東京 商標登録 地域ブランド
東京都は関東南部に位置し、東側で東京湾に面し、西側の奥多摩地区では山岳部となっています。都市部を構成する23区は関東平野の多摩川と荒川に挟まれた領域を中心に広がっており、日本の政治や商業の中心地となっています。廃藩置県前の名称としては、武蔵の国とされ、都市部は江戸と称されていたことは広く知られた史実になります。観光資源としては、江戸時代からの上野・浅草を始め、霞が関の官庁街、高級ブランドブティックがならぶ銀座や表参道、若者のファッションの街の原宿や渋谷、株取引の兜町、近年ではアニメなどの文化も融合しつつある秋葉原電気街や、食器・台所用品のかっぱ橋道具街、スポーツ店が並ぶ御茶ノ水、古本屋の街である神保町、韓国店の多い新大久保、高齢者志向の巣鴨、水産物取引では築地やこれからの市場機能を果たす新豊洲なども挙げられます。東京都は首都であるが故に、ちょっとだけ良いものを手広くブランド化してしまっているとも思えます。京都の千年の都のような強いメッセージ性のあるものは東京では何だろうと考えてしまうこともあり、大震災や戦禍から東京に江戸時代から残っている建物も浅草や増上寺などのいくつか神社仏閣ぐらいで、江戸城は城跡だけです。人や物や情報が溢れた街が今の東京で、多くの観光客にもストレートに魅力を伝えるブランド構築はこれからの課題かもしれません。でも外国人には日本らしさを感じるものが多くあるのも東京でしょう。
[Tokyo Tokyo Promotion Video] NOTHING LIKE TOKYO – Culture, 0:30八丈島DUB、5:45
東京の地域ブランド 工芸品
1.Edo Kiriko 江戸切子 Crystal Luxury tableware from Japan、2:23
江戸切子(商標登録第5085277号)は、古く天保5年加賀屋久兵衛が金剛砂を用いてガラス面に彫刻を施したことが始まりとされ、今では東京のブランド品として経済産業大臣指定伝統的工芸品、東京都指定伝統工芸品に指定されています。代表的な文様の1つとして「矢来(やらい)」という複数の等間隔の斜線がクロスする文様が使われており、この矢来には魔よけの意味があるとされています。
明治維新とともに、日本情緒豊かな肉厚の花器が東京でつくられ横浜の港から数多く輸出されました。戦後、外国人の往来が多くなった東京ではスプーン・フォーク・装身具類をはじめ銀製品の需要も拡大し、今日銀製品は東京が主要な産地です。
江戸甲冑(商標登録第5030080号)は江戸で活躍した、主に人形師達の手による実物さながらに作られた飾り甲冑に遡ることができます。
江戸押絵羽子板(商標登録第5026441号)は、厚紙等の台紙に綿を布でくるんで厚味をもたせ部分品をつくり、それらをつなぎ合わせて立体的な絵を作り、板に取り付けたものです。
江戸指物(商標登録第5043503号)は、「継ぎ目をなるべく見せない」、「美しい木目の邪魔をしない」、「長持ちするように堅牢に作る」、「女性のような、細く柔らかい線を出す」というコンセプトで作られた工芸品で、釘を用いず、木の接合部の加工のみで板を組み合わせて作られた家具や雑貨です。特に江戸指物の特徴は過度な装飾をせず、漆塗りを施して、桑や欅、桐などの、木目素材の美しさを最大限に引き出し、繊細で優美な江戸の粋が感じられる点にあります。
「からかみ」とは襖や屏風などに貼る加飾された和紙のことを指します。その源流は、平安時代の和歌を筆写する詠草料紙にまで遡るそうです。江戸からかみ(商標登録第5100407号)は地域団体商標として登録されています。
羽二重と呼ばれる絹の織物で花や鳥の形を作り、華やかに装飾した江戸つまみ簪(第6200175号)は、最も着物に合う髪飾りとして古くから愛用されています。江戸つまみ簪の名は、正方形に裁断された羽二重をピンセットでつまみ、小さく折りたたんで形を作る工程に由来します。江戸つまみ簪には造花では醸し出せない重厚感があり、花や鳥はまるで生きているかのような生命感や躍動感があります。
