特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイト
から転載しております。
本願商標「ピュアエステ/B ブリアント」×引用商標「VALIANT/ヴァリアント」
1.出願番号 平成5年商標登録願第39743号
2.商 標 「ピュアエステ/B ブリアント」
3.役務区分 第42類 美容,理容
4.適用条文 商標法第4条第1項第11号
5.拒絶理由 「ピュアエステ/B ブリアント」は「VALIANT/ヴァリアント」に類似する。
出願商標 | 引例商標 登録第3147571号 |
拒絶理由通知 意見書における反論
(1)拒絶理由通知書において、本願商標は登録第3147571号(商公平07-068330号)の商標(以下、「引用商標」という)と同一又は類似であって、その商標登録に係る指定商品と同一又は類似の商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当し登録できないと認定された。
しかしながら、本出願人は、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても紛れることのない非類似の商標であると考えるので、前記認定には承服できず、以下に意見を申し述べる。
(2)本願商標は、願書に添付した商標見本から明らかなように、やや小さく記載した「ピュアエステ」の片仮名文字を上段に、「B」の装飾欧文字及び「ブリアント」の片仮名文字を下段に書して、「ピュアエステ/B ブリアント」と二段書きした構成からなるものである。
これに対し、引用商標は、「VALIANT」の欧文字を上段に、「ヴァリアント」の片仮名文字を下段にそれぞれ書して、「VALIANT/ヴァリアント」と二段に構成してなるものである。
したがって、本願商標と引用商標とは、外観上類似しないことは明らかである。
また、本願商標の構成中「ブリアント」の文字部分は格別の意味を有しない造語であり、一方、引用商標の「VALIANT/ヴァリアント」は、「雄々しい、勇壮な、勇敢な」とか「立派な、優れた、価値のある」等(形容詞)の意味を有する言葉であって、本願商標と引用商標とは、観念上も類似することはない。また、本願商標の「ブリアント」以外の他の部分においても、引用商標と観念上同一又は類似する部分はない。
(3)そこで、次に称呼の点につき検討する。
本願商標は、上記態様より、「ピュアエステ ブリアント」の称呼を生じるが、「ブリアント」の片仮名文字部分より、単に「ブリアント」の称呼を生じる場合もあると考える。この点、審査官殿も同様に認定したものと思われる。
これに対し、引用商標は、その態様より「ヴァリアント」の称呼を生じるものである。
そこで本願商標の称呼の1つである「ブリアント」と引用商標の称呼である「ヴァリアント」とを比較すると、両者の称呼上の差異は、「ブ」と「ヴァ」の一音にあるが、この場合でも、以下の理由により、本願商標と引用商標とは、互いに称呼上紛れることのない非類似の商標であると思料する。
a.「ブ」と「ヴァ」は母音が「u」と「a」で互いに遠い音であり、口をすぼめて発音する前者と、口を大きく開いて発音する後者とでは、発声方法が異なり、称呼上明瞭に聴取且つ識別できる。
b.しかも、この差異は、称呼上最も重要な位置を占め全体に大きな影響を及ぼす語頭音における「ブ」と「ヴァ」の差異である。
c.両商標とも、アクセントはこの「ブ」と「ヴァ」にあり、強く称呼され、両者の称呼上の違いがより強調される。
d.本願商標(サービスマーク)の対象役務は、42類の「美容,理容」であるが、この役務の関係、殊にエステティックの関係等においては、カタカナ名の商標(サービスマーク)が多く存在し、そのネーミングも化粧品分野等と同様にイメージを大切にし、その需要者・取引者層もカタカナ名のネーミングに親しんだ層であるから、上記、語頭音における「ブ」と「ヴァ」の差異は明確に識別し得るものと思われる。
(4)そして、このことは、以下の2つの商標が登録され、あるいは公告された事実からも言い得ることである。
即ち、本出願人は、既に、
A.商願平5- 34391「B ブリアント」(第42類 美容,理容)を出願しているが、これは、商公平8-142458号として出願公告され、登録第3312314号(H9/5/23登録)として、登録されている(この出願公告の決定謄本を第1号証の1として、商標公報を第1号証の2として、登録査定の謄本を第1号証の3として、商標登録通知書を第1号証の4として、それぞれ提出する)。
また、
B.商願平5-119617「若返りサロン ブリアント」(第42類 美容,理容)を出願しているが、これは、商公平9-21386号(H3/3/17公告)として出願公告されている(この出願公告の決定謄本を第2号証の1として、商標公報を第2号証の2として、それぞれ提出する)。
このように、同じく第42類「美容,理容」の分野において、「ブリアント」の文字を含む商標を審査した2人乃至3人の審査官の判断によれば、「ブリアント」は、他に類似する商標がないとして、いずれも公告決定(ないし登録査定)がなされている。これは、語頭音における「ブ」と「ヴァ」の差異により、両者は明確に識別し得るものと判断して、今回の引用商標を引用しなかったものと思われる。
然るに、本願商標も先の上記A.Bの商標と同様のケースである。
(5)以上のように、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、紛れることのない非類似の商標であると考える。
よって、本願商標は引用商標の存在如何にかかわらず、充分登録性を有するものと思料します。