商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#88

特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。

本願商標「プロジーヌ/prosine」× 引用商標1)「プリゼーヌ」2)「Plaisir/プレジール」

1.出願番号  商願2008-40308
2.商  標   「プロジーヌ/prosine」
3.商品区分  第29類、第30類
4.適用条文 商標法第4条第1項第11号
5.拒絶理由  登録第4222606号ほかの商標と類似する。

拒絶理由通知 出願商標・商標登録第5203204号
出願商標・商標登録第5203204号
引用商標・商標登録第4222606号
引用商標・商標登録第4222606号
引用商標・商標登録第4509129号
引用商標・商標登録第4509129号

拒絶理由通知 意見書における反論

(1) 拒絶理由通知書において、審査官殿は、「本願商標は、1.登録第4222606号(商願平 9-029469)、2.登録第4509129号(商願2000-120253)の登録商標と同一又は類似であって、その商標に係る指定商品と同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。」と認定されました。
 しかしながら、本出願人は、本願商標と引用商標1,2とは、外観,称呼および観念のいずれにおいても類似せず、取引者・需用者をして出所の混同を起こさせることはないと思料しますので、斯かる認定には承服できず、以下に意見を申し述べます。

(2) 本願商標は、願書の商標見本から明らかなように、「プロジーヌ」の片仮名文字と図形を絡めた「prosine」の英文字とを上下二段に配置し「プロジーヌ/prosine」と書してなるものでありますが、引用商標1は「プリゼーヌ」の片仮名文字からなり、また、引用商標2は英文字と片仮名文字で「Plaisir/プレジール」と二段書きしてなるものであり、それぞれ格別の意味を持たない造語商標であります。したがって、本願商標と引用商標1,2とは、外観上類似しないことは明らかであるとともに、観念上も類似することはありません。

(3) そこで、以下、称呼の点につき検討します。
 本願商標は、「プロジーヌ/prosine」と書した態様より、「プロジーヌ」の称呼を生じるものであります。
 これに対し、引用商標1は「プリゼーヌ」と書した態様より「プリゼーヌ」の称呼を生じ、引用商標2は「Plaisir/プレジール」と書した態様より「プレジール」の称呼を生じるものと思料します。
 (3-1) そこで、まず本願商標の称呼「プロジーヌ」と引用商標1の称呼「プリゼーヌ」を比較するに、両者は第2音部分において「ロ」と「リ」、第3音部分において「ジ」と「ゼ」の差異を有します。つまり、共に「ラ行」(2音目)と「サ行」(3音目)に属する音ではありますが、それぞれ「ロジ」と「リゼ」の二文字の違いがあり、特に第3音目の「ジ」と「ゼ」は長音(ー)を伴って、比較的強く発声される音であり、全体が僅か4音という短い音構成の中にあって、この「ロジ」と「リゼ」の2音の違いは称呼全体に及ぼす影響が非常に大きく、両者は称呼上明確に区別し得る商標であると考えます。
(3-2) また、本願商標の称呼「プロジーヌ」と引用商標2の称呼「プレジール」を比較するに、両者は第2音部分において「ロ」と「レ」、第4音部分において「ヌ」と「ル」の差異を有します。
 然るに、両商標は共に僅か4音という比較的短い音構成からなるもので、そのうちの半分である2音が相違し(「ロ」と「レ」、「ヌ」と「ル」)、しかも、2音目の「ロ」と「レ」は、子音「r」を共通にするラ行に属する音ではありますが、その母音「オ(o)」と母音「エ(e)」は比較的遠い音でありますので、この「ロ」と「レ」は識別しやすい音ということができます。また、4音目の「ヌ」と「ル」は母音が共に「ウ(u)」であり且つ語尾音ではありますが、長音のすぐ後に位置して比較的明瞭に強く発声される音であり、しかも「ヌ」は有声の通鼻音、「ル」は有声の弾音であって響きの強い音として聴取されるという差異があります。
 然るに、「ロ」と「レ」、「ヌ」と「ル」が聴別できないほど日本人の聴覚が劣っているとは思えず、本願商標と引用商標2とは、「ロ」「レ」の違いと相俟って、この「ヌ」と「ル」の違いによっても、比較的短い4音構成という商標においては全体の称呼に及ぼす影響が大きく、この2音の違いによって語感語調が全く異なったものになるものと思料します。つまり、4音構成からなる商標にあって、その半分にあたる上記2音が異なるということは非常に大きな意味を持つものであって、その2音の違いによって称呼上十分に識別できるものと思料します。
(3-3) 殊に、昨今のように、食品の産地偽装、製造日偽装、食品への薬品混入、違法添加物使用等が話題となり、マスコミ等にも大々的に取り上げられ、食料・食品の問題が国民的な関心事となっている状況下においては、飲食物を取引・購買するときの取引者・需要者の注意力は相当に高まってきているとみることができ、取引者・需要者は深い観察力のもとに食品の取引行動を行っていると思われます。また、昨今では健康志向の高まりから、飲食品の購入に際しては原材料やその産地、成分や保存料の有無等に至るまで大きな関心を寄せ、購入に当たっては注意深く表示を観察するようになってきております。
 然るに、そのような飲食物の取引者・需要者層は、その出所等をあらわす商標にも深い注意を払っているはずであり、豊富な商品、豊富なネーミングを日頃から見慣れている日本国民にとっては、購買する飲食品に付された本願商標「プロジーヌ/prosine」と引用商標1「プリゼーヌ」を誤認するとか、あるいは引用商標2「Plaisir/プレジール」と誤認するとかするはずもなく、更には、その称呼である「プロジーヌ」と「プリゼーヌ」、あるいは「プロジーヌ」と「プレジール」を聞き間違えるということもないと考えます。
 4音構成の商標における2音の相違は全体の半分の相違であり、全体の称呼に及ぼす影響は大きく、両者を識別するに十分なものが有ると考えます。現今のように、食品の購買時に注意深い観察を行う時代においては、尚更のことであります。
以上のように、本願商標と引用商標1,2とは、称呼上も十分に識別できるもので、類似することはないと考えます。

(4) ところで、本願及び引用商標1,2と同一又は類似の商品分野において、過去の商標登録例をながめてみると、全体が4音構成で引用商標と似たようなニュアンスの商標として、A.登録1665939「プリデール」(昭和59年3月22日登録、和光堂)、B.登録4370308「プリテール」(平成12年3月24日登録、出光興産)などの登録例があります。
 これらA,B同士は第3音目に濁音「デ」と清音「テ」の一音相違のみですが、互いに登録されており、非類似の扱いとなっています。
 また、このAの「プリデール」が存在していても、2音相違する引用商標1の「プリゼーヌ」や引用商標2の「プレジール」が登録されております。
 そうであるならば、2音相違する本願商標の「プロジーヌ」とて、引用商標1「プリゼーヌ」や、引用商標2「プレジール」の存在に拘わらず登録されて然るべきものと考えます。

(5) 以上のように、本願商標「プロジーヌ/prosine」と引用商標1「プリゼーヌ」や引用商標2「Plaisir/プレジール」とは、外観が全く異なっていて外観上類似しないことは勿論、互いに意味を持たない造語商標であって観念類似しないことは明かであり、称呼上も、4音という短い音構成にあって、それぞれ上記したような2音の違いがあることから、両者は語感語調を全く異にし、聴者をして明らかに区別し得るものと思料します。
 よって、本願商標と、引用商標1,2とは非類似の商標であり、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものではないと考えますので、再度ご審査の上、本願を登録査定下さるようお願い申し上げます。

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