種苗法 条文 平成十年法律第八十三号(令和4年4月1日施行)
種苗法
種苗法(昭和二十二年法律第百十五号)の全部を改正する。
種苗法 目次
第一章 総則(第一条・第二条)
第二章 品種登録制度(第三条―第五十七条の二)
第三章 指定種苗(第五十八条―第六十六条
第四章 罰則(第六十七条―第七十五条
附則
種苗法 第一章 総則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、新品種の保護のための品種登録に関する制度、指定種苗の表示に関する規制等について定めることにより、品種の育成の振興と種苗の流通の適正化を図り、もって農林水産業の発展に寄与することを目的とする。
(定義等)
第二条 この法律において「農林水産植物」とは、農産物、林産物及び水産物の生産のために栽培される種子植物、しだ類、せんたい類、多細胞の藻類その他政令で定める植物をいい、「植物体」とは、農林水産植物の個体をいう。
2 この法律において「品種」とは、重要な形質に係る特性(以下単に「特性」という。)の全部又は一部によって他の植物体の集合と区別することができ、かつ、その特性の全部を保持しつつ繁殖させることができる一の植物体の集合をいう。
3 この法律において「種苗」とは、植物体の全部又は一部で繁殖の用に供されるものをいう。
4 この法律において「加工品」とは、種苗を用いることにより得られる収穫物から直接に生産される加工品であって政令で定めるものをいう。
5 この法律において品種について「利用」とは、次に掲げる行為をいう。
一 その品種の種苗を生産し、調整し、譲渡の申出をし、譲渡し、輸出し、輸入し、又はこれらの行為をする目的をもって保管する行為
二 その品種の種苗を用いることにより得られる収穫物を生産し、譲渡若しくは貸渡しの申出をし、譲渡し、貸し渡し、輸出し、輸入し、又はこれらの行為をする目的をもって保管する行為(育成者権者又は専用利用権者が前号に掲げる行為について権利を行使する適当な機会がなかった場合に限る。)
三 その品種の加工品を生産し、譲渡若しくは貸渡しの申出をし、譲渡し、貸し渡し、輸出し、輸入し、又はこれらの行為をする目的をもって保管する行為(育成者権者又は専用利用権者が前二号に掲げる行為について権利を行使する適当な機会がなかった場合に限る。)
6 この法律において「指定種苗」とは、種苗(林業の用に供される樹木の種苗を除く。)のうち、種子、胞子、茎、根、苗、苗木、穂木、台木、種菌その他政令で定めるもので品質の識別を容易にするため販売に際して一定の事項を表示する必要があるものとして農林水産大臣が指定するものをいい、「種苗業者」とは、指定種苗の販売を業とする者をいう。
7 農林水産大臣は、農業資材審議会の意見を聴いて、農林水産植物について農林水産省令で定める区分ごとに、第二項の重要な形質を定め、これを公示するものとする。
種苗法 第二章 品種登録制度
第一節 品種登録及び品種登録出願
(品種登録の要件)
第三条 次に掲げる要件を備えた品種の育成(人為的変異又は自然的変異に係る特性を固定し又は検定することをいう。以下同じ。)をした者又はその承継人(以下「育成者」という。)は、その品種についての登録(以下「品種登録」という。)を受けることができる。
一 品種登録出願(第五条第一項の規定による品種登録の出願をいう。以下同じ。)前に日本国内又は外国において公然知られた他の品種と特性の全部又は一部によって明確に区別されること。
二 同一の繁殖の段階に属する植物体の全てが特性の全部において十分に類似していること。
三 繰り返し繁殖させた後においても特性の全部が変化しないこと。
2 農林水産大臣は、前項第一号に掲げる要件に該当するかどうかの判断をするに当たっては、品種登録出願に係る品種(以下「出願品種」という。)と公然知られた他の品種との特性の相違の内容及び程度、これらの品種が属する農林水産植物の種類及び性質等を総合的に考慮するものとする。
3 品種登録出願又は外国に対する品種登録出願に相当する出願に係る品種につき品種の育成に関する保護が認められた場合には、その品種は、出願時において公然知られた品種に該当するに至ったものとみなす。
第四条 品種登録は、出願品種の名称が次の各号のいずれかに該当する場合には、受けることができない。
一 一の出願品種につき一でないとき。
二 出願品種の種苗に係る登録商標又は当該種苗と類似の商品に係る登録商標と同一又は類似のものであるとき。
三 出願品種の種苗又は当該種苗と類似の商品に関する役務に係る登録商標と同一又は類似のものであるとき。
四 出願品種に関し誤認を生じ、又はその識別に関し混同を生ずるおそれがあるものであるとき(前二号に掲げる場合を除く。)。
2 品種登録は、出願品種の種苗又は収穫物が、日本国内において品種登録出願の日から一年遡った日前に、外国において当該品種登録出願の日から四年(永年性植物として農林水産省令で定める農林水産植物の種類に属する品種にあっては、六年)遡った日前に、それぞれ業として譲渡されていた場合には、受けることができない。ただし、その譲渡が、試験若しくは研究のためのものである場合又は育成者の意に反してされたものである場合は、この限りでない。
(品種登録出願)
第五条 品種登録を受けようとする者は、農林水産省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した願書を農林水産大臣に提出しなければならない。
一 出願者の氏名又は名称及び住所又は居所
二 出願品種の属する農林水産植物の種類
三 出願品種の名称
四 出願者が保持していると思料する出願品種の特性
五 出願品種の育成をした者の氏名及び住所又は居所
六 前各号に掲げるもののほか、農林水産省令で定める事項
2 前項の願書には、農林水産省令で定めるところにより、農林水産省令で定める事項を記載した説明書及び出願品種の植物体の写真その他出願品種が同項第四号に掲げる特性を保持していることを証する資料を添付しなければならない。
3 育成者が二人以上あるときは、これらの者が共同して品種登録出願をしなければならない。
(出願料)
第六条 出願者は、一件につき一万四千円を超えない範囲内で農林水産省令で定める額の出願料を納付しなければならない。
2 前項の規定は、出願者が国(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人のうち品種の育成に関する業務を行うものとして政令で定めるものを含む。次項、第四十五条第二項及び第三項並びに第五十四条第二項において同じ。)であるときは、適用しない。
3 第一項の出願料は、国と国以外の者が共同して品種登録出願をする場合であって、品種登録により発生することとなる育成者権について持分の定めがあるときは、同項の規定にかかわらず、同項の農林水産省令で定める出願料の額に国以外の者の持分の割合を乗じて得た額とし、国以外の者がその額を納付しなければならない。
4 前項の規定により算定した出願料の額に十円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。
(出願者の名義の変更)
第七条 出願者の名義は、変更することができる。
2 出願者の名義の変更は、相続その他の一般承継の場合を除き、農林水産省令で定めるところにより、農林水産大臣に届け出なければ、その効力を生じない。
3 出願者について相続その他の一般承継による名義の変更があったときは、その一般承継人は、遅滞なく、農林水産省令で定めるところにより、その旨を農林水産大臣に届け出なければならない。
(職務育成品種)
第八条 従業者、法人の業務を執行する役員又は国若しくは地方公共団体の公務員(以下「従業者等」という。)が育成をした品種については、その育成がその性質上使用者、法人又は国若しくは地方公共団体(以下「使用者等」という。)の業務の範囲に属し、かつ、その育成をするに至った行為が従業者等の職務に属する品種(以下「職務育成品種」という。)である場合を除き、あらかじめ使用者等が品種登録出願をすること、従業者等がした品種登録出願の出願者の名義を使用者等に変更すること又は従業者等が品種登録を受けた場合には使用者等に育成者権を承継させ若しくは使用者等のため専用利用権を設定することを定めた契約、勤務規則その他の定めの条項は、無効とする。
