商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#104

特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。

本願商標「NAOSIA」×「なおしや」「治し家」

1.出願番号  商願2016-85614
2.商  標「NAOSIA」
3.商品区分  第41類、第44類
4.適用条文商標法第4条1項11号
5.拒絶理由 「NAOSIA」は、(1) 登録第4813200号「なおしや/又兵衛/MATABEE」…引用商標1、(2) 登録第4813201号「なおしや/又兵衛/MATABEE/NEW/CRAFTMAN/SPIRIT」…引用商標2、(3) 登録第5487333号「治し家」…引用商標3、と類似する。

拒絶理由通知
出願商標・商標登録第5976996号
拒絶理由通知
引例商標1・商標登録第4813200号
引用商標2・商標登録第4813201号
引例商標3・商標登録第5487333号

拒絶理由通知 意見書における反論

【意見の内容】
(A)理由1について
 拒絶理由通知書の理由1において、審査官殿は、本願の指定に係る指定役務中には、医師でない出願人が業として行うことが禁止されている役務「医業」を含むものであり、また、歯科医師でない出願人が業として行うことが禁止されている役務「歯科医業」を含むものであり、また、薬剤師、医師、歯科医師でない出願人が業として行うことが禁止されている役務「調剤」を含むものであるから、本願商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しないと指摘されました。この指摘に対し、本出願人は本日付けで手続補正書を提出し、第44類の指定役務中より、ご指摘の役務である「医業」、「歯科医業」及び「調剤」を削除する補正を行いました。これにより、この理由1に関しては、最早拒絶の理由がなくなったものと思料します。
(B)理由2について
(1)拒絶理由通知書の理由2において、審査官殿は、本願商標「NAOSIA」は、以下の登録商標と同一又は類似であって、その商標登録に係る指定役務と同一又は類似の役務について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当すると認定されました。
1 登録第4813200号(商願2004-013648)「なおしや/又兵衛/MATABEE」…引用商標1
2 登録第4813201号(商願2004-013649)「なおしや/又兵衛/MATABEE/NEW/CRAFTMAN/SPIRIT」…引用商標2
3 登録第5487333号(商願2011-048287)「治し家」…引用商標3
 そして、特に、本願の第41類に関しては、上記引用商標1、2が類似し、本願の第44類に関しては、上記引用商標3が類似すると指摘されております。しかしながら、本出願人は、本願商標と引用各商標とは、第41類や第44類の役務について使用されるという性格上、視覚や観念にウエイトをもって識別されるもので、外観、称呼及び観念のいずれにおいても紛れるおそれはなく、また、両商標間で役務の出所の混同を生じるおそれのある特段の事情も見出し得ないことから、これらを総合的に勘案すれば、両商標は互いに紛れることのない非類似の商標であると考えますので、上記認定には承服できず、以下に意見を申し述べます。
(2)本願商標の構成
 本願商標は、アルファベットの6文字「N」「A」「O」「S」「I」「A」を単純に横一列に並べて「NAOSIA」と一連に記載した標準文字からなるもので、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,書籍の制作,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),運動施設の提供,娯楽施設の提供」及び、今般補正したとおり、第44類「美容,理容,入浴施設の提供,あん摩・マッサージ及び指圧,カイロプラクティック,きゅう,柔道整復,はり,医療情報の提供,健康診断,栄養の指導,動物の飼育,動物の治療,動物の美容,介護」を指定役務とするものであります。本願商標は、願書の商標登録を受けようとする商標にも示すように、単に欧文字で「NAOSIA」と記載した態様からなるものでありますが、これは「なお、幸せに」と言う願いを込めた日本語を組合せて作った「造語」であります(「なお=NAO」と「しあ=SIA」の組合せ)。そして、この「なおしあ」をアルファベット表記「NAOSIA」にしたのには理由があります。本出願人は、本願役務を提供するターゲットとして、女性や若年層を見据えています。鍼灸や接骨院、整体などの分野においては顧客は年配層が中心であり、その屋号の多くは漢字やひらがなに接骨院などを付けて○○○接骨院などとしております。前記引用商標3も、Google等で検索すると「治し家鍼灸院」と表示して役務の提供を行っています。本出願人は、若者層や女性層に対し、このような堅い外観や日本的なイメージを軽減・差別化し、気軽にカラダのケアが出来る場所としてのネーミングを検討し、アルファベット表記「NAOSIA」に至りました。フィットネス用の設備があり、カラダを動かしつつも、不調に対するケアも受けられる。そして屋号も垢抜けた感じで、親しみ易いもの。その結果がボディコンディショニングの「NAOSIA」です。例えば、一般人にとって、本願指定役務中の運動指導や整体というのは、必ずしも必須ではないのかも知れませんが、身体が健康であれば、「なお幸せになれる」という思いは誰にでもあると思います。本願商標は、その様な思いを込めて作ったもので、「なお幸せに」と言う願いを込めて運動指導や整体等の役務提供及びその提供施設の運営を行うことを想定して、また、特に若者層や女性をターゲットとして、垢抜けた感じで親しみやすい「NAOSIA」と名付けたものであります。とはいえ、単に欧文字で「NAOSIA」と記載しただけの商標ですので、この態様からは、特に特定の観念を生じるものではありません。また、このような特定の観念を生じない態様故、本願商標「NAOSIA」に接する取引者・需要者は、そのアルファベットの字面を追って「ナ・オ・シ・ア」と、一音一音を明確に発声し称呼するものと思います。

