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— European Union Intellectual Property Office (@EU_IPO) August 27, 2018
特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。
1.出願番号 商願2009-47112
2.商 標 「サムライン」
3.商品区分 第9類
4.適用条文 商標法第4条第1項第11号
5.拒絶理由 登録第716760号、第728196号ほかの商標と類似する。
【意見の内容】
(1)拒絶理由通知書において、本願商標は、下記1~3の登録商標と同一又は類似であって、その商標登録に係る指定商品と同一又は類似の商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当すると認定されました。
記
引用商標1 登録第0716760号(商公昭41-007684)9類ほか SUNLINE
引用商標2 登録第0728196号(商公平41-023621)9類ほか サンライン
引用商標3 登録第1431231号(商公昭54-047007)S34年法第11類 サンラインスーパー
しかしながら、本出願人は、本願商標と引用各商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても紛れることのない非類似の商標であると考えますので、前記認定には承服できず、以下に意見を申し述べます。
(2)本願商標は、願書の商標見本から明らかなように、片仮名で「サムライン」と一連に書してなるものであり、第9類「電子計算機用プログラム,その他の電子応用機械器具及びその部品」などを指定商品とするものであります。
これに対し、引用商標1~3はいずれも日立ライティング株式会社の所有に係るもので、引用商標1は欧文字で「SUNLINE」と書してなり、引用商標2は片仮名で「サンライン」と書してなり、また、引用商標3は片仮名で「サンラインスーパー」と書してなるものであり、共に本願とは共通の類似群11C01「電子計算機用プログラム,その他の電子応用機械器具及びその部品」ほかを指定商品とする登録商標であります。
したがって、本願商標「サムライン」と、引用各商標の「SUNLINE」、「サンライン」、「サンラインスーパー」とは、外観上異なり、同一又は類似することはありません。
(3)また、本願商標の「サムライン」と引用商標の「サンライン」は、共に特定の観念を生じさせない造語であり、観念上比較すべくもないと思料しますが、敢えて意味合いを探れば、前者が「someline」に通じて「幾つかのライン(線、筋)」を観念させ、後者が「sunline」に通じて「太陽の(光の)ライン」などを観念させるものでありますから、両者は観念上も同一又は類似することはありません。
(4)そこで、称呼の点につき検討しますに、本願商標は、片仮名で「サムライン」と書した態様より、唯一「サムライン」の称呼を生じるものでありますが、引用各商標は、その態様より、いずれも「サンライン」の称呼を生じるものであります。
したがって、本願商標と引用商標とは、称呼上比較的重要な位置を占める第2音目において、比較的強く発声される「ム」と、第1音目の「サ」に吸収されて弱く発声される「ン」の差異を有するものであります。
しかして、その差異音である「ム」は、「mu」と表記して明らかなように母音「u」を有し、口をすぼめて息を吐き出すように発声する音であるのに対し、「ン」は、「n」と表記して明らかなように、母音を伴わず口をつぐんで発声する音でありますから、その発声方法を異にする異質の音といえるものであります。
そして、そのアクセントも、本願商標が一音一音明瞭に発音されて強弱の別なく「サ・ム・ラ・イ・ン」と称呼される傾向にあるのに対し、引用商標は2音目の「ン」の存在により、「サ」と「ラ」の音が引き立ち、前後を2音節に区切って「サン・ライン」と称呼される傾向にあるとともに、「サ」の音及び「ラ」の音(特に「サ」の音)が強く発音される傾向にあります。
したがって、両者は、語感・語調を全く異にする異質の商標であって、十分に聴別し得るものと思料します。しかも、これら両者は一連に称呼しやすい5音という比較的短い音構成からなるものであり、そのため上記差異が全体に及ぼす影響は大きく、称呼上決して紛れることのない非類似の商標と思料します。
そして何よりも後者の各引用商標は、「サン(sun)」の明るい響きと太陽のイメージが強烈であり、比較的おとなしく発声する本願商標の「サムライン」に比べ、明らかに異なった印象を与え、無理なく聴別できるものであります。
