特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。
本願商標:「Fruits Friends/フルーツフレンズ」× 引用商標1「フレンド」、2「Friend」
1.出願番号 商願2001-35673(審判)(不服2002-1528)
2.商 標 「Fruits Friends/フルーツフレンズ」
3.商品区分 第29類:加工果実,冷凍果実,果実入り乳製品,果汁入り乳製品
4.適用条文 商標法第4条第1項第11号
5.拒絶理由 「Fruits Friends/フルーツフレンズ」は「フレンド」」「Friend」に類似する。
審判における反論(請求の理由) 拒絶理由通知
【手続の経緯】
出 願 平成13年 4月17日
拒絶理由の通知 平成13年12月21日
同 発送日 平成13年12月26日
意 見 書 平成14年 1月 7日
拒 絶 査 定 平成14年 1月 8日
同 謄本送達 平成14年 1月10日
【拒絶査定の要点】
原査定は、「この商標登録出願は、平成13年12月21日付けで通知した理由によって、拒絶をすべきものと認めます。なお、出願人は意見書において種々述べていますが、本願商標は「Fruits Friends」「フルーツフレンズ」の文字を表してなるところ、構成中の「Fruits」「フルーツ」の文字部分が、指定商品との関係において、商品の品質、原材料を表示するものであり、「Fruits」と「Friends」、「フルーツ」と「フレンズ」を常に一体のものとして認識しなければならないとする理由はありませんから、自他商品の識別標識としての機能を有する部分である「Friends」「フレンズ」の文字に照応して、「フレンズ」の称呼をも生じます。これに対し、引用の各登録商標は「フレンド」の称呼を生じますから、本願、引用両商標は、「フレン」の音を共通にし、語尾において「ズ」の音と「ド」の音の差を有するとしても微差であり、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、聴感が相似る称呼上類似の商標といわざるを得ず、かつ、指定商品も類似のものを有しています。また、出願人は登録例をあげて、本願商標は登録されるべきであると述べていますが、これら登録例は本願とは事案が異なり参考にはなりません。したがって、さきの認定を覆すことはできません。」というものであり、従って、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、同法第15条の規定に基づき、拒絶をすべきものと認めるというものである。
引用商標1…登録第2564142号(H05.08.31登録)「フレンド」(31D01)
引用商標2…登録第4426206号(H12.10.20登録)「Friend」(32F04)
【本願商標が登録されるべき理由】
然るに、本出願人は、意見書において、本願商標はあくまでも一連一体の商標であって、引用商標とは類似しないことを主張したにもかかわらず、かかる認定をされたことに対しては納得できないところがあり、ここに再度ご審理を頂きたく、審判を請求する次第である。
(a)本願商標の構成
本願商標は、願書の商標登録を受けようとする商標に表示したとおり、欧文字と片仮名文字とで二段に「Fruits Friends/フルーツフレンズ」と書した態様からなり、指定商品を第29類「加工果実,冷凍果実,果実入り乳製品,果汁入り乳製品」(類似群:32F04,31D01)とするものである。そして、本願商標は「フルーツ。くだもの。」を意味する「Fruits/フルーツ」の文字と、「友だち。友。」を意味する「Friends/フレンズ」(複数形)の文字とを組み合わせて二段書きした態様であって、上段の欧文字は「Fruits」と「Friends」との間にやや間隔を開けた態様ではあるが、下段は片仮名で「フルーツフレンズ」と一連に書した態様である。
(b)引用商標の構成
これに対し、引用商標1は、片仮名文字で「フレンド」と書した態様からなり、昭和34年法第31類「食用油脂、乳製品」(31D01を含む)を指定商品とし、また引用商標2は、欧文字で「Friend」と書した態様からなり、第29類「加工野菜及び加工果実,冷凍果実,冷凍野菜,加工卵」(32F04を含む)を指定商品とするものである。
(c)審査官の認定に対する反論(本願商標と引用商標との対比)
(c-1)
