中国商標制度🇨🇳 vol.2

中国商標の使用権(ライセンス)

商標権者は使用権者の商品を監督する義務があり、使用権者は登録商標を使用する商品の品質を保証する義務があるとともに使用権者の名称および商品の産地を表示する義務があります。ライセンス(通常使用権・専用使用権)は国家知識産権局への届出が第3者対抗要件です。この中国商標局への届出に契約書自体の提出は必要ありませんが、使用権の届出をする際、商標権者が使⽤許諾の期間内に商標局に申請しなければならず、申請書には、使用権設定者(商標権者)、使用権者、許諾期間、許諾商品を記載する必要があります。ライセンス契約の記録の費用は150元(2018.2)です。また、使用権の届出も更新申請を行う必要があります。訴訟の際に、使用権登録がない場合には、使用権の存在を証明するためには契約書の提出が必要になり、証拠として提出するためには契約書についての⽇本の公証役場の公証⼈認証および中国領事館での認証が必要となります。マドリッド制度を利用した国際登録商標のライセンスについては。WIPOへの様式MM13は効力がないとされていますので、中国商標局でのライセンスの記録が第3者対抗要件となります。また、日本と中国で商標を有する日本企業が中国企業をOEM先として商品の製造と共に商標の付与を委託する場合には、一般にOEMについての契約書が締結されると思いますが、そのOEM契約書に商標使用許諾についての言及がない場合には、工商管理局の抜き打ち検査で違法とされることがあり、摘発を受けないためにもOEM契約書には商標使用許諾についての条項が必要もしくは別途商標使用許諾書が必要となります。

中华人民共和国商标法, 第43条
第四十三条
(1)商標権者は、商標許諾契約を締結することにより、他人にその登録商標の使用を許諾することができる。許諾者はその登録商標を使用する使用権者の商品の品質を監督しなければならない。使用権者は当該登録商標を使用する商品の品質を保証しなければならない。
(2)他人の登録商標の使用を許諾された者は、その登録商標を使用する商品に使用権者の名称および商品の産地を明記しなければならない。
(3)他人にその登録商標の使用を許諾する場合、許諾者は、その商標許諾を商標局に提出し、商標局はそれを登録して、公告する。商標許諾は商標局に登録されない場合、善意の第三者に対抗することができない。
中華人民共和国
中華人民共和国

中国登録商標の使用義務

侵害事件で商標権者が不使用であるとの抗弁がなされたときは、人民法院は、商標権者に、これまで3年以内にその登録商標を実際に使用している証拠を提供するよう求めることができます。また、3年間の不使用に対しては、取消請求を受けることがあり、その取消請求の通知の日から2カ月以内に使用の証拠を提出する必要が生じます。すなわち、中国では、不使用取消や裁判への備えという意味からも、商標の使用の事実に関する証拠を確保しておく必要があります。商標の使用の事実の証拠は、まず、中国本土内での使用が必要ですので、日本での使用は証拠としては使用できません。通常、不使用取消の場合には、その通知を受け取った日よりも3~5カ月以前の証拠が必要です。パッケージやラベル、請求書、通関書類、テレビでの放送や雑誌での紹介、広告などが証拠となりますが、場所と時間についてもそれぞれ示す必要があります。1つの証拠で、時間と場所について証拠立てできないときは、複数の証拠を並べて出すことになります。また、登録商標がその指定商品の通用名称になったとき、いかなる単位又は個人は商標局に登録商標の取消を請求することができると規定されており、希釈化による取消が制度化されています。

商標登録表示(Ⓡ)

商品や包装に登録商標(Ⓡ)の表示を行っていて、その表示にかかる商標の使用態様が実際の登録商標と異なっている場合には、不適切な使用態様として工商局より摘発されるおそれがあります(商標法52条)。当局より是正の命令、警告を受けることがあり、売上がなくとも若しくは5万元以下の場合に罰金(1万元以下の)があり、違法売り上げが多い場合には罰金(売上の20%以下)となります。ここで問題となるのは、同一性の範囲ですが、フォントの変更や色彩の変更程度の場合は、同一の範囲内とされる可能性が高く、一方、登録商標が漢字とローマ字の2段書きで、表示が漢字だけの表記に(Ⓡ)を加えたものでは、工商局より摘発される可能性があります。

中华人民共和国商标法, 第52条
第五十二条
登録されていない商標を登録商標と偽って使用したとき、又は登録されていない商標を使用してこの法律の第十条の規定に違反したときは、地方の工商行政管理部門はこれを差止め、期間を定めて是正するよう命じるものとし、かつ公表することができる。違法経営額が5万元以上のときは、違法経営額の20%以下の罰金を科すことができ、違法経営額がない、又は違法経営額が5万元未満の場合、1万元以下の罰金を科すことができる。
北京 中国商標制度
北京 中国