2 職務育成品種については、契約、勤務規則その他の定めにおいてあらかじめ使用者等が品種登録出願をすることを定めているときは、当該職務育成品種に係る品種登録を受ける地位は、当該使用者等が有するものとする。この場合において、従業者等は、相当の金銭その他の経済上の利益(次項において「相当の利益」という。)を受ける権利を有する。
3 前項の規定により受けるべき相当の利益の内容は、その職務育成品種の育成により使用者等が受けるべき利益の額、その育成に関連する使用者等の負担及び貢献の程度並びに従業者等の処遇その他の事情を考慮して定めなければならない。
4 第二項後段及び前項の規定は、契約、勤務規則その他の定めにより、職務育成品種について、使用者等が品種登録出願をしたとき(第二項の場合を除く。)、従業者等がした品種登録出願の出願者の名義を使用者等に変更したとき、又は従業者等が品種登録を受けた場合において使用者等に育成者権を承継させ若しくは使用者等のため専用利用権を設定したときについて準用する。
5 使用者等又はその一般承継人は、従業者等又はその承継人が職務育成品種について品種登録を受けたときは、その育成者権について通常利用権を有する。
(先願)
第九条 同一の品種又は特性により明確に区別されない品種について二以上の品種登録出願があったときは、最先の出願者に限り、品種登録を受けることができる。
2 品種登録出願が取り下げられ、又は却下されたときは、その品種登録出願は、前項の規定の適用については、初めからなかったものとみなす。
3 育成者でない者がした品種登録出願は、第一項の規定の適用については、品種登録出願でないものとみなす。
(外国人の権利の享有)
第十条 日本国内に住所及び居所(法人にあっては、営業所)を有しない外国人は、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、育成者権その他育成者権に関する権利を享有することができない。
一 その者の属する国又はその者が住所若しくは居所(法人にあっては、営業所)を有する国が、千九百七十二年十一月十日、千九百七十八年十月二十三日及び千九百九十一年三月十九日にジュネーヴで改正された千九百六十一年十二月二日の植物の新品種の保護に関する国際条約を締結している国(以下「締約国」という。)又は同条約を締結している政府間機関(以下「政府間機関」という。)の構成国(以下「締約国等」と総称する。)である場合
二 その者の属する国又はその者が住所若しくは居所(法人にあっては、営業所)を有する国が、千九百七十二年十一月十日及び千九百七十八年十月二十三日にジュネーヴで改正された千九百六十一年十二月二日の植物の新品種の保護に関する国際条約を締結している国(同条約第三十四条(2)の規定により日本国がその国との関係において同条約を適用することとされている国を含む。以下「同盟国」という。)であり、かつ、その者の出願品種につき品種の育成に関する保護を認める場合(前号に掲げる場合を除く。)
三 その者の属する国が、日本国民に対し品種の育成に関してその国の国民と同一の条件による保護を認める国(その国の国民に対し日本国が育成者権その他育成者権に関する権利の享有を認めることを条件として日本国民に対し当該保護を認める国を含む。)であり、かつ、その者の出願品種につき品種の育成に関する保護を認める場合(前二号に掲げる場合を除く。)
四 前三号に掲げる場合のほか、条約に別段の定めがある場合
(品種登録管理人の品種登録出願手続等)
第十条の二 日本国内に住所及び居所(法人にあっては、営業所)を有しない者(次項において「在外者」という。)は、農林水産省令で定める場合を除き、その者の品種登録に関する代理人であって日本国内に住所又は居所を有するもの(同項において「品種登録管理人」という。)によらなければ、品種登録出願その他品種登録に関する手続(同項において単に「手続」という。)をすることができない。
2 品種登録管理人は、一切の手続について本人を代理する。ただし、在外者が品種登録管理人の代理権の範囲を制限したときは、この限りでない。
(優先権)
第十一条 次の各号に掲げる者は、当該各号に定める場合には、当該出願の時に、農林水産省令で定めるところにより、優先権を主張することができる。
一 締約国、政府間機関又は同盟国に対する品種登録出願に相当する出願(以下「締約国出願」と総称する。)をした者又はその承継人(日本国民、締約国等若しくは同盟国に属する者又は日本国、締約国等若しくは同盟国に住所若しくは居所(法人にあっては、営業所)を有する者に限る。) 締約国出願のうち最先の出願をした日(以下「締約国出願日」という。)の翌日から一年以内に当該締約国出願に係る品種につき品種登録出願をする場合
二 第十条第三号に規定する国であって日本国民に対し日本国と同一の条件により優先権の主張を認めるもの(締約国及び同盟国を除く。以下「特定国」という。)に対する品種登録出願に相当する出願(以下「特定国出願」という。)をした者又はその承継人(日本国民又は当該特定国に属する者に限る。) 特定国出願のうち最先の出願(当該特定国に属する者にあっては、当該特定国出願)をした日(以下「特定国出願日」という。)の翌日から一年以内に当該特定国出願に係る品種につき品種登録出願をする場合
2 出願者が前項の規定により優先権を主張した場合には、締約国出願日又は特定国出願日から品種登録出願をした日までの間にされた当該出願品種と同一の品種又は特性により明確に区別されない品種についての品種登録出願、公表、譲渡その他の行為は、当該品種登録出願についての品種登録を妨げる事由とはならない。
(品種登録出願の補正)
第十二条 農林水産大臣は、次に掲げる場合は、相当の期間を指定して、品種登録出願の補正をすべきことを命ずることができる。
一 品種登録出願がこの法律又はこの法律に基づく命令で定める方式に違反しているとき。
二 出願者が第六条第一項の規定により納付すべき出願料を納付しないとき。
2 農林水産大臣は、前項の規定により品種登録出願の補正をすべきことを命じられた者が同項の規定により指定した期間内にその補正をしないときは、その品種登録出願を却下することができる。
第二節 出願公表
(出願公表)
第十三条 農林水産大臣は、品種登録出願を受理したとき(前条第一項の規定により品種登録出願の補正をすべきことを命じた場合にあっては、その補正が行われたとき)は、遅滞なく、次に掲げる事項を公示して、その品種登録出願について出願公表をしなければならない。
一 品種登録出願の番号及び年月日
二 出願者の氏名又は名称及び住所又は居所
三 出願品種の属する農林水産植物の種類
四 出願品種の名称
五 出願公表の年月日
六 前各号に掲げるもののほか、必要な事項
2 農林水産大臣は、出願公表があった後に、品種登録出願が放棄され、取り下げられ、若しくは却下されたとき、又は品種登録出願が拒絶されたときは、その旨を公示しなければならない。
(出願公表の効果等)
第十四条 出願者は、出願公表があった後に出願品種の内容を記載した書面を提示して警告をしたときは、その警告後品種登録前にその出願品種、当該出願品種と特性により明確に区別されない品種又は当該出願品種が品種登録された場合に第二十条第二項各号に該当することとなる品種を業として利用した者に対し、その出願品種が品種登録を受けた場合にその利用に対し受けるべき金銭の額に相当する額の補償金の支払を請求することができる。当該警告をしない場合においても、出願公表に係る出願品種(当該出願品種と特性により明確に区別されない品種及び当該出願品種が品種登録された場合に同項各号に該当することとなる品種を含む。以下この条において同じ。)であることを知って品種登録前にその出願品種を業として利用した者に対しては、同様とする。
2 前項の規定による請求権は、品種登録があった後でなければ、行使することができない。
3 第一項の規定による請求権の行使は、育成者権の行使を妨げない。
