特許や商標などの知的財産権(産業財産権)の取得を目指す中小企業に対しては、国や地方自治体の産業振興の観点から、助成金を用意している機関や公社、或いは市役所、町役場なども存在しています。その時々の予算などに応じて申し込めば必ずもらえるというものではありませんが、通常、申込自体は無料であることが多く、申込条件に合致し〆切などに間に合うようであれば是非利用したいところと思います。掲載している申込期間は、過去の実績例としてそれぞれの機関の主に昨年度の申し込み期間を挙げていますが、多くは新予算年度の4月、5月ごろに新たな募集を始めるものと予想されています。
助成金・補助金を申請する際の要点
申込前に申込みの要点についての情報を入手
知的財産権のための助成金や補助金は申し込めば必ずもらえるというものではなく、予算の範囲内で、地域振興やその交付先の企業が発展することでの雇用や税収の増大を図るという目的の地方自治体や国からすれば言わば投資です。そこには税金が投入されるものですから、当然のことながら、申し込みに際しては知的財産権を取得することでその企業が発展できるという将来性を訴えることも大事です。また、支援機関の窓口では何年かこのような助成金を交付しているので、いつかの良い例や良くない例の積み重ねがあり、注意点などは見落とさないに越したことはありません。また、どの企業に交付するかを判断するのも人間ですから、申し込み前に事前の説明会などがある場合は、その積極性をアピールするためにも参加することが大事で、最低でも窓口や電話で詳しい話を聞くとかの態度も重要です。さらに予算がなくなり次第募集締め切りのところも多いため、未だ申し込み可能かの確認も必要です。
申込期間・応募期間の把握
助成金の申し込みには、一般的に応募期間が設けられていることが多く、また必要書類の提出期間も設定されていたりすることもあります。申し込む以前に、これらのスケジュールを把握していることが重要です。応募期間も1ケ月程度の制度も多くあり、特に締切日にも注意する必要があります。申込を逃すと1年待つことにもなりかねません。スケジュールの確認には、ミラサポなのウェブサイトや申込予定の支援機関のウエブサイトの確認や連絡を入れて予定を事前に把握するようにしましょう。
助成金の対象となる経費とならない経費を把握
助成金が対象としている費用が何なのかを把握することが、申請のやり直しや訂正を防ぐ意味で重要です。国内の特許出願の場合、出願料(印紙代)と弁理士費用、そして審査請求料などと出願慣れしていない人には初めての言葉が並べられている場合もあり、現地代理人費用、電子化手数料や翻訳代などの請求項目があることがあり、どこまで助成金の対象となるのかはその助成金の交付側が決めていることが多く、申請前に特許事務所側から見積を入手して、各項目ごとに助成金の対象か否かを把握することが重要です。
出願の段階と助成金のスケジュール
助成金が対象としている費用が何なのかと同じように重要なのが、費用がかかる時期の把握です。特許事務所側からの見積は、出願時にかかる費用だけのこともあり、出願と同時に審査請求しなければ審査請求の費用や意見書や補正書を提出する中間処理は出願後にかかります。特許の場合は審査を経るので、特許査定の時期は大体の予想となります。また、実用新案の場合、審査請求はなく、3年分の登録料も出願と同時に納付します。各産業財産権の出願や権利の段階に応じて、どこの時点でどんな費用がかかり、それらは項目と共に時期的にも助成金の対象となるか否かを把握することも確実な助成金を得るためには重要です。特許出願の場合、審査請求してから数か月から1年で特許、実用新案の場合、4か月から5か月で登録証の発行、意匠登録は出願してから数か月で登録査定、商標登録も出願してから数か月で登録査定が目安となります。なお、特許の場合、早期審査請求をすれば審査開始自体は早くはなりますが、審査の締め切りを押し付けるものではないので、査定まででは誰もが予想の域を出ないものと思います。
提出書類の準備
特許の場合には、よく特許性についての調査結果を求められることがあります。また、外国出願に際して国際出願(PCT)を利用する場合には、国際調査報告若しくは国際予備審査報告の提出も考慮できます。また事業として特許を活用するには、2つの方法があり、1つは自分の事業で実施する方法と、他人にライセンスする方法になりますが、他人にライセンスする場合にはその他人を探し出す必要もあり、創業などの段階では自分の事業で実施する方法がメインになります。助成金の交付を受ける際には、そのペーパーワークとしての事業計画や補助金実績報告書の提出が必要だったりもします。
企業に対する或る会計年度内の補助金の支給の典型例
各都道府県の産業振興機関による助成の場合、概ね次のような助成額となります。
(A)特許出願150万円
(B)実用新案登録出願、意匠登録又は商標登録出願60万円
(C)冒認対策商標30万円
I.国の機関
経済産業省
経済産業省は外局の特許庁、中小企業庁や独立行政法人の日本貿易振興機構(JETRO)を通じて補助金や助成金の制度を設けています。また、各地方の経済産業局を窓口とする支援制度もあります。
経済産業省関連の助成金・補助金
jGrants
jGrants(Jグランツ)は経済産業省関連、さらには国や自治体関連の補助金を電子的に申請するためのサイト(補助金申請システム(Jグランツ)を開発しました)です。自分の事業に合った補助金についても一覧から検索することができます。2019/12/23からjGrantsのサービスが開始されており、順次産業財産系の補助金にも適用されるものと思います。Jグランツを利用する際には、事業者が共通アカウント用のGビズIDを取得する必要があり、その取得には2~3週間程度の審査期間が必要なため公募前のGビズIDの取得が望まれます。なお、2020年度以降の助成金・補助金情報は、有明国際特許事務所・知的財産権(産業財産権)の取得に役立つ助成金・補助金💴のページへ