結 論
この商標登録出願については、商標法第15条の規定に基づき、商標登録をす
ることができません。
理 由
この商標登録出願(以下「本願」といいます。)は、令和 3年 5月26日
付け拒絶理由通知書の理由により、商標登録をすることができないとの判断に至
りました。
なお、出願人は、令和 3年 7月 6日付けの意見書で「本願商標は,連続
反復する図形等により構成されたものではありませんので単なる地模様として認
識されるような商標ではなく,全体としてみれば自他商品識別力が認められる外
観構成態様でありますので,商標法第3条第1項第6号に該当するものではあり
ません。」と述べていますが、下述のとおり、本願に係る商標(以下、「本願商
標」といいます。)は、商標法第3条第1項第6号に該当するものですから、さ
きの認定を覆すことはできません。
1.本願商標が第3条第1項第6号に該当することについて
本願商標は、黒色と緑色の正方形を互い違いに並べ、連続反復的に配置した構
成からなる、いわゆる「市松模様」の一種と理解されるものであって、自他商品
の識別機能を果たすべき特徴的な部分を見出すことができないので、本願商標を
その指定商品について使用した場合、これに接する取引者・需要者は、本願商標
が単に地模様を表したにすぎないものと認識するに止まり、自他商品の識別標識
としての機能を果たし得ないものです。
したがって、本願商標は、取引者・需要者が何人の業務に係る商品であるかを
認識することができないものですから、商標法第3条第1項第6号に該当します
。
2.意見書による出願人の主張について
出願人は、意見書で、「本願商標は、(a)黒色又は緑色からなる複数の長方
形も含まれている、(b)本願商標の周囲には黒色の枠線が配されている、(c
)本願商標が全体として正方形の図形商標として構成されていることから、『単
なる地模様』ないし『装飾的な地模様』ではないことが明白であるから、商標法
第3条第1項第6号には該当しない。」旨主張しています。
確かに、本願商標を子細に見れば、正方形の商標の縁に黒線が見受けられます
が、該黒線は、外側に余白がないため、一見しては、認識しがたいものとなって
います。
また、拒絶理由通知書の「参考情報」として示したように、「市松模様」は、
伝統的な柄模様として親しまれ、被服などの装飾的な図柄として普通に使用され
ている実情があります。
そうすると、本願商標は、出願人が主張するような特徴が見られるとしても、
全体として看者に与える印象から見ると、普通に使用されている装飾的な図柄を
超えているということはできません。
してみれば、本願商標は、特徴的な形態を有しているということはできません
から、出願人の主張を採用することはできません。
また、出願人は、意見書において、過去の登録例・審決例を挙げて意見を述べ
ていますが、これらと本願商標とは、その構成や指定商品・役務を異にするもの
であり、具体的な事案の判断においては個別具体的に検討されるべきものですか
ら、出願人の主張を採用することはできません。