4 出願公表後に品種登録出願が放棄され、取り下げられ、若しくは却下されたとき、品種登録出願が拒絶されたとき、第四十九条第一項第一号若しくは第四号の規定により品種登録が取り消されたとき、品種登録についての審査請求が理由があるとしてこれを取り消す裁決が確定したとき、又は品種登録を取り消し、若しくは無効を確認する判決が確定したときは、第一項の規定による請求権は、初めから生じなかったものとみなす。
5 第三十六条から第三十八条まで及び第四十条から第四十三条まで並びに民法(明治二十九年法律第八十九号)第七百十九条及び第七百二十四条の規定は、第一項の規定による請求権を行使する場合に準用する。この場合において、当該請求権を有する者が品種登録前に当該品種登録出願に係る出願品種の利用の事実及びその利用をした者を知ったときは、同条第一号中「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時」とあるのは、「品種登録の日」と読み替えるものとする。
第三節 審査
(出願品種の審査)
第十五条 農林水産大臣は、出願者に対し、出願品種の審査のために必要な出願品種の植物体の全部又は一部その他の資料の提出を命ずることができる。
2 農林水産大臣は、出願品種の審査をするに当たっては、現地調査又は栽培試験を行うものとする。ただし、出願品種の審査上その必要がないと認められる場合は、この限りでない。
3 農林水産大臣は、関係行政機関、学校その他適当と認める者に対し、前項の規定による現地調査又は栽培試験の実施に関して必要な協力を依頼することができる。
4 栽培試験の項目、試験方法その他第二項の栽培試験の実施に関して必要な事項は、農林水産省令で定める。
(研究機構による現地調査又は栽培試験の実施)
第十五条の二 農林水産大臣は、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(以下「研究機構」という。)に前条第二項の規定による現地調査又は栽培試験を行わせることができる。
2 農林水産大臣は、前項の規定により研究機構に現地調査又は栽培試験を行わせるときは、当該現地調査又は栽培試験を行わないものとする。
3 研究機構は、農林水産大臣の同意を得て、関係行政機関、学校その他適当と認める者に対し、第一項の規定による現地調査又は栽培試験の実施に関して必要な協力を依頼することができる。
4 研究機構は、第一項の規定による現地調査又は栽培試験を行ったときは、遅滞なく、農林水産省令で定めるところにより、当該現地調査又は栽培試験の結果を農林水産大臣に通知しなければならない。
5 農林水産大臣は、第一項の現地調査又は栽培試験の業務の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、研究機構に対し、当該業務に関し必要な命令をすることができる。
(現地調査又は栽培試験に係る手数料)
第十五条の三 出願者は、第十五条第二項又は前条第一項の現地調査又は栽培試験に係る実費を勘案して農林水産省令で定める額の手数料を国(研究機構が同項の規定による現地調査又は栽培試験を行う場合にあっては、研究機構)に納付しなければならない。
2 農林水産大臣又は研究機構は、農林水産省令で定めるところにより、前項の手数料の額を出願者に通知するものとする。
3 第一項の規定により研究機構に納付された手数料は、研究機構の収入とする。
(現地調査又は栽培試験に係る手数料の納付命令)
第十五条の四 農林水産大臣は、出願者が前条第一項の規定により国に納付すべき手数料を納付しないときは、当該出願者に対し、相当の期間を指定して、当該手数料を納付すべきことを命ずることができる。
2 研究機構は、出願者が前条第一項の規定により研究機構に納付すべき手数料を納付しないときは、農林水産大臣にその旨を申し立てることができる。
3 農林水産大臣は、前項の規定による申立てがあったときは、出願者に対し、相当の期間を指定して、研究機構に手数料を納付すべきことを命ずることができる。
(名称の変更命令)
第十六条 農林水産大臣は、出願品種の名称が第四条第一項各号のいずれかに該当するときは、出願者に対し、相当の期間を指定して、出願品種の名称を同項各号のいずれにも該当しない名称に変更すべきことを命ずることができる。
2 農林水産大臣は、出願公表があった後に、前項の規定により名称が変更されたときは、その旨を公示しなければならない。
(品種登録出願の拒絶)
第十七条 農林水産大臣は、品種登録出願が次の各号のいずれかに該当するときは、その品種登録出願について、文書により拒絶しなければならない。
一 その出願品種が、第三条第一項、第四条第二項、第五条第三項、第九条第一項又は第十条の規定により、品種登録をすることができないものであるとき。
二 その出願者が、正当な理由がないのに、第十五条第一項の規定による命令に従わず、同条第二項若しくは第十五条の二第一項の規定による現地調査を拒み、又は第十五条の四第一項若しくは第三項若しくは前条第一項の規定による命令に従わないとき。
2 農林水産大臣は、第十五条の二第一項の規定により研究機構に現地調査又は栽培試験を行わせた場合には、品種登録出願が前項第一号(第三条第一項の規定に係る部分に限る。)に該当するかどうかの判断をするに当たっては、研究機構が第十五条の二第四項の規定により通知する現地調査又は栽培試験の結果を考慮するものとする。
3 農林水産大臣は、第一項の規定により品種登録出願について拒絶しようとするときは、その出願者に対し、拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。
(審査特性の訂正)
第十七条の二 農林水産大臣は、品種登録をするときは、あらかじめ、当該出願品種について審査により特定した特性(以下「審査特性」という。)を出願者に通知しなければならない。
2 前項の規定による通知を受けた出願者は、当該出願品種の審査特性が事実と異なると思料するときは、農林水産省令で定めるところにより、農林水産大臣に対し、当該審査特性の訂正を求めることができる。
3 農林水産大臣は、前項の規定による求めがあったときは、明らかに当該求めに係る事実がないと認める場合を除き、当該審査特性が事実かどうかについて調査を行うものとする。
4 農林水産大臣は、前項の規定による調査の結果、当該審査特性が事実と異なることが判明したときは、当該審査特性の訂正をしなければならない。
5 農林水産大臣は、前項の規定による訂正をしたとき、又は当該訂正をしない旨の決定をしたときは、第二項の規定による求めをした出願者に対し、遅滞なく、その旨(当該訂正をしない旨の決定をしたときは、その理由を含む。)を通知しなければならない。
6 第十五条から第十五条の四までの規定は、第三項の規定による調査について準用する。
7 前条第一項(第二号に係る部分に限る。)の規定は、第二項の規定による訂正の求めについて準用する。この場合において、同号中「第十五条第一項」とあるのは「次条第六項において準用する第十五条第一項」と、「同条第二項」とあるのは「次条第六項において準用する第十五条第二項」と、「第十五条の四第一項」とあるのは「次条第六項において準用する第十五条の四第一項」と読み替えるものとする。
(品種登録)
第十八条 農林水産大臣は、品種登録出願につき第十七条第一項の規定により拒絶する場合を除き、品種登録をしなければならない。
2 品種登録は、品種登録簿に次に掲げる事項を記載してするものとする。
一 品種登録の番号及び年月日
二 品種の属する農林水産植物の種類
三 品種の名称
四 品種の審査特性(前条第四項の規定による訂正をしたときは、当該訂正後のもの)
五 育成者権の存続期間
六 品種登録を受ける者の氏名又は名称及び住所又は居所
七 前各号に掲げるもののほか、農林水産省令で定める事項
3 農林水産大臣は、第一項の規定による品種登録をしたときは、当該品種登録を受けた者に対しその旨を通知するとともに、前項第一号から第六号までに掲げる事項及び農林水産省令で定める事項を公示しなければならない。
第四節 育成者権
(育成者権の発生及び存続期間)
第十九条 育成者権は、品種登録により発生する。
2 育成者権の存続期間は、品種登録の日から二十五年(第四条第二項に規定する品種にあっては、三十年)とする。