「馳名商標」表示の広告宣伝における使用の禁止

改正法の商標法第14 条第5 項には、生産・経営者は、商品、商品の包装又は容器上に、若しくは広告宣伝・展覧及びその他の商業活動において、「馳名商標」の表示を使用してはならないという旨の規定が追加されています。馳名商標は著名商標に該当します。

中国における商標権の権利行使

中国では、商標権などの知的財産権侵害に対して、行政手続(国家市場監督管理総局、国家海関)、また司法による刑事(公安局)、或いは民事(人民法院)による救済手段を取ることができます。中国は商標の出願件数も日本の30倍の数を記録していますが、日本に比べて係争事件の数も多い状況になっています。国家市場監督管理総局(旧工商行政管理局)は、商標法や不正競争防止法に基づく商標権侵害の取締りを行う機関で、商標に基づく救済を考える場合の選択枝の1つで、もっとも取り扱い事件数が多くなっています。国家市場監督管理総局は、旧質量技術監督局の業務も引き継いでいることから、製品品質法に基づいて虚偽表示や劣悪品等を取り締まる職責もあります。国家海関は、税関法及び知識産権海関保護条例に基づいて、権利者による事前の登録又は申立てに基づき、中国から輸出又は中国へ輸入される被疑侵害品を取り締まる機関です。中国では、知的財産関連の訴訟件数も多く、例えば、2016年度では、商標権案件 27185件、専利権(特許・意匠)案件 12357件、著作権案件 86989件、技術契約案件 2401件、不正競争案件 2286件、その他の知的財産 5318件(新興国等知財情報データバンクより)となっています。工商行政管理局の取り扱い数も非常に多く、発表されたデータによれば、侵害偽造品の査察件数は2012年から2015年の11月までの3年11か月で31.7万件(毎年およそ8万件)であり、刑事事件として司法に転送される件数も2644件となっています。海関(税関)は職権で差し押さえをすることもでき、申立により差し押さえをすることもあります。2016 年に海関が職権により職権で差し押さえた侵害被疑貨物は通年で差し押さえたロット総数の約 99%を占め、権利侵害物品は 38,557,800 点余りで、差し押さえた物品総数の約 91.67%を占めています。税関が(申立人の)申請により差し押さえた侵害被疑貨物は 50 ロット、権利侵害物品は 3,500,400 点余りで、差し押さえた物品総数の約 8.33%を占めています。(2016 年中国税関知的財産権保護状況 – ジェトロより)なお、商標権が侵害されて工商部門等に訴え出たり訴訟を提起したりする必要がある場合、商標権者は登録証の写しを当局に提示する必要があります。マドリッド制度により中国で商標を取得した場合には、発行に数カ月かかる登録証の発行がない状態ですので、商標局に事前に申請しておくことが賢明です。

Suzhou Science and Technology City, Jiangsu Center of the State Intellectual Property Office, 7:11
蘇州国家ハイテク産業開発区、江蘇省国家知識産権局センター

Suzhou Science and Technology City, Jiangsu Center of the State Intellectual Property Office

人民法院(司法)

商標権侵害事件については、次に説明する行政の救済手続が知られていますが、行政手続では処分の限界もあり、巧妙化する商標侵害者に対応するためには司法手続による救済が有効です。2014年11月からは北京、上海および広州にそれぞれ知識産権法院が設立され、これら知識産権法院は民事、行政案件を扱います。また、中国の裁判制度は、最高人民法院、高級人民法院、中級人民法院及び基層人民法院という四階層の裁判所による四級二審制を採用していますが、北京、上海および広州の知識産権法院は中級人民法院に相当する位置づけとされており、不服の場合には知識産権法院所在地の高級人民法院(各知識産権審判廷)に上訴します。
 また、2014年2月に重慶市両江新区知識産権法庭(重庆市两江新区知识产权法庭)が設立され、これを水平展開する形式で、2017年から2018年にかけて知的財産権を専門に扱う知識産権法庭は全国的に広がりを見せており、全国初の知的財産権特区を制定した武漢(武汉:湖北省)では、武漢知識産権审判庭(2017年2月22日)が設立され、同様に、南京(江蘇省)知識産権法庭(2017年1月19日)、蘇州(苏州:江蘇省)知識産権法庭(2017年1月19日)、及び成都(四川省)知識産権审判庭(2017年1月9日)も設立されています。同じく2017年8月~9月では、合肥(安徽省)知識産権法庭(2017年8月30日)が設立され、同じく杭州(浙江省)知識産権法庭(2017年9月8日設立)、寧波(宁波:浙江省)知識産権法庭(2017年9月8日設立)、青島(青岛:山東省)知識産権法庭(2017年9月30日)、福州(福建省)知識産権法庭(2017年10月10日)、済南(济南:山東省)知識産権法庭(2017年10月10日)、深セン(深圳:広東省)知識産権法庭(2017年12月26日)もそれぞれ設立されています。2018年2月~3月には4つの都市で、西安(陝西省)知識産権法庭(2018年2月24日)、天津知識産権法庭(2018年3月1日)、長沙(长沙:湖南省)知識産権法庭(2018年3月1日)、鄭州(郑州:河南省)知識産権法庭(2018年3月2日)が開設され、2018年3月の時点で中国全土では知識産権法庭の数は15となっています。さらに初のインターネット裁判所(杭州互联网法院)がeCommerceの中心都市である杭州に2017年8月18日に設置されており、オンラインでの公判も可能です。
 知的財産権関連の判例は、Website(https://wenshu.court.gov.cn/Index)若しくは最高人民法院 裁判文书 知识产权案件で閲覧することができます。

