The U.S. Court of Appeals for the Ninth Circuit reaffirmed its commitment to the rule that willfulness is a prerequisite for disgorgement of a trademark infringer’s profits in Stone Creek v. Omnia Italian Design… United States Intellectual Property Fenwick & West LLP 27 Jul 2017
商標登録insideNews: シャープ商標、中国大手が継続使用の方針 米テレビ市場 | 朝日新聞デジタル
シャープ商標 継続使用へ
家電大手シャープが中国の家電大手海信(ハイセンス)集団に対し、米国などで「シャープ」「アクオス」の商標のテレビを販売するのをやめるよう求めている問題で、海信の海外部門幹部は27日、今後も商標を使い続ける方針を明らかにした。
情報源: シャープ商標、中国大手が継続使用の方針 米テレビ市場:朝日新聞デジタル
経営再建中のシャープ 亀山工場4000人に人員倍増へ(17/04/06), 0:33
商標登録insideNews: 中国電機大手を提訴=米国テレビ商標で-シャープ:時事ドットコム
In response to the issue of consumer electronics giant Sharp asking Chinese consumer electronics giant Hisense Group to stop selling televisions with the “Sharp” and “Aquos” trademarks in the United States and other countries, Hisense’s overseas department executives announced on the 27th that they will continue to use the trademarks.
欧州連合知的財産庁(EUIPO) 商標_動画(embedded) vol.17
欧州連合知的財産庁 動画
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商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#40
特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。
本願商標:「鹿の子茶屋」
1.出願番号 商願2001-57564
2.商 標 「鹿の子茶屋」
3.商品区分 第30類:コーヒー及びココア,茶,調味料,米,食用粉類,穀物の加工品,サンドイッチ,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷
4.適用条文 商標法第3条第1項第3号,同第4条第1項第16号
5.拒絶理由 本願商標は、「鹿の子」菓子に使用しても、単に商品の品質、販売場所を表示したにすぎず、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがある。
拒絶理由通知 意見書における反論
(1)拒絶理由通知書において、本願商標は「鹿の子茶屋」の文字を書してなり、その構成中の「鹿の子」の文字部分は「和菓子の一種で、求肥またはようかんであんを包んで丸め、その周囲に密煮した小豆をつけたもの」等の意味を有し、また、「茶屋」の文字部分は「客に茶菓や食事を販売・提供する店」(講談社 日本語大辞典 第二版参照)等の意味を有するので、これを本願指定商品中「鹿の子」菓子に使用しても、単に商品の品質、販売場所を表示したにすぎないものであると認められ、したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する旨、認定された。
しかしながら、本出願人は斯かる認定に承服できないので、以下に意見を申し述べる。
(2)本願商標は、審査官殿が指摘するように、成るほど、「和菓子の一種で、求肥またはようかんであんを包んで丸め、その周囲に密煮した小豆をつけたもの」等の意味を有する「鹿の子」の文字と、「客に茶菓や食事を販売・提供する店」等の意味を有する「茶屋」の文字から成るものであります。
しかしながら、それらの文字を結合して成る本願商標「鹿の子茶屋」は、必ずしも、「鹿の子」商品のみを販売する場所等を意味するものではありません。つまり、「鹿の子」の文字があるからといって、商品が「鹿の子」に限られるというわけではありません。本願商標は、これらの文字を結合することによって、「鹿の子茶屋」という一つの固有名詞(結合商標)を形成するものであって、ある特定の「鹿の子茶屋」という名前の「茶屋」を表すものであります。
つまり、「鹿の子」を中心的に提供する茶屋であることを否定するものではありませんが、その茶屋としての性格上、これだけの商品に限定されるものではないということであります。本願の指定商品として挙げたように、「コーヒー,ココア,茶」等もあれば、「サンドイッチ,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ホットドッグ」等もあるわけです。また、「鹿の子」に限らず、他の「菓子及びパン」等も当然想定されるわけです。
それ故に、本願商標を本願指定商品に用いても、茶屋として当然に想定される商品であり、単に品質を表示したり、品質の誤認を生じたりするようなことは決してないと考えます。
(3)過去の商標登録例を見ると、例えば、以下の様な登録商標が存在しています。
1.登録1795124「おにぎり茶屋」(株式会社マスヤ)-第30類 菓子、パン…第1号証
2.登録3015796「甘酒茶屋」(日本盛株式会社)-第30類 菓子及びパン…第2号証
3.登録3024164「だんご茶屋」(有限会社津曲食品)-第30類 コ―ヒ―及びココア,コ―ヒ―豆,茶,調味料,香辛料,米,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,サンドイッチ,すし,ピザ,べんとう,ミ―トパイ,ラビオリ,菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリ―ムのもと,シャ―ベットのもと,ア―モンドペ―スト,イ―ストパウダ―,こうじ,酵母,ベ―キングパウダ―,氷,酒かす…第3号証
4.登録4301667「いちご茶屋」(株式会社ショコラティエ・サンク)-第30類 菓子,パン…第4号証