審査官は、本願商標は「Fruits Friends」「フルーツフレンズ」の文字を表してなるところ、構成中の「Fruits」「フルーツ」の文字部分が、指定商品との関係において、商品の品質、原材料を表示するものであり、「Fruits」と「Friends」、「フルーツ」と「フレンズ」を常に一体のものとして認識しなければならないとする理由はないとしている。しかしながら、2つの語句を組み合わせて「Fruits Friends」と横書きし、その下段に片仮名で「フルーツフレンズ」と一連に書した本願商標のような構成態様の場合には、たとえ、本願商標中の「Fruits」「フルーツ」の文字が、指定商品第29類「加工果実,冷凍果実,果実入り乳製品,果汁入り乳製品」との関係にあって、その原材料名を表す文字であったとしても、本願商標はその「Fruits」「フルーツ」の文字のみから成るものではなく、あくまで「Friends」「フレンズ」の文字と結合した「Fruits Friends/フルーツフレンズ」の態様として把握されるものであり、「Friends」「フレンズ」の部分が単独で識別されるようなことはない。本願商標は、あくまで「Fruits Friends/フルーツフレンズ」で1つの商標であり、分断されて認識されるものではない。「Fruits」と「Friends」、「フルーツ」と「フレンズ」とは常に一体のものとして認識されるものである。然るに、これら引用商標1,2は、本願商標と指定商品が同一又は類似するものであることは認めるにしても、本願商標の「Fruits Friends/フルーツフレンズ」と両引用商標の単なる「フレンド」「Friend」とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても類似することのない非類似の商標であり、本願商標は決して商標法第4条第1項第11号に該当るものではないと思料する。
以下、その理由を詳細に述べる。
(c-2)
即ち、まず外観において、本願商標は前述のように欧文字と片仮名文字で二段に「Fruits Friends/フルーツフレンズ」と書してなるのに対し、引用商標は単に片仮名文字や欧文字で「フレンド」や「Friend」と書してなるものである。
それ故、二段構成で且つ「Fruits」「フルーツ」の文字を有する本願商標と、単に一段で横書きしただけの「フレンド」ないし「Friend」からなる引用商標1,2とでは、外観上明らかに相違し、両者類似することはない。
(c-3)
また、観念において、本願商標は前述の如く「フルーツ。くだもの。」を意味する「Fruits/フルーツ」の文字と、「友だち。友。」を意味する「Friends/フレンズ」(複数形)の文字とを組み合わせて二段に横書きしたものであり、従って、その態様より、全体として、「フルーツの友」の如き観念を生じさせるものである。つまり、2つの語句を組み合わせて上段に「Fruits Friends」と横書きし、下段に片仮名で「フルーツフレンズ」と一連に書した本願商標のような構成態様の場合には、たとえ、本願商標中の「Fruits」「フルーツ」の文字が、指定商品第29類「加工果実,冷凍果実,果実入り乳製品,果汁入り乳製品」との関係にあって、その原材料名を表す文字であったとしても、本願商標はその「Fruits」「フルーツ」の文字のみから成るものではなく、あくまで「Friends」「フレンズ」の文字と一緒になった「Fruits Friends/フルーツフレンズ」が全体として、上記した特定の観念(くだものの友)を生じさせるものであり、それ故、本願商標は「Friends」「フレンズ」の部分が単独で識別され且つ観念されるようなことはない。本願商標は、あくまでも「Fruits Friends/フルーツフレンズ」で1つの商標であり、分断されて認識されるものではない。欧文字の「Fruits」と「Friends」、及び片仮名文字の「フルーツ」と「フレンズ」とは常に一体のものとして認識されるものである。これに対し、両引用商標は、単に「フレンド」や「Friend」の文字からなるものであり、あくまでも「友」を意味する言葉でしかない。これでは、一体何の友なのか定かではなく、ましてや本願商標の前記「フルーツの友」の如き観念を生じさせるものではない。よって、本願商標と引用両商標とは、観念上も紛れることのない、非類似の商標である。
(c-4)
そこで、次に称呼の点につき検討する。
本願商標「Fruits Friends/フルーツフレンズ」は、前述の如く、
(a)前段と後段が軽重の差なくバランスよく配された態様であること、
(b)下段の片仮名文字は全体の読みを表すべく一連に書されていること、
(c)全体としてまとまった特定の意味合い「フルーツの友」を観念させるものであるから、全体を一つのまとまりとして認識し、称呼するのが自然であること、
更には、
(d)称呼上重要な位置を占める前段部分の「Fruits」「フルーツ」を省略して発音することは通常あり得ないと考えられること、
(e)全体として一連に称呼して語呂がよく称呼しやすいため、一連に称呼するのが自然であること、
