特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。
本願商標:「DDチェッカー」× 引用商標「チェッカー(1類)」「CHECKER(5類)
1.出願番号 商願2008-48609(拒絶査定に対する審判事件)(不服2009-16241)
2.商 標 「DDチェッカー」
3.商品区分 第1類:科学的・医学的研究用の微生物用培地
第5類:診断用の微生物用培地,衛生検査用培地,その他の医療用培地
4.適用条文 商標法第4条第1項第11号
5.拒絶理由 「DDチェッカー」は「チェッカー」や「CHECKER」に類似する。
審判における反論(請求の理由)拒絶理由通知
【手続の経緯】
出 願 平成20年 6月19日
拒絶理由の通知 平成20年12月18日
同 発送日 平成20年12月24日
意 見 書 平成21年 1月 7日
拒 絶 査 定 平成21年 6月 3日
同 謄本送達 平成21年 6月 4日
【拒絶査定の要点】
原査定の拒絶の理由は、「この商標登録出願については、平成20年12月18日付けで通知した理由が解消されていないため、商標登録をすることができない」というものであり、審査官は、なお書きで、下記のように述べています。
記
『なお、出願人は意見書において種々述べていますが、本願商標は「DDチェッカー」の文字を書してなるところ、その構成中の「DD」のようなアルファベット2文字は、商品の品番、種別等を表すものとして取引上、類型的に随時採択使用されているものであり、例えば、医薬品を取り扱う業界においても、「BD」、「BS」等のアルファベット2文字が、商品の種別、規格等を示す識別コード(薬剤本体コード一覧表)として使用されている実情よりすれば(「今日の治療薬(2006年版)」 識別コード(薬剤本体コード一覧表) 株式会社南江堂)、本願商標に接する取引者、需要者がこれを常に一体不可分のものとして捉えるとは限らず、むしろ、「DD」の文字部分は商品の品番、種別等を示すものと認識し、後半の「チェッカー」の文字部分を商標の要部ととらえ、当該文字部分によって取引にあたる場合も決して少なくないものと判断するのが相当ですから、本願商標は、その構成文字全体に相応して「デイデイチェッカー」の称呼のほか、「チェッカー」の文字部分に相応して「チェッカー」の称呼及び「検査者」の観念をも生じるものといわなければなりません。他方、引用商標1及び2は、それぞれの構成文字に相応して、いずれも「チェッカー」の称呼及び「検査者」の観念を生じるものです。したがって、本願商標と引用商標とは、「チェッカー」の称呼及び「検査者」の観念を共通にする類似の商標であって、かつ、その指定商品も同一又は類似のものといわざるを得ません。なお、出願人は、他の登録例を挙げ、本願商標と引用商標とは類似しない旨述べていますが、これらはいずれも本願とは事案を異にするばかりでなく、商標の類否判断は、比較する両商標について個別具体的に考察し、検討されるべきものであって、他の登録例の存在によって上記判断が左右されるものではありませんから、出願人の主張は採用できません。したがって、さきの認定を覆すことはできません。』
【本願商標が登録されるべき理由】
然るに、本出願人は、先の意見書において、本願商標は、引用各商標と外観・称呼及び観念のいずれにおいても紛れることのない非類似の商標である旨、過去の商標登録例を交えて説明したにもかかわらず、今般、このような認定をされたことに対しては納得できないところがあり、ここに審判を請求し再度の御審理を願う次第であります。
(a)本願商標の構成
本願商標は、願書の商標登録を受けようとする商標に表示したとおり、アルファベットで「DD」と記載した後に続けて片仮名文字で「チェッカー」と書した「DDチェッカー」の態様からなり、指定商品を第1類「科学的・医学的研究用の微生物用培地 」及び第5類「診断用の微生物用培地,衛生検査用培地,その他の医療用培地」とするものであります。
(b)引用商標の構成
一方、先の拒絶査定(拒絶理由通知)で引用された引用商標1,2(2件)は以下の通りであります。
引用商標1:登録第0695737号(商公昭40-024057)「チェッカー」第1類
引用商標2:登録第4007598号(商公平 6-106070)「CHECKER」第5類
(c)審査官の認定に対する反論
審査官は、これら引用商標1、2を引用し、本願商標「DDチェッカー」は、引用各商標と「チェッカー」の称呼及び「検査者」の観念を共通にする類似の商標であり、かつその指定商品も同一又は類似のものであるから、登録できないと認定しております(商標法第4条第1項第11号、同法第15条)。