5.登録4293847「わさび茶屋」(春日井製菓株式会社)-第30類 菓子及びパン…第5号証
これらの商標は、すべて別会社の登録に係るものですが、それぞれ「おにぎり」、「甘酒」、「だんご」、「いちご」、「わさび」という商品名を表す文字に「茶屋」の文字を結合して商標を構成したものである点で、本願商標の「鹿の子茶屋」(「商品名+茶屋」)と軌を一にするものであります。しかし、これらの登録商標は、品質表示や販売場所表示、あるいは品質の誤認が生じるというような理由で、拒絶されているわけではありません。十分に識別機能を有する商標として登録されております。
然るに、これらの商標が登録できて、本件商標だけが拒絶されるというのは到底納得できません。本願のような商標であっても、特定の茶屋の名前(つまり特定の出所)を表すものと見れば、「茶屋」としての性格上、誰しも「鹿の子」しか取り扱わないなどと思うはずがありません。「茶」もあれば、「コーヒー」もある。「ケーキ」もあれば、「他の和菓子」もある。あるいは軽食に「スパゲッティー」もあれば、「おにぎり」もあるというように、いろいろな商品を想定するのがむしろ普通であります。審査官殿は「鹿の子」の文字にとらわれたが故に、品質表示に過ぎないだとか、品質の誤認が生じるおそれがあるだとかの誤認を生じたのではないかと思いますが、この文字に「茶屋」の文字を結合した時点で、取り扱う商品は、茶屋で通常取り扱う商品全般に拡がったと見るべきであります。たとえ拡がったとしても、商品の誤認など生じるはずもありません。茶屋(喫茶店)で取り扱う商品を考えれば、商品を限定して考えることの方がむしろ不自然であります。そのことは、上記過去の登録例が何よりの証左となると考えます。
(4)以上の次第でありますので、本願商標は十分に識別力を有し、登録適格なものと思料します。
( *この件は、登録査定となったが、使用しなくなったので登録料は未納とした。)
商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#39
特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。
本願商標「BACKS」×引用商標「BUCKS&雄ジカ図形」ほか
1.出願番号 商願2001-111742
2.商 標 「BACKS」
3.商品区分 第35類
4.適用条文 商標法第4条第1項第11号
5.拒絶理由 登録第4116018号商標「BUCKS & 雄ジカ図形」ほかと類似する。
拒絶理由通知 意見書における反論
Ⅰ. 拒絶理由通知書において審査官殿は、本願商標は、登録第4116018号(商願平6-083945)の商標(以下、引用商標1という)、及び登録第4270596号(商願平9-169093)の商標(以下、引用商標2という)と同一又は類似であって、その指定役務と同一又は類似の役務に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当すると認定されました。
しかしながら、本出願人は、引用商標2に対しては、抵触する役務である「35類「輸出入に関する事務の代理又は代行」(35F01)を本願の指定役務中より削除する補正を本日付けで行いましたので、この引用商標2との関係では、明らかに拒絶の理由は解消したものと思料します。
また、本願商標は、引用商標1との関係では相変わらず指定役務が抵触することとなりますが、本願商標とこの引用商標1とは、そもそも外観・称呼及び観念において紛れることのない非類似の商標であると思料しますので、やはり拒絶の理由は存在しないものと思料します。
Ⅱ.そこで、以下、引用商標1との関係で、意見を申し述べます。
(1) まず、本願商標は、本出願人の社名「バックスグループ」の前半部を英文字で「BACKS」と横書きして成るものであるのに対し、引用商標1は、下向き三角形の中央より上部に、これに重なるように牡鹿と思しき動物の頭部を描き、その下部に、「MILWAUKEE」および「BUCKS」の文字を二段に書してなるものであります。したがって、本願商標と引用商標1とは、外観上全く異なるものであります。
(2) 次に、本願商標の「BACKS」は、ラグビーやホッケーなどにおいて、主に守備を受け持つ選手やそのポジションをあらわす言葉であり、「後援」とか、「後ろ盾」、或いは端的に「バックス」(backs)の意味合いを持つものであります。そして、これは、「人材派遣等を通じて企業の活動をバックアップしたい。後ろ盾になりたい。」という願いを込めて選定した本出願人会社名の前半部を構成する文字「バックス」の英文字表記であります。然して、この本願商標からは、全体として字義通り、「バックス」の称呼、及び「後援」「後ろ盾」等の観念を生じるものと思料します。
一方、引用商標1は、「BUCKS」の文字が比較的大きく書されているとはいえ(あくまでも、BACKSではなく、牡鹿を意味するBUCKSである)、「MILWAUKEE」および上部の牡鹿と思しき動物の図形を含めて全体的にまとまりよく配置されておりますので、これを一体のものとして把握し得るばかりでなく、その構成文字に相応して生ずる「ミルウォーキーバックス」の称呼もよどみなく称呼し得るものと思料します。
また、この「MILWAUKEE BUCKS」、「ミルウォーキー・バックス」は、米国NBA所属のチームの一であって、引用商標1はそのチームマーク(エンブレム)として使用されているものであり、わが国においては一定程度知られておりますので、この引用商標1からは、米国NBA所属の「ミルウォーキー・バックス」というプロバスケットボールチームを容易に観念させるものであります(このチームマーク(エンブレム)は、「ミルウォーキー・バックス」のインターネットホームページなどでも使用されています)。
このように、本願商標が、「バックス」の称呼、及び「後援」「後ろ盾」等の観念を生じさせるものであるのに対し、引用商標1は、わが国において一定程度知られた米国NBA所属のプロバスケットボールチーム「ミルウォーキー・バックス」のチームマーク(エンブレム)でありますので、これに接する取引者・需用者は、「ミルウォーキー・バックス」という全米プロバスケットチームを想起観念し、これを一体的に把握するとともに、「ミルウォーキーバックス」の一連の称呼をもって取引に当たるものと思料します。
したがって、両者は、称呼・観念においても紛れることのない非類似の商標であると考えます。
(3)ところで、この引用商標1を、上述のように、
A.米国NBAのチームの一である「MILWAUKEE BUCKS」、「ミルウォーキー・バックス」を想起させる商標であって、一体のものとして把握すべきものであること。
B.取引者・需用者は単に「ミルウォーキーバックス」の一連の称呼をもって取引に資するとみるべきものであること。