等の理由から、本願商標は分断することなく常に全体を一体の商標と捉え、一連に「フルーツフレンズ」とのみ称呼されるものと思料する。
この点、審査官殿は、本願商標中の「Fruits/フルーツ」の部分は、指定商品との関係にあって要部を構成せず、従って「Friends/フレンズ」の部分のみに識別力を生じ、本願商標より単に「フレンズ」の称呼も生じるとして今般の拒絶理由通知を発したもののようであるが、その認定は如何にも短絡的である。過去の審査例を見ても、「Furuits」「フルーツ」の文字を要部の構成要素としている商標は数多く存在している。
(c-5)
例えば、御庁の電子図書館における商標出願・登録情報検索によって過去の商標登録例を検索してみると、本願商標の指定商品と同じ類似群である「32F04」の商品分野において、「FRUIT」「フルーツ」の文字を含む商標「FRUIT+○○○」「フルーツ+○○○」と、含まない商標「○○○」とは、下記の如く、多数並存しているのが分かる。
A.登録1665849「FRUIT GAL\フルーツ ギャル」(サンヨー缶詰)(第1号証)と、登録2345072「ギャル」(明星食品)(第2号証)。
B.登録1738027「FRUITS LAND\フルーツランド」(味の素ゼネラル)(第3号証)と、登録4044832「ランド」(日清製粉グループ本社)(第4号証)。
C.登録2176794「物語」(朝くら)(第5号証)と、登録2427846「FruitStory\果実物語」(百瀬孝夫)(第6号証)。
D.登録2578587「CARNIVAL\カーニバル」(明治製菓)(第7号証)と、登録4449272「フルーツカーニバル\果物カーニバル」(キューピー)(第8号証)。
E.登録2723697「サン」(石橋工業)(第9号証)と、登録4492971「フルーツサン\FRUTSUSAN」(扶桑化学工業)(第10号証)。
F.登録3348351「メール/MAIL」(森永製菓)(第11号証)と、登録4441487「フルーツメール」(サンヨー堂)(第12号証)。
G.登録3352888「SHOWER\シャワー」(森下仁丹)(第13号証)と、登録4371977「FRUIT SHOWER\フルーツ シャワー」(第14号証)(キッコーマン)。
また、同じく本願商標の指定商品と同じ類似群である「31D01」の商品分野において、「FRUIT」「フルーツ」の文字を含む商標「FRUIT+△△△」「フルーツ+△△△」と、含まない商標「△△△」とは、下記の如く、多数並存しているのが分かる。
H. 登録1487032「パスポート」(鐘淵化学工業)(第15号証)と、登録2334873「フルーツパスポート」(森永乳業)(第16号証)。
I. 登録1701326「メイト」(共同乳業)(第17号証)と、登録2637975「フルーツメイト」(大日本製糖) (第18号証)。
J. 登録1859789「キッス」(明治乳業)(第19号証)と、登録3369173「フルーツキッス」(森永乳業)(第20号証)。
K. 登録1959467「ジョイ」(日新化工)(第21号証)と、登録2608494「ジョイ\フルーツJOY」(興真乳業)(第22号証)。
L. 登録2213450「RESORT\リゾート」(ヤマハ)(第23号証) と、登録2334874「フルーツリゾート」(森永乳業) (第24号証)。
M. 登録2691987「ファーム\FARM」(森永乳業)(第25号証)と、登録3096206「FRUITFERM\フルーツファーム」(高砂香料工業)(第26証)。
これらのことから言えることは、これら各商標の審査において、担当審査官は、「FRUIT」や「フルーツ」の文字部分にも商標の要部としての地位を認めて審査しているということである。具体的に言えば、これら「FRUIT+○○○」「フルーツ+○○○」や「FRUIT+△△△」「フルーツ+△△△」の商標を、常に一体不可分の商標として取り扱い、全体として要部認定しているということである。つまり、担当審査官が、仮に「FRUIT+○○○」「フルーツ+○○○」や「FRUIT+△△△」「フルーツ+△△△」の商標のうち、前段の「FRUIT」「フルーツ」の文字部分を識別性のない部分であると判断し、後段の文字部分○○○や△△△にこそ商標の識別性(要部)がある、などと判断して審査していたならば、これら並存登録商標のうち、後願に係る商標(第2,4,6,8,10,12,14,16,18,20,22,24,26号証)は、それぞれに対応する先願登録商標(第1,3,5,7,9,11,13,15,17,19,21,23,25号証)の存在によって、全て拒絶されていたはずである。
