防護標章制度 🛡️ (商標法64条)

防護標章制度とは?

防護標章は使用の有無にかかわらず著名なマークを保護する登録制度です。“著名”とは「周知」の程度が高く、日本全国に知れわたっているような場合をいいます。著名な商標を保護する制度ですから、防護標章登録をうけるためには、元になる著名な登録商標が必要です。

商標登録と防護標章登録の違い

元々登録商標には類似範囲の商品・サービスについては他人の使用を差止める強い権利(禁止権)があります。一方、防護標章にかかる権利は「非類似」の商品・サービスにまで禁止権が及ぶ点で違います。

防護標章の保護範囲
防護標章の保護範囲

例えば、著名登録商標の指定商品が「菓子およびパン」の場合、「書籍の制作」などの非類似のサービスにまで禁止権を拡大できるのが、防護標章を利用するメリットと言えます。

提出する書類について

防護標章登録を受けるためには特許庁に「防護標章登録願」という書類を提出する必要があります。提出された書類は特許庁の審査官により、「元になっている登録商標が著名かどうか?」「他人の商品・サービスと混同のおそれがあるか?」等の点について審査されます。拒絶理由がなければ所定の料金を支払うことにより防護標章登録されます。防護標章が求める周知性としては全国的に広く知られていることが必要となります。

知財高裁平成21年(行ケ)第10189号では、防護標章登録においては、通常の商標登録とは異なり、商標法3条,4条等が拒絶理由とされていないこと、不使用を理由として取り消されることがないこと、その効力は,通常の商標権の効力よりも拡張されているため、第三者による商標の選択、使用を制約するおそれがあること等の諸事情を総合考慮するならば、商標法64条1項所定の「登録商標が・・・需要者の間に広く認識されていること」との要件は、当該登録商標が広く認識されているだけでは十分ではなく、商品や役務が類似していない場合であっても、なお商品役務の出所の混同を来す程の強い識別力を備えていること、すなわち、そのような程度に至るまでの著名性を有していることを指すものと解すべきである。と判示する。

登録についての情報

防護標章として登録される場合には、登録番号:第2643462号防護第20号のような防護の番号がついた登録番号が付与されます。最初の番号は元となった著名商標の登録番号です。公報にも防護標章であることが明示されます。

防護標章の更新について

 防護標章にかかる権利を取得した場合には、登録から10年後に所定の手数料を払って更新手続をすることにより、権利をさらに10年(10年後も同様にまた10年)延ばすことができます。その更新手続ですが、元になっている著名登録商標と防護標章登録にかかる権利は別々に行う必要がある点に注意する必要があります。 そのため、防護標章登録にかかる権利については、元になっている著名登録商標の更新登録とは別に「防護標章登録に基づく権利存続期間更新登録願」という書類を特許庁に提出する必要があります。拒絶理由がなければ所定の料金を支払うことにより防護標章にかかる権利が更新されます。

防護標章制度

防護標章登録
防護標章登録の要件(pdf)

A defensive mark is a registration system that protects a well-known mark whether or not it is used. “Famous” refers to cases where the degree of “well-known” is high and is known throughout Japan.

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