と判断することは、過去の御庁における審決においても認められた判断であります。
即ち、平成10年審判第4125号(平成13年3月14日審決:原隆審判長)の拒絶査定不服審判においては、本件の引用商標1と同一の商標が出願商標(商願平7-130713号)であったという意味でちょうど逆の立場になりますが、「バックス」の称呼を生ずる引用商標に対して、この商願平7-130713号商標は、あくまでも米国NBAのチームの一である「ミルウォーキー・バックス」を想起させ、「ミルウォーキーバックス」の一連の称呼しか生じないから引用商標とは非類似であると認定し、その登録を認めた経緯があります。
つまり、本件の引用商標1と全く同じ構成態様、即ち“下向き三角形の中央より上部に、これに重なるように牡鹿と思しき動物の頭部を描き、その下部に、「MILWAUKEE」および「BUCKS」の文字を二段に書してなる”態様の商標を、A.米国NBAのチームの一である「ミルウォーキー・バックス」を想起させるとし、また、B.「ミルウォーキーバックス」の一連の称呼しか生じないとして、引用商標の単なる称呼「バックス」の商標とは類似しないと判断して査定を取り消した審決が存在したということであります(しかも、これはつい昨年の審決です:平成13年3月14日審決)。
それ故、本件においても、この審決における判断と同様に、引用商標1の商標からは「ミルウォーキーバックス」という一連の称呼しか生じないと認定されるべきであります。
上記審決時においては、原査定及び審判において提出された証拠のほか、審判官が職権で調査した事実も判断材料とされており、十分に審理を尽くした上での判断だと思われます。斯かる審決での判断は十分に尊重されるべきものであります。
(4) このように、本願商標と引用商標1とは、外観および観念上全く異なるものであって類似することはないとともに、称呼上も単なる「バックス」と「ミルウォーキーバックス」の差異があって語感語調を全く異にし、取引者・需用者をして決して紛れることはないものと思料します。
よって、本願商標と引用商標1とは非類似の商標であり、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものではないと思料します。
Ⅲ. 以上の次第ですので、今般の拒絶の理由はすべて解消したものと思料します。
商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#38
特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。
本願商標「BACKS GROUP」×引用商標「BUCKS&雄ジカ図形」
1.出願番号 商願2001-109306
2.商 標 「BACKS GROUP」
3.商品区分 第35類、第42類
4.適用条文 商標法第4条第1項第11号 他
5.拒絶理由 登録第4116018号商標「BUCKS & 雄ジカ図形」」と類似する。
拒絶理由通知 意見書における反論
Ⅰ. 本日付け提出の手続補正書において、第35類に属さないとされた役務「求人情報の提供」(国際分類版表示第7版)を、第35類から第42類に変更する補正を行うと共に、不明瞭であるとされた「改善案の提供」という表現を指定役務中より削除する補正を行いましたので、発送番号248551に係る拒絶の理由(2)は、解消したものと思料します。因みに、補正後の「受注事務・人事事務・経理事務・総務事務の代行」とは、言い換えれば「会計・総務・人事その他の事務的事項に関する事務処理代行」のことです(なお、このような表現の方が分かりやすいと言うことであれば、補正する用意がありますので、ご指摘下さい)。
なお、第42類が増えた結果不足するとされた出願料15,000円は、本日付け別途提出の手続補正書(手数料補正)において、納付手続を済ませました。
Ⅱ. そこで次に、発送番号248550に係る拒絶の理由(1)について、意見を申し述べます。
(1) この拒絶の理由(1)において審査官殿は、本願商標は、登録第4116018号(商願平6-083945)の商標(以下、引用商標という)と類似であって、その指定役務と同一又は類似の役務に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当すると認定されております。
しかしながら、本出願人は、本願商標と引用商標とは、外観・称呼・観念のいずれにおいても類似することのない非類似の商標であると思料しますので、斯かる認定に承服できません。
(2) まず、本願商標は、本出願人の社名「バックスグループ」を英文字で「BACKS GROUP」と横書きして成るものであるのに対し、引用商標は「左右一対の角を持つ雄ジカの胸から上の部分の正面図形」と「その背景である逆二等辺三角図形」と「雄ジカ図形の直ぐ下側に小さく横書きしたMILWAUKEEの英文字」と、更に「その下側に大きく横書きしたBUCKSの英文字」とから成る文字・図形混在の商標であります。したがって、本願商標と引用商標とは、外観上全く異なるものであります。
(3) また、観念の点についてみると、本願商標の「BACKS GROUP」は、「後援、後ろ盾」を意味する「BACKS」と、「集団、集まり、群れ」を意味する「GROUP」とを結び付けた商標であって、「人材派遣等を通じて企業の活動を後援する団体でありたい、後ろ盾になる団体でありたい。」という願いを込めて選定した本出願人「バックスグループ」の英文字表記であります。そして、この本願商標からは、全体として字義通り、「後援する集団」「後ろ盾になる集団」等のまとまった一つの観念を生じさせるものであります。
これに対し、引用商標の図形部分は「雄ジカ」を観念させ、また、文字部分の「MILWAUKEE」は米国Wisconsin州南東部ミシガン湖畔の港市である「ミルウオーキー」を観念させ、大書した文字部分「BUCKS」(二文字目は「A」ではなく「U」である)は「雄ジカ」を観念させるものであり、この引用商標全体として「ミルウオーキーの雄ジカ」を観念させるものであります。
したっがって、両者は観念上も全く異なるものであります。
(4) そこで、次に、称呼の点につき検討します。
本願商標は、英文字で「BACKS GROUP」と横書きして成り、「BACKS」と「GROUP」との間にやや間隔をあけた態様ではありますが、左右に軽重の差なく同書・同大で全体がバランス良く配置されています。また、前述したように、全体として「後援する集団」「後ろ盾の集団」等の一つの観念を生じさせるものであります。そして、全体を一連に称呼しても決して称呼しにくいわけではなく、むしろ社名商標であることから全体を一連に称呼するのが自然であります。全体を一体に捉え一連に称呼してこそ、社名の意味があります。分断して単に「バックス」とか、「グループ」とか称呼したのでは何のことか分かりません。分断して称呼するのは如何にも不自然であります。それ故、本願商標は、単に「バックス」と称呼されるようなことはなく、常に一連に「バックスグループ」とのみ称呼されるものと思料します。