然るに、拒絶されることなく登録されているということは、「FRUIT」「フルーツ」の文字にも商標としての識別性(商標の要部)要素を十分に認め、あくまでもこの「FRUIT」「フルーツ」の文字を含めた商標全体として一体不可分の1つの商標を構成する(そしてその場合には全体として商標の要部を構成する)と判断し、審査したからに他ならない。
審査官は、拒絶査定の中で「これらの登録例は、本願とは事案が異なり、参考にならない」と認定しているが、同じ類似商品群を指定商品とし、構成中に「フルーツ」「FRUIT」の文字を含む商標の登録例が、本願商標を審査する上で全く参考にならない訳がない。その様なことを言ったのでは、何のための商標審査か分からない。今までの審査実務に束縛されることはないにしても、それなりの理由があってこれら多くの登録並存例が存在するのであるから、この事実を全く参考にならないとして無視するのはどうかと思う。全く考慮することはないとしたら、それは商標の審査を自ら否定するに等しい。この商品分野において、「Fruits」「フルーツ」の文字も自他商品識別力認定の基礎になっていることを十分肝に銘ずるべきである。
そして、本願商標と引用商標1,2の関係も、これら数多くの並存登録商標同士の関係と軌を一にするものであって、本願商標の「Friends」「フレンズ」の部分のみをとらえて、称呼され、観念されるようなことはないはずである。
(c-6)
さらに又、類似群32F04(加工果実,冷凍果実)の商品分野において、以下のような商標が存在する。
1. 登録0992264「ワインフレンド」(国分)(第27号証)、
2. 登録0992265「ウイスキーフレンド」(国分)(第28号証)、
3. 登録2433467「ミルクフレンド」(カルビー)(第29号証)、
4. 登録2504964「ツナフレンド」(アスカフーズ)(第30号証)、
5. 登録2619970「パンフレンド」(ヱスビー食品)(第31号証)、
6. 登録3234741「パスタフレンズ」(中島薫商店)(第32号証)。
これらの商標は、それぞれ、前半の「ワイン」「ウイスキー」「ミルク」「ツナ」「パン」「パスタ」と後半の「フレンド」の組み合わせ商標であることが容易に理解できるが、今回の審査官のような見方をすれば、前半の「ワイン」「ウイスキー」「ミルク」「ツナ」「パン」「パスタ」の文字は、指定商品との関係にあって、その原材料ないしは加工方法等を表すと言うことになるであろう(例えば、ワインやウイスキー付けの加工食料品、ミルク入りの加工食料品、パスタの如く)。つまり、審査官のような見方をすれば、これらの商標は、前半の「ワイン」「ウイスキー」「ミルク」「ツナ」「パン」「パスタ」の文字に識別力はなく、従って商標の要部は後半の「フレンド」にあり、単に「フレンド」の称呼を生ずると言うことになる。もし、そうだとすれば、今回の引用商標2の「Friend」は、これらの商標と類似と言うことになり、そもそも登録適格性がなかったことになる。また、これらの商標同士の並存も疑問と言うことになる。しかし、現実には、引用商標2は登録第4426206号として平成12年10月20日に登録されているし、これら第27~32号証の商標も並存登録されている。
また、類似群31D01(乳製品)の商品分野においても、以下のような商標が存在する。
7.登録1081927「TEAFRIEND」(キョウブ商事)(第33号証)、
8.登録1098262「COFFEEFRIEND」(同上)(第34号証)、
9.登録1139107「モカフレンド」(ミヨシ油脂)(第35号証)。
これらの商標も、それぞれ、前半の「TEA」「COFFEE」「モカ」と後半の「FRIEND」「フレンド」の組み合わせ商標であることが容易に理解できるが、今回の審査官のような見方をすれば、前半の「TEA」「COFFEE」「モカ」の文字は、指定商品との関係にあって、その原材料を表すと言うことになるであろう(それぞれ、茶入りの乳製品、コーヒー入りの乳製品、モカ入りの乳製品等を表す)。つまり、審査官のような見方をすれば、これらの商標は、前半の「TEA」「COFFEE」「モカ」の文字に識別力はなく、従って商標の要部は後半の「FRIEND」「フレンド」にあり、単に「フレンド」の称呼を生ずると言うことになる。もし、そうだとすれば、今回の引用商標1の「フレンド」は、そもそも登録適格性がなかったことになる。また、これらの商標同士の並存も疑問と言うことになる。しかし、現実には、引用商標1は登録第2564142号として平成5年8月31日に登録されているし、これら第33~35号証の商標も並存登録されている。然るに、これら引用商標1,2が拒絶されることなく登録されているということは、この引用商標1や2の先願に係る前記第27~35号証の商標を一体不可分の商標と判断したからに他ならない。また、第27~35号証同士も別法人により互いに登録されていると言うことは、やはりこれら各商標を一体不可分の商標と判断したからに他ならない。本願商標も前段部分に原料表示的な文字を有するが、これら第27~35号証の商標と同様に一体不可分の商標と判断できるものである。以上の次第であるので、本願商標は、あくまでも、片仮名で読みを振ったように「フルーツフレンズ」とのみ一連に称呼されるべきものであり、引用商標の称呼である単なる「フレンド」とは、類似することはない。