特に、本願商標第1音節の「サム」(「some」に通じ、「いくらかの」等の意味を有する形容詞として馴染まれており、また、「男子の愛称(Sam)」としても日本人に馴染まれています)と引用商標第1音節の「サン」(「sun」「太陽」を直感させる言葉として日本人に馴染まれています)では、観念的にも明瞭な違いが出ることでもあり、日本人にとって慣れ親しんでいる「サム」という言葉と「サン」という言葉をそれぞれ第1音節に有する商標同士を区別できない訳がありません。繰り返しますが、普段から慣れ親しんでいる言葉だけに、「サム(some)(Sam)」と「サン(sun)」を、日本の取引者・需要者が称呼的に混同するはずはありません。
以上より、両者は、称呼上も紛れることのない非類似の商標であると思料します。
(5)以上の次第ですので、本願商標と引用各商標とは、外観および観念上類似しないことは勿論、称呼上も、比較的おとなしい印象を持つ本願商標と、サン=太陽のイメージが強調されて明るい印象を持たれる引用商標とでは、語感語調を異にし、聴者をして明らかに区別し得る非類似の商標であると考えます。
特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。
1.出願番号 商願2008-62705
2.商 標 「ラカントールゼロ」
3.商品区分 第30類
4.適用条文 商標法第4条第1項第11号
5.拒絶理由 商願2006-23988と類似する。
【意見の内容】
(1) 拒絶理由通知書において、本願商標「ラカントールゼロ」は、商願2006-23988「ラカントール」(第30類 調味料、沖縄県糸満市字塩平804番地 株式会社ビレモ沖縄)の商標(以下「引用商標」という)と同一又は類似であって、その商標に係る指定商品(指定役務)と同一又は類似の商品(役務)について使用するものであるから、これが登録されたときには、商標法第4条第1項第11号に該当することになるとのご指摘を受けましたが、本出願人は、これに対し、意見を申し述べます。
(2) 引用商標を見ると、商標が「ラカントール」で、指定商品が第30類の調味料ですので、本願商標との関係においては、成る程、商標・商品ともに類似の範囲に属し、引用商標が登録された場合には、本願商標の登録は難しいであろうことは、容易に理解できます。
しかしながら、引用商標は、先願の地位を有する状態にあるとはいえ、この出願は既に1年以上も前の平成18年11月1日に登録査定がなされながら(同年11月11日に発送)、未だに商標登録料の納付がなされていない出願であり、本来であればとっくに出願却下処分が下されていてよい出願です。
この引用商標については、もちろん小田審査官に責任があるわけではありませんが、この引用商標が先願の地位を有する状態となっているのは、御庁がいつまでもこの出願について却下処分を出さずに放置しているからであり、不作為の怠慢に起因するものであります。それ故、早々に引用商標の処分を確定していただいて、本願商標を速やかに登録査定いただくよう、強く要望いたします。
(3) 法律上は「登録査定の謄本の送達から30日以内に商標登録料を納付しなければならない」となっておりますが(商標法第41条1項)、一方で、出願人の請求により30日間は延長できることになっております(商標法第41条2項)。また、実務上は、登録査定の謄本の送達から30日を経過しても、職権により、さらに2ヵ月ほど納付の猶予を認めております。そして、このような猶予の期間が経過した後は、納付の催促をし、それでも納付しなければ、納付の意思無しとみて、その案件を直ちに「出願却下処分」にしてしまうのが通例であります。そして、このような取扱いの下においては、登録料の納付がない場合、登録査定から5ヵ月ほどで、出願却下処分がなされております。
然るに、登録査定から1年以上も経つのに、この引用商標には未だに出願却下処分がなされておらず、これは、法律を誠実に執行すべき行政(特許庁)の怠慢ではないかと思います。法律上は、あくまでも、「登録査定の謄本の送達から30日以内に商標登録料を納付しなければならない」(商標法第41条1項)と規定されておりますので、登録査定から1年以上も経つ引用商標について、登録料未納にも拘わらず、いまだに出願却下処分がなされていないというのは、怠慢以外の何者でもないように思います。登録料未納の引用商標については早々に出願却下されるべきであり、そうでなければ、後願に係る出願人の権利を不当に制限することになり、また、国民の商標選択の余地を不当に狭めることになり、公平性の観点からも許されるべきものではありません。職権で延長するにしても、1年以上も延長というのは行き過ぎであり、そのような出願に基づいて本願商標を拒絶しようとするのは、著しく不条理であり、納得できません。
