米国商標を検索
1.連邦登録(Federal Registration)
アメリカ合衆国(米国)の連邦登録のデータベースは米国特許商標庁(USPTO)のTESS(Trademark Electronic Search System)を利用します。アメリカ合衆国での商標調査となれば、連邦登録の他に州登録の商標やコモンロー(common law)商標もない訳ではありませんが、今日の経済活動での中心は連邦登録の商標です。Googleなどの検索エンジンからTESSのエントリー画面に到達するには、典型的にはUSPTOのTOPページ(https://www.uspto.gov/)から行く方法と、TrademarkのTool and Links(https://www.uspto.gov/trademark)があります。TESSの機能として、まだFuzzy Searchが導入されていないので、近似検索は未だできないようになっています。従って、商標の登録可能性を判断するには、類似するパターンをいくつか入力してヒットする商標を検索する必要があります。また、TESSは連邦登録のデータベースですので、州登録の商標やコモンローの商標は含まれていません。
2.米国特許商標庁(USPTO)のFind it Fast
また、USPTOのトップページのメインメニューの右端側の青のボタンでFind it Fastと表示された部分のTrademarkボタン(Patentボタンの右側)をマウスオーバーするだけでも、Website内のショートカットのリンクの表示が可能です。以前はQuick Linksという名前でしたが、Find it Fastに2018年10月に置き換えられています。トップページのFind it Fastは特許(Patent)と商標(Trademark)のボタンに分かれ、マウスオーバーでWebsite内のショートカットを表示します(モバイル端末も同様です。)。TESS(Trademark Electronic Search System)には”🔎TESS”と表示されたcolumnの一番上のリンクをクリックすることでアクセスすることができます。こちらのFind it Fastボタンを使用するパターンが最も時間の無駄なくTESSのページにたどり着くことができると思われます。
3.米国特許商標庁(USPTO)のWebsite
或いは米国特許商標庁(USPTO)のTOP Pageで、水平に並ぶメインメニュー中の”trademark”を選択またはマウスオーバーして、現れる”Searching Trademark”(下図の緑の矢印)をクリックします。
すると、Search Trademark Databaseのページに案内されます。このページのSearch trademark databaseのボタン(下図の緑の矢印)をクリックすることで、TESSのページに到達します。
4.米国特許商標庁(USPTO)の商標のPage (Trademark Tools and Links)
米国特許商標庁(USPTO)のTOP Pageで、水平に並ぶメインメニュー中の”trademark”のハイパーリンクをクリックすると、或いは、米国特許商標庁(USPTO)のTrademarkのpage (Tool and Links)にアクセスして、下部の左端の 🔍Search trademark databaseと記載されたボックスで、TESSとあるボタンをクリックしてもTESSのページに案内されます。
5.TESSの初期画面
TESSのpageを開くと、Select A Search OptionとAdditional Search Optionsと記載されたテーブル表示されます。上側のSelect A Search Optionから、ここではBasic Word Mark Searchを選択します。
6.TESS/Basic Word Mark Search
Basic Word Mark Searchを選択すると、下記のような入力画面が現れます。入力項目としては、plural and singular又はsingular (単複両方、又は単数限定)、Live and Dead (現存及び失効), Live(現存)、Dead(失効)を選ぶことができます。また、検索項目(Search Term)にキーワードを入力します。検索項目(Search Term)は、Combined Word Mark(文字商標), Serial or Registration Number(登録番号)、 Owner Name and Address(所有者名と住所)から選択できます。入力は半角の英数字に限定され、日本語の漢字、平仮名、片仮名などは入力できません。Word Markには、*記号(wildcard)を前方や後方に使用することができます。serial numberは8桁ですが、registration numberは7桁です。$記号をワイルドカードにして、例えば”edogawa”を含むように、”edoga$a”のような使用法も可能です。TESSは大文字と小文字を区別しません(not case sensitive)。
🔍Basic Word Mark Searchをもう少し使いこなす!