これに対し、引用商標は「雄ジカ」の図形と「BUCKS」の文字との間に、やや小さいとはいえ「MILWAUKEE」の文字を有することから、基本的には、「ミルウオーキーバックス」と称呼されるものと思料しますが、「雄ジカ」の図形と大書した「BUCKS」の文字から、取引者・需用者は単に雄ジカをイメージして「バックス」と称呼する場合があるかも知れません。
しかしながら、引用商標が「ミルウオーキーバックス」あるいは「バックス」のいずれに称呼されたとしても、本願商標は、上述のように、あくまでも常に一連に「バックスグループ」と称呼されるものであることから、両者は明らかに聴別でき、称呼上も決して類似することはないと思料します。
(5) この点に関し、審査官殿は「GROUP」の部分に商標の要部はなく、「BACKS」の部分にこそ本願商標の要部があるから、本願商標からは単に「バックス」の称呼も生じ得るとして、引用商標を引いてきたのではないかと思料しますが、そのような見方は妥当ではないと考えます。
本願商標の「BACKS GROUP」は全体として捉えて初めて、本出願人の社名をあらわすものであって、単に「BACKS」と把握したのでは何のことか分かりません。また、「BACKS GROUP」を全体として捉えてこそ、「後援する集団」「後ろ盾の集団」等のまとまった一つの観念(企業理念)を生じさせるものであり、全体を一体として把握するのが自然であります。敢えて、分断して「BACKS」の部分のみを要部として抽出すべき理由はありません。
「BACKS」が造語であれば、或いはそのあとに「GROUP」の言葉を付けた場合、「BACKS」という本体があって、そのグループだというような意味合いに取られる危険性があるかも知れませんが、「BACKS」の言葉は造語ではなく、「後援、後ろ盾」を意味する普通の確立された言葉ですので、その様なことはないはずであります。「BACKS」は「GROUP」の単語と結び付いて「後援する集団」「後ろ盾の集団」等の意味合いを生じさせるものであり、一体であります。
それ故、本願商標はあくまでも全体が要部であって、「GROUP」を省略出来ない商標であります。
(6) ところで、過去の商標登録例を見ると、本願と同じ区分である第35類の関係で、東邦シートフレーム株式会社所有の登録第3044209号「TOHO」(図あり)(平成7年5月31日登録)という商標の存在にも拘わらず、その後の出願に係る表示灯株式会社の「TOHO GROUP」が第3152051号として平成8年5月31日に登録された事実があります(役務抵触)。
この場合、仮に「GROUP」が要部ではないと判断されていたならば、後願に係る表示灯株式会社の商標は拒絶されていたはずであるのに、現実には登録されております。これは「GROUP」も商標の要部であると判断し、全体を一体の商標として把握したからに他なりません。
然るに、本願商標のケースもこれと同様に考えるべきで、本願商標は常に「バックスグループ」とのみ称呼すべきものと考えます。それ故、たとえ引用商標が「バックス」と称呼された場合でも、両者は決して類似することはないと考えます。
(7) 以上のように、本願商標と引用商標とは、外観および観念上全く異なるものであって類似することはないと共に、称呼上も「グループ」の称呼の有無によって語感語調を全く異にし、取引者・需用者をして決して紛れることはないものと思料します。
したがって、本願商標と引用商標とは非類似の商標であり、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものではないと思料します。
Ⅲ. 以上の次第ですので、今般の拒絶の理由(1)(2)は全て解消したものと思料します。
商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#37
特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。
本願商標:「B3/B-Three」
1.出願番号 商願2001-106713
2.商 標 「B3/B-Three」
3.商品区分 第9類:電子計算機用プログラムその他の電子応用機械器具及びその部品等
4.適用条文 商標法第3条第1項第5号
5.拒絶理由 本願商標は、各種商品の品番・規格等を表示するための記号・符号として一般に採択使用される欧文字一字と数字との組み合わせの一類型と認められる「B3」の文字とそれを英語読み風に表記したにすぎない「B-Three」よりなるものであるから、これをもってしては、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ない。
拒絶理由通知 意見書における反論
(1)この拒絶の理由は、『本願商標は、各種商品の品番・規格等を表示するための記号・符号として一般に採択使用される欧文字一字と数字との組み合わせの一類型と認められる「B3」の文字とそれを英語読み風に表記したにすぎない「B-Three」よりなるものであるから、これをもってしては、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと認める。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する』というものでありますが、本出願人は、本願商標は「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標」(商標法第3条第1項第5号)ではなく、その指定商品との関係においては、十分に自他商品識別標識としての機能を果たし得るもので、登録適格性を備えているものと思料します。
即ち、本願商標は、審査官殿ご指摘のように、成る程、欧文字一字と数字との組み合わせからなる「B3」の文字と、それを英語読み風に表記した「B-Three」の文字とからものであることは事実であります。
