特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。
本願商標「MINI+/ミニプラス」×引用商標「Minipla」
1.出願番号 商願2004-72189
2.商 標 「MINI+/ミニプラス」
3.商品区分 第16類 雑誌,新聞
4.適用条文 商標法第4条第1項第11号
5.拒絶理由 登録第4452477号商標「Minipla」と類似する。
拒絶理由通知 意見書における反論
(1) 拒絶理由通知書において、本願商標は、「登録第4452477(商願2000-033167)の登録商標(以下、引用商標という)と同一又は類似であって、その商標に係る指定商品と同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。」との認定を受けました。しかしながら、本出願人は、本願商標と引用商標とは、外観,称呼および観念のいずれにおいても類似せず、取引者・需用者をして決して出所の混同を来すことにない商標であると思料しますので、斯かる認定には承服できず、以下に意見を申し述べます。
(2) 本願商標は、願書の商標見本からも明らかなように、上段を欧文字「MINI」とプラスの記号「+」とで「MINI+」と書し、また下段をその読みを表すべく片仮名文字で「ミニプラス」と書した二段併記の態様「MINI+/ミニプラス」からなるものでありますが、引用商標は、欧文字で、単に「Minipla」と一連に書した態様からなるものであります。したがって、本願商標と引用商標とは、外観上類似しないことは明らかであります。
(3) また、本願商標の「MINI+/ミニプラス」は、「miniをプラスする」、即ち「小型のものを加える」と言うような意味合いを暗示させるものでありますが、指定商品「雑誌,新聞」との関係において、具体的に特定の観念を生じさせることのない造語商標であります。一方、引用商標の「Minipla」も、格別の観念を生じさせることのない造語商標でありますので、両者は、観念上比較すべくもなく、互いに非類似の商標であります。
(4) そこで、次に、称呼の点につき検討します。本願商標は、前述のように、上段部分が「MINI+」となっていて、下段がその読みを表すべく「ミニプラス」と片仮名表記された態様であるところ、本願商標からは常に「ミニプラス」の称呼が生じるものと思料しますが、引用商標は「Minipla」の態様よりなるため、これより「ミニプラ」の称呼が生じるものと思料します。そこで、本願商標の称呼「ミニプラス」と引用商標の称呼「ミニプラ」を対比します。まず、本願商標の称呼「ミニプラス」は、全体を一連に称呼した場合に、欧文字「MINI」と記号「+」という特殊な構成態様とも相俟って、「ミニ・プラス」と2音節に区切って発音される傾向にあるとともに、前段の語頭音「ミ」と後段の語頭音「プ」の文字がそれぞれ強く発音される傾向にあると思料します。これに対し、引用商標の称呼「ミニプラ」は、一連に称呼したときに「ミ・ニ・プ・ラ」と4音節に区切って発音される傾向にあるとともに、各文字一つ一つが明瞭に強く発音される傾向にあるものと思料します。しかも、この違いは全体が5音ないし4音という比較的短い音構成における違いであり、従ってこの違いが全体の称呼に与える影響は極めて大きく、称呼上別意の印象を与えるに十分な差異であると考えます。即ち、取引者・需要者が両商標を称呼して取引する場合、本願商標の「ミニ・プラス」と引用商標の「ミ・ニ・プ・ラ」とは、語感語調を全く異にするため、明瞭に識別できるものと思料します。
ところで、審査官殿は、本願商標の称呼「ミニプラス」と引用商標の称呼「ミニプラ」とは「ス」が有るか無いかの違いしかないため、両者は称呼上紛らわしいと判断して今般の拒絶理由通知を発したものと推察しますが、本願商標と引用商標の称呼上の差異は、単に「ス」の有無の違いだけでかたずけられる問題ではありません。即ち、この「ス」の有無によって、片や「プラス」(加える)という誰でもなじみの単語を構成するのに対し、「ス」のない方は単なる意味不明な「プラ」という音であり、両者は確立された意味を持つ単語であるかないかの違い、またそれによる意味発生の有無の違いにより、さらには、この「ス」の有無による、音節位置やアクセント位置の違いにより、これに接する取引者・需要者は両者を称呼上明瞭に識別できるものと思料します。
(5) このように、本願商標と引用商標とは、外観及び観念上類似することはないとともに、称呼上も、本願商標が「ミニ・プラス」と2音節に区切って、しかも「ミ」と「プ」にアクセントをもって称呼されるのに対し、引用商標は「ミ・ニ・プ・ラ」と4音節に区切って称呼され、且つ各音がそれぞれアクセントをもって明瞭に発音される傾向にある点において、全く異なるものと思料します。そして、このような音節の区切り位置やアクセント位置の違い等により、両者は語感語調を異にしますが、比較的短い音構成にあってこの語感語調の違いは大きく、両者を一連に称呼したとき聴者をして決して紛れるようなことはないと思料します。
よって、本願商標と引用商標とは非類似の商標であり、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものではないと考えます。