何よりも、登録査定謄本発送後1年以上に亘る放置は、「登録査定の謄本送達後30日以内に登録料を納付しなければならない」とした法律の趣旨をないがしろにするものであり、許されるものではないと考えます。
(4) 以上の次第でありますので、本願商標は、引用商標を出願却下処分にした後、速やかに登録査定されるべきものであります。
特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。
1.出願番号 商願2008-40308
2.商 標 「プロジーヌ/prosine」
3.商品区分 第29類、第30類
4.適用条文 商標法第4条第1項第11号
5.拒絶理由 登録第4222606号ほかの商標と類似する。
(1) 拒絶理由通知書において、審査官殿は、「本願商標は、1.登録第4222606号(商願平 9-029469)、2.登録第4509129号(商願2000-120253)の登録商標と同一又は類似であって、その商標に係る指定商品と同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。」と認定されました。
しかしながら、本出願人は、本願商標と引用商標1,2とは、外観,称呼および観念のいずれにおいても類似せず、取引者・需用者をして出所の混同を起こさせることはないと思料しますので、斯かる認定には承服できず、以下に意見を申し述べます。
(2) 本願商標は、願書の商標見本から明らかなように、「プロジーヌ」の片仮名文字と図形を絡めた「prosine」の英文字とを上下二段に配置し「プロジーヌ/prosine」と書してなるものでありますが、引用商標1は「プリゼーヌ」の片仮名文字からなり、また、引用商標2は英文字と片仮名文字で「Plaisir/プレジール」と二段書きしてなるものであり、それぞれ格別の意味を持たない造語商標であります。したがって、本願商標と引用商標1,2とは、外観上類似しないことは明らかであるとともに、観念上も類似することはありません。
(3) そこで、以下、称呼の点につき検討します。
本願商標は、「プロジーヌ/prosine」と書した態様より、「プロジーヌ」の称呼を生じるものであります。
これに対し、引用商標1は「プリゼーヌ」と書した態様より「プリゼーヌ」の称呼を生じ、引用商標2は「Plaisir/プレジール」と書した態様より「プレジール」の称呼を生じるものと思料します。
(3-1) そこで、まず本願商標の称呼「プロジーヌ」と引用商標1の称呼「プリゼーヌ」を比較するに、両者は第2音部分において「ロ」と「リ」、第3音部分において「ジ」と「ゼ」の差異を有します。つまり、共に「ラ行」(2音目)と「サ行」(3音目)に属する音ではありますが、それぞれ「ロジ」と「リゼ」の二文字の違いがあり、特に第3音目の「ジ」と「ゼ」は長音(ー)を伴って、比較的強く発声される音であり、全体が僅か4音という短い音構成の中にあって、この「ロジ」と「リゼ」の2音の違いは称呼全体に及ぼす影響が非常に大きく、両者は称呼上明確に区別し得る商標であると考えます。
(3-2) また、本願商標の称呼「プロジーヌ」と引用商標2の称呼「プレジール」を比較するに、両者は第2音部分において「ロ」と「レ」、第4音部分において「ヌ」と「ル」の差異を有します。
然るに、両商標は共に僅か4音という比較的短い音構成からなるもので、そのうちの半分である2音が相違し(「ロ」と「レ」、「ヌ」と「ル」)、しかも、2音目の「ロ」と「レ」は、子音「r」を共通にするラ行に属する音ではありますが、その母音「オ(o)」と母音「エ(e)」は比較的遠い音でありますので、この「ロ」と「レ」は識別しやすい音ということができます。また、4音目の「ヌ」と「ル」は母音が共に「ウ(u)」であり且つ語尾音ではありますが、長音のすぐ後に位置して比較的明瞭に強く発声される音であり、しかも「ヌ」は有声の通鼻音、「ル」は有声の弾音であって響きの強い音として聴取されるという差異があります。
然るに、「ロ」と「レ」、「ヌ」と「ル」が聴別できないほど日本人の聴覚が劣っているとは思えず、本願商標と引用商標2とは、「ロ」「レ」の違いと相俟って、この「ヌ」と「ル」の違いによっても、比較的短い4音構成という商標においては全体の称呼に及ぼす影響が大きく、この2音の違いによって語感語調が全く異なったものになるものと思料します。つまり、4音構成からなる商標にあって、その半分にあたる上記2音が異なるということは非常に大きな意味を持つものであって、その2音の違いによって称呼上十分に識別できるものと思料します。