【むすび】
このように、本願商標は、全体としてまとまった特定の意味合い「フルーツの友」を観念させるものであるから、あくまでも全体を一つのまとまりとして認識し、称呼・観念されるとみるのが自然である。たとえ前段が指定商品との関係で原材料名を表すような意味合いがあったとしても、一つのまとまった意味合いを観念させる商標を分断して、「Friends」「フレンズ」の部分のみを要部と捉えるような見方はあり得ないはずである。このことは、過去の多くの審査例からも明らかである。以上の次第でありますので、本願商標と引用商標1,2とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、紛れることのない非類似の商標であると思料します。よって、本願商標は充分に登録適格性を備えたものであり、「原査定を取り消す、本願の商標は登録をすべきものである」との審決を求める次第であります。
(参考)ケース51の「審決」
【 当審の判断 】不服2002-1528
商願2001-35673拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。
結 論 原査定を取り消す。本願商標は、登録すべきものとする。
理 由
1 本願商標
本願商標は、「Fruits Friends」の欧文字と「フルーツフレンズ」の片仮名文字を上下二段に書してなり、第29類「加工果実,冷凍果実,果実入り乳製品,果汁入り乳製品」を指定商品として、平成13年4月17日に登録出願されたものである。
2 引用商標
原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第2564142号商標(以下「引用A商標」という。)は、「フレンド」の片仮名文字を横書きしてなり、平成2年8月24日に登録出願、第31類「食用油脂、乳製品」を指定商品として、同5年8月31日に設定登録されたものであるが、その後、同15年5月6日に商標権存続期間の更新登録がなされ、同15年5月21日に第29類「食用油脂,乳製品」とする指定商品の書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。同じく、登録第4426206号商標(以下「引用B商標」という。)は、「Friend」の欧文字を標準文字で書してなり、平成11年9月24日に登録出願、第29類「加工野菜及び加工果実,冷凍果実,冷凍野菜,加工卵」を指定商品として、同12年10月20日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
3 当審の判断
本願商標は、上記のとおり、「Fruits Friends」の欧文字と「フルーツフレンズ」の片仮名文字を上下二段に書してなるものであると
ころ、上段の文字の中央部に若干の間隔が設けられているとしても、構成各文字は外観上まとまりよく一体に表現されていて、しかも、全体より生ずる「フルーツフレンズ」の称呼も、よどみなく一連に称呼できるものである。そして、たとえ、構成中の「Fruits」(フルーツ)の文字が、「くだもの」を意味する語であるとしても、かかる構成においては特定の商品又は商品の品質、原材料を具体的に表示するものとして直ちに理解できるものともいい難いものであり、また、「Fruits」(フルーツ)と「Friends」(フレンズ)の両語の間に観念上の軽重の差があるものともいい難く、むしろ構成全体をもって一体不可分のものと認識し把握されるとみるのが自然である。 そうすると、本願商標は、その構成文字全体に相応して、「フルーツフレンズ」の称呼のみを生ずるものと判断するのが相当である。したがって、本願商標より、「フレンズ」の称呼をも生ずるとし、そのうえで、本願商標と引用各商標とが称呼上類似するものとして、本願商標を商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は妥当ではなく、取消しを免れない。その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。よって、結論のとおり審決する。
平成15年 9月11日
審判長 特許庁審判官 野本 登美男
特許庁審判官 井岡 賢一
特許庁審判官 和田 恵美