しかしながら、本出願人は、本願商標とこれら各引用商標とは、「チェッカー」の称呼及び「検査者」の観念を共通にするものではなく、外観は勿論、称呼及び観念の点においても紛れることのない非類似の商標であると考えますので、以下に反論を申し述べます。
(c-1)
まず、審査官によれば、本願商標は「DDチェッカー」の文字を書してなるところ、その構成中の「DD」のようなアルファベット2文字は、商品の品番、種別等を表すものとして取引上、類型的に随時採択使用されているものであり、例えば、医薬品を取り扱う業界においても、「BD」、「BS」等のアルファベット2文字が、商品の種別、規格等を示す識別コード(薬剤本体コード一覧表)として使用されている実情よりすれば、本願商標に接する取引者、需要者がこれを常に一体不可分のものとして捉えるとは限らず、むしろ、「DD」の文字部分は商品の品番、種別等を示すものと認識し、後半の「チェッカー」の文字部分を商標の要部ととらえ、当該文字部分によって取引にあたる場合も決して少なくないものと判断するのが相当である、としております。
成る程、本願商標は、(a)アルファベット「DD」とカタカナの「チェッカー」とからなり、且つ、(b)「DD」は、通常は単独で商標の要部とはなり得ないアルファベット2文字であることは事実であります。また、(c)アルファベット2文字が、薬剤の識別コード(薬剤本体コード一覧表)として類型的に随時採択使用されていることも事実でありましょう。
しかしながら、アルファベット2文字を、薬剤の識別コードとして用いる場合には、そのアルファベットを単独で用いるのが常であり、また、特定の商品の種別、規格等として用いる場合には、例えば、「アダラートCR」、「インデラルLA」、「ソラデックスLA」、「リュープリンSR」の如く、商標全体の語尾部分に記載して用いるのが常であります。「DDチェッカー」の如く語頭部分に記載した「DD」は、ある特定の言葉の頭文字や略称などを表すような文字であり、それがある共同する複数主体の頭文字や複合語の頭文字を採った造語かも知れないし、ある特定の冗長なネーミングを呼びやすく略称したものかも知れません。しかし、いずれにしても、少なくとも商品の品番や種別、規格などを表す単なる記号や符号の類ということではありません。現に、この「DDチェッカー」は、株式会社ダスキンと本出願人であるデンカ生研株式会社の共同開発に係る商品への使用を想定して考えたもので、両者のイニシャル(頭文字)を採って「DD~」と命名したものであります(その後、株式会社ダスキンとの関係は解消しておりますが、ネーミングとしてはこの「DDチェッカー」を継続的に使用しています)。
いずれにしても、このように語頭部分に記載した場合には、たとえアルファベット2文字の薬剤の識別コードというものが存在したとしても(例えば、識別コード「BS」は「ベストルナー錠20」、「DB」は「バファリン330mg錠」、「DP」は「ダリック錠10」などの薬剤の識別コードであり、薬の本体や包装材に刻印されるものです)、この本願商標語頭部分に位置する「DD」を単なる薬剤の識別コードや商品の品番、種別、規格等の符号・記号の類とは見ないはずであります。
しかもまた、この上記薬剤の識別コード(薬剤本体コード一覧表)を見てみますと、「DD」という識別コードは現実には存在しておりません。現実に存在していないということは、本願商標のこの「DD」は、それ単独で見たとしても具体的な薬剤の識別コードを表すものではないということを意味します。ましてや、語頭部分にあって、単なる商品の種別・規格等の符号・記号の類でもないということになると、この「DD」は商標の要部を十分に構成し得る文字ということになります。現実に存在していて、薬剤の取引者にある程度知られた薬剤の識別コードであればまだしも、そうではない「DD」を捉えて、しかも語頭部分に存在する「DD」を捉えて、薬剤等の商品の品番・規格・種別等を表すアルファベット2文字であるなどと理解するのは、些か奇異な話であります。本願商標の語頭部分「DD」は、単なる符号とか記号の類ではなく、何らかの意味ある言葉の略称・造語と理解するのが自然であり、素直であります。
そして、このような「DD」の文字が称呼上重要な位置を占める語頭部分にあることで、十分に商標の要部を構成する要素となり得るのであって、「DDチェッカー」全体として、一体の商標と理解され、常に「デイデイチェッカー」と称呼されるものと思料します。なお、仮に「DDチェッカー」の「DD」がある薬剤の識別コードをあらわすものと理解されたとしても、全体として「デイデイチェッカー」と称呼し、「ある薬剤DDの検査者」と観念するのが素直であり、単なる「チェッカー」の称呼及び「検査者」の観念とは明らかに異なるはずです。