初期画面で、Termにそのまま文字商標の一部を入力すれば、FieldのデフォルトでCombined Word Mark([COMB] as Boolean operator)が選択されていますので、商標の文字とその翻訳を選んだことになります。もし不明なスペルが文字の途中にあれば、”$”をwildcardとして使用します。また、言葉のどこかで対象文字が使われているかを抽出するためには”*word*”のような入力をします。また、演算子を利用する検索テクニックについては米国 商標データベース(TESS)の検索テクニック🔍を参照しましょう。
ここで絞り込むいくつかのパターンを例示しましょう。
“hawaii”と”island”の和集合(and)、オペレーターが[COMB]ですので、商標の文字とその翻訳の両方のfieldで検索します。–―結合商標に有効
(hawaii)[COMB] and (island)[COMB]
“honolulu”の類似を検索する場合、前後や母音の位置にワイルドカード(* $)を入れて、”*h$n$l$l$*”で検索し、近似の文字商標を抽出します。
(*h$n$l$l$*)[COMB]
“hawaii”の文字と、国際分類[IC]で第32類の和集合—文字では多数検索された場合に、国際分類の類で絞ります。分類の類は””で囲むことに注意
(hawaii)[COMB] and "032"[IC]
“hawaii”の文字と、商標権者名[ON] で”kona”(会社名)の和集合–―ターゲットや相手が決められていて、その名前が部分的にも分かっているときに有効です。
(hawaii)[COMB] and (kona)[ON]
“hawaii”の文字と、指定商品及び指定役務[GS] に”beer”(商品名)の和集合—指定商品や役務の名称で絞り込むことができます。
(hawaii)[COMB] and (beer)[GS]
さらにTESSを使いこなすための解説>>>>米国商標データベース(TESS)の検索テクニック🔍
7.TESS/Word and/or Design Mark Search (Structured)
図形商標や図形を一部に含む文字商標に対し、図形から検索する場合には、TESSの最初のページでSelect A Search Optionで上から2番目の Word and/or Design Mark Search (Structured) を選択します。すると、下記の項目(Field)をプルダウンで選択できる画面が表示されます。そこで、Design CodeをFieldに選択し、Design Codeの値を入力します。Design Code (Design Search Code)は、対象ごとに割り当てられた、recordにあるDesign Search Codeの数字を分ける小数点を除いた6桁の数字です。検索対象のDesign Codeを探すには、Design Search Code Manualを最初に参照します。ここで例えば、パンダの図形を検索する場合は、マニュアルのTABLE OF CATEGORIESの”3.animal”をクリックしてスクロールしていくと、”03.01.13 Panda bears”の表示が現れ、比較的簡単に見つけることができます。また、Description of Mark(商標見本についての記述), Design Description(描写された対象物など)を利用しても図形の要素を検索できます。下記の例では、Design Codeを040703(Geometric figures or combinations of geometric figures representing a person)とDesign Descriptionをmoon(月)として、そのAND(和集合)を求めています。これを記号で表記すると、(040307)[DC] and (moon)[DD]となります。
指定商品(goods)や指定役務(services)で絞り込みたい場合もあると思います。その場合には、項目(Field)のプルダウンメニューからGoods & Servicesを選択し、Search Termに対象となる商品名や役務名(一部でも可能)を入力します。下記の例は、Design Descriptionに”moon”を入れて、Goods & Servicesを”knife”とした和集合(AND)の入力を示しています。これを記号で表記すると、(moon)[DD] and (knife)[GS]となります。世界で共通のニース国際分類(International Class)の数字でも商品、役務での絞り込みができます。 米国 商標登録出願では、指定商品及び指定役務の選定にAcceptable Identification of Goods and Services Manual Next Generation(或いはID Manual)を利用することができ、出願時に商品役務をこのID Manual中で選択するとオフィシャルフィーについて約50ドルのディスカウントが可能です。アメリカの商標実務では、日本のような類似群コードは存在しないことから、DuPont Factorsで自説を展開したり、過去の判例/審決(USPQやOfficial Gazzette)を頼りに、商品役務の類比判断をすることになります。
8.検索結果一覧表(Hit List and Image List)
TESSのBasic Word Mark Searchで必要事項を入力して、Submit Queryボタンをクリックすると、検索結果が表示されます。検索結果は、青字でM Records(s) found (下記の例では、1294個の記録が見つかった)の表示がされ、デフォルトで一覧表のリスト(Hit List)となります。この一覧表では、 Serial and Registration Number, Word Mark, TSDR, Live or Deadが表示されます。
また、検索結果は、標章画像のグリッド表示(Image List)も可能です。グリッド表示では、標章画像とシリアル番号が表示されます。グリッド表示切り替えるには、IMAGE LISTのボタン(青の右から3番目のボタン)をクリックします。
また、検索自体が図形コードで行われていても同様な、グリット表示をすることができます。
もし、検索結果として、1つも検索できなかったときは、”No TESS records were found to match the criteria of your query.”と表示されます。これは検索したキーワードとマッチする結果が得られなかったことを示していますが、類似の範囲までも検索している訳ではないので、これを以て登録が確実ということではありません。
9. 詳細表示 (Records)
一覧表の中の個別の案件をクリックすると、その案件の詳細情報が表示されます。下記の例では、1294個の記録の中の110番目の記録を表示(Record 110 out of 1294)しています。
米国 商標DBに表示される項目は次のとおりです。なお、全てが表示されるのではなく、データがある項目だけが表示されます。
- Word Mark (文字商標)
- Translations(翻訳):The non-Latin characters in the mark transliterate to “〇〇〇” and this means “△△△” in English.