しかしながら、本願の指定商品、例えば、「電子計算機用プログラムその他の電子応用機械器具及びその部品」等との関係にあって、これら「B3」「B-Three」は、その商品の品番・規格等を表示するための記号・符号として一般的に採択使用されているような事実はありません。それ故、例えば、これを指定商品のパッケージなどに付して商標的使用態様で使用した場合、これを見た取引者・需用者は、この「B3/B-Three」を自他商品を区別するための標識(商標)と理解し、「ビースリー」と称呼して取り引きにあたるはずであり、他の同種の商品と十分に区別できるものと思料します。その意味で、本願商標は、「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章」ではなく、自他商品識別機能を備えた商標であると思料します。
(2) このことは例えば、本願商標と同じ第9類の指定商品を含む以下のような商標が登録されている事実からも、伺い知ることができます。
(a)「M-ONE」(登録4053930、H9.9.5登録、(株)アポロン)
(b)「T-One」(登録4446539、H13.1.19登録、ドイチェ テレコム…)
(c)「e-one」(登録4432891、H12.11.17登録、(株)ソーテック)
(d)「e-two」(登録4461867、H13.3.23登録、(株)ソーテック)
(e)「e-three」(登録4469513、H13.4.20登録、(株)ソーテック)
即ち、これら(a)~(e)の登録商標は、全て欧文字一字と数字を英語読み風に表記した態様からなるものであるという点で、本願商標の「B-Three」と同じ態様の商標でありますが、御庁において上記の通り、全て商標登録されております。「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章である」(商標法第3条第1項第5号)などとして拒絶されているわけではありません。これら「M-ONE」とか、「T-One」とか、「e-three」などの商標であっても、指定商品との関係において、十分に自他商品識別力を有すると認定され、登録されております。
然るに、これら「M-ONE」、「T-One」、「e-one」、「e-two」、「e-three」の商標が登録できて、同様に欧文字一字と数字を英語読み風に表記した態様「B-Three」からなり、かつ、同様の指定商品分野を対象とする本願商標が登録できない謂れはありません。
本願商標もこれらの登録商標と同様に、商標法第3条第1項第5号に該当するものではなく、十分に自他商品識別力を有し、登録適格性を備えたものと思料します。
商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#36
特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。
本願商標「「Club Access24/クラブ・アクセス24」×引用商標「ACCESS/アクセス」
1.異議番号 異議2001-90201(商標登録第4441150号)
2.商 標 「Club Access24/クラブ・アクセス24」
3.商品区分 第28類:ゴルフクラブ 他
4.適用条文 商標法第4条第1項第15号
5.異議理由 「Club Access24/クラブ・アクセス24」は
異議申立人の「ACCESS/アクセス」と出所混同を来す。
拒絶理由通知 意見書における反論
(1)取消理由通知書の中で、審判官殿は、本件の指定商品中、第28類の「キャディーバッグ・ゴルフクラブ・ゴルフクラブ用カバー・グリーンマーカー・ティー・ゴルフ手袋・ゴルフボール・その他のゴルフ用具,その他の運動用具」について、本件商標の登録を取り消すべきものとの認定をしております。
そして、その理由として、
(a)異議申立人であるブリジストンスポーツ株式会社の商標「ACCESS」「アクセス」(以下「引用商標」という)の周知・著名性を認め、一方で、
(b)本件商標「Club Access24/クラブ・アクセス24」の「Club/クラブ」の部分をゴルフクラブをあらわすものとし、また「24」の数字を品番やサイズ等をあらわすに過ぎないものとして、「Access/アクセス」の部分が注目されて取引されると認定し、本件商標は、異議申立人の「ACCESS/アクセス」と出所の混同を来すと結論付け、商標法第4条第1項第15号に該当するとしております。しかしながら、このような判断は誤った周知・著名性の認定に基づくもので、しかも本件商標の構成を良く理解せずに行ったものであって、到底納得することは出来ません。以下に意見を申し述べます。
(2)商標法第4条第1項第15号の判断時点について
今回審判官殿が拒絶の根拠として挙げた商標法第4条第1項第15号は、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生じるおそれのある出願商標を排除する規定でありますが、この15号の規定は、査定時にこれに該当していることを前提とし、且つ商標登録出願時点においても該当していた場合に適用される規定であります。換言すれば、査定時に15号に該当しても、出願時に該当していなければ適用されない規定であります(商標法第4条第3項)。
(3)「ACCESS」「アクセス」の周知・著名性の有無について
取消理由通知書の中で、審判官殿は、『申立人の提出した証拠によれば、申立人は、主に商品「ゴルフクラブ、ゴルフボール、キャディバック」について「アクセス」及び「ACCESS」の文字からなる商標(引用商標)を使用しており、これらの商品については、雑誌、テレビを通じて広告、宣伝をし、北海道、東京、石川など広範な地域において販売をした結果、引用商標は、本件商標の登録出願の時には我が国の取引者、需要者の間で周知、著名に至っていたものと認められ、その事実は本件商標の査定時においても継続していたものと推認することができる。』としております。
しかしながら、テレビを通じて宣伝広告がなされたのは、甲第8号証及び甲第9号証によれば、2000年(H12)4月1日から5月31日までの2カ月間であり、これは本件商標出願日の1999年(H11)10月19日よりも半年も後のことであります。従って、出願時点における周知・著名性を立証する材料として、甲第8号証及び甲第9号証のテレビCMは証拠能力を欠くものであります(前記した商標法第4条第3項)。査定時の周知・著名性の立証であれば兎も角、出願時の周知・著名性の立証にテレビ広告の事実を証拠とすることは出来ません。テレビでの宣伝広告をも証拠として本件出願時点における引用商標の周知著名性を認定している審判官殿の判断は明らかに誤解であります。そして、このような時期的な点に注意して提出された証拠を見てみますと、出願時点の周知著名性を立証するための証拠として証拠能力を有すると思われるものは、甲第12号証の雑誌「パーゴルフ」の一部(同号証の1~9,11~13)と、甲第13号証の雑誌「ゴルフダイジェスト」の一部(同号証の1~19)のみであります。他の証拠は上記テレビ放送を含め、全て本件商標の出願時点(1999年10月19日)よりも後に発行された雑誌等の証拠であり、査定時ならば兎も角、少なくとも出願時点における周知著名性の証拠としては証拠能力がありません。
