地域団体商標制度
商標法の一部が改正され平成18年4月1日から地域団体商標登録の出願が可能となっています。地域団体商標登録は地域ブランドを適切に保護することで、事業者の信用を維持し、地域経済の発展を支援することを目的としています。地名が伴う商標について、事業協同組合、農業協同組合によって使用されることにより、全国的でなくとも複数の都道府県に及ぶ程度の周知性を得た場合には地域団体商標として登録を認めることとなっています。 また、平成26 年8 月1 日からは、事業協同組合に加え、商工会、商工会議所、特定非営利活動法人(NPO 法人)並びにこれらに相当する外国の法人も、地域団体商標の出願をすることができるようになりました。
地域団体商標の類型
1)地域の名称+商品(役務)の普通名称/慣用名称
例:○○りんご、○○そば、○○牛
2)地域の名称+商品(役務)の普通名称/慣用名称+表示する際に慣用されている文字
例:本場○○織
出願人適格
(1)出願できるのは次の法人です
- 地域の事業協同組合、農業協同組合等の組合
- 商工会、商工会議所
- 特定非営利活動法人(NPO 法人) ※これらに相当する外国の法人も含まれます。
(2)登録されるためには、次の条件があります
- 上記の団体がその構成員に使用させる商標であること
- 原則として「地域名+商品・役務名」の文字から成る商標であること
- その商標を、商標中の地域と密接に関連している商品などに使っていること
- 一定の地理的範囲である程度有名になっていること
- その商標自体が普通名称化していないこと
地域団体商標の出願書類
出願時には1)組合等であることを証する書面、2)地域の名称を含むものであることを証明する書面の2つが必要となり、3)需要者間で周知であることの証明の書類も提出できます。
地域団体商標の利用について
今回の改正で新設された地域ブランド・ご当地ブランドの保護のための地域団体商標の登録制度は、全国的な周知性無くとも複数の都道府県に及ぶ程度の周知性を得ている場合に、適切な組合などの団体には独占権を前倒しで与える制度になっています。従いまして、この地域団体商標登録制度を利用する場合には、適切な団体(正当な理由なしで構成員となることを拒むような体質でないことなど)であることや、複数の都道府県に及ぶ程度の周知性が必要となりますので、その辺りのルール作りや宣伝、広告の資料が前もって必要となります。また、通常の団体商標制度や通常の商標登録出願もできなくなる訳ではありませんので、従来からの登録方法も合わせて考えることも可能で、出願後でも相互に変更が可能です。地域団体商標もパリ条約上、優先権を発生させる商標の1つの形態であり、国際登録出願(マドプロ)の本国登録の出願とすることができます。
地域団体商標の特徴
(1)譲渡ができない
地域団体商標の商標権を譲渡することはできません。限られた団体しか権利者になれないためです。合併等の一般承継の場合を除きます。(商標法第24 条の2)
(2)専用使用権の設定ができない
登録された地域団体商標について、専用使用権(特定の者のみが商標を使用できる権利)を設定することはできません。
(3)地域団体商標が出願される前から不正競争の目的なく継続して使用をしている者は先使用権を有する。(商標法第32 条の2 第1 項)
登録商標の活用
(1)第三者の排除 (差止請求、損害賠償請求等)
地域団体商標の権利者は、商標権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対して、i.使用の差し止め請求(商標法第36 条)ii.商標が付された商品の廃棄、製造設備の除去等の請求(商標法第36 条),iii.損害賠償請求(民法第709 条)をすることができます。
(2)品質の管理 (商標の使用運用基準の策定等)
ブランド価値を高め、育成していくには、商標が使用されている商品(役務)の品質を確保していくことも重要です。自らが粗悪なものを需要者に提供していては、ブランドの信用はただちに失墜します。団体が登録商標を使用できる商品(役務)の品質等の基準を内部規定として設けることで信用の維持・向上にもつながります。
登録例
地域団体商標 リスト 北海道・東北
地域団体商標 リスト 関東
地域団体商標 リスト 中部
地域団体商標 リスト 関西
地域団体商標 リスト 中国・四国
地域団体商標 リスト 九州・沖縄・外国
地域団体商標とは(特許庁)