酒類の地理的表示に関する表示基準
(定義)
1 次の各号に掲げる用語の定義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 「酒類」とは、酒税法(昭和28年法律第6号)第2条第1項に規定する酒類をいう。
(2) 「酒類の品目」とは、酒税法第3条第7号から第23号までに掲げる酒類の区分をいう。
(3) 「地理的表示」とは、酒類に関し、その確立した品質、社会的評価又はその他の特性(以下「酒類の特性」という。)が当該酒類の地理的な産地に主として帰せられる場合において、当該酒類が世界貿易機関の加盟国の領域又はその領域内の地域若しくは地方を産地とするものであることを特定する表示であって、次に掲げるものをいう。
イ 国税庁長官が指定するもの
ロ 日本国以外の世界貿易機関の加盟国において保護されるもの
(4) 「酒類区分」とは、ぶどう酒、蒸留酒、清酒又はその他の酒類による区分をいう。
(5) 「ぶどう酒」とは、酒類の品目のうち、果実酒及び甘味果実酒であって、原料とする果実がぶどうのみのものをいう。
(6) 「蒸留酒」とは、酒類の品目のうち、連続式蒸留しょうちゅう、単式蒸留しょうちゅう、ウイスキー、ブランデー、原料用アルコール及びスピリッツをいう。
(7) 「清酒」とは、酒類の品目のうち、清酒をいう。
(8) 「その他の酒類」とは、前3号に掲げる酒類以外の酒類をいう。
(9) 「使用」とは、酒類製造業者又は酒類販売業者が行う行為で、次に掲げる行為をいう。
イ 酒類の容器又は包装に地理的表示を付する行為
ロ 酒類の容器又は包装に地理的表示を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、又は輸入する行為
ハ 酒類に関する広告、価格表又は取引書類に地理的表示を付して展示し、又は頒布する行為
(地理的表示の指定)
2 国税庁長官は、酒類の産地に主として帰せられる酒類の特性が明確であり、かつ、その酒類の特性を維持するための管理が行われていると認められるときには、次の各号に掲げる事項(以下「生産基準」という。)、名称、産地の範囲及び酒類区分を前項第3号イに掲げる地理的表示として指定することができる。
(1) 酒類の産地に主として帰せられる酒類の特性に関する事項
(2) 酒類の原料及び製法に関する事項
(3) 酒類の特性を維持するための管理に関する事項
(4) 酒類の品目に関する事項
3 国税庁長官は、前項の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当する表示は、地理的表示として指定しない。
(1) 酒類に係る登録商標(商標法(昭和34年法律第127号)第2条第5項に規定する登録商標をいう。以下同じ。)と同一又は類似の表示であって、その地理的表示としての使用が当該登録商標に係る商標権を侵害するおそれがある表示
(2) 日本国において、酒類の一般的な名称として使用されている表示
(3) 産地の範囲が日本国以外の世界貿易機関の加盟国にある場合において、当該国で保護されない表示
(4) 前3号に掲げるもののほか、保護することが適当でないと認められる表示
(指定した地理的表示の取消し)
4 国税庁長官は、指定した地理的表示が次の各号のいずれかに該当するときは、指定を取り消すことができる。
(1) 使用されなくなった場合
(2) 指定した日以後に、地理的表示が前項第1号から第3号までの表示に該当することとなった場合
(3) 指定した日前に地理的表示が前項第1号から第3号までの表示に該当していたことが、当該指定した日から三箇月以内に明らかになった場合
(4) 前3号に掲げるもののほか、指定が適当でないと認められる場合
(指定した地理的表示の変更)
5 国税庁長官は、指定した地理的表示の生産基準、名称、産地の範囲及び酒類区分を変更することができる。
(地理的表示の確認)
6 国税庁長官は、第1項第3号ロに掲げる地理的表示を保護するに当たっては、当該地理的表示が第3項各号に該当しないことを世界貿易機関の加盟国との交渉を通じ又は世界貿易機関における地理的表示の登録情報により確認することができる。
(地理的表示の指定等に係る意見募集)
7 国税庁長官は、第2項の指定又は前項の確認をするときは、関連する資料をあらかじめ公示し、広く一般の意見を求める。
(地理的表示の指定等の公告)
8 国税庁長官は、第2項の指定、第4項の取消し、第5項の変更又は第6項の確認をした場合は、その旨を官報に公告する。
(地理的表示の保護)
9 地理的表示の名称は、当該地理的表示の産地以外を産地とする酒類及び当該地理的表示に係る生産基準を満たさない酒類について使用してはならないものとする。当該酒類の真正の産地として使用する場合又は地理的表示の名称が翻訳された上で使用される場合若しくは「種類」、「型」、「様式」、「模造品」等の表現を伴い使用される場合においても同様とする。
(適用除外)
10 次の各号のいずれかに該当するときは、前項の規定は適用しない。