東京の地域ブランド 織物、染物
8.東京染小紋(江戸小紋)_染師、1:35
江戸小紋、東京染小紋、江戸更紗(染料を使う染物)は、遠めには無地に見え、近づいて見ると柄が見える細やかな文様だったりします。江戸小紋(商標登録第5246082号)、東京染小紋(商標登録第5127140号)、江戸更紗(商標登録第5127141号)は地域団体商標として登録されています。
東京の地域ブランド 農産物
9.東京・稲城で栽培される「幻の梨」、4:02
東京都稲城市での梨栽培は130年の歴史があります。1個3000円近くもする「幻の梨」もあります。稲城の梨(商標登録第5002134号)は地域団体商標として登録されています。
銀座みつばち(第6783053号)では、皇居・浜離宮・日比谷公園や街の木々を飛び回り、ミツバチたちは甘い蜜を蓄えます。巣箱は紙パルプ会館やマロニエゲート、丸の内の日本工業倶楽部、新東京ビルの屋上だそうです。
東京の地域ブランド 畜産物
11. 八王子で楽しめる絶品TOKYOブランド牛乳と牧場体験 1:08
東京牛乳(商標登録第5929742号)は地域団体商標として登録されています。東京牛乳は牛乳としても販売されていますが、プリンやサブレ、ラクスなどの関連製品が販売されています。
東京都畜産試験場(青梅市)が7年の歳月をかけてつくりあげた豚、トウキョウXは、「北京黒豚」・「バークシャー種」・「デュロック種」の3品種の基礎豚を基に改良し、合成種と認められた日本で最初の豚です。
東京の地域ブランド 加工食品
江戸生まれ、東京育ちの名物「東京二八そば」(2021年製作)、29:59
江戸生まれ、東京育ちの名物の1つに「二八そば」(第6502026号)があります。そばの風味と喉ごしを一層味わっていただける黄金比率から二八そばとも言われています。江戸時代では一杯16文の値段で売られ、2×8であったことも由来の1つです。
東京の地域ブランド 地域
13.合羽橋でお買い物をしました!、20:27
かっぱ橋道具街(商標登録第5578351号)は地域団体商標として登録されています。かっぱ橋道具街では様々な台所用品や調理器具が販売されています。
老朽化した築地市場に代わり平成30年10月11日に豊洲市場が開場しています。新たな「日本の台所」として、競りの開始を告げるベルの音に続いて、威勢のいい声が飛び交っています。
戸越銀座は関東で一番長い庶民的な商店街です。戸越の地名は、江戸を越えたところという意味に由来する説があります。戸越は丁度坂に囲まれた地形で水はけの悪かったのですが、関東大震災で被害を受けた銀座の煉瓦を戸越の人々が譲り受け、戸越の大通等に再利用した。この縁で商店街は『戸越銀座』と名乗ったとされています。
日暮里駅から日暮里中央通りを中心に現在、約90店舗(約60社)が加盟しておりファッション・手芸・ものづくりを楽しむ方々(デザイナー・アパレルメーカー・作家・学生など)が材料を探しに訪れる街です。大正から昭和終わり頃までは問屋街として地方の専門業者さんに卸売りをするお店が建ち並ぶ街でしたが、時代の変化と共に小売り対応するお店が増えてきました。(日暮里繊維街より)
東京の地域団体商標
地域団体商標は、広く知られている地域名と商品名(役務名)からなる文字商標を事業協同組合、農業協同組合等の団体が登録して地域ブランドとして保護するための制度です。地域との密接関連性が必要とされ、出願商標は、出願人又はその構成員により使用されており、そのことを証明できることが必要ですが、地域団体商標の商標権を取得すれば、自らの努力によって有名にし、信用を蓄積してきた地域ブランドを安心して使用することができ、他人の便乗使用を禁止することができます。明治時代では、東京には15区の麹町区・神田区・日本橋区・京橋区・芝区・麻布区・赤坂区・四谷区・牛込区・小石川区・本郷区・下谷区・浅草区・本所区・深川区が存在していましたが、地域名としては、東京若しくは江戸が多くなっています。東京都の地域団体商標の登録数は令和6年3月時点で25件です。
