韓国商標制度🇰🇷

韓国 商標制度概要

韓国は日本と同じく先願主義・登録主義を採用しており、商標の申請は韓国特許庁に行います。韓国は2010年12月時点で一出願多区分制を取っており、日本と同様に多区分をまとめて一つの申請で行うことが可能です。また、商標権の権利期間も日本と同じく登録から10年間権利が有効で、存続期間の更新申請 を行なうことにより、更に10年毎に権利期間を更新することが可能です。

韓国市場はドラマやミュージックシーンにおける優秀な人材の台頭により、日本では親しみの深い市場であります。韓国市場への関心は米国でも高く、韓国への商標出願件数は米国が第1位となっております(※2009年の出願件数)。ちなみに、日本は次いで第2位となっております(※2009年の出願件数)。

Seoul, South Korea 韓国 商標
Seoul, South Korea

韓国への商標出願の総件数は、緩やかに増加・減少を繰り返し、2009年の時点では126,420件となっております。これは日本国内への商標出願件数よりおよそ1万件~2万件程度多い数字であり、アジア諸国の中では中国には及ばないものの、非常に多くの商標が申請されていることが特徴です。

ハングル文字での「商標」

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どんな商標が出願出来るのか?

韓国では韓国国内で使用されているハングル文字だけではなく、日本語の漢字・ひらがな・カタカナ、欧文字等が商標申請されております。韓国では日本語教育が進み、漢字・ひらがな・カタカナも読める可能性があるのが現状です。過去には、日本語からなる商標は一種の図形商標と見て、その意味が直感されないか、称呼が容易に導出されないと判断されていましたが、日本は韓国と地理的に非常に近く且つ経済的文化的にも交流が多いため、ひらがな、カタカナ、漢字からなる日本語商標に対する親しみが高まっており、韓国知的財産庁および裁判所では日本語からなる商標も英語からなる商標と同様に称呼および意味が導出可能な文字商標として扱う傾向がより普遍化されてきています。

審査上の特徴

韓国はほぼ日本と同じような流れで審査が進みます。審査上の特徴としては、主に以下のものが挙げられます。

1)包括的表記が認められない

韓国も少しずつ包括的表記を認めつつはありますが、それでも日本の出願をベースにして韓国へ出願をすると、包括的表記にあたる、というような拒絶理由が来る場合があります。世界的に見れば、日本がかなり包括的表記に寛容である、とも言えます。

2)追加登録出願制度がある

日本では出願当初の指定商品/役務の範囲を超える商品/役務について、出願後にそれを追加する補正は禁じられております。
一方、韓国では出願中若しくは商標登録後であっても、指定商品/役務を追加する補正が可能とする追加登録出願制度がございます。
追加登録出願された範囲については、通常出願と同様に登録要件が審査されることになります。また、追加登録出願についても出願公告後に異議申立の対象となります。
追加登録出願が登録されると、元の出願と同じ登録原簿に記載されるため、登録番号は1つのみとなります。よって、更新の管理を考えると、韓国の追加登録出願制度はメリットのある制度と言えます。

不使用取消審判と類似商標との関係について

韓国では日本と同様、類似登録商標の存在を理由に出願が拒絶される場合があります。その場合、他人の類似登録商標について、不使用を理由に取消請求をかける場合があります。
日本では、他人の類似登録商標の取消に成功すれば、拒絶理由の有無の判断時は査定・審決時であるため、拒絶理由は解消し、登録になります。
一方、韓国では他人の類似登録商標が不使用を理由に消滅しても、他人の類似登録商標の有無についての判断時点は、査定・審決時ではなく出願時が判断基準となるため、出願時における拒絶理由が解消せず、もう一度改めて新規出願をしなくてはいけません。
尚、不使用取消を請求した請求人に対しては、一定期間優先的に出願をすることが出来る期間が設けられているため、別途新規出願をすることになりますが、新規出願のほうで登録が受けられるメリットが存在します。

韓国商標の登録期間

韓国商標登録は10年で更新となりますが、統計では、平均すると1つの商標登録の登録期間は11.7年で、法人は12。1年、個人は10.7年という数字があります。更新してまで使い続ける登録商標も単純には2割前後になりそうです。

悪意ある出願への対応策

韓国商標法は、悪意ある出願人の商標登録を防止するため、「国内又は外国の需要者に特定人の商品を表示するものであると認識されている商標(地理的表示を除く)と同一・類似の商標であって、不当な利益を得ようとし、又はその特定人に損害を追わせようとする等、不正の目的で使用する商標」は登録できないとされています。(商標法34条1項13号)この13号の適用に際して、必ずしも韓国で著名である必要はなく、日本などの外国で周知であればよいとされています。(従来は、条文に”著しく”の文言があり、適用の要件レベルが高いものでいたが、2007年法改正で周知レベルまで引き下げられています。)また、韓国商標法は、そのような悪意ある出願の登録をさせない規定でありますが、悪意ある商標の使用の禁止は不正競争防止法によって差し止めることになります。この場合には韓国国内での周知性が必要です。

具体的な手続

1)情報提供 (現地代理人費用の目安 1000~2000 USドル)
2)異議申立 (現地代理人費用の目安 3000~4500 USドル)
3)無効審判…既に悪意ある出願が登録されている場合。

周知性立証資料

周知性を立証する資料としては、出願の出願日から遡って5年間の資料が有効とされ、i)年間売上額などの売り上げに関する資料、ii)商標の広告額、広告媒体及び広告回数などの資料、iii) 商標の認知度、市場占有率、受賞歴、新聞記事、ニュースなど、iv)周知性若しくは著名性を認定した審決又は判決など、v)防護標章登録若しくは有名商標集への収録、vi)各国での登録状況、リスト、原簿写しなど、vii)直営店や販売店の状況、viii)商標や会社の由来などの資料など、が挙げられます。

使用による識別力の判断

2020年1月に改正された商標審査基準によれば、識別力の獲得のための商標の使用期間については原則的に5年以上とし、その間実質的に非競合的かつ継続的に商標を使用した場合、使用による識別力取得認定の重要判断根拠として考慮することができる。ただし、短期間でも多量の広告宣伝を通じて認知度が上がることもあるため、使用期間が短くても売上額、市場占有率、認知度などが大きく上昇した場合にはそれを考慮することができる。消費者の認知度を調べるためのアンケート調査の場合は、信頼性ある調査機関により実施されることを前提とし、同種商品の実際のまたは潜在的な需要者を対象とし、地域、性別、年齢などの代表性があり、回答標本数が500人以上、回答者の50%以上が該当商標を特定の所有者の商標として認識している場合、高い信頼性のある調査とすることができる。

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