即ち、甲第4号証の「ゴルフ用品カタログ」は2001年1月頃発行、甲第5号証の雑誌「ALBA」は2001年3月8日発行、甲第6号証の雑誌「ゴルフダイジェスト」は2001年3月20日発行、甲第7号証の雑誌「Golf Classic」は2001年4月号であり、また、甲第8号証の電通発行に基づくテレビコマーシャルは2000年4月16日~同5月14日であり、甲第9号証の株式会社アイアンドエス・ビービーディーオー発行の証明に基づくテレビコマーシャルは2000年4月1日~同5月31日であります。また、甲第10号証の日経産業新聞は2000年7月27日発行であり、この中の『スイングが遅いゴルファー対象の「アクセスブランド」でも、アイアンの「HD635」が好調だった。』との記載は、これをもって周知著名性を立証するような性質のものではなく、これは単にアクセスブランドの中でアイアン「HD635」の売れ行きが99年は好調だったということを端的にあらわしているに過ぎないもので、それ以上のものではないと考えます。むしろ、この記事の中には、「上級者向けブランドのツアーステージV3000が業界のトップ級に育った」との記載があり、こちらこそが有名なのではなかろうかと考えます。なお、甲第11号証には取扱店リストなるものがありますが、いつの時点のものかが不明であります(これは、ごく最近のものではないかと思われます)。しかも、「ACCESS取扱店リスト」とありますが、「ACCESS」の何の商品を取り扱っている店舗なのか全く不明であります。さらに、甲第14号証の雑誌「Golf Classic」は2000年4月1日発行、甲第15号証の雑誌「Choice」は2000年5月号、甲第16号証の雑誌「Forbes」は2000年6月号のものであります。
このように見てくると、提出された証拠のうち、本件商標の出願時点における引用商標の周知・著名性を立証する証拠能力ある証拠は、甲第12号証の雑誌「パーゴルフ」の一部(同号証の1~9,11~13)と甲第13号証の雑誌「ゴルフダイジェスト」の一部(同号証の1~19)のみであり、他の証拠は全て本件商標出願以降のものであります。特に、宣伝広告能力の優れたテレビCM(甲第8,9号証)なども、出願時点における周知著名の証拠にはなり得ません。しかも、前記甲第12,13号証で掲げているのは、圧倒的に「ゴルフクラブ」の宣伝であり、偶に「ゴルフボール」が載せられておりますが、ご指摘の「キャディーバック」についての広告は全くありません。「キャディーバック」の掲載は、本件商標の出願日より1年以上も後の2001年1月頃発行の「ゴルフ用品カタログ」(甲第4号証)だけであります。
以上の次第でありますので、取消理由通知書の中で、『申立人の提出した証拠によれば、申立人は、主に商品「ゴルフクラブ、ゴルフボール、キャディバック」について「アクセス」及び「ACCESS」の文字からなる商標(引用商標)を使用しており、該商品については、雑誌、テレビを通じて広告、宣伝をし、北海道、東京、石川など広範な地域において販売をした結果、引用商標は、本件商標の登録出願の時には我が国の取引者、需要者の間で周知、著名に至っていたものと認められ』るとした認定は、明らかに誤りであります(特に、テレビでの宣伝広告によって、引用商標は、既に本件商標出願時点において周知・著名になっていたというのは全くの間違いです)。
ところで、本件出願日以前の証拠である甲第12号証の雑誌「パーゴルフ」の一部(同号証の1~9,11~13)と甲第13号証の雑誌「ゴルフダイジェスト」の一部(同号証の1~19)を証拠として採用したとしても、周知著名の立証として十分であるか甚だ疑問であります。この雑誌による宣伝広告の開始は本件商標出願の僅か1年前に当たる1997年11月25日からのことであり、商品「ゴルフクラブ」に限ってみても、本件出願日までの僅か1年間の雑誌による広告のみで、商標法第4条第1項第15号を適用して他人の出願商標(全体としては非類似の商標)を拒絶する程の周知・著名性を獲得したとは、到底思えません。まして、ゴルフクラブ以外のゴルフボールとか、キャディーバッグとか、更にはそれ以外のゴルフ用具やその他の運動具に至るまで、誤認混同を起こさせるほどの周知著名性を引用商標が獲得していたとは、到底思われません。
1999年暮れの時点では、まだ十分に取引者・需用者に「ACCESS」が浸透していなかったからこそ、異議申立人は、その翌年である2000年の春になって、今までにないような多額の予算を費やしてテレビによるコマーシャルをおこない、更にはゴルフ雑誌以外の一般雑誌への広告掲載に踏み切ったのではないかと推察されます。
(4)本件商標の構成態様について
本件商標の構成は、前述のように、二段に「Club Access24/クラブ・アクセス24」と表記してなるものでありますが、審判官殿は、本件商標のこの態様に対し、「Club/クラブ」はゴルフクラブの略称を表し、数字の「24」は品番・サイズ等を表すものであるから、取引者・需用者は本件商標の「ACCESS」及び「アクセス」の文字に注目して取り引きし、引用商標「ACCESS」「アクセス」と出所の混同を起こすおそれがあると判断しております。
しかしながら、この判断は、分断すべきでない商標を予見をもって短絡的に分断した結果起こった誤解であります。
本件商標は、ゴルフクラブの「クラブ」や、品番・サイズ等の「24」から成るものではなく、同じ目的の人たちが作った団体を指称する「クラブ」と、そのクラブへの「アクセス」が「24」時間可能であることを意味する「アクセス24」の文字から成るものです。そして、本件商標は、この態様より、「クラブへのアクセスが24時間可能」(「クラブアクセス24時間」)とか、「24時間アクセス可能なクラブ」とか、「いつでもアクセス可能なクラブ」とかを端的にイメージさせようとしたものであります。
そして、取引者・需要者も本件商標の構成態様「Club Access24/クラブ・アクセス24」を見て、「クラブへのアクセスが24時間可能」(「クラブアクセス24時間」)とかを観念し、素直に「クラブアクセスニジュウヨン」と一連に称呼するものと思われます。全体として特定の観念をイメージさせる商標は、全体を一体のものとして把握するのが自然であり、本件商標は一連一体に把握してこそ特定の観念を生じさせるものでありますので、各単語を分断するような不自然な把握の仕方はなされるはずはありません。