(育成者権の効力)
第二十条 育成者権者は、品種登録を受けている品種(以下「登録品種」という。)及び当該登録品種と特性により明確に区別されない品種を業として利用する権利を専有する。ただし、その育成者権について専用利用権を設定したときは、専用利用権者がこれらの品種を利用する権利を専有する範囲については、この限りでない。
2 登録品種の育成者権者は、当該登録品種に係る次に掲げる品種が品種登録された場合にこれらの品種の育成者が当該品種について有することとなる権利と同一の種類の権利を専有する。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。
一 変異体の選抜、戻し交雑、遺伝子組換えその他の農林水産省令で定める方法により、登録品種の主たる特性を保持しつつ特性の一部を変化させて育成され、かつ、特性により当該登録品種と明確に区別できる品種
二 その品種の繁殖のため常に登録品種の植物体を交雑させる必要がある品種
3 登録品種が、前項第一号の農林水産省令で定める方法により、当該登録品種以外の品種の主たる特性を保持しつつ特性の一部を変化させて育成された品種である場合における同項及び次条第二項の規定の適用については、前項中「次に」とあるのは「第二号に」と、同条第二項中「前条第二項各号」とあるのは「前条第二項第二号」とする。
(育成者権の効力が及ばない範囲)
第二十一条 育成者権の効力は、次に掲げる行為には、及ばない。
一 新品種の育成その他の試験又は研究のためにする品種の利用
二 登録品種(登録品種と特性により明確に区別されない品種を含む。以下この項において同じ。)の育成をする方法についての特許権を有する者又はその特許につき専用実施権若しくは通常実施権を有する者が当該特許に係る方法により登録品種の種苗を生産し、又は当該種苗を調整し、譲渡の申出をし、譲渡し、輸出し、輸入し、若しくはこれらの行為をする目的をもって保管する行為
三 前号の特許権の消滅後において、同号の特許に係る方法により登録品種の種苗を生産し、又は当該種苗を調整し、譲渡の申出をし、譲渡し、輸出し、輸入し、若しくはこれらの行為をする目的をもって保管する行為
四 前二号の種苗を用いることにより得られる収穫物を生産し、譲渡若しくは貸渡しの申出をし、譲渡し、貸し渡し、輸出し、輸入し、又はこれらの行為をする目的をもって保管する行為
五 前号の収穫物に係る加工品を生産し、譲渡若しくは貸渡しの申出をし、譲渡し、貸し渡し、輸出し、輸入し、又はこれらの行為をする目的をもって保管する行為
2 育成者権者、専用利用権者若しくは通常利用権者の行為又は前項各号に掲げる行為により登録品種、登録品種と特性により明確に区別されない品種及び登録品種に係る前条第二項各号に掲げる品種(以下「登録品種等」と総称する。)の種苗、収穫物又は加工品が譲渡されたときは、当該登録品種の育成者権の効力は、その譲渡された種苗、収穫物又は加工品の利用には及ばない。ただし、当該登録品種等の種苗を生産する行為、当該登録品種につき品種の育成に関する保護を認めていない国に対し種苗を輸出する行為及び当該国に対し最終消費以外の目的をもって収穫物を輸出する行為については、この限りでない。
(育成者権の効力が及ばない範囲の特例)
第二十一条の二 品種登録を受けようとする者は、次の各号に掲げる場合において、当該品種登録に係る育成者権の適切な行使を確保するため、農林水産省令で定めるところにより、品種登録出願と同時に当該各号に定める事項を農林水産大臣に届け出ることができる。
一 出願品種の保護が図られないおそれがある国への当該出願品種の種苗の流出を防止しようとする場合 次に掲げる事項
イ 出願者が当該出願品種の保護が図られないおそれがない国として指定する国(前条第二項ただし書に規定する国を除く。以下「指定国」という。)
ロ 前条第二項ただし書に規定する国以外の国であって指定国以外の国に対し種苗を輸出する行為及び当該国に対し最終消費以外の目的をもって収穫物を輸出する行為を制限する旨
二 出願品種の産地を形成しようとする場合 次に掲げる事項
イ 出願者が当該出願品種の産地を形成しようとする地域として指定する地域(以下「指定地域」という。)
ロ 指定地域以外の地域において種苗を用いることにより得られる収穫物を生産する行為を制限する旨
2 前項の規定による届出をした者(その承継人を含む。次条第一項及び第二項並びに第二十一条の四第一項及び第二項において同じ。)は、次項の規定による公示(第十三条第一項の規定による公示と併せてされたものに限る。)前に限り、当該届出に係る指定国又は指定地域の指定の全部又は一部を取り消す旨を農林水産大臣に届け出ることができる。
3 農林水産大臣は、第一項の規定による届出があった場合には、第十三条第一項又は第十八条第三項の規定による公示の際、これらの公示と併せて、それぞれ第十三条第一項第一号から第四号までに掲げる事項及び当該届出に係る事項(前項の規定による届出があった場合には、当該届出に係る変更後の事項。以下この項及び次項並びに第二十一条の四第三項において同じ。)又は第十八条第二項第一号から第三号まで及び第六号に掲げる事項並びに当該届出に係る事項を公示しなければならない。
4 農林水産大臣は、前項の規定による公示(第十八条第三項の規定による公示と併せてされたものに限る。)をした場合には、品種登録簿に第一項の規定による届出に係る事項及び当該公示をした年月日を記載するものとする。
5 登録品種の種苗を業として譲渡する者は、農林水産大臣が前項に規定する公示をした日の翌日以後は、当該公示に係る登録品種の種苗を譲渡する場合には、その譲渡する種苗又はその種苗の包装に、第五十五条第一項の規定による表示に加え、農林水産省令で定めるところにより、その種苗が第一項第一号ロ又は第二号ロに規定する制限が付されている旨及び当該制限の内容について当該公示がされている旨の表示を付さなければならない。
6 登録品種の種苗の譲渡のための展示又は広告を業として行う者は、農林水産大臣が第四項に規定する公示をした日の翌日以後は、当該公示に係る登録品種の種苗の譲渡のための展示をする場合にはその展示をする種苗又はその種苗の包装に、当該公示に係る登録品種の種苗の譲渡のための広告をする場合にはその広告に、第五十五条第二項の規定による表示に加え、農林水産省令で定めるところにより、それぞれその種苗が第一項第一号ロ若しくは第二号ロに規定する制限が付されている旨及び当該制限の内容について当該公示がされている旨の表示を付し、又はこれらを表示しなければならない。
7 農林水産大臣が第四項に規定する公示をした日の翌日以後は、前条第二項本文の規定にかかわらず、育成者権の効力は、当該公示に係る登録品種等についての第一項第一号ロ又は第二号ロに規定する行為(以下「輸出等の行為」という。)には及ぶものとする。
(指定国又は指定地域の追加)
第二十一条の三 前条第一項の規定による届出をした者は、同条第四項に規定する公示がされた後において、当該登録品種について指定国又は指定地域を追加する必要があると認めるときは、農林水産省令で定めるところにより、指定国又は指定地域を追加する旨を農林水産大臣に届け出ることができる。
2 前項の規定による届出をした者は、次項の規定による公示前に限り、当該届出に係る指定国又は指定地域の追加の全部又は一部を取り消す旨を農林水産大臣に届け出ることができる。
3 農林水産大臣は、第一項の規定による届出があった場合(前項の規定による指定国又は指定地域の追加の全部を取り消す旨の届出があった場合を除く。)には、当該登録品種に係る第十八条第二項第一号から第三号まで及び第六号に掲げる事項並びに当該届出に係る事項(前項の規定による届出があった場合には、当該届出に係る変更後の事項。次項及び次条第三項において同じ。)を公示しなければならない。
4 農林水産大臣は、前項の規定による公示をした場合には、品種登録簿に第一項の規定による届出に係る事項及び当該公示をした年月日を記載するものとする。
5 農林水産大臣が第三項の規定による公示をした日の翌日以後は、当該公示に係る登録品種等について追加された指定国又は指定地域に係る輸出等の行為については、前条第七項の規定は、適用しない。