本願商標は一連に「デイデイチェッカー」と称呼して、語呂も良く、決して冗長になるものではありません。全体を淀みなく一気に称呼でき、称呼し易い商標です。しかも、具体的には何のことかはっきりしないものの、「DD検査者」の如き漠然とした一つの意味合いを生じさせ、具体的ではないにしろ、一つのまとまった意味合いを印象づけるものであり、これをあえて分断して「チェッカー」とのみ称呼するようなことは通常しません。分断は不自然であり、これを切り離したのでは何のチェッカーか分かりません(本願商標は、少なくとも「DDチェッカー」です)。分断したのでは、本願商標独特の固有名詞的な意味合い「デイデイチェッカー」「DD検査者」は把握できませんし、本願商標としての自他商品識別力を正確に発揮することもできません。
本願商標は、あくまでも、「DD」と「チェッカー」とが組合わさって外観上まとまりよく一体となった商標「DDチェッカー」であって、単なる「DD(デイデイ)」でもなければ、単なる「チェッカー」でもありません。本願商標において文字の種類を変えたのは、これら「DD」と「チェッカー」を分断するためのものではありません。本願商標は、全体を一体に把握してこそ「DDチェッカー」「DD検査者」というような一つの固有名詞的な意味合いと称呼を生じるのであって、全体として一つの固有名詞的な意味合いと称呼を生じるところに特徴があります。漠然としたものではあっても、全体として一つの意味合いを把握できるのに、わざわざ前後を分断してその商標を2つに分けて把握するような仕方は、取引者・需要者が通常行うことはありません。一つの固有名詞的な意味合いを生じさせる本願商標は、全体として一つの自他商品識別機能を発揮するものであります。それ故、本願商標は、単に後段のみをとらえて「チェッカー」と称呼され取り引きされるようなことはなく、常に一連一体に「デイデイチェッカー」「DD検査者」と称呼・観念され取り引きされるものと思料します。
よって、本願商標「DDチェッカー」は、単に「チェッカー」・「検査者」とのみ称呼・観念される引用各商標とは、商標の識別上重要な位置を占める語頭音の「DD」の有無により、明らかに識別でき、外観上は勿論、称呼・観念上も紛れることのない非類似の商標であると考えます。
(c-2) ところで審査官は、本出願人が先の意見書において掲げた、過去の商標登録例に関して、これらはいずれも本願とは事案を異にするばかりでなく、商標の類否判断は、比較する両商標について個別具体的に考察し、検討されるべきものであって、他の登録例の存在によって上記判断が左右されるものではありません、としております。
しかし、同じような商標の構成態様を持つ登録併存例の存在が、本願商標を審査する上で全く参考にならないはずがありません。先の意見書において例示したものは、同じ薬剤に関する指定商品を共通にするものですが、その態様は、
(A)登録4895394「PGガード」(第1号証)と
(B)登録5018179「GUARD」(第2号証)。
(C)登録3319495「TURF/ターフ」(第3号証)と
(D)登録4692721「CCターフ」(第4号証)。
(E)登録4492622「クラス/Class」(第5号証)と
(F)登録4549623「FXクラス」(第6号証)。
というように、「アルファベット2文字+○○」と単なる「○○」という商標構成態様の点で共通しております(→「○○」部分は同一称呼を生じる文字を表します)。
これは、何ら本願商標「DDチェッカー」と引用商標1,2の「チェッカー」「CHECKER」との関係と変わりありません。
然るに、これらの併存登録例が現にあって、本願商標と引用商標1,2が併存できないとされる謂われは全くありません。これは、単に「事案を異にする」とか、「個別具体的」とかの定型文でかたずけられる問題ではありません。その様なことを言ったのでは、何のための商標審査か分かりません。今までの審査実務に束縛されることはないとしても、それなりの理由があってこれら併存登録例が存在する訳ですから、これら登録の事実を全く考慮することなく審査するのは、商標の審査を自ら否定するに等しいものだと思います(その結果、場当たり的な審査が横行することになります)。しかも、何十年も昔の話であるならば時代の変遷によって類否の状況も変わってくるということも言えるでしょうが、これらの登録例はまだせいぜいここ5~7年前後の例であり、「PGガード」(第1号証)に対する「GUARD」(第2号証)などの登録に至っては、つい数年前の話であります。