そして、本願商標は、上段の「Club」と「Access」の単語間にやや間隙を開け、下段の「クラブ」と「アクセス」の間に中黒「・」を介した構成ではありますが、このような態様を有することを理由に、両者を分断して別々に把握するような捉え方や、「Club/クラブ」や「24」に商標の要部を認めず「Access/アクセス」の部分のみを抽出するような捉え方をすべきではありません。このような態様の商標でも、全体が軽重の差なくバランス良く配置されており、しかも全体として特定のイメージを観念させるようなものは、一体不可分の商標と捉えるのが自然であります。なお、例えば、左右の文字間に間隔を開けて配されたものでも一体の商標として把握されている商標は、例示するまでもなく枚挙にいとまがありません。
本件商標は、全体として一個不可分の観念を生じさせる1つの商標であり、全体としてとらえて十分に自他商品等識別力を発揮するものでありますし、全体を称呼して決して冗長でなく、むしろ一気に称呼して語呂良く一連に「クラブアクセスニジュウヨン」(クラブアクセス24時間)と称呼・観念できる態様のものでありますので、あくまでも一連一体の商標と把握すべきです。
審判官殿は、このように1つの本件商標から、無理矢理に「Access/アクセス」の部分を抽出して要部と把握し、一方で、引用商標の「ACCESS」「アクセス」は周知著名であると把握して(この認定は前述したとおり大いに疑問です)、出所の混同が生じるという認定をしておりますが、そもそも「ACCESS」「アクセス」の言葉は、コンピュータ等にアクセスするというような意味で普通一般に使われている言葉であり、異議申立人が初めて作ったような造語ではありません。
本件商標は、その普通一般に存在する既成語である「Access/アクセス」の文字を用い、他の既成語である「Club/クラブ」及び「24」の文字と組み合わせて、一つの商標を構成したものであります(その意味で、本件商標は違和感なく全体を1つの商標と把握できるはずです)。例えば、「SONY/ソニー」とか、「Panasonic/パナソニック」とか、あるいは「DoCoMo/ドコモ」とかのように、元々が造語であればまだしも、この「ACCESS」「アクセス」の言葉は、日本でも広く使用されて馴染みのある既成語なのでありますから、譬え引用商標が周知著名であったとしても、本件商標「Club Access24/クラブ・アクセス24」を見た取引者・需用者は、その中から「Access」「アクセス」のみを抽出するような見方をするはずもなく、本件商標は引用商標の単なる「ACCESS」ないし「アクセス」と出所の誤認混同を来すようなことはあり得ないことであります。
(5)結語
以上の通り、商標法第4条第1項第15号は、①本件商標査定時に該当していても、出願時に該当していなければ適用されない規定であり(商標法第4条第3項)、②また、引用商標の「ACCESS」「アクセス」は、本件商標査定時は兎も角としても、出願時において周知著名性があったというのは甚だ疑問であり(出願時点における周知著名性の判断資料は甲第8,9号証の一部のみである)、③更に、本件商標は、同じ目的の人たちが作った団体を指称する「クラブ」と、そのクラブへの「アクセス」が「24」時間可能であることを意味する「アクセス24」の文字から成るものであって、常に「クラブアクセスニジュウヨン」と一連に称呼され、且つ「クラブへのアクセスが24時間可能」(「クラブアクセス24時間」)と観念されるものでありますので、これらを総合的に勘案すれば、本件商標は引用商標と出所の混同を起こすおそれはないと思料します。
そして、仮に、引用商標の「ACCESS」「アクセス」がゴルフクラブについて本件出願時点で周知著名だったとしても、既成語でしかない「Access」「アクセス」を含む本件商標は、あくまでも全体として1つの観念をイメージさせ一連に称呼されるとみるのが自然でありますので、本件商標は常に一体不可分の商標として称呼・観念され、「Access/アクセス」の文字のみが注目されて把握されるようなことはないと考えます。
従って、本件商標「Club Access24/クラブ・アクセス24」は、異議申立人の所有する単なる「ACCESS/アクセス」の商標と本件出願時点において誤認混同を起こすようなことはなく、査定時の他に、出願時における周知・著名性を要求する商標法第4条第1項第15号の規定に該当するものではないと考えます。よって、再度御審理いただき、本件の異議申立は理由がないとの決定を賜りますようお願い申し上げます。
※結局、本件からは「クラブアクセスニジュウヨン」或いは「クラブアクセス」の称呼のみが生じ、単なる「アクセス」の称呼は生じないと認定された。また、「ACCESS/アクセス」の著名性も否定。
商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#35
特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。
本願商標「ASSAM HelpDesk/アッサムヘルプデスク」
1.出願番号 商願2001-086005
2.商 標 「Assam HelpDesk/アッサムヘルプデスク」
3.商品区分 第9類
4.適用条文 商標法第4条第1項第16号、第4条第1項第11号
5.拒絶理由
(1)その構成中にコンピュータやソフトウェアの使い方等の相談、質問に応答するサービスを認識させる「HelpDesk」の文字を有してなるものであるから、これを本願の指定商品中、上記に照応する商品(例えば「ヘルプディスクの運用管理に用いるコンピュータプログラムを記憶させた記録媒体」)以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせる(4条1項16号)。
(2)登録第2138861号の登録商標「アッサム/ASSUM」と類似する(4条1項11号)。
拒絶理由通知 意見書における反論
(1)第2回目の拒絶理由通知書において、審査官殿は、以下1,2のような拒絶理由通知を発せられたが、本出願人は、斯かる認定に承服できないので、以下に意見を申し述べます。
1.この商標登録出願に係る商標は、その構成中にコンピュータやソフトウェアの使い方等の相談、質問に応答するサービスを認識させる「HelpDesk」の文字を有してなるものであるから、これを本願の指定商品中、上記に照応する商品(例えば「ヘルプディスクの運用管理に用いるコンピュータプログラムを記憶させた記録媒体」)以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものと認める。
したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する。