- 稲城の梨 商標登録第5002134号 東京南農業協同組合
- 江戸甘味噌 商標登録第5002296号 東京都味噌工業協同組合
- 江戸押絵羽子板 商標登録第5026441号 東京都雛人形工業協同組合
- 江戸衣裳着人形 商標登録第5026442号 東京都雛人形工業協同組合
- 江戸木目込人形 商標登録第5026443号 東京都雛人形工業協同組合、岩槻人形協同組合
- 江戸木版画 商標登録第5027720号 東京伝統木版画工芸協同組合
- 江戸甲冑 商標登録第5030080号 東京都雛人形工業協同組合
- 江戸指物 商標登録第5043503号 江戸指物協同組合
- 江戸切子 商標登録第5085277号 東京カットグラス工業協同組合
- 江戸からかみ 商標登録第5100407号 江戸からかみ協同組合
- 東京銀器 商標登録第5111397号 東京金銀器工業協同組合
- 東京染小紋 商標登録第5127140号 東京都染色工業協同組合
- 江戸更紗 商標登録第5127141号 東京都染色工業協同組合
- 東京無地染 商標登録第5127142号 東京都染色工業協同組合
- 江戸小紋 商標登録第5246082号 東京都染色工業協同組合
- 東京手描友禅 商標登録第5488669号 東京都工芸染色協同組合
- かっぱ橋道具街 商標登録第5578351号 東京合羽橋商店街振興組合
- 東京牛乳 商標登録第5929742号 東京都酪農業協同組合
- 内藤とうがらし 商標登録第6078845号 特定非営利活動法人おいしい水大使館
- 江戸つまみ簪 第6200175号 東京髪飾品製造協同組合
- 東京二八そば 第6502026号 東京都麺類協同組合
- 東京二八蕎麦 第6502029号 東京都麺類協同組合
- 戸越銀座商店街 第6583223号 戸越銀座商栄会商店街振興組合 戸越銀座商店街振興組合 戸越銀座銀六商店街振興組合
- 日暮里繊維街 第6712216号 東京日暮里繊維卸協同組合
- 銀座はちみつ 第6783053号 特定非営利活動法人 銀座ミツバチプロジェクト
- 東京ビーフ 第6837374号 全国農業協同組合連合会
東京の地理的表示(GI)
地域ごとに長年培われた伝統的な生産方法や気候・風土・土壌などの生産地の特性が、品質などの特性に結びついている産品がありますが、地理的表示保護制度は、そのような産品の名称(地理的表示)を知的財産として登録して保護する制度です。東京都では令和4年4月時点で地理的表示の登録は1件です。
- 東京しゃも 令和元年5月8日 東京しゃも生産組合
東京の地理的表示(GI) 酒類
東京都では令和6年3月時点で酒類の地理的表示の登録は1件です。
- 東京島酒 令和6年3月13日 GI東京島酒管理委員会
東京の伝統的工芸品
伝統工芸品は、特定の地域や文化において伝統的な技術や技法を用いて作られる美術品や手工芸品のことを指します。経済産業大臣が指定する伝統的工芸品は東京都には21件あります。
- 村山大島紬 織物 村山織物協同組合
- 東京染小紋 染物 東京都染色工業協同組合
- 本場黄八丈 織物 黄八丈織物協同組合
- 江戸木目込人形 人形・こけし 東京都雛人形工業協同組合
- 東京銀器 金工品 東京金銀器工業協同組合
- 東京手描友禅 染物 東京都工芸染色協同組合
- 多摩織 織物 八王子織物工業組合
- 江戸和竿 木工品 江戸和竿組合
- 江戸指物 木工品 江戸指物協同組合
- 江戸からかみ その他の工芸品 江戸からかみ協同組合
- 江戸切子 その他の工芸品 東京カットグラス工業協同組合
- 江戸節句人形 人形・こけし 東京都雛人形工業協同組合
- 江戸木版画 その他の工芸品 東京伝統木版画工芸協同組合
- 江戸硝子 その他の工芸品 一般社団法人東部硝子工業会
- 江戸べっ甲 その他の工芸品 東京鼈甲組合連合会