(3-3) 殊に、昨今のように、食品の産地偽装、製造日偽装、食品への薬品混入、違法添加物使用等が話題となり、マスコミ等にも大々的に取り上げられ、食料・食品の問題が国民的な関心事となっている状況下においては、飲食物を取引・購買するときの取引者・需要者の注意力は相当に高まってきているとみることができ、取引者・需要者は深い観察力のもとに食品の取引行動を行っていると思われます。また、昨今では健康志向の高まりから、飲食品の購入に際しては原材料やその産地、成分や保存料の有無等に至るまで大きな関心を寄せ、購入に当たっては注意深く表示を観察するようになってきております。
然るに、そのような飲食物の取引者・需要者層は、その出所等をあらわす商標にも深い注意を払っているはずであり、豊富な商品、豊富なネーミングを日頃から見慣れている日本国民にとっては、購買する飲食品に付された本願商標「プロジーヌ/prosine」と引用商標1「プリゼーヌ」を誤認するとか、あるいは引用商標2「Plaisir/プレジール」と誤認するとかするはずもなく、更には、その称呼である「プロジーヌ」と「プリゼーヌ」、あるいは「プロジーヌ」と「プレジール」を聞き間違えるということもないと考えます。
4音構成の商標における2音の相違は全体の半分の相違であり、全体の称呼に及ぼす影響は大きく、両者を識別するに十分なものが有ると考えます。現今のように、食品の購買時に注意深い観察を行う時代においては、尚更のことであります。
以上のように、本願商標と引用商標1,2とは、称呼上も十分に識別できるもので、類似することはないと考えます。
(4) ところで、本願及び引用商標1,2と同一又は類似の商品分野において、過去の商標登録例をながめてみると、全体が4音構成で引用商標と似たようなニュアンスの商標として、A.登録1665939「プリデール」(昭和59年3月22日登録、和光堂)、B.登録4370308「プリテール」(平成12年3月24日登録、出光興産)などの登録例があります。
これらA,B同士は第3音目に濁音「デ」と清音「テ」の一音相違のみですが、互いに登録されており、非類似の扱いとなっています。
また、このAの「プリデール」が存在していても、2音相違する引用商標1の「プリゼーヌ」や引用商標2の「プレジール」が登録されております。
そうであるならば、2音相違する本願商標の「プロジーヌ」とて、引用商標1「プリゼーヌ」や、引用商標2「プレジール」の存在に拘わらず登録されて然るべきものと考えます。
(5) 以上のように、本願商標「プロジーヌ/prosine」と引用商標1「プリゼーヌ」や引用商標2「Plaisir/プレジール」とは、外観が全く異なっていて外観上類似しないことは勿論、互いに意味を持たない造語商標であって観念類似しないことは明かであり、称呼上も、4音という短い音構成にあって、それぞれ上記したような2音の違いがあることから、両者は語感語調を全く異にし、聴者をして明らかに区別し得るものと思料します。
よって、本願商標と、引用商標1,2とは非類似の商標であり、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものではないと考えますので、再度ご審査の上、本願を登録査定下さるようお願い申し上げます。
特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。
1.出願番号 商願2007-58362
2.商 標 「FX-DUO」
3.商品区分 第9類:電子計算機用プログラムほか
4.適用条文 商標法第4条第1項第11号
5.拒絶理由 登録第1193573号の11外の「デュオ/DUO」と類似する。
(1) 拒絶理由通知書において、本願商標は、以下の引用商標1~4と同一又は類似するものであって、その商標に係る指定商品と同一又は類似の商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号の規定に該当すると認定された。
引用商標1:登録第1193573号の11(商公昭50-039932)「デュオ/DUO」
(第20,22,25,28類、昭和51年4月5日登録、旭化成せんい株式会社)
引用商標2:登録第1661199号(商公昭58-039889)「デュオ/DUO」
(第16類、昭和59年2月23日登録、(株)アイシーピー)
引用商標3:登録第4163263号(商願平 8-130616)「デュオ/DUO」
(第9類、平成10年7月3日登録、キャノン株式会社)
引用商標4:登録第4243725号(商願平 9-143533)「デュオ/DUO」
(第9類、平成11年2月26日登録、キャノン株式会社)