- Goods and Services(指定商品・指定役務):初めに国際分類(IC)、続いてUS分類(US)が表示され、その次に具体的な指定商品、指定役務(G & S)が続きます。
- Standard Characters Claimed (標準文字)
- Mark Drawing Code (商標見本コード) (0) UNKNOWN, (1) TYPED DRAWING, (2) DESIGN ONLY (3) DESIGN PLUS WORDS, LETTERS, AND/OR NUMBERS (4) STANDARD CHARACTER MARK (5) WORDS, LETTERS, AND/OR NUMBERS IN STYLIZED FORM, (6) FOR SITUATIONS FOR WHICH NO DRAWING IS POSSIBLE, SUCH AS SOUND
- Design Search Code<(図形調査コード)
- Trademark Search Facility Classification Code(商標調査便宜分類コード)
- Serial Number(番号)
- Filing Date(出願日)
- Current Basis(現在の出願の基礎) 1A {use in commerce}, 1B {intent to use}, 44D {foreign application}, 44E {foreign registration}, 66A (Madrid Protocol), NO FILING BASIS No filing basis claimed.
- Original Filing Basis(出願時の出願の基礎)
- Published for Opposition<(出願公告)
- Registration Number< (登録番号)
- Registration Date(登録日)
- International Registration Number(国際登録番号)
- Owner (APPLICANT) (所有者、出願人)
- Assignment Recorded(譲渡記録済) ASSIGNMENT RECORDED
- Attorney of Record(代理人)
- Prior Registrations (先の登録)
- Disclaimer (権利不請求)
- Description of Mark (標章の説明)
- Type of Mark (商標の種類) TRADEMARK、SERVICE MARK、
- Register (登録簿) PRINCIPAL(主登録)とSUPPLEMENTAL(補助登録)があります。
- Affidavit Text(宣誓書) SECT 15. SECT 8 (6-YR)
- Live/Dead Indicator(現存・失効) Live(現存)かDead(失効)です。
- Abandonment Date (放棄日)
- Cancellation Date (失効日)
10.TSDR(Trademark Status & Document Retrieval)
TSDRによって、出願データやOffice Actionなどの処理データを案件ごとに見ることができます。日本の実務の包袋閲覧に近いと思います。商標見本の上に青いボタンでTSDR, ASSIGN Status, TTAB Statusと並ぶうちのTSDRをクリックします。ちなみに、ASSIGN Statusは権利の譲渡状況を表示し、TTAB Statusは異議、審判系の手続の履歴を表示します。
11.Trademark Assignment Search
それぞれの商標について、誰が権利者なのか、どのように移転されたかなどの移転・譲渡についての情報もTrademark Assignment Searchで探ることができます。Trademark Assignment Searchの画面には、トップページのQuicklinkの右側コラム(trademark)の真ん中あたりの人のアイコン ”Search assignment”をクリックすることで移動することができます。
Assignment Searchの画面で、quick searchの場合には、Reel/frame number(記録番号), Serial number(連番), Registration number(登録番号), International Reg. number(国際登録番号), Assignor name(譲渡人名称), Assignee name(譲受人名称), Correspondent name(連絡先名前), Registrant name(権利者名称), Applicant name(出願人名称), Domestic representative (国内代理人)を選ぶことができます。Searchのタブを使用すれば、and/orのBoolen operatorを使用することもできます。
検索結果としては、次のような画面になります。
Conveyanceの項目の下の内容を記載した最後の小さいPDFアイコンをクリックすると、添付書類を見ることができます。
12.Color Lining(色分け用線図)
2003年11月2日以前では、標章に色を表す場合に、線の種類を変えることで、その色を表示するものとしていました。その色の表示が下記の例となります。
13.州登録(State Registration)
アメリカ合衆国の各州での商標登録は、概ねその州の政府(Secretary of State)に対して行うように決められています。
米国商標制度 vol.1
米国商標制度 vol.2
米国商標登録出願(直接)† 手続概要と費用
米国商標データベース(TESS)の検索テクニック 商標登録 検索vol.9
米国商標を検索
米国で登録されている商標を探すにはどうしたら良いですか?
