特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイト から転載しております。
本願商標:「ヒップスリム」
1.出願番号 平成7年商標登録願第73645号
2.商標 「ヒップスリム」
3.商品区分 第11類:美容院用・理髪店用機械器具(いすを除く)
4.適用条文 商標法第3条1項3号、第4条第1項第16号
5.拒絶理由 「ヒップがスリムになること」を認識させるもので、単に商品の品質、用途を表示するにすぎない。
出願商標 |
拒絶理由通知 意見書における反論
(1) 拒絶理由通知書において、本願商標は、「ヒップスリム」の片仮名文字を普通に用いられる方法で書してなるものであるから、「ヒップがスリムになること」を認識させるものであり、指定商品中、例えば、電気的刺激による痩身美容のための業務用マッサージ器等に使用したときは、単に商品の品質、用途を表示するにすぎないものと認められ、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当すると認められた。
しかしながら、本出願人は、本願商標の「ヒップスリム」は一種の造語であって、本願指定商品に付して使用しても、決して品質・用途を認識させるものではないと考えるので、前記認定には承服できず、以下に意見を申し述べる。
(2) 本願商標は、願書に添付した商標見本から明らかなように、片仮名文字で一連に「ヒップスリム」と書した態様からなるものであり、且つ指定商品を第11類の「美容院用・理髪店用機械器具(いすを除く)」とするものである。
然るに本願商標の「ヒップスリム」は、「ヒップがスリムになること」を間接的に表示する文字であることを否定するものではないが、本願商標は、あくまでも「ヒップ」の文字と「スリム」の文字とを結合して作った造語であり、「ヒップスリム」が品質・用途表示として普通に用いられている事実はないのであるから、商標法第3条第1項第3号に該当するとした審査官殿の認定には納得することはできない。
即ち、「ヒップスリム」は造語であり、しかも「ヒップスリム」が普通に品質・用途表示として用いられている事実がない以上、取引者・需用者が、例えば、業務用マッサージ器に商標的態様で「ヒップスリム」と書してある文字を見て、これを品質・用途表示であると認識するとは思われない。むしろ、一般的には、「ヒップスリム」という商標名の製品であると思うのではなかろうか。そうだとすれば、本願商標「ヒップスリム」は充分に識別標識として機能し得る商標である。
(3) そして、このことは、第42類の美容関係の役務において、「ヒップスリム」の商標が第4062801号として登録になっている事実からも伺い知ることができる。
即ち、本出願人は、「ヒップスリム」の商標をこの第11類だけでなく、第42類の美容関係においても、商願平7-73646号(平成7年7月21日出願)として出願しているが、この商標は、平成9年10月3日付で第4062801号として登録になっている(第1号証参照)。
審査官殿のお考えに従えば、ヒップがスリムになるというのはエステティック等の美容関係においては、正しく役務の質や効能等を表す意味合いと受け取れるが、それでも、「ヒップスリム」が第42類で登録されたということは、「ヒップスリム」の文字をそのような「ヒップがスリムになる」という意味合いで理解したのではないということである。
第42類の美容関係においてすらそうであるのに、第11類の「美容院用・理髪店用機械器具(いすを除く)」の分野において、品質・用途表示であるなどと理解し、認定するのはおかしい。
繰り返し述べるが、本出願人は、「ヒップスリム」が「ヒップがスリムになること」を間接的に表示する文字であることを否定するものではない。しかし、そのことが直ちに、本願商標が、品質・用途表示にすぎない(即ち、品質・用途を普通に用いられる方法で表示する標章)と言うことにはならない。商標法第3条第1項第3号の商標審査基準には、指定商品の「品質」、「効能」、「用途」等又は指定役務の「質」、「効能」、「用途」等を間接的に表示する商標は、本号の規定に該当しないものとする、と明確にうたっている。この基準に照らし合わせてみても、今般の審査官殿の認定に承服することはできない。
(4) 以上の通りでありますので、本願商標は商品の品質や用途を普通に用いられる方法で表示する商標ではなく、充分登録適格性を有するものと思料します。
商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例目次
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