しかしながら、本出願人は、本願商標と引用各商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても紛れることのない非類似の商標であると考えますので、前記認定には承服できず、以下に意見を申し述べます。
(2) 本願商標は、願書の商標見本から明らかなように、欧文字「FX」と「DUO」の間にハイフン「-」を介して一連に「FX-DUO」と横書きした態様からなるものでありますが、引用商標1~4はいずれも片仮名文字と欧文字で二段に「デュオ/DUO」と書した態様からなるものであります。
したがって、本願商標と引用商標1~4は、外観上類似しないこと明らかであります。
(3) また、本願商標の「FX-DUO」は、欧文字の「FX」と「DUO」をハイフン「-」を介して連結したもので、英和辞典や国語辞典などによれば、「「FX」は 、[名]《映・テレビ》エフエックス:特殊効果(special effects). [effectsの略語風つづり]とか、航空自衛隊の次期主力戦闘機。」とかの意味を有し、また、「DUO」は「二重奏」「二重奏曲」等の意味を有するものでありますので、本願商標は全体として「エフエックス二重奏(曲)」「特殊効果二重奏(曲)」の如き観念を生じさせるものであります。
これに対し、引用商標1~4はその態様より、単に「二重奏(曲)」の観念を生じさせるもので、どのような「二重奏(曲)」なのか判然としないものであります。
したがって、本願商標と引用商標1~4とは、観念上も紛れることのない非類似の商標であります。
(4) そこで、次に、称呼の点につき検討します。
本願商標の「FX-DUO」は、前述したように、欧文字の「FX」と「DUO」との間にハイフン「-」を介した態様ではありますが、全体が同書・同大で一連一体に書されており、しかも、全体として、例えば「エフエックス二重奏(曲)」「特殊効果二重奏(曲)」という一つのまとまった意味合いを生じさせるものであります。そのため、本願商標は全体を一連に称呼するのが自然であり、取引者・需用者は、常に「エフエックスデュオ」とのみ称呼するものと思料します。
この点に関し、審査官殿は、本願商標の要部は「DUO」の部分にあり、単に「デュオ」と称呼される場合もあると判断して、上記の「デュオ/DUO」の文字からなる引用商標1~4を引用したのだと思料しますが、これは誤った見方であると考えます。
成る程、本願商標は、a)欧文字二字の「FX」と「DUO」からなり、且つ、b)前半の「FX」は、通常は単独で商標の要部とはなり得ない欧文字二字(記号・符号の類)であることは事実でありましょう。しかし、だからといって、本願商標の要部が後半部の「DUO」のみにあるとみるのは、短絡的にすぎます。
本願商標は、あくまでも、「FX」と「DUO」とをハイフン(-)で連結して外観上まとまりよく一体とした商標「FX-DUO」であって、単なる「FX(エフエックス)」でもなければ、単なる「DUO(デュオ)」でもありません。 本願商標において両者間にハイフン(-)を介したのは、これら「FX」と「DUO」を分断するためではなく、むしろ結合して一体化するためのものであります。
本願商標は、全体を一体に把握してこそ、「エフエックス二重奏(曲)」とか、「特殊効果二重奏(曲)」とかのまとまった意味合いを生じさせるのであって、全体として一つの固有名詞的な意味合いを観念させるものであります。全体として一つの意味合いを観念できるときに、わざわざ前後分断して、一方を捉えて称呼・観念するようなことを、通常の取引者・需要者が行うはずはありません。
しかも、本願商標は、全体としてさほど冗長な商標ではなく、一気に「エフエックスデュオ」とよどみなく称呼できます。また、全体として語呂がよく、称呼しやすい商標であります。それ故、前後を分断して、例えば、後半の「DUO」のみを称呼するようなことは通常あり得ません。
本願商標は、一連に称呼してこそ一つのまとまった意味合いを生じさせる商標であって、取引者・需要者が、本願商標を捉えて、あえて「デュオ」と称呼したり、単に「エフエックス」と称呼するようなことはあり得ません。ハイフンを介して結合した本願商標をわざわざ分断して称呼するのは不自然であります。また、分断したのでは本願商標独特の固有名詞的な意味合いを把握できませんし、本願商標としての自他商品識別力を正確に発揮することはできません。
一つの固有名詞的な意味合いを生じさせる本願商標は、全体として一つの自他商品識別機能を発揮するものであり、全体が冗長であり一気に称呼し難いとか、一気に称呼したのでは語呂が悪いとか、一部の文字が特に目を引く態様となっているとかの格別な事情がない限り、前後分断することなく一連に称呼するのが自然であります。
