登録されております。
 1.登録2156943 ¢CAFE NA SOMBRA\カフェ・ナ・ソンブラ…第1号証
 2.登録2666819 SINCE\¢CAFE SWISSINN\1979…第2号証
 3.登録2694595 カフェクリエイター\¢CAFE CREATOR…第3号証
 4.登録2711997 カフェ・ド・ラ・ペ\¢Cafe de la Paix…第4号証
 5.登録3250446 ¢Cafe\no\Bar …第5号証
 6.登録4058586 FREDS\CAFE …第6号証
 7.登録4215206 ¢Cafe\commeca …第7号証
 8.登録4232108 ¢Cafe\FIORENTE\カフェ フィオレンテ…第8号証
 9.登録4259571 ¢CAFE LOLITA\カフェ ロリータ …第9号証
10.登録4259694 ¢Ucc Cafe Cafe …第10号証
11.登録4419064 §theisland\cafe …第11号証
12.登録4441586 ¢Cafe\CASTEL …第12号証
13.登録4503221 ¢Cafe\commeca …第13号証
14.登録4527701 ¢Q.E.D.cafe …第14号証
 また、第30類(旧29類)では無くても、他の商品区分(第28,29,31,32)に属する飲食料品や嗜好品等を指定商品とするもので、「CAFE」の文字を含む商標は、やはり以下のとおり多数存在しています(これらはほんの一部です)。
 1.登録2268942 ¢CAFE\DE\PARIS …第15号証
2.登録2363832 ¢LesPres∞RESTAURANT\CAFE…第16号証
 3.登録2426308 ¢CAFE∞LeCoq∞キャフェ・ル・コック …第17号証
 4.登録2445151 §PiraRuCu\CAFE\THECARIBBEANCAFE&RESTAURANT …第18号証
 5.登録2450760 ¢CAFE\LeCoq\キャフェ・ル・コック …第19号証
 6.登録2552233 ¢CAFE\dela\PAIX …第20号証
 7.登録2590372 ¢CAFE\dela\PAIX …第21号証
 8.登録2624481 The River ¢Cafe …第22号証
 9.登録2697530 ¢CAFE QUICK …第23号証
 10.登録2711428 ¢MON CAFE …第24号証
 11. 登録3208602 ¢Cafe de Flore …第25号証
 12. 登録3337070 ¢CAFE~\TASSE …第26号証
 13. 登録4274287 ¢KonditoreiーCafe\GLUCKSーSCHWEIN∞Seit1987 …第27号証
 14. 登録4311640 オープンカフェ\¢OPEN CAFE …第28号証
15. 登録4468428 ビクトリーカフェ\¢VICTORY CAFE …第29号証
16.登録4523030 §Cafe\LA\SHOWER\カフェ・ラ・シャワー…第30号証
(3-3)
この様に、「CAFE」の文字を含んでいても、指定商品を「コーヒー」に限定されることなく登録された例は多数にのぼります。本願商標もこれら多くの登録商標と軌を一にするものであり、登録適格なものと思料します。したがって、本願商標は、その構成中に「コーヒー」「喫茶店」を意味する「CAFE」の文字を有してなるものですが、これを本願指定商品中の「コーヒー」以外の第30類に属する商品に使用しても、前記多くの登録例と同様に、商品の品質について誤認を生じさせるおそれは全くないものと考えます。それ故、本願商標は、商標法第4条第1項第16号に該当することはないものと思料します。

商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例目次

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商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#32

特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。

本願商標「SuperJ Engine/スーパージェイエンジン」×引用商標1「ENGINE」、2「エンジン」

1.出願番号  商願2000-118213
2.商  標  「SuperJ Engine/スーパージェイエンジン」
3.商品区分  第9類:電子応用機械器具及びその部品 他
4.適用条文 商標法第4条第1項第11号
5.拒絶理由 「SuperJ Engine/スーパージェイエンジン」は
       「ENGINE」と「エンジン」に類似する。

拒絶理由通知 意見書
出願商標・商標登録第4556657号
引用商標1・商標登録第4243616号
引用商標2・商標登録第4356747号(標準文字)

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商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#31

特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。

本願商標:「内面美容」拒絶理由通知

1.審判番号  平成11年審判第6437号(商願平8-67398号)
2.商  標  「内面美容」
3.商品区分  第32類:清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース等
4.適用条文 商標法第3条第1項第6号
5.拒絶理由  「内面美容食品」「内面美容の一環として健康食品~」等の文章が新聞記事にあり。商品の品質、特徴等を簡潔に表す宣伝文句と理解されるに過ぎない。
6.審判における反論(請求の理由)

出願商標
拒絶査定不服審判 反論 拒絶理由通知 tmr4525460

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米国特許商標庁(USPTO)に対する手続代理人の代理権限

米国特許商標庁への代理資格 米国の知的財産実務に精通している方は何を今更というところですが、日本の特許庁(JPO)に対する弁理士と弁護士の職業代理人として認められている権限と、米国特許商標庁(USPTO)に対するPate …

商標登録insideNews: 「ルイ・ヴィトン」のパロディーブランド訴訟 最高裁へ│WWD JAPAN

「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」はロサンゼルスにあるバッグ販売会社「マイ・アザー・バッグ(MY OTHER BAG)」が同ブランドのモノグラムトートをキャンバスバッグにプリントした行為が商標侵害だと主張する一連の訴訟について、2016年12月に下された二審の判決を不服としてアメリカ合衆国最高裁判所に上告した。

情報源: 「ルイ・ヴィトン」のパロディーブランド訴訟 最高裁へ│WWD JAPAN

Louis Vuitton Malletier S.A. asked the Supreme Court to overturn a ruling that My Other Bag Inc.’s mimicking of the fashion house’s famous interlocking logo is a parody not subject to a trademark dilution charge ( Louis Vuitton Malletier, S.A. v. My Other Bag, Inc. , U.S., No. 17-72, review requested 7/13/17 ).

情報源: Louis Vuitton Asks High Court to Reverse Trademark Parody Ruling | Bloomberg BNA

Here’s an example of an alleged “trademark bully,” one of the world’s most famous fashion brands.

情報源: Bagging A Trademark Bully | Above the Law

コメント:知財系の訴訟は、CAFCが法の番人のように機能する面がありますが、憲法問題である表現の自由(1st Amendment)の争点を盛り込むことで、さらなるフルバックの最高裁(US Supreme Court)での判断も可能となりますので、最後まで戦うとの戦略の場合は、商標や不正競争の訴因に加えて表現の自由が侵害されているとの立場をとることもあります。

Louis Vuitton vs. My Other Bag

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