再編された中国の知的財産系政府機関
中華人民共和国第13期全国人民代表大会(3月5日)で発表されたように2018年では中国政府の様々な機関が再編されていますが、知的財産権関連の各機関も例外ではなく大きく再編されています。
国家市場監督管理総局
国務院(国务院 State Council, http://www.gov.cn/guowuyuan/index.htm)は中華人民共和国(PRC)の最高国家行政機関として機能していますが、その直轄の機関として国家市場監督管理総局(国家市场监督管理总局 State Administration for Market Regulation(SAMR), http://samr.saic.gov.cn/)が設立され、4月10日より業務を開始しています。この設立された国家市場監督管理総局は、再編前の時点で、商標の出願や管理を行っていた国家工商行政管理局(SAIC)を踏襲し、さらに国家品質監督検査検疫総局(AQSIQ)及び国家食品薬品監督管理総局(CFDA)の職責を統合し、さらに独占禁止取締機関としての国家発展改革委員会の価格監督委員会や国務院独占禁止委員会等を統合して、独占禁止に関して統合された政府機関となるように再編されています。但し、中国の独占禁止法については独占禁止法違反が刑事事件とはならないため、民事的な調査権を有するに止まります。国務院食品安全委員会及び国務院独占禁止委員会は、国務院との名称が先についていますが、その業務内容は国家市場監督管理総局が担当します。国家市場監督管理総局は、地方の市場監督局を統括し、商標権侵害や、偽ブランド品などの問題に対処します。
国家認証認可監督管理委員会
国家認証認可監督管理委員会(国家认证认可监督管理委员会, Certification and Accreditation Administration of PRC(CNCA), http://www.cnca.gov.cn/)は国家市場監督管理総局の1つの機関で、CCC強制認証(中国強制認証)や食品农产品认证(食品農産物認証)などを取り扱う政府機関です。
国家標準化管理委員会
国家標準化管理委員会(国家标准化管理委员会, Standardization Administration of PRC (SAC), http://www.sac.gov.cn/)は、国家市場監督管理総局の1つの機関で、中国国家標準であるGB規格の認定などを行っています。
国家知識産権局(知的財産権庁/CNIPA)
再編前は、中国の知識産権庁(SIPO)は特許・意匠を取り扱う政府機関で、商標は国家工商行政管理局(SAIC)の商標局(CTMO/CTO/TMO)に出願するものとされていましたが、2018年に旧知識産権庁の特許・意匠に対する職責、旧国家工商行政管理局の商標についての職責と、さらには国家品質監督検査検疫総局の原産地表示・地理的表示に対する職責を統合する形で、国家知識産権局(国家知识产权局、National Intellectual Property Administration, PRC(CNIPA), http://www.cnipa.gov.cn/)が設立されています。この再編により中国でも知的財産庁は特許と商標の両方を取り扱う機関となり、他国の知的財産庁のうち、米国、日本、韓国と同様の範囲をカバーする政府機関となっています。国家知識産権局は国家市場監督管理総局の所轄とされます。英文略称はSIPOからCNIPAに2018年8月29日に改称しています。なお、著作権については国務院の直属機構である国家版権局(国家版权局/国家新闻出版广电总局、National Copyright Administration of PRC(NCAC)http://www.ncac.gov.cn/)が取り扱っています。旧国家工商行政管理局の商標部門が国家知識産権局に統括されていますが、商标局は国家知识产权局商标局(http://sbj.cnipa.gov.cn/)という部門となり、そのまま出願窓口や調査のデータベースの業務を行っており、商标评审委员会(Trademark Review and Adjudication Board (TRAB), http://spw.sbj.cnipa.gov.cn/)の組織も国家知识产权局の一部として存在しています。
国家薬品監督管理局(NMPA)
国家薬品監督管理局(National Medical Products Administration of PRC (NMPA) http://www.nmpa.gov.cn/)は、再編前に国家食品薬品監督管理局(SFDA)とされていた機関のうち、食品部門は国家市場監督管理総局に統合させ、薬品部門を独立させた専門政府機関です。国家薬品監督管理局も国家市場監督管理総局の管理下の機関です。国家薬品監督管理局には、医薬品認証申請、医療機器認証申請、化粧品認証申請を行うことができます。
海関総署
再編前の国家品質監督検査検疫総局の職責のうちの出入国検査検疫管理については、新たに海関総署(海关总署, General Administration of Customs of PRC (GACC), http://www.customs.gov.cn/)の管轄となっています。