よって、本願商標は全体をよどみなく「エフエックスデュオ」とのみ称呼すべきものであり、これに対して引用商標1~4は、それぞれ、単に「デュオ」と称呼されるものでありますので、両者は、「エフエックス」の称呼の有無の違いにより、称呼上も決して紛れることのない商標であると考えます。
(5) ところで、過去の商標登録例を見ると、本願と同一又は類似の指定商品分野(昭和34年法第11類及び国際分類第9類)において、「DUO」の文字を後半部に含む商標として、例えば、以下のような登録商標が発見できます。
A.登録2162011「BY DUO」
(第11類、平成1年8月31日登録、デイエックス貿易株式会社)
B.登録4599884「ディー・ブイ・デュオ/D-V DUO」
(第9類、平成14年8月30日、船井電機株式会社)
C.登録4793117「ISB-Duo」
(第9類、平成16年8月6日、三洋電機株式会社)
このうち、特に、本願商標とハイフンの有無を除けば似たような態様(「欧文字2字」と「DUO」からなる構成態様)からなるAの登録第2162011号「BY DUO」などは、類似群11C01を指定商品に含むものでありますが、これよりもあとの出願及び登録に係る引用商標3,4の「デュオ/DUO」などは、これと類似とは判断されず、商標登録がなされております。
これら「BY DUO」と「デュオ/DUO」とが非類似であるならば、本願商標の「FX-DUO」と「デュオ/DUO」(引用商標1~4)も互いに非類似なはずであります。
(6) 以上述べたように、本願商標は、引用商標1~4と、外観、称呼及び観念のいずれにおいても紛れることのない非類似の商標であります。
よって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に該当するものではなく、登録適格なものと考えます。
特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。
1.出願番号 商願2006-23915(不服2007-2812)
2.商 標 「グランドロースト/GRAND ROAST」
3.商品区分 第30類 茶,コーヒー及びココア
4.適用条文 商標法第3条第1項第3号
5.拒絶理由 本願商標は、「グランドロースト」「GRAND ROAST」の文字を上下二段に書してなるところ、その構成中「GRAND」「グランド」の文字は、「見事な,一流の」ほどの意味を表す英語とその表音であると認められ、また、「ROAST」「ロースト」の文字は、「コーヒー豆などを煎ること」の意味を表す英語及びその表音で有ると認められるので、これを本願指定商品に使用しても、全体として「見事に煎られた商品」ほどを認識させるにすぎず、商品の品質の誇称表示と認められる。
【手続の経緯】
出 願 平成18年 3月16日
拒絶理由の通知 平成18年10月20日
同 発送日 平成18年10月24日
意 見 書 平成18年11月15日
拒 絶 査 定 平成19年 1月11日
同 謄本送達 平成19年 1月15日
【拒絶査定の要点】
拒絶査定の理由は、『この商標登録出願は、平成18年10月20日付けで通知した理由によって、拒絶をすべきものと認めます。なお、出願人は意見書において、本願商標は、特定の意味合いを持たない一種の造語であり、品質の誇称表示として取り扱われている事実もない旨主張しています。しかしながら、本願商標は「グランドロ-スト」「GRANDROAST」の文字を上下2段に書してなるところ、その構成中「GRAND」「グランド」の文字は「見事な」ほどの意味合いを表す英語とその表音であり、品質等を誇称して表す際に一般的に使用されているものとして認められます。また、「ROAST」「ロースト」の文字は、「コーヒー豆などを煎ること」の意味を表す英語とその表音であると認められますので、これを本願指定商品に使用しても、全体としても「見事に煎られた商品」であるほどを認識させるにすぎないとみるのが相当です。したがって、さきの認定を覆すことはできません。なお、出願人は過去の登録例を挙げて本願商標は登録されるべきである旨主張していますが、いずれも本件と事案を異にしますので、その主張は採用できません(商標法第3条第1項第3号に該当)。』というものであります。
【本願商標が登録されるべき理由】
然るに、本出願人は、先の意見書において、本願商標「グランドロ-スト/GRANDROAST」は、単に「見事に煎られた商品」であることを認識させるのではなく、十分に識別力を備え、識別標識として機能する商標である旨説明したにも拘わらず、今般拒絶査定をされたことに対しては納得できないところがあり、ここに審判を請求し再度の御審理を願う次第であります。
(a)本願商標の構成