(3)引用商標の構成
 (3-1)これに対し、引用商標1は、横長長方形の囲いの中に、「なおしや/又兵衛/MATABEE」と書した態様で、漢字の「又兵衛」の文字を中央に大きく書し、その上方左側に小さくひらがなで「なおしや」と書し、また「又兵衛」の下方中央寄りに更に小さな欧文字で「MATABEE」と書してなるものであります。また、引用商標2は、「なおしや/又兵衛/MATABEE/NEW/CRAFTMAN/SPIRIT」と書した態様で、引用商標1の「なおしや/又兵衛/MATABEE」の右側に同じくらいの紺色の横長長方形を配置し、その中に三段の欧文字で「NEW/CRAFTMAN/SPIRIT」と書した態様からなるものであります。そして、これら引用商標1,2には共に、「なおしや」の右横に「のこぎり」、「家」、「スパナ」、「収納ラック」等の直し道具や直し対象物の図形を配置しております。そして、これら引用商標1,2は、本願商標と第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナー・講演会の企画・運営又は開催」の役務を共通にするものであります。
 (3-2)次に、引用商標3は、漢字とひらがなで「治し家」と標準文字で記載した態様からなるもので、第44類「治療院における又は訪問もしくは人材派遣による医療・美容・あん摩・マッサージ・指圧・鍼灸・カイロプラクティック・柔道整復・気功・温熱療法・アロマテラピー・リフレクソロジーに関する治療・指導・助言及び情報の提供(電子計算機端末の通信ネットワークによるものを含む。),治療院施設の提供,温熱治療機器・器具の貸与又はその取次ぎ」を指定役務とするものであります。
(4)本願商標と引用商標の対比
 以下、本願商標と引用商標1,2,3を対比します。なお、商標の類否は、出願商標及び引用商標がその外観、称呼又は観念等によって需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に観察し、出願商標を指定商品又は指定役務に使用した場合に引用商標と出所混同のおそれがあるか否かにより判断するのが一般的であり、審査の基準ともされておりますので、以下、それに倣って検討いたします。
(a)外観について
 本願商標は、前述のように、欧文字で「NAOSIA」と一連に書した標準文字からなるものであります。
 これに対し、引用商標1は、横長長方形の囲いの中に、「なおしや/又兵衛/MATABEE」と書してなり(漢字の「又兵衛」の文字を中央に大きく書し、その上方左側に小さくひらがなで「なおしや」と書し、また「又兵衛」の下方中央寄りに更に小さく目立たない欧文字で「MATABEE」と書している)、また、引用商標2は、引用商標1の「なおしや/又兵衛/MATABEE」の右側に同じくらいの大きさの紺色の横長長方形を配置し、その中に欧文字で三段に「NEW/CRAFTMAN/SPIRIT」と書した態様からなるものであります。また、引用商標3は、漢字とひらがなで「治し家」と標準文字で記載した態様からなるものであります。したがって、本願商標と引用商標1,2,3とでは、外観上全く異なり、互いに紛れることはありません。
(b)観念について
 次に、観念の点についてみますと、本願商標の「NAOSIA」は、前述のように、「なお、幸せに」と言う願いを込めて造った造語商標で、主に運動指導や整体等の役務及びその提供施設名として用いるものでありますが、その欧文字「NAOSIA」の態様より、特定の観念を生じさせるものではありません。本出願人は、単にダイエットや体力づくりというだけでなく、整体の技術を組み合わせて、「肩こり、腰痛、姿勢改善」などのマンツーマン指導を行い、将来的には、「治療」と「運動」を同じ施設で行い管理できる総合型の役務提供及びその施設の提供を念頭に置いた事業展開を図ろうとしておりますが、「NAOSIA」はそのような提供サービス及び提供施設名(屋号)に用いるものであり、「なお、幸せに」という日本語を組み合わせて(即ち「なお=NAO」と「しあ=SIA」を組合せて)、「NAOSIA」と表示しました。しかし、この欧文字からなる造語の「NAOSIA」からは、具体的に特定の観念を生じさせるものではありません。