米国商標実務 TMEP 商品・役務の記載 vol.1

米国 商品・役務記載

米国 商品・役務記載 米国での商標出願は、出願人が使用する若しくは使用する予定の商品・役務を記載することが求められ、その識別記載のための用語は、平均的な人でも理解できるものであることが必要であり、関連分野での深い見識を要するようなものであってはならないとされています。TMEP Sec.1402.01 商品・役務の識別は、具体的で、明確で、正確で、簡潔でなければならないとされています。[The identification of goods and/or services must be specific, definite, clear, accurate, and concise. See In re Societe Generale des Eaux Minerales de Vittel S.A., 1 USPQ2d 1296 (TTAB 1986) , rev’d on other grounds, 824 F.2d 957, 3 USPQ2d 1450 (Fed. Cir. 1987); ]複数の区分に含まれるような識別記載は、例えば、”この類に含まれる”という表現を付加しても不明瞭とされます。例えば、”クロノグラフ”は、第9類の時間計測装置と第14類の時計の両方を含むため不明瞭となります。また、ブランケットという用語もその資質を表す言葉なしでは、消化布:fire blankets (Class 9), 電気毛布:electric blankets (Class 11), 馬着:horse blankets (Class 18), and 寝具毛布:bed blankets (Class 24)という様に種々のものに該当するため、不明瞭とされます。しかしながら、2以上の区分にまたがる用語であっても、出願人が一般的に識別記載が問題ないことを立証すれば良いとされています。

米国商標出願の際の商品・役務の選択

米国での商標出願の際には、指定商品、指定役務を記載する必要がありますが、ID Manual(USPTO指定便覧)から選択する方法と、個別に記載する方法とがあります。ID Manualを選択することで、出願料の減額規定があり、ID Manual自体は受け入れられた用語からできているため、その部分での記載的な要件から来る拒絶理由(例えば、不明瞭である)は可能性が低いものと思われます。個別に記載する場合でも、辞書的な表記が出ますので、それに沿った記載をすることができます。注意点として、使用する商品、役務を記載することが重要で、使用する商品や役務自体ではなくそれらに近い商品や役務を選択して記載してはいけません。使用する商品や役務に近いものを識別記載に選択した場合では、出願の取り下げにつながります。

米国 商品・役務記載 book-ip01 for TMEP

受け入れられる商品・役務の記載

英語を言語とする人が、文法、言い回しが最良でなくとも、何の商品、役務かを理解できる記載であり、ID Manualの基準にも合うものであり、類見出し(class heading)ではなく、正しい区分であることが、受け入れられる商品・役務の識別記載となります。識別記載にスペルミスが含まれる場合、審査官は訂正を求めますが、明白な場合には職権で訂正します。英国のEnglishと米語のEnglishのスペルの相違は訂正不要です。原則として、各商品の間はカンマ(,)で区切ります。また商品のカテゴリーの区切りには、セミコロン(;)を使用します。このカンマとセミコロンに使い分けには、例外があり、例えば、”beauty supplies, namely, makeup kits comprised of makeup, lipstick, eye shadow, and applicator brushes; skin lotions; moisturizing soaps; and facial scrubs.” と記載されたもののうち、kitsを構成する商品がapplicator brushesまで続き、その後はセミコロン(;)で区切ってfacial scrubsまで列挙しています。コロン(:)とピリオド(.)は識別記載の区切りには使用されません。

Sec.44基礎(Base)の商品・役務の記載

Sec.44基礎(Base)は、外国(すなわち米国以外の国)での出願の優先権を基礎sec.44(d)とし、あるいは外国での登録を基礎sec.44(e)とするものになります。これらの外国出願の優先権・登録を基礎とする出願の場合、その基礎となった出願若しくは登録の指定商品・指定役務の範囲を超えて、商品・役務の識別記載をすることは原則できません。TMEP sec1402.01(b) 但し、出願の基礎としてSec.1の基礎(USE or ITU)も挙げていれば(Multiple-Basis Application)、基礎となった出願若しくは登録の指定商品・指定役務の範囲を超えて、商品・役務の識別記載をすることもできます。外国登録は、商品・役務を識別する広い表現を含み、多くの場合、その表現は区分の類見出しにすぎない場合があります。外国登録が広い表現である場合であっても、米国出願の商品・役務の識別記載は、Sec.1ベース同様に、明瞭で具体的であることが必要とされます。Marmark Ltd. v. Nutrexpa, S.A., 12 USPQ2d 1843 (TTAB 1989) ; In re Löwenbräu München, 175 USPQ 178 (TTAB 1972)

Sec.66基礎(Base)の商品・役務の記載

審査官は、国際出願を基礎とする出願についても、他のSec.1やSec.44基礎と同じ基準を当てて商品・役務の識別記載の良否を判断するとしています。国際登録は広い商品・役務の識別記載を含むことがしばしばありますが、これらは米国実務では受け入れられないものであり、国際登録が広い表現であっても、米国出願の商品・役務の識別記載は、Sec.1ベース同様に、明瞭で具体的であることが必要とされます。See In re Omega SA, 494 F.3d 1362, 83 USPQ2d 1541 (Fed. Cir. 2007) (noting that the USPTO has discretion to require greater particularity than an entry in WIPO’s Alphabetical List of goods and services). 国際登録の商品・役務の識別記載が明瞭であるけれども、米国実務では区分違いである場合には、元の識別記載で登録されます。国際事務局からの国際登録の商品・役務の識別記載の範囲外に、商品・役務を追加することは、Sec.66基礎(Base)を失うことになりますので、認めらません。区分を変えることも認められません。国際登録出願については、MM2で指定国ごとに変えたい商品及び役務を第10欄(b)に記載することができます。またMM6により指定国で指定商品・指定役務の減縮(Limitation)も可能です。

なお、§66(a)出願においては、その基礎を変更することができません。TMEP 806.03(k) また、§66(a)基礎は§1 又は§44 出願に追加することはできません。TMEP 806.03(l)

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米国商標実務 TMEP 商品・役務の記載 vol.2
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