- 東京アンチモニー工芸品 金工品 東京アンチモニー工芸協同組合
- 東京無地染 染物 東京都染色工業協同組合
- 江戸押絵 人形・こけし 東京歳之市羽子板商組合
- 東京三味線 その他の工芸品 東京邦楽器商工業協同組合
- 東京琴 その他の工芸品 東京邦楽器商工業協同組合
- 江戸表具 その他の工芸品 一般社団法人東京表具経師内装文化協会
東京の100年フード
文化庁では、我が国の多様な食文化の継承・振興への機運を醸成するため、地域で世代を超えて受け継がれてきた食文化を、100年続く食文化「100年フード」と名付け、文化庁とともに継承していくことを目指す取組を推進しています。
伝統 | 武蔵野地域のうどん文化 村山うどんの会 武蔵野手打ちうどん保存普及会令和3年 |
近代 | 桜鍋を中心とする馬肉食文化 一般社団法人奥浅草観光協会令和5年 |
未来 | 桑都・八王子のふるさと料理〜桑都焼き・かてめし~ 八王子市教育委員会令和5年 |
東京都伝統工芸品マーク
このマークがついている製品は東京都知事が指定した伝統工芸品です。 都の紋章と伝統工芸品の頭文字の「伝」をあしらっています。現在(令和5年9月)42品目が東京都の伝統工芸品として指定されています。動画チャンネル
江戸たいとう伝統工芸館
平成31年3月にリニューアルオープンした江戸たいとう伝統工芸館は、より多くの国内外の皆様に伝統工芸品を広く紹介でき、江戸簾(すだれ)・東京桐たんす・江戸指物など、約250業種250点余りを常設展示しています。
江戸たいとう伝統工芸館プロモーションビデオ、2:58
江戸東京野菜
江戸東京野菜は江戸から昭和中期(40年代)までのいわゆる固定種の野菜、または在来の栽培法等に由来する野菜です。品種改良されておらず育て難いなどの理由で一時衰退したものを料亭やホテル向けに復活させています。江戸東京野菜としては、練馬大根、亀戸大根、金町コカブ、シントリ菜、雑司ヶ谷ナス、内藤トウガラシ、早稲田ミョウガ、千住ねぎ、東京ウドなどが知られています。
16. 東京の“おもてなし食材” 注目集まる「江戸東京野菜」、5:35
江戸時代、内藤家下屋敷で栽培されていた新宿内藤とうがらしが時を越えて復活。内藤とうがらしは商標登録第6078845号の地域団体商標として登録されています。
江戸東京野菜のリスト
東京のブランドマーク
東京都は、観光地としての認知度アップや一体感を出すために東京ブランドを推進していて、他の都道府県のように農産物や水産物の物販につなげるブランドとは、異なるブランド育成を図っています。”&TOKYO”のブランドロゴが前都知事時代に選択されたものがそのまま踏襲されており、国外向けには次のTOKYO.TOKYO Old meets Newマークが選択されています。
18. Tokyo Tokyo Old meets New
東京 商標登録「Old meets New 東京150」のロゴマークは、東京府開設から 150 年の節目を祝うとともに「伝統」と「革新」が共存する東京の魅力を改めて再発見・再認識してもらうために作成されています。
19. 東京ブランドロゴ・キャッチコピー紹介映像、0:59
東京ブランドロゴは、「&」の前に、「自分の名前」、「東京の魅力を語るモノやコトの名前」、さらには「お店の名前や会社名」を置くことで1つの言葉となり、オリジナルのロゴとして自由に活用することができます。東京ブランドロゴは、ウエブ上にジェネレータがあり、簡単にカスタマイズされたロゴを作成できます。
東京宝島
東京宝島事業は島しょ地域のブランド化を目指しており、東京の島々には、素晴らしい自然景観や海洋資源、特産品、歴史・文化などの「宝物」がたくさんあることから、これらの「宝物」や隠れた魅力を掘り起こし、一層磨きをかけ、広く発信していくこととしています。
地域ブランド・地域団体商標 都道府県別リンク
江戸時代の商標 150年以上も前の他人の商売と区別するための江戸商人のブランド