本願商標は、「グランドロースト」及び「GRAND ROAST」の文字を上下二段に書してなり、第30類「茶,コーヒー及びココア」を指定商品とするものであります。
(b)審査官の認定に対する反論
(b-1)
然るに、本願商標は、なるほど構成中の「GRAND」「グランド」の文字部分から「見事な、一流の」ほどの意味合いを、また「ROAST」「ロースト」の文字部分から「コーヒー豆などを煎ること」ほどの意味合いを、それぞれ生じさせるのかもしれません。そして、全体として「見事に煎られた商品」というような意味合いを暗示させるのかもしれません。
しかしながら、「見事に煎られた商品」とは、具体的には、一体如何なる煎り具合(品質)の商品を指すのでしょうか。見事に煎られたと言われても、どう見事なのか不明であります。審査官は、「GRAND」「グランド」の文字は、品質等を誇称して表す際に一般的に使用されているとしておりますが、それによって、具体的には、「コーヒー」のどのような品質を表示すると言うのでしょうか。漠然としていて具体的に定まるものではありません。
焙煎は、収穫した生豆を火力により焼き上げることであり、焙煎の種類には、煎り具合に応じて「ミディアムロースト」、「ハイロースト」、「シティロースト」、「フルシティロースト」、「フレンチロースト」、「イタリアンロースト」等あることは、先の意見書でも述べましたが、「焙煎は見事な煎り具合でお願いします」とか、「焙煎はグランドローストでお願いします」とか言われて、焙煎者はどう煎ってよいのか分かるものでしょうか。分かるはずはないと思います。だとすれば、「グランドロースト\GRAND ROAST」は特定の具体的品質内容を表示するものではありません。
(b-2)
そして、本願の指定商品を取り扱う業界においても、「グランドロースト」及び「GRAND ROAST」の文字が、商品の品質を表すものとして取引上、普通に使用されている事実はありません。「グランドロースト\GRAND ROAST」という焙煎の種類もありません。
このように、本願商標の「グランドロースト\GRAND ROAST」は、見事に煎られた商品ほどの意味合いを暗示するとしても、本願指定商品「コーヒー等」の品質を具体的に表示し得ないものであり、特定の意味合いを持たない一種の造語商標であります。そして、これが取引市場において品質の表示又は品質の誇称表示として取り扱われている事実もありませんので、十分に識別標識として機能するはずであります。
(b-3)
繰り返しますが、本出願人は、「グランドロ-スト/GRANDROAST」が「見事に煎られた商品」を間接的に表示する文字であることを否定するものではありません。しかし、そのことが直ちに、本願商標が、品質・内容表示にすぎない(即ち、品質を普通に用いられる方法で表示する標章にすぎない)と言うことにはならないと考えます。商標法第3条第1項第3号の商標審査基準にも、『指定商品の「品質」、「効能」、「用途」等又は指定役務の「質」、「効能」、「用途」等を間接的に表示する商標は、本号の規定に該当しないものとする。』と明確にうたっています。この審査基準に照らし合わせてみても、今般の審査官の認定には承服することができません。
(b-4)
ところで、過去の商標登録例をみますと、本願商標と似たような構成の仕方から成る(A)商標「グランドブレンド」がユーシーシー上島珈琲株式会社(UCC)により第1133962号として商標登録されております(指定商品:茶、コーヒー、ココア等、昭和50年7月17日登録)(第1号証)。
この点に関し、審査官は、本願に対する今般の拒絶査定の中で、「出願人は過去の登録例を挙げて本願商標は登録されるべきである旨主張していますが、いずれも本件と事案を異にしますので、その主張は採用できません。」というようなことを述べています。しかし、この審査官のような解釈をすれば、このUCCの「グランドブレンド」などは「見事にブレンドされた商品」を意味する品質表示と言うことで、拒絶されてしかるべきということになるはずですが、現実にはそうなっておりません。
然るに、このUCCの「グランドブレンド」が登録できて、本願の「グランドロースト\GRAND ROAST」が登録できないとされる謂われは全くありません。「グランドブレンド」も「GRAND BLEND」の表音であることは明らかで「見事にブレンドされた商品」を暗示させますが、識別力があるとして商標登録されております。事案を異にするということで、画一的に片付けられる問題ではありません。過去の審査に束縛されることはないとしても、それなりの審査を経て登録されて来ているわけですので、「グランドブレンド」が登録されている事実を全く無視するのも如何かと思います。この「見事にブレンドされた商品」を暗示させる「グランドブレンド」が登録できるのであれば、本願の「見事に煎られた商品」を暗示させる「グランドロースト\GRAND ROAST」が登録できて何の不思議もないはずです。
