特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。
本願商標「Success Pack」×引用商標「サクセス/SUCCESS」ほか
1.出願番号 平成10年商標登録願第82237号
2.商 標 「Success Pack」
3.商品区分 第9類:電子応用機械器具及びその部品ほか
4.適用条文 商標法第4条第1項第11号
5.拒絶理由 「Success Pack」は「サクセス/SUCCESS」に類似する。
拒絶理由通知 意見書における反論
1.登録第4020936号の商標「SUCCESS」(引用商標1)
2.登録第4092722号の商標「サクセス/SUCCESS」(引用商標2)
3.登録第4309839号の商標「サクセス」(引用商標3)
4.登録第4317430号の商標「サクセス/SUCCESS」(引用商標4)
と類似であり、指定商品も同一又は類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号の規定に該当し、登録することはできないと認定された。
しかしながら、本出願人は、本願商標と引用商標とは、外観,称呼および観念のいずれにおいても類似することのない非類似の商標であると思料するので、斯かる認定に承服できず、以下に意見を申し述べる。
(2) まず、本願商標は、英文字で「Success Pack」と横書きして成るものであるのに対し、引用商標1は英文字で「Success」と横書きして成り、引用商標2と4は片仮名文字(上段)と英文字(下段)で「サクセス/Success」と二段併記して成り、引用商標3は片仮名文字で「サクセス」と横書きして成るものであるから、本願商標と引用商標1乃至4とは、外観上類似することはない。
(3) また、観念の点についてみると、本願商標の「Success Pack」は、全体として「成功の詰め物」「成功の包み」「出世の包み」等を観念させるものであるのに対し、引用商標1乃至4の「Success」「サクセス」は、単に「成功」とか「出世」とかを観念させるものであるので、両者は観念上も類似することはない。
(4) そこで、以下、称呼の点につき検討する。
本願商標は、英文字で「Success Pack」と横書きして成り、「Success」と「Pack」との間にやや間隔をあけた態様ではあるが、本願商標は、前述したように、全体として「成功の詰め物」「成功の包み」「出世の包み」等の一つの観念を生じさせるものであり、しかも全体を一連に称呼しても決して称呼しにくいわけではなく、むしろ分断して称呼すべき理由もないことから、単に「サクセス」と称呼されるようなことはなく、常に一連一体に「サクセスパック」とのみ称呼されるものと思料する。
これに対し、引用商標1乃至4はいずれも、その態様より「サクセス」とのみ称呼されるものであるから、両者は「パック」の称呼の有無により、明らかに聴別でき、称呼上も決して類似することはないと思料する。この点に関し、審査官殿は「Pack」の部分に商標の要部はなく、「Success」の部分にこそ本願商標の要部があるから、本願商標からは単に「サクセス」の称呼も生じ得るとして、引用商標を引いてきたのではないかと思料するが、そのような見方は妥当ではないと思料する。本願の指定商品との関係にあっては、「Pack」を要部でないとする理由は見あたらない。
過去の登録例を見ても、「PACK」や「パック」の文字を有する商標と有しない商標とは、以下の通り、別法人によって多数並存登録されている。
例えば、
a.第1511161号「デュエット/DUET」 シャープ㈱ …第1号証
b.第2169777号「デュエットパック」 三菱電気㈱ …第2号証
c.第1925353号「ソリューション」 三菱電気㈱ …第3号証
d.第4118287号「ソリューションパック」 ㈱富士通ビジネスシステム…第4号証
e.第1932442号「PICO」 ㈱富士通ゼネラル …第5号証
f.第2435010号「PICO PACK」 富士通㈱ …第6号証
g.第2199010号「RAINBOWPACK」キャノン㈱ …第7号証
h.第2292866号「レインボー」 松下電器産業㈱ …第8号証
i.第3090051号「ファクトパック/FACT PACK」石川島播磨重工業…第9号証
j.第4191040号「ファクト」 ㈱エクエストリアン…第10号証
k.第3266918号「WOODY」 松下電器産業㈱ …第11号証
l.第4142455号「WOODYPACK」 ㈱東芝 …第12号証
この場合、仮に「PACK」や「パック」が要部ではないと判断されていたならば、後願に係る商標は拒絶されていたはずであるのに、現実には登録されているのである。これは「パック」ないし「Pack」も商標の要部であると判断されたからに他ならない。然るに本願商標も、「サクセスパック」とのみ称呼されるべきものであり、引用商標の称呼である「サクセス」と類似することはない。
(5) 以上のように、本願商標と引用商標とは、外観および観念上類似しないことは勿論、称呼上も「パック」の称呼の有無によって語感語調を全く異にし、聴者をして決して紛れることはないものと思料する。よって、本願商標と引用商標とは非類似の商標であり、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものではないと思料する。