(届出の取下げ)
第二十一条の四 第二十一条の二第一項の規定による届出をした者は、同条第四項に規定する公示がされた後において、当該登録品種について輸出等の行為に係る制限をする必要がなくなったと認めるときは、農林水産省令で定めるところにより、当該届出を取り下げる旨を農林水産大臣に届け出ることができる。
2 前項の規定による届出をした者は、次項の規定による公示前に限り、当該届出を取り下げる旨を農林水産大臣に届け出ることができる。
3 農林水産大臣は、第一項の規定による届出があった場合(前項の規定による届出があった場合を除く。)には、当該登録品種に係る第十八条第二項第一号から第三号まで及び第六号に掲げる事項、第二十一条の二第一項の規定による届出に係る事項(前条第一項の規定による届出に係る事項を含む。)並びに第二十一条の二第一項の規定による届出が取り下げられた旨を公示しなければならない。
4 農林水産大臣は、前項の規定による公示をした場合には、品種登録簿に第二十一条の二第一項の規定による届出が取り下げられた旨及び当該公示をした年月日を記載するものとする。
5 農林水産大臣が第三項の規定による公示をした日の翌日以後は、当該公示に係る登録品種の種苗についての表示については、第二十一条の二第五項及び第六項の規定は、適用しない。
6 農林水産大臣が第三項の規定による公示をした日の翌日以後は、当該公示に係る登録品種等についての輸出等の行為については、第二十一条の二第七項の規定は、適用しない。
(名称を使用する義務等)
第二十二条 登録品種(登録品種であった品種を含む。以下この条において同じ。)の種苗を業として譲渡の申出をし、又は譲渡する場合には、当該登録品種の名称(第四十八条第二項の規定により名称が変更された場合にあっては、その変更後の名称)を使用しなければならない。
2 登録品種が属する農林水産植物の種類又はこれと類似の農林水産植物の種類として農林水産省令で定めるものに属する当該登録品種以外の品種の種苗を業として譲渡の申出をし、又は譲渡する場合には、当該登録品種の名称を使用してはならない。
(共有に係る育成者権)
第二十三条 育成者権が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡し、又はその持分を目的として質権を設定することができない。
2 育成者権が共有に係るときは、各共有者は、契約で別段の定めをした場合を除き、他の共有者の同意を得ないでその登録品種等を利用することができる。
3 育成者権が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その育成者権について専用利用権を設定し、又は他人に通常利用権を許諾することができない。
(法人が解散した場合等における育成者権の消滅)
第二十四条 育成者権は、次に掲げる場合には、消滅する。
一 育成者権者である法人が解散した場合において、その育成者権が一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第二百三十九条第三項その他これに準ずる法律の規定により国庫に帰属すべきこととなるとき。
二 育成者権者である個人が死亡した場合において、その育成者権が民法第九百五十九条の規定により国庫に帰属すべきこととなるとき。
(専用利用権)
第二十五条 育成者権者は、その育成者権について専用利用権を設定することができる。
2 専用利用権者は、設定行為で定めた範囲内において、業としてその登録品種等を利用する権利を専有する。
3 専用利用権は、品種の利用の事業とともにする場合、育成者権者の承諾を得た場合及び相続その他の一般承継の場合に限り、移転することができる。
4 専用利用権者は、育成者権者の承諾を得た場合に限り、その専用利用権について質権を設定し、又は他人に通常利用権を許諾することができる。
5 第二十三条の規定は、専用利用権に準用する。
(通常利用権)
第二十六条 育成者権者は、その育成者権について他人に通常利用権を許諾することができる。
2 通常利用権者は、この法律の規定により又は設定行為で定めた範囲内において、業としてその登録品種等を利用する権利を有する。
(先育成による通常利用権)
第二十七条 登録品種の育成をした者よりも先に当該登録品種と同一の品種又は特性により明確に区別されない品種の育成をした者は、その登録品種に係る育成者権について通常利用権を有する。
(裁定)
第二十八条 登録品種等の利用が継続して二年以上日本国内において適当にされていないとき、又は登録品種等の利用が公共の利益のため特に必要であるときは、当該登録品種等につき業として利用しようとする者は、当該登録品種の育成者権者又は専用利用権者に対し通常利用権の許諾につき協議を求めることができる。
2 前項の協議が成立せず、又は協議をすることができないときは、同項に規定する者は、農林水産大臣の裁定を申請することができる。
3 農林水産大臣は、前項の規定による申請があったときは、その旨を公示するとともに、当該申請に係る育成者権者又は専用利用権者その他その登録品種に関し登録した権利を有する者に対し、文書をもって通知し、相当の期間を指定して、意見を述べる機会を与えなければならない。
4 第二項の規定による申請があったときは、その登録品種の通常利用権者は、前項に規定する期間内に限り、意見を述べることができる。
5 農林水産大臣は、登録品種等につき利用がされることが公共の利益のため特に必要である場合を除き、当該登録品種等につき利用が適当にされていないことについて正当な理由がある場合は、通常利用権を設定すべき旨の裁定をしてはならない。
6 農林水産大臣は、第二項の裁定をしようとするときは、農業資材審議会の意見を聴かなければならない。
7 通常利用権を設定すべき旨の裁定においては、通常利用権を設定すべき範囲並びに対価及びその支払の方法を定めなければならない。
8 農林水産大臣は、第二項の裁定をしたときは、その旨を当事者、当事者以外の者であってその登録品種に関し登録した権利を有するもの及び第四項の規定により意見を述べた通常利用権者に通知しなければならない。
9 前項の規定により当事者に第七項に規定する裁定の通知があったときは、当該裁定で定めるところにより、当事者間に協議が成立したものとみなす。
(通常利用権の移転等)
第二十九条 通常利用権は、前条第二項の裁定による通常利用権を除き、品種の利用の事業とともにする場合、育成者権者(専用利用権についての通常利用権にあっては、育成者権者及び専用利用権者。次項において同じ。)の承諾を得た場合及び相続その他の一般承継の場合に限り、移転することができる。
2 通常利用権者は、前条第二項の裁定による通常利用権を除き、育成者権者の承諾を得た場合に限り、その通常利用権について質権を設定することができる。
3 前条第二項の裁定による通常利用権は、品種の利用の事業とともにする場合に限り、移転することができる。
4 第二十三条第一項及び第二項の規定は、通常利用権に準用する。
(質権)
第三十条 育成者権、専用利用権又は通常利用権を目的として質権を設定したときは、質権者は、契約で別段の定めをした場合を除き、当該登録品種等を利用することができない。
2 育成者権、専用利用権又は通常利用権を目的とする質権は、育成者権、専用利用権若しくは通常利用権の対価又は登録品種等の利用に対しその育成者権者若しくは専用利用権者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行うことができる。ただし、その払渡し又は引渡し前に差押えをしなければならない。
(育成者権等の放棄)
第三十一条 育成者権者は、専用利用権者、質権者又は第八条第五項、第二十五条第四項若しくは第二十六条第一項の規定による通常利用権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、その育成者権を放棄することができる。
2 専用利用権者は、質権者又は第二十五条第四項の規定による通常利用権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、その専用利用権を放棄することができる。