(b-5)
また、過去の商標登録例をみると、(B)明治製菓株式会社の商標「トラディショナルロースト」が登録第4880779号として商標登録されている事実が発見できます(指定商品:茶,コーヒー及びココア等、平成16年9月16日出願、平成17年7月15日登録)(第2号証)。そして、この商標が存在するにも拘わらず、その後願に係る(C)サントリー株式会社の商標「Traditional/トラディショナル」が登録第4972168号として商標登録されております(指定商品:茶,コーヒー及びココア等、平成17年12月7日出願、平成18年7月21日登録)(第3号証)。
この(B)(C)の併存関係から言えることは、
(i)伝統的な方法で焙煎した商品を暗示する(B)の「トラディショナルロースト」も、伝統的な商品を暗示する(C)の「Traditional/トラディショナル」も、品質表示ではないと理解されており、また、
(ii)双方とも、全体として一定の識別力を有すると理解されており、更には(iii)「トラディショナルロースト」は本願と同じく二語を連結した商標でありますが、前後分離できない一連一体の造語商標であると理解されている、ということであります。
然るに、本願の「グランドロースト\GRAND ROAST」(「見事に煎られた商品」を暗示)とて、この「トラディショナルロースト」(「伝統的な方法で煎られた商品」を暗示)と同様のことであります。前後分離することのできない一連一体の造語商標であり、全体を一つのものとして把握し、称呼すべき性質の自他商品識別標識であります。決して審査官の言うような品質表示ではありません。
【むすび】
以上の次第でありますので、本願商標は商品の品質を普通に用いられる方法で表示する商標ではなく、自他商品識別力を有していて登録適格性を備えたものであり、商標法第3条第1項第3号には該当するものではないと考えます。
よって、原査定を取り消す、本願の商標は登録をすべきものであるとの審決を求める次第であります。
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(参考)ケース86の「審決」
商願2006- 23915拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結 論
原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。
理 由
1 本願商標
本願商標は、「グランドロースト」及び「GRAND ROAST」の文字を二段書きしてなり、第30類「茶,コーヒー及びココア」を指定商品として、平成18年3月16日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、「グランドロースト」「GRAND ROAST」の文字を上下二段に書してなるところ、その構成中「GRAND」「グランド」の文字は、「見事な,一流の」ほどの意味を表す英語とその表音であると認められ、また、「ROAST」「ロースト」の文字は、「コーヒー豆などを煎ること」の意味を表す英語及びその表音で有ると認められるので、これを本願指定商品に使用しても、全体として「見事に煎られた商品」ほどを認識させるにすぎず、商品の品質の誇称表示と認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、前記のとおり「グランドロースト」及び「GRAND ROAST」の文字を書してなるところ、全体の文字より、原審説示の意味合いを認識するものとはいい難いものである。そして、本願商標の指定商品を取り扱うこの種業界において、本願商標を構成する前記文字が原審説示のような商品の品質又は品質の誇称を表示するものとして、取引上普通一般に使用されている事実を発見することもできない。そうしてみると、本願商標は、その指定商品の具体的な品質を表示するものとはいえないものである。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものとはいえず、取消しを免れない。その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。よって、結論のとおり審決する。
平成19年11月14日
審判長 特許庁審判官 山口 烈
特許庁審判官 寺光 幸子
特許庁審判官 小田 明
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