そして、本願商標と引用商標1,2の関係もこれら登録商標同士の関係と軌を一にするものであって、本願商標は同様に登録されて然るべきものと考えます。
(c-3) ところで、更に商標登録例を示すと、下記のような「チェッカー」「CHECKER」の文字を共通にする併存登録例が存在しております。
記
(G)第0695737号商標「チェッカー」(ロート製薬)(←引用商標1)(第7号証)と、
(H)第4590776号商標「BCチェッカー」(フューチャー・ウエイブ)(第8号証)。
これらは類似群:01C01 01C02 01C03 01C04(医療補助品等)を共通にします。
(I)第4238456号商標「CHECKER」(米国法人)(第9号証)と、
(J)第5181953号商標「OKチェッカー」(未来工業)(第10号証)。
これらは類似群:11B01(レコード原盤と電気通信機械器具)を共通にします。
この例などは、まさしく「アルファベット2文字+チェッカー」と「チェッカー」ないし「CHECKER」の併存登録例ということになりますが、これらの例においては、先に「チェッカー」「CHECKER」の登録があり、それにも拘わらず後願に係る「BCチェッカー」や「OKチェッカー」が登録されたというものです。これらの状況に鑑みれば、引用商標1,2の「チェッカー」「CHECKER」の存在があったとしても、本願商標「DDチェッカー」が登録されて何ら不思議はないはずです。「チェッカー」「CHECKER」と「BCチェッカー」や「OKチェッカー」は非類似だが、「チェッカー」「CHECKER」と「DDチェッカー」は類似するというのでは、理屈が通りません。非常な違和感を覚えます。それでは全く審査の統一がとれておりません。これではせっかく商標登録制度を利用し、それなりの費用と労力を掛けてでも商標登録を済ませておこうとする制度利用者の信頼を裏切ることになり、好ましくありません。審査の経験則上、「チェッカー」「CHECKER」と「BCチェッカー」や「OKチェッカー」が非類似というのであれば、本願商標「DDチェッカー」も「チェッカー」や「CHECKER」(引用商標1,2)とは非類似なはずであります。指定商品が薬剤関係においては、先の第1号証~第6号証に示すような併存登録例も存在しております。
(c-4) 更に附言しますと、本出願人は、下記の通り、1992年頃より食品関連試薬として、食品・調理器具、人の手指などから食中毒の原因となる大腸菌・黄色ブドウ球菌・サルモネラなどの細菌を検出するためのスタンプ培地(シリーズ製品名:DDチェッカー)を販売してきており、また、2005年からは食品の製造工程管理と品質管理を目的とした、乳酸菌を選択的に検出できる培地として、『DDチェッカー「生研」MBCP寒天培地』をラインナップしてきております。そして、この医薬品製造承認を取得したDDチェッカーシリーズを列挙すると、下記のとおりとなります。
記
1992年 DDチェッカー(一般細菌・大腸菌群検出用)
1993年 DDチェッカー(真菌・腸炎ビブリオ検出用)
1994年 DDチェッカー(黄色ブドウ球菌検出用、MRSAスクリーニング用)
1995年 DDチェッカー(サルモネラ検出用)
1996年 DDチェッカー(食品真菌検出用,医療・医薬・化粧品一般細菌検出用)
1997年 DDチェッカー(緑膿菌検出用)
2000年 DDチェッカー(大腸菌・大腸菌群同時検出用)
2005年 DDチェッカー(MBCP寒天培地)
この15年に及ぶDDチェッカーシリーズの歴史の中で、「DDチェッカー」は最早本出願人の取扱いに係る商品を表す商標として、取引者・需要者には相当に有名になってきているものと自負しておりますが、引用商標「チェッカー」「CHECKER」の所有者であるロート製薬からは、紛らわしいとする苦情をもらったことはありません。勿論、使用差し止め等の請求を受けたこともありません。
それ故、これら「チェッカー」「CHECKER」と「DDチェッカー」が類似するというような認識はロート製薬自身も持っていないと思います。また、現実の取引市場においても、本願商標「DDチェッカー」と引用商標「チェッカー」「CHECKER」との間で出所の混同が生じたとする苦情はありません。よって、本願商標「DDチェッカー」を登録しても、引用商標1,2の所有者との間で今更問題となるようなことはありませんし、取引者・需要者に迷惑を掛けることもないはずです。
【むすび】
