加盟国数131の国際登録出願(マドリッド制度・マドプロ)の全体像を説明

マドリッド制度(マドプロ)とは?

マドリッド協定議定書に基づく国際登録出願制度を利用することで、外国での商標権の取得が日本の特許庁に対する手続きで可能となり、多くの国で商標権を取る場合には、従前の各国ごとの代理人を使って手続きする場合に比べて費用も低減されることになります。国際登録出願制度は、”File one application, in one language, and pay one set of fees to protect your mark in the territories of up to all members.(1つの出願で、1つの言語で、1つの通貨の支払いにより全ての加盟国での商標保護が可能)”を基本方針としています。国際登録出願制度については、韓国、米国と加入が進み、外国商標出願の標準はマドリッド協定議定書(”マドリッドプロトコル”)に基づく国際登録出願に移行しつつあり、2004年10月1日からはヨーロッパでの権利取得に便利な欧州連合商標(EUTM: European Union Trade Mark)制度をも利用できるようになりました。ちなみにマドプロは日本での略称で、英語では国際登録出願制度をMadrid Systemと呼ぶことが多いです。

WIPO
“WIPO” photo by Vllle Oksanen / CC BY-SA 2.0, converted from .jpg to .png

マドリッド制度(Madrid System)の利点

  • 出願手続を統一されたフォーマットの単一の出願で進めることができます。出願時の費用も1度の1つの通貨の支払いで済ませることができます。
  • 各国での審査には期限が設けられており、指定国官庁が12か月(又は、各国の宣言により18か月)以内に拒絶の通報をしない限り、その指定国において商標の保護を確保することができます。
  • マドリッド制度を利用すれば、複数の国にそれぞれ出願する場合に比べて費用全体を抑えることができます。また、出願のために費やす時間も節約できます。
  • マドリッド制度では、出願の各国の状態が国際事務局で一括管理され、特に更新手続も国際事務局に対して行うことで一括した更新作業を進めることができます。
  • マドリッド制度を採用する国は、現在でも103か国(2018.12.6現在)で既に多くの国が加盟しており、将来はさらに増加すると見込まれています。現在未加入のアセアン諸国も近い将来加盟する予定です。
マドリッド制度手続の流れ
マドリッド制度手続の流れ
マドリッド協定議定書に基づく国際登録出願制度の利用には、本国の知的財産政府機関で出願又は登録されている国内の商標を基礎(基礎出願又は基礎登録という)とする必要があり、基本的に本国での商標登録が必要です。例えば日本を本国とする場合では、日本の特許庁に出願又は登録されている国内の商標を基礎とすることになります。日本での商標登録後に国際登録出願をすることもできますが、日本の基礎出願の出願中にその基礎出願と並行して出願することも可能です。なお、本国とは、出願人が現実かつ真正の工業上又は商業上の営業所を有する特別同盟の締約国を、出願人が特別同盟の締約国内にそのような営業所を有していない場合にはその住所がある締約国を、出願人が特別同盟の締約国の国民であって締約国に住所を有していない場合にはその国籍がある締約国とされています(マドリッド協定第1条(3))。

マドリッド制度の現状

自国だけでなく外国でも商標権を確保しようする企業や個人は、従前では個別に保護を求める国にそれぞれ出願することが求められていましたが、現在ではマドリッド制度を利用した権利を中心に国際的な商標の保護をするように移行してきております。2017年で126年目を迎えるマドリッド制度は、現在もその登録件数を増加させていまして、WIPOの統計(2016年)によれば全世界で総登録数は130万件を超え、年率約9%前後の増加傾向にあります。国別では欧州連合(EU)からの出願件数が1位であり、米国とドイツが続いておりますが、近年では中国からの出願数が増加しているという傾向が顕著です。特許の国際出願(PCT)のように世界の多くの国を指定し後から国数を絞るようにはできず、出願の際に保護を求める国を選択し、その分の手数料を最初から払うようになっています。費用面からでは、最低でも2か国ぐらいはないとマドリッド制度の利点は得られないところとなっています。

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有明国際特許事務所はグローバル
有明国際特許事務所では、日本の弁理士資格と、アメリカ合衆国連邦規則§11.1に定義されている米国弁護士資格により、特許庁 (JPO)と米国特許商標庁(USPTO)にそれぞれ直接手続でき、現地代理人は不要です。また、日本を本国とするマドリッド制度を利用した国際登録出願の代理は勿論ですが、米国を本国とするマドリッド制度を利用した国際登録出願の代理も可能です。例えば米国子会社での米国商標登録を国際展開することも支援致します。

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