3 通常利用権者は、質権者があるときは、その承諾を得た場合に限り、その通常利用権を放棄することができる。
(登録の効果)
第三十二条 次に掲げる事項は、登録しなければ、その効力を生じない。
一 育成者権の移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)、放棄による消滅又は処分の制限
二 専用利用権の設定、移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)、変更、消滅(混同又は育成者権の消滅によるものを除く。)又は処分の制限
三 育成者権又は専用利用権を目的とする質権の設定、移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)、変更、消滅(混同又は担保する債権の消滅によるものを除く。)又は処分の制限
2 前項各号の相続その他の一般承継の場合は、遅滞なく、農林水産省令で定めるところにより、その旨を農林水産大臣に届け出なければならない。
(通常利用権の対抗力)
第三十二条の二 通常利用権は、その発生後にその育成者権若しくは専用利用権又はその育成者権についての専用利用権を取得した者に対しても、その効力を有する。
第五節 権利侵害
(差止請求権)
第三十三条 育成者権者又は専用利用権者は、自己の育成者権又は専用利用権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2 育成者権者又は専用利用権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した種苗、収穫物若しくは加工品又は侵害の行為に供した物の廃棄その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。
(損害の額の推定等)
第三十四条 育成者権者又は専用利用権者が故意又は過失により自己の育成者権又は専用利用権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為を組成した種苗、収穫物又は加工品を譲渡したときは、その譲渡した種苗、収穫物又は加工品の数量(以下この項において「譲渡数量」という。)に、育成者権者又は専用利用権者がその侵害の行為がなければ販売することができた種苗、収穫物又は加工品の単位数量当たりの利益の額を乗じて得た額を、育成者権者又は専用利用権者の利用の能力に応じた額を超えない限度において、育成者権者又は専用利用権者が受けた損害の額とすることができる。ただし、譲渡数量の全部又は一部に相当する数量を育成者権者又は専用利用権者が販売することができないとする事情があるときは、当該事情に相当する数量に応じた額を控除するものとする。
2 育成者権者又は専用利用権者が故意又は過失により自己の育成者権又は専用利用権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額は、育成者権者又は専用利用権者が受けた損害の額と推定する。
3 育成者権者又は専用利用権者は、故意又は過失により自己の育成者権又は専用利用権を侵害した者に対し、その登録品種等の利用に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を、自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる。
4 前項の規定は、同項に規定する金額を超える損害の賠償の請求を妨げない。この場合において、育成者権又は専用利用権を侵害した者に故意又は重大な過失がなかったときは、裁判所は、損害の賠償の額を定めるについて、これを参酌することができる。
(過失の推定)
第三十五条 他人の育成者権又は専用利用権を侵害した者は、その侵害の行為について過失があったものと推定する。
(登録品種と特性により明確に区別されない品種の推定)
第三十五条の二 品種登録簿に記載された登録品種の審査特性により明確に区別されない品種は、当該登録品種と特性により明確に区別されない品種と推定する。
(判定)
第三十五条の三 登録品種について利害関係を有する者は、ある品種が品種登録簿に記載された当該登録品種の審査特性により当該登録品種と明確に区別されない品種であるかどうかについて、農林水産省令で定めるところにより、農林水産大臣の判定を求めることができる。
2 農林水産大臣は、前項の規定による求めがあったときは、必要な調査を行った上で判定を行い、当該求めをした者及び当該登録品種の育成者権者に対し、その結果を通知するものとする。
3 第十五条から第十五条の四までの規定は、前項の調査について準用する。
4 第三条第二項の規定は第二項の判定について、第十七条第一項(第二号に係る部分に限る。)の規定は第一項の規定による判定の求めについて、それぞれ準用する。この場合において、同号中「第十五条第一項」とあるのは「第三十五条の三第三項において準用する第十五条第一項」と、「同条第二項」とあるのは「第三十五条の三第三項において準用する第十五条第二項」と、「第十五条の四第一項」とあるのは「第三十五条の三第三項において準用する第十五条の四第一項」と読み替えるものとする。
(具体的態様の明示義務)
第三十六条 育成者権又は専用利用権の侵害に係る訴訟において、育成者権者又は専用利用権者が侵害の行為を組成したものとして主張する種苗、収穫物又は加工品の具体的態様を否認するときは、相手方は、自己の行為の具体的態様を明らかにしなければならない。ただし、相手方において明らかにすることができない相当の理由があるときは、この限りでない。
(書類の提出等)
第三十七条 裁判所は、育成者権又は専用利用権の侵害に係る訴訟においては、当事者の申立てにより、当事者に対し、当該侵害の行為について立証するため、又は当該侵害の行為による損害の計算をするため必要な書類の提出を命ずることができる。ただし、その書類の所持者においてその提出を拒むことについて正当な理由があるときは、この限りでない。
2 裁判所は、前項本文の申立てに係る書類が同項本文の書類に該当するかどうか又は同項ただし書に規定する正当な理由があるかどうかの判断をするため必要があると認めるときは、書類の所持者にその提示をさせることができる。この場合においては、何人も、その提示された書類の開示を求めることができない。
3 裁判所は、前項の場合において、第一項本文の申立てに係る書類が同項本文の書類に該当するかどうか又は同項ただし書に規定する正当な理由があるかどうかについて前項後段の書類を開示してその意見を聴くことが必要であると認めるときは、当事者等(当事者(法人である場合にあっては、その代表者)又は当事者の代理人(訴訟代理人及び補佐人を除く。)、使用人その他の従業者をいう。以下同じ。)、訴訟代理人又は補佐人に対し、当該書類を開示することができる。
4 裁判所は、第二項の場合において、同項後段の書類を開示して専門的な知見に基づく説明を聴くことが必要であると認めるときは、当事者の同意を得て、民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第一編第五章第二節第一款に規定する専門委員に対し、当該書類を開示することができる。
5 前各項の規定は、育成者権又は専用利用権の侵害に係る訴訟における当該侵害の行為について立証するため必要な検証の目的の提示について準用する。
(損害計算のための鑑定)
第三十八条 育成者権又は専用利用権の侵害に係る訴訟において、当事者の申立てにより、裁判所が当該侵害の行為による損害の計算をするため必要な事項について鑑定を命じたときは、当事者は、鑑定人に対し、当該鑑定をするため必要な事項について説明しなければならない。
(相当な損害額の認定)
第三十九条 育成者権又は専用利用権の侵害に係る訴訟において、損害が生じたことが認められる場合において、損害額を立証するために必要な事実を立証することが当該事実の性質上極めて困難であるときは、裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定することができる。