以上の次第でありますので、本願商標と引用商標1,2とは、外観、称呼、観念のいずれにおいても紛れることのない非類似の商標であり、本願商標は商標法第4条第1項第11号の規定に該当するものではなく、十分に登録適格性を有するものと思料します。
よって、請求の趣旨の通り、「原査定を取り消す、本願の商標は登録をすべきものである」との審決を求める次第であります。
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(参考)ケース91の「審決」
不服2009- 16241
東京都中央区日本橋茅場町三丁目4番2号
請求人 デンカ生研株式会社
東京都千代田区神田須田町1丁目5番地 ディアマントビル2階 小川特許商標事務所
代理人弁理士 小川 眞一
商願2008-48609拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結 論
原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。
理 由
1 本願商標
本願商標は、「DDチェッカー」の文字を標準文字により表してなり、第1類「科学的・医学的研究用の微生物用培地」及び第5類「診断用の微生物用培地,衛生検査用培地,その他の医療用培地」を指定商品として、平成20年6月19日に登録出願されたものである。
2 引用商標
原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、次のとおりである。
(1)登録第695737号商標は、「チェッカー」の文字を横書きしてなり、昭和39年7月10日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、昭和41年1月21日に設定登録され、その後、4回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
(2)登録第4007598号商標は、「CHECKER」の文字を横書きしてなり、平成6年10月19日に登録出願、第5類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、平成9年6月6日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
3 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり「DDチェッカー」の文字を書してなるところ、これらを構成する各文字は、同じ書体、同じ大きさ、等間隔で表され、全体として、外観上まとまりよく一体に構成されているものであり、この構成文字全体より生ずると認められる「デイデイチェッカー」の称呼も、よどみなく一気一連に称呼できるものである。そして、欧文字2字が、商品の品番・型式等を表示するための記号・符号として類型的に使用されている場合があるとしても、上記のとおり、本願商標が一体的に構成されていること、「チェッカー」の文字が、「検査する物」程の意味合いを理解させるもので、その指定商品との関係において、自他商品識別標識としての機能が極めて弱いものとみるのが相当であることから、構成後半部の「チェッカー」の文字を分離抽出し、これより生ずる称呼により取引に資されるとみるよりは、むしろ、本願商標の構成文字全体をもって、一体不可分の造語として認識し把握されるとみるのが自然である。また、他に、構成中の「チェッカー」の文字部分のみが独立して認識されるとみるべき特段の事情は見いだせない。そうとすれば、本願商標は、その構成文字全体に相応して「デイデイチェッカー」の一連の称呼のみを生じ、特定の意味を有しない造語よりなるものというのが相当である。したがって、本願商標より、「チェッカー」の称呼及び「検査者」の観念をも生ずるとし、その上で、本願商標と引用商標とが称呼及び観念上類似するものとして、本願商標を商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、取り消しを免れない。その他、政令で定める期間内に、本願について拒絶の理由を発見しない。よって、結論のとおり審決する。
平成22年 5月25日
審判長 特許庁審判官 内山 進
特許庁審判官 瀧本 佐代子
特許庁審判官 板谷 玲子
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商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例目次