米国での登録されている商標としては、州登録の商標もありますが、連邦登録を検索することが重要です。米国の連邦登録されている商標はTESS(Trademark Electronic Search System)のデータベースから調査することができます。
米国商標のTESSのデータベースから類似の範囲の商標を探し出すことはできますか?
TESSのデータベースでは、単に使用する商標の文字列を入れただけでは、同一の商標を示すだげで、商標の登録可能性についての十分な調査にはなりません。また、TESSには類似の範囲を選択するボタンはないことから、登録可能性を探るためにはブール演算子を使った絞り込み検索をすることになります。フォニックスのルールに従って交換可能な文字の組(例えば”イ”ならば“ieya”)を作成して、元の文字列に当て嵌めます。フォニックスによれば、例えばlightとrightのLとRは交換可能ではありません。
米国の連邦商標のデータベースの検索で、図形のサーチは可能でしょうか?
米国のTESSではファイルの画像を選択して近似の図形を抽出するサーチは現状未だ可能ではありません。しかしデザインコードの文字やコードを使用してTESSのデータベースでの検索をすることができ、 design code manualからコードを選択した上での検索は可能です。例えば五芒星(five pointed star)のデザインコードは、カテゴリ 01 (天体、自然現象、および地理的地図)、区分 01 (星、彗星)、およびセクション 03 (5 つの点を持つ星) にコード化され、01.01.03 が該当するデザインコードになります。また米国商標を収録しているEUIPOのTMviewやWIPOのGBD(Global Brand Database)を利用する方法もあり、これらのデータベースでは画像ファイルのドラックやドロップで検索可能です。
米国の連邦商標に付与される番号にはどのようなものがありますか?
2つの番号があり、1つはSerial Numberで「出願番号」を意味する8桁の番号です。もう1つはRegistration Numberで「登録番号」を意味し7桁の番号です。出願番号は出願された商標に対して付与され、.登録番号は審査を経て登録された商標だけに登録証と共に.付与されます。ある商標のレコードにシリアルナンバーだけしかない場合は、出願中であるか、放棄か拒絶となったことを意味します。
米国の連邦商標のデータベースの検索で、既に放棄されている商標も検索できますか?
米国のTESSでは、商標の死活についても選択して検索することができます。生存中の商標はLiveを選べば検索可能であり、放棄されたり取り下げられた商標はdeadを選択して検索可能です。TESSでは、 Live and Dead、 Live、 Deadの3つから検索対象を選ぶことができます。
米国の連邦商標のデータベースの検索で、漢字、カタカナ、ひらがなは検索可能でしょうか?
米国のTESSでは、データベースに記録される文字は英字、記号、数字であり、漢字、カタカナ、ひらがなについては文字としては記録されていません。従いまして、これらの漢字、カタカナ、ひらがなについては原則検索できないところとなります。これらの漢字、カタカナ、ひらがなは商標見本の画像の一部として記録されている場合には、画像としては出力されます。漢字、カタカナ、ひらがなは外国の文字として認識されるため、その意味をtranlationの欄に英語で記載することになり、tranlationの欄の検索は可能です。
米国の連邦商標のデータベースで、コーディネーテッドクラス(Coordinated Class [CC])とは何ですか?
USPTOのX-Seachで商品や役務の絞り込みに活用される分類で、予めいくつかの区分をグループ化したものです。たとえば、クラス 25 (衣料品) には、クラス 14 (ジュエリー)、クラス 18 (皮革製品)、クラス 35 (広告およびビジネス サービス) など、いくつかの調整された、または関連するクラスがあります。登録可能性の調査で将来のビジネスの広がりを見越したグループ化とも捉えることができ、商品役務の関連性の1つの指標となります。コーディネーテッドクラスは日本の類似群コード(日本の商品役務の類似範囲の仮想的な区分け)とは異なる範囲をグループ化しており異なる機能を有します。