商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#82

特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。

本願商標「トラッドブルー/TRAD BLUE」× 引用商標「TRAD」

1.出願番号  商願2006-52083
2.商  標   「トラッドブルー/TRAD BLUE」×「TRAD」
3.商品区分  第30類
4.適用条文 商標法第4条第1項第11号
5.拒絶理由  類似する。

拒絶理由通知 出願商標・商標登録第5043894号
出願商標・商標登録第5043894号
引例商標1・商標登録第2412689号
引例商標1・商標登録第2412689号
引例商標2・商標登録第2435059号
引例商標2・商標登録第2435059号

拒絶理由通知 意見書における反論

(1) 拒絶理由通知書(発送番号011510)において、審査官殿は、
 1.登録第2412689号の商標「TRAD」(茶)…(引用商標1)および、
 2.登録第2435059号の商標「TRAD」(コーヒー)…(引用商標2)を引用し、本願商標は、これらの登録商標と類似するため商標法第4条第1項第11号の規定に該当し、登録を受けることができないと認定された。
 しかしながら、本出願人は、本願商標と引用商標1,2とは、外観,称呼および観念のいずれにおいても類似することのない非類似の商標であると思料するので、斯かる認定に承服できず、以下に意見を申し述べる。
(2) まず、本願商標は、上段の 片仮名と下段の欧文字で「トラッドブルー/TRAD BLUE」と二段併記して成るものであるのに対し、引用商標は、上述のとおり、何れも、単に欧文字の「TRAD」から成るものである。したがって、本願商標と引用商標1,2とは、外観上類似することはない。
(3) 次に、観念の点についてみると、本願商標「トラッドブルー/TRAD BLUE」のうち、前段の「トラッド/TRAD」の部分は、国語辞典などを紐解くと、“[名・形動]《traditionalの略》1 伝統的であるさま。また、そのもの。特に、流行にとらわれないデザインの服装。「―なアイビールック」 2 ディキシーランドジャズのこと。”等と説明されており、また、「ブルー/BLUE」の部分は「青(ブルー)」を意味していることから、一般的な取引者・需要者であれば、この本願商標全体から「伝統的な青(ブルー)」を観念すると思われる。これに対して、引用商標1,2は単に「伝統的であるさま。」等を意味するに過ぎず、「青(ブルー)」の観念はないから、両者は観念上も類似することはない。
(4) そこで、以下、称呼の点につき検討する。
 (4-a) 本願商標は、上述のように、下段の欧文字部分「TRAD BLUE」が、「TRAD」と「BLUE」の間にやや間隔をあけた態様ではあるが、その上段の片仮名部分は読みを表すべく、一連に「トラッドブルー」と書されているので、これを見た取引者・需要者は、一連に「トラッドブルー」とのみ称呼するものと思われる。この点に関し、審査官殿は、本願商標の後段である「ブルー/BLUE」の文字部分を品質表示的にとらえ、前段である「トラッド/TRAD」の部分に商標の要部があるとみてこれを抽出し、単に「トラッド」と称呼される場合もあると判断し、「TRAD」を引用してきたものと思料する。しかし、このように、本願商標の「トラッドブルー/TRAD BLUE」から、その「トラッド/TRAD」の部分のみを抽出し称呼するのは、如何にも不自然である。本願商標「TRAD BLUE」は、「TRAD」と「BLUE」の間にやや間隔をあけた態様ではあるが、左右軽重差なく同書・同大・同間隔にバランスよく配されている。また、全体として「伝統的な青(ブルー)」という一つのまとまった意味合いを生じさせており、その読みを表すべく上段の片仮名部分も「トラッドブルー」と一連に書している。したがって、本願商標の前段部分「TRAD」と後段部分「BLUE」とに軽重差を設けて、前段部分「TRAD」のみを抽出して称呼するようなことはすべきでない。本願商標は、その様なことのないように左右バランスよく配したもので、一連の読みを表すべく片仮名部分で一連に表記している。しかも、本願商標は全体が6音構成という短い音構成からなるもので、全体を一連に称呼して語呂がよく、一連に称呼し易い商標である。しかも、前述したように全体として「伝統的な青(ブルー)」という一つのまとまった意味合いを有している。まとまった意味合いを生ずるのに、あえて「TRAD」と「BLUE」とを分断し、一方の「TRAD」のみを抽出して「トラッド」と単独で称呼すべき場合があるなどと考えるべきではない。本願商標の称呼は、あくまでも一連の「トラッドブルー」のみである。
 これに対し、引用商標1,2は、いずれもその態様より「トラッド」とのみ称呼されるものであるから、両者は「ブルー」の称呼の有無により、明らかに聴別でき、称呼上も決して類似することはないと思料する。
(4-b) ところで、過去の商標登録例を見ると、同一又は類似の指定商品群において、本願商標の「BLUE」のように「色」を表す文字を含む商標と含まない商標は、色以外の文字を共通にしながらも、別法人において、以下のように多数並存登録されている。例えば、
(a)第4463673号「ラブラブ/LOVE LOVE」(株)ハセガワ(第1号証)と、
(b)第4866458号「ラブラブグリーン」(株)市川製茶工場(第2号証)。
(c)第 536655号「ファミリー/FAMILY」(株)アートコーヒー(第3号証)と、
(d)第2552154号「ファミリーグリーン」エンチーム(株)(第4号証)。
(e)第2011780号「モーション」(株)エルビー(第5号証)と、
(f)第4598044号「Motion Blue」伊藤忠商事(株)(第6号証)。
 この場合、仮に「グリーン」や「Blue」が、商標の要部ではないと判断されていたならば、要部は共通文字部分ということになり、後願に係る商標上記(b)(d)(f)は拒絶されていたはずであるが、現実には登録されている。これは「グリーン」や「Blue」などの色を表す言葉も品質表示などではなく、他の文字と共に商標の要部を構成すると判断されたからに他ならない。つまり、これらの商標が存在しているのは、「グリーン」や「Blue」の文字にも商標の識別性の要素を十分に認め、あくまでもこの「グリーン」「Blue」の文字を含めた全体として1つの不可分一体の商標を構成すると判断し、審査したからに他ならない。本願商標と引用商標の関係も、これら(a)と(b)、(c)と(d)、(e)と(f)の各商標の関係と軌を一にするものであって、本願商標の「TRAD」の部分のみをとらえて、称呼され、観念されるようなことはない。本願商標は、あくまでも、片仮名で読みを振ったように「トラッドブルー」とのみ一連に称呼されるべきものであり、それ故に引用商標の称呼である単なる「トラッド」とは、類似することはない。
(5) 以上のように、本願商標と引用商標とは、外観および観念上類似しないことは勿論、称呼上も「ブルー」の称呼の有無によって語感語調を全く異にし、聴者をして決して紛れることはないものと思料する。

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