空中中国: 深セン神南大道、竹子林、香密湖エリア、中央ビジネス地区、1:01 

Aerial China:Shenzhen Shennan Avenue, Zhuzilin, Xiangmihu Area and Central Business District

国家市場監督管理総局(旧工商行政管理局)(行政)

中国特有の制度として、商標権侵害者に対する行政処分を国家市場監督管理総局や地方の工商行政管理局(以下、まとめて工商管理局と称す。)に求めることができます(商標法第60条)。工商管理局の行政処分は、行政処罰法に基づいて行われ、大きく分けて現場処罰を下すための簡易手続と、一般手続があります。簡易手続は公民に五十元以下、法人又はその他の組織に千元以下の科料又は警告の行政処罰を与えるものですので、商標権侵害には通常一般手続によるものとされます。工商管理局は商標権の侵害行為を差止め、権利侵害者に過料を科すことはできますが、損害賠償を得ることはできません。また、工商管理局は侵害行為を発見したときは、職権で商標権者の申立がなくとも、直接取り調べて差止などの処分をすることができます。工商管理局は全国的なネットワークを有しており、中国国家市場監督管理総局(北京)と各省(北京、上海、天津の三市を含む)の工商行政管理局、市、県、区、村の各レベルの工商行政管理局にわたっています。権利侵害については中国全土を起こる可能性があり、実際のところ、行政機関である工商行政管理局に侵害行為の差し止めの救済を求めることが司法による救済よりもはるかに多い事件数となっています。工商管理局の管轄権については、権利侵害行為地とされますが、複数の権利侵害行為地がある場合には、先に立件した工商管理局が管轄権を有することになります。工商管理局は、商標権者又は利害関係人の申請がなくても職権により商標権の行使をすることができます。工商管理局の手続によれば、司法により救済に比べて短時間で処理され、官庁手数料の納付も不要で、必要な証拠も比較的に簡単という利点があります。最近では模倣品を製造する模倣業者も巧妙化してきており、簡単には事態を収拾させることはできなくなってきています。例えば、工商管理局の摘発は、業務日の昼間に限定されるため、模倣品の製造は夜間や休日だけ行う例や、商標を貼り付ける工程を出荷ぎりぎりまで行わず、最後に商標を貼る例もあり、その場合では、摘発した際に、商標権を侵害している商品はかなり少なくなるか、零で終わるかもしれません。また、販売も正規品に模造品を混ぜて販売するケースもあり、摘発される会社自体はクローズして、他のラインに切り替える場合もあります。模造品の組み立てもその場所を分散化して、万一の摘発に備えているケースもあります。また、摘発しても再犯を防止できないなどの問題も生じます。

質量技術監督局(行政)

また、質量技術監督局は質量監督、質量基準化、計量作業などを主管する機関で、中華人民共和国製品質量法や各地方の法律・条例に基づき、偽造商品及び不良商品などの違法行為を取り締まり、また工商管理局と協力して偽造商品違法行為を処罰します。例えば、偽者商品を本物品であるかのように表示して販売する行為は取締の対象とされています。質量技術監督局は、製造メーカーによる模倣品の事件である場合、取締り請求を受理し取り締まることができますが、一般的な商標権侵害の模倣品事件の場合、質量技術監督局は受理せずに、工商管理局が取り締まる傾向にあります。

海関(税関)(行政)