(秘密保持命令)
第四十条 裁判所は、育成者権又は専用利用権の侵害に係る訴訟において、その当事者が保有する営業秘密(不正競争防止法(平成五年法律第四十七号)第二条第六項に規定する営業秘密をいう。以下同じ。)について、次に掲げる事由のいずれにも該当することにつき疎明があった場合には、当事者の申立てにより、決定で、当事者等、訴訟代理人又は補佐人に対し、当該営業秘密を当該訴訟の追行の目的以外の目的で使用し、又は当該営業秘密に係るこの項の規定による命令を受けた者以外の者に開示してはならない旨を命ずることができる。ただし、その申立ての時までに当事者等、訴訟代理人又は補佐人が第一号に規定する準備書面の閲読又は同号に規定する証拠の取調べ若しくは開示以外の方法により当該営業秘密を取得し、又は保有していた場合は、この限りでない。
一 既に提出され若しくは提出されるべき準備書面に当事者の保有する営業秘密が記載され、又は既に取り調べられ若しくは取り調べられるべき証拠(第三十七条第三項の規定により開示された書類又は第四十三条第四項の規定により開示された書面を含む。)の内容に当事者の保有する営業秘密が含まれること。
二 前号の営業秘密が当該訴訟の追行の目的以外の目的で使用され、又は当該営業秘密が開示されることにより、当該営業秘密に基づく当事者の事業活動に支障を生ずるおそれがあり、これを防止するため当該営業秘密の使用又は開示を制限する必要があること。
2 前項の規定による命令(以下「秘密保持命令」という。)の申立ては、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
一 秘密保持命令を受けるべき者
二 秘密保持命令の対象となるべき営業秘密を特定するに足りる事実
三 前項各号に掲げる事由に該当する事実
3 秘密保持命令が発せられた場合には、その決定書を秘密保持命令を受けた者に送達しなければならない。
4 秘密保持命令は、秘密保持命令を受けた者に対する決定書の送達がされた時から、効力を生ずる。
5 秘密保持命令の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
(秘密保持命令の取消し)
第四十一条 秘密保持命令の申立てをした者又は秘密保持命令を受けた者は、訴訟記録の存する裁判所(訴訟記録の存する裁判所がない場合にあっては、秘密保持命令を発した裁判所)に対し、前条第一項に規定する要件を欠くこと又はこれを欠くに至ったことを理由として、秘密保持命令の取消しの申立てをすることができる。
2 秘密保持命令の取消しの申立てについての裁判があった場合には、その決定書をその申立てをした者及び相手方に送達しなければならない。
3 秘密保持命令の取消しの申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
4 秘密保持命令を取り消す裁判は、確定しなければその効力を生じない。
5 裁判所は、秘密保持命令を取り消す裁判をした場合において、秘密保持命令の取消しの申立てをした者又は相手方以外に当該秘密保持命令が発せられた訴訟において当該営業秘密に係る秘密保持命令を受けている者があるときは、その者に対し、直ちに、秘密保持命令を取り消す裁判をした旨を通知しなければならない。
(訴訟記録の閲覧等の請求の通知等)
第四十二条 秘密保持命令が発せられた訴訟(全ての秘密保持命令が取り消された訴訟を除く。)に係る訴訟記録につき、民事訴訟法第九十二条第一項の決定があった場合において、当事者から同項に規定する秘密記載部分の閲覧等の請求があり、かつ、その請求の手続を行った者が当該訴訟において秘密保持命令を受けていない者であるときは、裁判所書記官は、同項の申立てをした当事者(その請求をした者を除く。第三項において同じ。)に対し、その請求後直ちに、その請求があった旨を通知しなければならない。
2 前項の場合において、裁判所書記官は、同項の請求があった日から二週間を経過する日までの間(その請求の手続を行った者に対する秘密保持命令の申立てがその日までにされた場合にあっては、その申立てについての裁判が確定するまでの間)、その請求の手続を行った者に同項の秘密記載部分の閲覧等をさせてはならない。
3 前二項の規定は、第一項の請求をした者に同項の秘密記載部分の閲覧等をさせることについて民事訴訟法第九十二条第一項の申立てをした当事者の全ての同意があるときは、適用しない。
(当事者尋問等の公開停止)
第四十三条 育成者権又は専用利用権の侵害に係る訴訟における当事者等が、その侵害の有無についての判断の基礎となる事項であって当事者の保有する営業秘密に該当するものについて、当事者本人若しくは法定代理人又は証人として尋問を受ける場合においては、裁判所は、裁判官の全員一致により、その当事者等が公開の法廷で当該事項について陳述をすることにより当該営業秘密に基づく当事者の事業活動に著しい支障を生ずることが明らかであることから当該事項について十分な陳述をすることができず、かつ、当該陳述を欠くことにより他の証拠のみによっては当該事項を判断の基礎とすべき育成者権又は専用利用権の侵害の有無についての適正な裁判をすることができないと認めるときは、決定で、当該事項の尋問を公開しないで行うことができる。
2 裁判所は、前項の決定をするに当たっては、あらかじめ、当事者等の意見を聴かなければならない。
3 裁判所は、前項の場合において、必要があると認めるときは、当事者等にその陳述すべき事項の要領を記載した書面の提示をさせることができる。この場合においては、何人も、その提示された書面の開示を求めることができない。
4 裁判所は、前項後段の書面を開示してその意見を聴くことが必要であると認めるときは、当事者等、訴訟代理人又は補佐人に対し、当該書面を開示することができる。
5 裁判所は、第一項の規定により当該事項の尋問を公開しないで行うときは、公衆を退廷させる前に、その旨を理由とともに言い渡さなければならない。当該事項の尋問が終了したときは、再び公衆を入廷させなければならない。
(信用回復の措置)
第四十四条 故意又は過失により育成者権又は専用利用権を侵害したことにより育成者権者又は専用利用権者の業務上の信用を害した者に対しては、裁判所は、育成者権者又は専用利用権者の請求により、損害の賠償に代え、又は損害の賠償とともに、育成者権者又は専用利用権者の業務上の信用を回復するのに必要な措置を命ずることができる。
第六節 品種登録の維持及び取消し
(登録料)
第四十五条 育成者権者は、第十九条第二項に規定する存続期間の満了までの各年について、一件ごとに、三万円を超えない範囲内で農林水産省令で定める額の登録料を納付しなければならない。
2 前項の規定は、育成者権者が国であるときは、適用しない。
3 第一項の登録料は、育成者権が国と国以外の者との共有に係る場合であって持分の定めがあるときは、同項の規定にかかわらず、同項の農林水産省令で定める登録料の額に国以外の者の持分の割合を乗じて得た額とし、国以外の者がその額を納付しなければならない。
4 前項の規定により算定した登録料の額に十円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。
5 第一項の規定による第一年分の登録料は、第十八条第三項の規定による公示があった日から三十日以内に納付しなければならない。
6 第一項の規定による第二年以後の各年分の登録料は、前年以前に納付しなければならない。
7 前項に規定する期間内に登録料を納付することができないときは、その期間が経過した後であっても、その期間の経過後六月以内にその登録料を追納することができる。
8 前項の規定により登録料を追納する育成者権者は、第一項の規定により納付すべき登録料のほか、その登録料と同額の割増登録料を納付しなければならない。
(利害関係人による登録料の納付)
第四十六条 利害関係人は、育成者権者の意に反しても、登録料を納付することができる。
2 前項の規定により登録料を納付した利害関係人は、育成者権者が現に利益を受ける限度においてその費用の償還を請求することができる。
(登録品種の調査)