2. この商標登録出願に係る商標は、登録第2138861号(商公昭63-081357)の登録商標(以下、引用商標という)と同一又は類似であって、その商標に係る指定商品)と同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2) まず、審査官殿は、本願商標を構成する「HelpDesk」の文字について、コンピュータやソフトウェアの使い方等の相談、質問に応答するサービスを認識させる言葉であるとして、これを指定商品中、例えば、「ヘルプディスクの運用管理に用いるコンピュータプログラムを記憶させた記録媒体」以外の商品に使用するときは、あくまでも、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあると認定しております。
しかしながら、「HelpDesk」の文字は、「コンピュータシステムのサポートを行う組織や窓口」(一種の“団体”のイメージ)という意味に使われておりますので、コンピュータとは関連があるものの、「ヘルプデスクの運用管理に用いるコンピュータプログラム」を普通に認識させるとまでは言えないと思料します(この点は、先の平成14年8月26日付け意見書でも述べたとおりであります)。つまり、ここでいう「HelpDesk」の言葉の意味合いとしては、せいぜい「コンピュータシステムのサポート組織・窓口」(一種の“団体”)ぐらいの意味でしかないと思料します。
このことは、例えば、
(イ)「Help desk Builder」(第3279425号、H09.04.11登録、日本電気)や、
(ロ)「ClearHelpdesk」(第4205117号、H10.10.30登録、米国法人)
などの登録商標の指定商品が、「ヘルプデスクの運用管理に用いるコンピュータプログラム」などに限定されておらず、電子応用機械器具及びその部品やその他の第9類に属する一般的な指定商品を指定して登録されている事実からも理解できます。
つまり、仮に、この「HelpDesk」が品質を表示する用語であるとするならば、指定商品には、例えば「ヘルプデスクの運用管理に用いる……」という限定がなければおかしいでありましょうが、これら過去の登録例(イ),(ロ)を見ても(過去とは言ってもそれほど遠い過去ではない)、その様な限定は付されておりません。この「HelpDesk」でも他の文字との結合によって、十分に識別機能を発揮する商標であると考えます。
したがって、本願商標の「HelpDesk」を品質表示用語と捉え、例えば、「ヘルプディスクの運用管理に用いるコンピュータプログラムを記憶させた記録媒体」以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるとの認定は妥当ではないと考えます。よって、本願商標は、その指定商品を限定せずとも、商標法第4条第1項第16号に該当することはないと考えます。
(3) 次に、審査官殿は、第2138861号登録商標「アッサム/ASSUM」(日本電子計算株式会社)を引用して、本願商標「Assam HelpDesk/アッサムヘルプデスク」は、この引用商標と同一又は類似であって、その商標に係る指定商品と同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当すると認定しております。
しかし、この認定は、「HelpDesk」が品質表示であって、自他商品識別力がない、ということを前提とする認定であり、その前提自体がおかしい以上、その様な認定に納得することはできません。上述したとおり、「HelpDesk」の文字自体は、コンピュータプログラムは勿論、その他の第9類に属する商品との関係にあって、その品質を普通に表示する用語ではありませんので、本願商標の「Assam」の文字のみを抽出して、引用商標「ASSUM」との類否を論じるような比較の仕方は、適当ではないと考えます。
本願商標は、先の意見書でも述べたように、「Assam HelpDesk」という商標として、左右に分断できない1つの造語商標であり、これら全体が一体となったところに造語商標としての意味があります。つまり、本願商標は、“コンピュータ用プログラムを含む電子応用機械器具及びその部品”(第9類)等の本願指定商品との関係にあって、単に「インドのアッサム州産」だとか、或いは単に「ヘルプディスクの運用管理に用いるコンピュータプログラムを記憶させた記録媒体」だとかの観念を生じさせるものではありません。その様な左右を分断する本願商標把握の仕方は誤りであります。常に一体不可分の商標と捉えるべきであります。
先の意見書でも述べましたが、本出願人は、「Assam」の文字を含む登録商標を以下のとおり所有しております。
A.「Assam Whois」(第4173443号、H10.7.31登録)、
B.「Assam Internet Applets」(第4209005号、H10.11.6登録)、
C.「Assam WebBench」(第4393720号、H12.6.23登録)、
D.「Assam WebGuard」(第4573808号、H14.5.31登録)。
本願商標の「Assam HelpDesk」は、この一連の「Assamシリーズ」に加えるべき一商標であって、同じ商品を指定し、使用するものである以上、取引者・需用者を同じくするものであります。その様な取引状況の中にあって、本願商標だけを今までの「Assamシリーズ」とは別の物であるなどと取引者・需用者が認識するはずはありません。同じ出願人が、同じ「Assam○○○」の商標を用いていて、何か今までの「Assamシリーズ」とは別の意味を持つ商標だなどと、誰が認識するでありましょうか。今までの上記A.B.C.Dの「Assam」シリーズと同一のコンセプトに基づく仲間の商標と認識するのが自然でありましょう。ましてや、「Assam」と「HelpDesk」とを分断して把握するような取引者・需用者はいないでありましょう。全体を一つの商標として捉え、片仮名文字で読みをあらわしたように、「アッサムヘルプデスク」と一連にのみ称呼するはずであります。そう称呼してこそ、「Assamシリーズ」の中の一シリーズものであるとの認識を持つことができます。単なる、「アッサム」や「ヘルプデスク」と称呼したのでは、何のことか分かりません。一連に「アッサムヘルプデスク」と称呼してこそ、本願商標は自他商品識別力を発揮し、商標としての価値を持ちます。その様な意味を持つ商標であるからこそ、今までのAssamシリーズと同一の取引者・需用者は、本願商標を一体不可分の商標と認識し、一連に称呼するものと思います。
したがって、本願商標「Assam HelpDesk/アッサムヘルプデスク」は、引用商標の「アッサム/ASSUM」と類似することはなく、商標法第4条第1項第11号に該当することはないと考えます。