海関は物品等の輸出入管理及び税関事務を司る国家機関であり、工商行政管理局と同様に全国的なネットワークを有し、中華人民共和国海関法及びその他の法律に基づき、輸出入貨物に関する知的財産権についての保護を実施します。海関で知的財産権の保護を受けるためには、初めに知的財産権の権利者が知的財産権海関保護登録を海関総署に対して申請しておく必要があります。この申請には、次の書類の添付が求められます。

  1. 権利者の法人登記書類。
  2. 商標局が発行する「商標注冊証」の写し
  3. 許諾契約を締結した場合には、許諾契約の写し
  4. 商標者が商標権を合法的に行使する物品及びその包装の写真
  5. 既知の権利侵害貨物の輸出入に関する証拠
  6. その他の海関総署が必要と認めた書類又は証拠とそれらの中国語訳

この海関保護登録がなくとも、申請による差し止めは可能ですが、海関の職権による差し止めは行われません。また、商標権者が海関に権利侵害嫌疑貨物の差し止めを求める場合には、貨物輸出入地の所轄の海関に申請書を提出します。このとき商標権者は、権利侵害の事実が明白に存在することを十分に立証する証拠として、1)海関に差押えを請求する貨物が間もなく輸出入されること、2)貨物に、許可なしにその商標専用権を侵害する商標標識が使用されていること、を証する書面を提出します。この時海関が定める期限内に、貨物と等価の担保を海関に提供することも求められます。
logistics

公安局(刑事)

中国では、既に販売された模倣品の価値が5万元以上の場合、あるいは販売前の模倣品の価値が15万元以上の場合に原則として刑事立件され、特段の事情がない限り起訴されることとなります。登録商標の偽造罪についての刑法第213条によれば、犯罪の裁量基準として「経緯が重大」と「経緯がとりわけ重大」の2段階の基準が定められており、経緯が重大の場合3年以下の懲役が課せられ、経緯がとりわけ重大の場合に3年以上7年以下の懲役が課せられます。販売金額が25万元以上の場合は、経緯がとりわけ重大の場合に該当します。類似の商品での使用も民事では商標権侵害を構成しますが、刑事責任を追及する場合には類似の商品での使用は偽造とならず、犯罪とするには同一の商品の使用が必要です。

中华人民共和国商标法, 第三次修正, 第六十条
第六十条
有本法第五十七条所列侵犯注册商标专用权行为之一,引起纠纷的,由当事人协商解决;不愿协商或者协商不成的,商标注册人或者利害关系人可以向人民法院起诉,也可以请求工商行政管理部门处理。

工商行政管理部门处理时,认定侵权行为成立的,责令立即停止侵权行为,没收、销毁侵权商品和主要用于制造侵权商品、伪造注册商标标识的工具,违法经营额五万元以上的,可以处违法经营额五倍以下的罚款,没有违法经营额或者违法经营额不足五万元的,可以处二十五万元以下的罚款。对五年内实施两次以上商标侵权行为或者有其他严重情节的,应当从重处罚。销售不知道是侵犯注册商标专用权的商品,能证明该商品是自己合法取得并说明提供者的,由工商行政管理部门责令停止销售。

对侵犯商标专用权的赔偿数额的争议,当事人可以请求进行处理的工商行政管理部门调解,也可以依照《中华人民共和国民事诉讼法》向人民法院起诉。经工商行政管理部门调解,当事人未达成协议或者调解书生效后不履行的,当事人可以依照《中华人民共和国民事诉讼法》向人民法院起诉。

第六十条対訳
この法律の第五十七条に定める登録商標専用権を侵害する行為のいずれかがあり、紛争が生じたときは、当事者の協議により解決する。協議する意向がないとき、又は協議が成立しないときは、商標登録者又は利害関係者は、人民法院に提訴することもできれば、工商行政管理部門に処理を請求することもできる。

工商行政管理部門の処理により、権利侵害行為の成立が認定されたときは、即時に侵害行為の停止を命じ、権利侵害商品及び主に権利侵害商品の製造、登録商標の標章の偽造に用いる器具を没収、廃棄し、違法経営額が5万元以上であるときは、違法経営額の5倍以下の罰金を科すことができ、違法経営額がないとき又は5万元未満であるときは、25万元以下の罰金を科すことができる。5年以内に商標権侵害行為を2回以上行っているとき、又はその他重大な情状を有するときは、重罰に処さなければならない。登録商標専用権侵害商品であることを知らずに販売し、当該商品を合法的に取得したことを証明でき、かつ提供者について説明できるときは、工商行政管理部門は、販売の停止を命じる。