(1) 産地の範囲が日本国以外の世界貿易機関の加盟国にあるぶどう酒又は蒸留酒の地理的表示の名称を、平成6年4月15日前の少なくとも10年間又は同日前に善意で、ぶどう酒又は蒸留酒の商標(商標法第2条第1項に規定する商標をいう。以下同じ。)として日本国で継続して使用してきた場合に、当該商標を使用していた者がそのぶどう酒又は蒸留酒に当該商標を使用する場合
(2) 地理的表示の名称と同一若しくは類似の表示又はこれらの表示を含む登録商標について、平成8年1月1日前又は第2項の指定(第5項の規定により名称を変更した場合には当該変更)若しくは第6項の確認をした日前の商標登録出願に係る登録商標に係る商標権者その他商標法の規定により当該登録商標の使用(同法第2条第3項に規定する使用をいう。)をする権利を有する者が、その商標登録に係る指定商品又は指定役務(同法第6条第1項の規定により指定した商品又は役務をいう。)について当該登録商標を使用する場合
(3) 第2項の指定(第5項の規定により名称を変更した場合には当該変更)又は第6項の確認をした日前に使用されていた商標その他の表示について、国税庁長官が第8項の規定による公告の際に、前項の規定を適用しないものとして公示した当該商標その他の表示を使用する場合
(4) 自然人の氏名又は法人の名称として地理的表示の名称と同一又は類似の表示を使用する場合(公衆が地理的表示と誤認するような方法で使用する場合を除く。次号及び第6号において同じ。)
(5) 酒類製造業者の製造場又は酒類販売業者の販売場の所在地として地理的表示の名称と同一又は類似の表示を使用する場合
(6) 酒類の原料の産地として地理的表示の名称と同一又は類似の表示を使用する場合
(7) 地理的表示の酒類区分と異なる酒類区分の酒類に地理的表示の名称と同一又は類似の表示を使用する場合
(8) 第6項の確認をした地理的表示が次のいずれかに該当することとなり、その旨を官報により公告した地理的表示を使用する場合
イ 確認した日以後に、地理的表示が第3項第1号から第3号までの表示に該当することとなった場合
ロ 確認した日前に地理的表示が第3項第1号から第3号までの表示に該当していたことが、確認した日から三箇月以内に明らかになった場合
(地理的表示であることを明らかにする表示)
11 第1項第3号イに掲げる地理的表示を使用する場合(同項第9号イに掲げる行為により使用する場合に限る。)は、使用した地理的表示の名称のいずれか一箇所以上に「地理的表示」、「Geographical Indication」又は「GI」の文字を併せて使用するものとする。ただし、第2項の指定の日から2年を経過していない地理的表示その他国税庁長官がこの項を適用しないこととした地理的表示については、この限りでない。
12 地理的表示を使用していない酒類には、「地理的表示」、「Geographical Indication」又は「GI」の文字を使用してはならないものとする。
附則
1 この告示は、平成27年10月30日から適用する。ただし、第11項の規定は、平成29年10月30日以降に使用する地理的表示から適用する。
2 地理的表示に関する表示基準第2項に規定する国税庁長官が指定するぶどう酒、蒸留酒又は清酒の産地を定める件(平成7年6月国税庁告示第6号)において国税庁長官が指定していたぶどう酒、蒸留酒又は清酒の産地については、この告示の適用の日において、第1項第3号イの指定を受けたものとみなす。
3 この告示の適用の日前に、日本国以外の世界貿易機関の加盟国において保護される地理的表示として、世界貿易機関の加盟国との交渉を通じ確認した地理的表示については、なお従前の例による。
酒類の地理的表示(GI)に関する表示基準を定める件
地理的表示(GI)保護制度 vol.2 酒類(しゅるい)の地理的表示
酒類の地理的表示については、「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律」第 86 条の6に基づく「酒類の地理的表示に関する表示基準」により、国税庁長官が指定するとされています。
酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律 昭和二十八年法律第七号
(酒類の表示の基準)
第八十六条の六 財務大臣は、前条に規定するもののほか、酒類の取引の円滑な運行及び消費者の利益に資するため酒類の表示の適正化を図る必要があると認めるときは、酒類の製法、品質その他の政令で定める事項の表示につき、酒類製造業者又は酒類販売業者が遵守すべき必要な基準を定めることができる。
2 財務大臣は、前項の規定により酒類の表示の基準を定めたときは、遅滞なく、これを告示しなければならない。
3 財務大臣は、第一項の規定により定められた酒類の表示の基準を遵守しない酒類製造業者又は酒類販売業者があるときは、その者に対し、その基準を遵守すべき旨の指示をすることができる。
4 財務大臣は、前項の指示に従わない酒類製造業者又は酒類販売業者があるときは、その旨を公表することができる。
酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律