これに対し、引用商標1や2は、その「なおしや/又兵衛」の部分から、「物を修理する又兵衛」=「直し屋の又兵衛」の如き意味合いを観念させ、また、引用商標3からは「治し家」という態様より、「治しの専門家」の如き観念を生じさせるものであります。したがって、何ら観念の生じない本願商標「NAOSIA」と、「物を修理する又兵衛」=「直し屋の又兵衛」の如き意味合いを観念させる引用商標1,2の「なおしや/又兵衛」とは、観念上比較すべくもなく、互いに紛れることはありません。また、引用商標3は「治し家」という態様より、「治しの専門家」と言った観念を生じさせるものでありますが、これも、何ら観念の生じない本願商標とは、観念上比較すべくもなく、互いに紛れることはありません。よって、本願商標は、これら引用商標1,2,3と互いに観念上も類似することはありません。
(c)称呼について
 そこで、次に、称呼の点について検討します。(第41類に関する本願商標と引用商標1,2の称呼について)
 (c-1)本願商標の「NAOSIA」は、アルファベットの6文字「N」「A」「O」「S」「I」「A」を単純に横一列に並べた態様より、また、特定の観念を生じさせない造語商標であることにより、必然的にこの文字「NAOSIA」に接する取引者・需要者は、その字面を追って「ナ・オ・シ・ア」という具合に、一音一音を明確に発声し称呼するものと思います。意味の分からない造語の欧文字を発声するときには、一音ずつ字面を追って慎重に発音するのが通例だからです。
 (c-2)これに対し、本願商標と第41類の役務を共通にする引用商標1、2は、横長長方形の囲いの中に、漢字の「又兵衛」を中央に大きく書し、その上方左側に小さくひらがなで「なおしや」と書し、また「又兵衛」の下方中央寄りに更に小さくほとんど読めない程度に目立たない欧文字で「MATABEE」と書した構成部分より成りますので、引用商標1,2からは、単に「マタベエ」あるいは精々「ナオシヤマタベエ」と称呼するのが自然であると考えます。小さく書したひらがな「なおしや」の部分のみを抽出し、単に「ナオシヤ」とだけ称呼するようなことはまずないと思います。なぜなら、その「なおしや」の部分は中央に大書されて圧倒的な存在感を示す「又兵衛」の文字に比べて小さく識別力の弱い部分で、称呼出来ないことはありませんが、業種を表すような言葉であり(「なおしや」の右横に配置された「のこぎり」、「家」、「スパナ」、「収納ラック」等の直し道具や直し対象物の図形の存在と相俟って、「なおしや」=「直し屋」のイメージを膨らませており)、識別部分と言うよりも単に業種の俗語「直し屋」を連想ないし表す部分と捉えることができ、看者の注意をほとんど引かないからです。この商標を見た人は、通常、小さく書され商標の要部とならないような「なおしや」の部分は無視し、圧倒的に目立つ大きな「又兵衛」を抽出して「マタベエ」と称呼するものと思います。あるいは、「なおしや」を業種を表す言葉と認識して「直し屋の又兵衛」(修理屋の又兵衛)と捉え、「ナオシヤマタベエ」と称呼するものと思われます。「なおしや」を業種の俗語と捉えるなら、このひらがな文字は「直し屋」、即ち「修理屋」と認識されるはずです。家具や家の修理をどこかに頼むのに、単に「なおしや」=「直し屋」=「修理屋」と呼ぶだけではどこの修理屋か判別できません。少なくとも「マタベエ」や「ナオシヤマタベエ」と称呼することで、初めてどこの直し屋(修理屋)なのかを判別することができます。それ故、引用商標1,2から「なおしや」だけを抽出して称呼することは基本的には無いと考えます。引用商標1,2からは単に「マタベエ」あるいは精々業種名を頭に配して「ナオシヤマタベエ」と称呼するのが自然とみるべきです。したがって、「ナ・オ・シ・ア」と称呼されて一音一音明瞭に称呼される本願商標と、この「マタベエ」や「ナオシヤマタベエ」と少なくとも第一音目にアクセントを置いて一気に称呼される引用商標1,2とでは、語感語調が全く異なり、称呼上も紛れることのない非類似の商標であると考えます。