商標専用権侵害の賠償額に関する争議において、当事者は、処理を行う工商行政管理部門に調停を請求することもできれば、「中華人民共和国行政訴訟法」により人民法院に提訴することもできる。工商行政管理部門の調停を経ても当事者が合意に達しないとき、又は調停書の効力が生じた後に履行されないときは、当事者は、「中華人民共和国民事訴訟法」により人民法院に提訴することができる。

中华人民共和国 行政処罰法 第二節 一般手続
第二節 一般手続
第三十六条 本法第三十三条の規定により現場で決定される行政処罰を除き、行政機関は公民、法人又はその他の組織が法により行政処罰を与えるべき行為をしたことを発見した場合、全面、客観、かつ公正的に調査を行い、関係証拠を収集しなければならない。必要な場合、法律・法規の規定に基づいて検査を行うことができる。
第三十七条 行政機関が調査又は検査を行う場合は、二人以上の取締担当官を必要とし、かつ当事者又は関係者に身分証明書を呈示しなければならない。当事者又は関係者は事実のままに回答し、調査又は検査に協力し、阻害してはならない。質問又は検査につき記録を作成しなければならない。行政機関が証拠収集をする場合は、サンプル抽出の方法により証拠を取得することができる。証拠が消滅する可能性があり、又は後日取得するのに困難となる場合は行政機関の責任者の許可のもとで、先に登記して保存することができ、7日間以内に即時に処理決定を出さなければならない。その期間において当事者又は関係者は証拠を廃棄、移転してはならない。取締担当官は当事者と直接利害関係がある場合、回避しなければならない。
第三十八条 調査が終了したとき、行政機関の担当者は調査結果に対し審査を行い、情況に応じて以下の決定をしなければならない:
(一)確実に行政処罰すべき違法行為があった場合、情状の軽重と具体的な情況により、行政処罰を決定する。
(二)違法行為の情状が軽微であり、法に基づき行政処罰しなくてよい場合は、行政処罰を与えない。
(三)違法事実が成立しない場合は、行政処罰を与えない。
(四)違法行為がすでに犯罪を構成した場合司法機関に移送する。情状が複雑で又は重大な違法行為に対して比較的に重い行政処罰を与える場合、行政機関の責任者が共同で検討した上で、決定を行わなければならない。
第三十九条 行政機関は本法第三十八条の規定により行政処罰を与える場合、行政処罰決定書を作成し、行政処罰決定書には以下の事項を明記しなければならない。
(一)当事者の氏名又は名称、住所。
(二)法律、法規又は規則に違反する事実及び証拠。
(三)行政処罰の種類と依拠。
(四)行政処罰の実施方法及び期限。
(五)行政処罰決定に不服して行政再審の申請又は行政訴訟提起の方法及び期限。
(六)行政処罰決定をした行政機関名称及び決定した日時。
行政処罰決定書には行政処罰決定をした行政機関が捺印しなければならない。
第四十条 行政処罰決定書は宣告により当事者にその場で直接交付しなければならない。当事者が不在の場合、行政機関は7日間以内に民事訴訟法の関連規定に基づき行政処罰決定書を当事者に送達しなければならない。
第四十一条 行政機関及び取締担当官が行政処罰決定をする前に、本法第三十一条、第三十二条の規定により当事者に行政処罰の事実、理由及び依拠の告知をしなかった場合、又は当事者の陳述、弁解の聞き取りを断った場合、当該行政処罰決定は成立しない。当事者が陳述、弁解の権利を放棄した場合は除外される。
中华人民共和国刑法 第213条乃至第215条
第7節 知的財産権を侵害する罪
第213条 登録商標権者の許諾を得ずに、同一種類の商品にその登録商標と同一の商標を使用し、情状がひどい者は 3 年以下の有期懲役または拘役に処し、罰金を併科又は単科する。情状が特に重大であるものは 3 年以上 7 年以下の有期懲役に処し、罰金を併科する。
第214条 登録商標を詐称した商標であることを知りながら販売し、販売金額が比較的大きいものは 3 年以下の有期懲役又は拘役に処し、罰金を併科又は単科する。販売金額が巨大である場合は 3 年以上 7 年以下の有期懲役に処し、罰金を併科する。
第215条 他人の登録商標を偽造し、無断で製造し、または偽造若しくは無断で製造された登録商標の標識を販売し、情状が重大であるものは 3 年以下の有期懲役、拘役又は管制に処し、罰金を併科又は単科する。情状が特に重大である場合は 3年以上 7 年以下の有期懲役に処し、罰金を併科する。

中华人民共和国商标法(2019年修正)
中国商標制度 vol.1

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