第四十七条 農林水産大臣は、登録品種の特性が保持されているかどうかについて調査の必要があると認める場合は、育成者権者又は専用利用権者に対し登録品種の植物体の全部又は一部その他の資料の提出を命ずることができる。
2 農林水産大臣は、前項に規定する場合には、現地調査又は栽培試験を行うものとする。
3 第十五条第三項及び第四項並びに第十五条の二の規定は、前項の現地調査又は栽培試験について準用する。
(登録品種の名称の変更)
第四十八条 農林水産大臣は、登録品種の名称が第四条第一項第二号から第四号までのいずれかに該当する場合であることが判明したときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、育成者権者に対し、相当の期間を指定して、当該登録品種について同項各号のいずれにも該当しない名称を提出すべきことを命ずることができる。
2 農林水産大臣は、前項の規定により第四条第一項各号のいずれにも該当しない名称が提出されたときは、品種登録簿に記載して当該登録品種の名称をその提出された名称に変更しなければならない。
3 農林水産大臣は、前項の規定により登録品種の名称を変更したときは、その旨を、当該登録品種の育成者権者に通知するとともに、公示しなければならない。
(品種登録の取消し)
第四十九条 農林水産大臣は、次に掲げる場合には、品種登録を取り消さなければならない。
一 その品種登録が第三条第一項、第四条第二項、第五条第三項、第九条第一項又は第十条の規定に違反してされたことが判明したとき。
二 品種登録がされた後において、登録品種が第三条第一項第二号又は第三号に掲げる要件を備えなくなったことが判明したとき。
三 品種登録がされた後において、育成者権者が第十条の規定により育成者権を享有することができない者になったとき。
四 第四十五条第五項に規定する期間内に第一年分の登録料が納付されないとき。
五 第四十五条第七項に規定する期間内に登録料及び割増登録料が納付されないとき。
六 第四十七条第一項の規定により資料の提出を命じられた者が正当な理由なく命令に従わないとき。
七 前条第一項の規定により登録品種の名称の提出を命じられた者が正当な理由なく命令に従わないとき。
2 前項第一号から第三号まで、第六号又は第七号の規定による品種登録の取消しに係る聴聞を行うに当たっては、当該品種登録に係る育成者権に係る専用利用権者その他登録した権利を有する者に対し、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第十五条第一項の規定による通知をするとともに、聴聞を行うべき期日までに相当な期間をおいて、聴聞の期日及び場所を公示しなければならない。
3 前項の聴聞の主宰者は、同項に規定する者又は同項の品種登録に係る育成者権に係る通常利用権者が当該聴聞に関する手続に参加することを求めたときは、行政手続法第十七条第一項の規定による参加の許可をしなければならない。
4 育成者権は、第一項の規定により品種登録が取り消されたときは、消滅する。ただし、次の各号に掲げる場合は、育成者権は、当該各号に定める時に遡って消滅したものとみなす。
一 第一項第一号又は第四号に該当する場合 品種登録の時
二 第一項第三号に該当する場合 同号に該当するに至った時
三 第一項第五号に該当する場合 第四十五条第六項に規定する期間が経過した時
5 農林水産大臣は、第一項の規定による品種登録の取消しをしたときは、その旨を、当該品種登録に係る育成者権者に通知するとともに、公示しなければならない。
6 第一項第四号又は第五号の規定による品種登録の取消しについては、行政手続法第三章(第十二条及び第十四条を除く。)の規定は、適用しない。
第七節 雑則
(在外者の裁判籍)
第五十条 日本国内に住所及び居所(法人にあっては、営業所)を有しない者の育成者権その他育成者権に関する権利については、農林水産省の所在地をもって民事訴訟法第五条第四号の財産の所在地とみなす。
(品種登録についての審査請求の特則)
第五十一条 品種登録についての審査請求については、行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)第十八条の規定は、適用しない。
2 品種登録についての審査請求の審理を行うに当たっては、相当な期間をおいて、その旨を、当該品種登録に係る育成者権者又は専用利用権者その他登録した権利を有する者に通知をし、かつ、公示しなければならない。
3 行政不服審査法第十一条第二項に規定する審理員は、前項の規定により通知を受けた者又は同項の品種登録に係る育成者権に係る通常利用権者が当該審査請求に参加することを求めたときは、これを許可しなければならない。
(品種登録簿への登録等)
第五十二条 次に掲げる事項は、農林水産省に備える品種登録簿に登録する。
一 育成者権の設定、移転、消滅又は処分の制限
二 専用利用権の設定、保存、移転、変更、消滅又は処分の制限
三 育成者権又は専用利用権を目的とする質権の設定、移転、変更、消滅又は処分の制限
2 この法律に定めるもののほか、品種登録及び品種登録簿に関して必要な事項は、農林水産省令で定める。
(証明等の請求)
第五十三条 何人も、農林水産大臣に対し、農林水産省令で定めるところにより、次に掲げる請求をすることができる。
一 品種登録出願及び登録品種に関する証明の請求
二 品種登録簿の謄本又は抄本の交付の請求
三 品種登録簿又は第五条第一項の願書若しくはこれに添付した写真その他の資料(農林水産大臣が秘密を保持する必要があると認めるものを除く。)の閲覧又は謄写の請求
2 品種登録簿又は第五条第一項の願書若しくはこれに添付した写真その他の資料(次項において「品種登録簿等」という。)については、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)の規定は、適用しない。
3 品種登録簿等に記録されている保有個人情報(個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)第六十条第一項に規定する保有個人情報をいう。)については、同法第五章第四節の規定は、適用しない。
(手数料)
第五十四条 前条第一項の規定による請求をする者は、実費を勘案して農林水産省令で定める額の手数料を納付しなければならない。
2 前項の規定は、同項の規定により手数料を納付すべき者が国であるときは、適用しない。
(品種登録表示)
第五十五条 登録品種の種苗を業として譲渡する者は、その譲渡する登録品種の種苗又はその種苗の包装に、農林水産省令で定めるところにより、その種苗が品種登録されている旨の表示を付さなければならない。
2 登録品種の種苗の譲渡のための展示又は広告を業として行う者は、農林水産省令で定めるところにより、登録品種の種苗の譲渡のための展示をする場合にはその展示をする種苗又はその種苗の包装にその種苗が品種登録されている旨の表示を付し、登録品種の種苗の譲渡のための広告をする場合にはその広告にその旨を表示しなければならない。
(虚偽表示の禁止)
第五十六条 何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
一 登録品種以外の品種の種苗又はその種苗の包装にその種苗が品種登録されている旨の表示又はこれと紛らわしい表示を付する行為
二 登録品種以外の品種の種苗であって、その種苗又はその種苗の包装にその種苗が品種登録されている旨の表示又はこれと紛らわしい表示を付したものの譲渡又は譲渡のための展示をする行為
三 登録品種以外の品種の種苗を譲渡するため、広告にその種苗が品種登録されている旨を表示し、又はこれと紛らわしい表示をする行為
(条約の効力)
第五十七条 新品種の保護に関し条約に別段の定めがあるときは、その規定による。
(公示等)
第五十七条の二 この法律の規定による公示は、官報に掲載してするものとする。
2 農林水産大臣は、この法律の規定による公示をしたときは、当該公示をした年月日及びその内容をインターネットの利用その他の方法により公表するものとする。
商標登録insideNews:「改正種苗法」施行 海外へ持ち出し禁止品種を公表 農水省 | NHKニュース
種苗法と商標法の関係🌱