 (c-3)ところで、本出願人は、このように引用商標1,2は、単に「マタベエ」あるいは「ナオシヤマタベエ」と称呼するのが自然であり、単に「ナオシヤ」と称呼されることはないと考えますが、審査官殿は、引用商標1,2からは、「なおしや」のひらがな部分より、単に「ナオシヤ」の称呼も生じ得ると判断して、今般の拒絶理由通知を発してきたのではないか思います。この点に関し、本出願人は、仮に、引用商標1,2の「なおしや」の部分から単に「ナオシヤ」の称呼が生じたとしても、やはり本願商標「NAOSIA」の称呼と、引用商標の称呼「ナオシヤ」とは十分に識別でき、称呼上も類似することはないと考えますので、念の為、以下に意見を申し述べます。即ち、本願商標の称呼は、前述したように、「NAOSIA」と欧文字で表記された特定の意味を持たない造語商標であるとの態様により、字面を追って一音一音ハッキリと「ナ・オ・シ・ア」と称呼されること、先に述べたとおりであります。これに対し、引用商標1,2は「なおしや」の部分から仮に単独で「ナオシヤ」の称呼が生じたとしても、このひらがな「なおしや」からは、その右横の直し道具や直し対象等の図形部分の存在と相俟って、「直し屋」「修理屋」のイメージが直ぐに浮かぶため、取引者・需要者はその意味合いを込めて称呼するものと思います。だとすれば、この「なおしや」からは、「直し屋」「修理屋」をイメージないし連想して、語頭音「ナ」と語尾音「ヤ」にややアクセントを置いて一気に「ナオシヤ(直し屋)」(修理屋)と称呼するのが自然ではないかと思います。この「なおしや」は「直し屋」(修理屋)をイメージすれば、本願商標のように一音一音慎重に「ナ・オ・シ・ヤ」という具合に発声することはなく、少なくとも語頭にアクセントを置いて「ナオシヤ(直し屋)」(修理屋)」と一気に発声されるものと思いますので、両商標は語感語調を全く異にし、称呼上紛れることはないと考えます。そして、それに加えて、本願商標と引用商標とは、全く同一の音ではなく、語尾音に「ア」と「ヤ」の違いがあります。この「ア」と「ヤ」は、語尾音であり、母音(a)を共通にするものではありますが、それぞれ比較的きちんと発声される音ですので、僅か4音という短い音構成の中では聴別も容易であり、両者を称呼した場合の音の強弱やイントネーションの違いもあって、語感語調を異にし、称呼上も決して紛れることはないと考えます。それ故、仮に引用商標1,2から単に「ナオシヤ」の称呼が生じたとしても、一音一音明瞭に称呼される本願商標「ナ・オ・シ・ア」とは、称呼上も紛れるものではありません。
(第44類の役務に関する本願商標と引用商標3の称呼について)
 (c-4)次に、第44類の役務に関する本願商標「NAOSIA」と引用商標3「治し家」の称呼についてですが、本願商標NAOSIA」が、前述のように、一音一音ハッキリと「ナ・オ・シ・ア」と称呼されるのに対し、引用商標3は慣れ親しんだ漢字とひらがなの「治し家」からなる構成態様のため、この文字からは「治しの専門家」(治療の専門家)という観念をイメージして、語頭音「ナ」と語尾音「ヤ」にアクセントを置き、一気に「ナオシヤ」と称呼するものと思われます。それ故、この引用商標3の「治し家」は、本願商標「NAOSIA」のように一音一音きちんと字面を追って「ナ・オ・シ・ア」と称呼されるようなことはありません。また、本願商標と引用商標とは語尾音に「ア」と「ヤ」の違いもあり、それぞれ比較的きちんと発声される音ですので、母音(a)が共通するとは言え、「ア」と「ヤ」の聞き分けは十分可能であり、全体に強音弱音の違いもあって両者は語感語調を異にし、称呼上紛れることはないと考えます。例えば、一音一音明瞭に「ナ・オ・シ・ア」と称呼される本願商標からは、「治し家」(治療の専門家)をイメージできませんが、語頭音に強音「ナ」を伴って一気に「ナオシヤ」と称呼すれば「治し家」(治しの専門家)(治療の専門家)をイメージすることができます。したがって、これらは語感語調の違いが明らかで、称呼上紛れることはないと考えます。その意味でも語尾音の「ア」と「ヤ」の違いにより、また強音弱音から受ける全体の語感語調の違いや称呼から浮かべるイメージの違いにより、両者は十分に識別可能な商標同士と考えます。
 (d)運動、整体等の役務提供及びその施設名としてのネーミングの使用態様及び取引者・需用者の観察力について ところで、本願商標は、前述のように、主に運動指導や整体等提供する役務の名前及びその提供施設の名前(看板)に用いるものでありますので、このような役務の提供に係る取引者・需要者は、施設の看板「NAOSIA」を見、あるいは本出願人のWebサイトの表示「NAOSIA」の欧文字を視覚的に認識して称呼しますので、先ずは、視覚的認識から本願商標の把握がスタートします。ところで、本出願人は、先にも触れましたように、若者層や女性をターゲットとしていますので、ネーミングから堅い外観や日本的なイメージを軽減・差別化し、気軽にカラダのケアが出来る場所をイメージするように、アルファベット表記の「NAOSIA」を選定しました。フィットネス用の設備があり、カラダを動かしつつも、不調に対するケアも受けられる。そして屋号も垢抜けた感じで、親しみ易いもの。その結果がボディコンディショニングの「NAOSIA」というネーミングです。そして、一般需要者もそうですが、特に、本役務提供のターゲット層である女性や若者という需要者層のネーミングに対する鋭い観察力を考慮すると、アルファベットの「NAOSIA」と、主に漢字・ひらがなからなる引用商標1,2,3「なおしや/又兵衛」「治し家」とでは全く違った印象を持つはずであり、両者は明確に識別できるものと思います。本出願人は、先にも触れましたように、単にダイエットや体力づくりということではなく、整体の技術を組み合わせ、「肩こり、腰痛、姿勢改善」などのマンツーマン指導を行い、将来的には、「治療」と「運動」を同じ施設で行い管理できる総合型の施設の提供を目指しており、「NAOSIA」はそのようなサービスや施設を提供するための特に、女性や若者層をターゲットとしたネーミング(いわば屋号)として用います。具体的には、提供役務のネーミング、役務広告への掲載、提供施設の看板、提供役務に関するWebサイト等に本願商標を用いることになります。それ故、本役務の提供を受ける取引者・需要者は、本願商標をまずは視覚的に認識し脳裏に印象付けることになります。そして、称呼するときにも視覚的に受ける印象、イメージを念頭に置いて、称呼することになります。そのような運動、整体等の役務提供及びその施設名としてのネーミングの使用態様や、取引者・需用者の通常の観察力を前提に、両商標の類否を検討しますと、本願商標と引用商標1,2,3とは、アルファベットのみからなる本願商標と、図形混じりの漢字ひらがなからなる引用各商標という態様、全体から受ける印象に大きな違いがあり、両者は外観および観念上明瞭に識別できます。また、称呼上も本願商標「ナ・オ・シ・ア」(NAOSIA)と引用商標「ナオシヤ」(なおしや、直し屋、治し家)とは、発声の仕方が異なり、語感語調を異にし、僅か4音という短い音構成の中で、語尾音の「ア」と「ヤ」の違いもあり、全体の識別力の差異に大きな影響を及ぼし、両者は本役務の取引者・需用者をして明確に識別できるもので、決して類似するものではないと考えます。

(5)むすび
 以上の次第でありますので、本願商標「NAOSIA」と、引用商標1、2、3の「なおしや/又兵衛/MATABEE」、「なおしや/又兵衛/MATABEE/NEW/CRAFTMAN/SPIRIT」、「治し家」とは非類似の商標であり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に該当するものではなく十分に登録適格性を有するものと考えます。そして、本願商標と引用各商標とは、称呼の点でたとえやや近似する面があったとしても、その称呼も「ナ・オ・シ・ア」と「ナオシヤ」という語感語調の違いがあって十分に識別でき、また、外観から受けるイメージ・印象も明らかに違っていて外観上明確に区別でき、観念においても相紛れるおそれはなく、また、本願商標と引用各商標との間で役務の出所の混同を生じるような特段の事情も存在しないことから、これらを総合的に勘案すれば、両商標は互いに紛れるおそれのない非類似の商標であると考えます。
よって、本願商標は、十分に登録適格性を有するものと思料しますので、再度ご審査の上、本願に登録査定を賜りますようお願い申し上げます。
                              以上

商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例目次

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