特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。
本願商標「ご褒美コーヒー」× 引用商標「ごほうびスイート」
1.出願番号 商願2006-111184
2.商 標 「ご褒美コーヒー」
3.商品区分 第30類:コーヒー(同時提出の補正書により、茶,ココアを削除)
4.適用条文 商標法第4条第1項第11号
5.拒絶理由 登録第4779944号商標「ごほうびスイート」と類似する。
拒絶理由通知 意見書における反論
Ⅰ.拒絶理由通知書の理由1は、本願の商標中に「コーヒー」の文字を含んでいるので、それ以外の商品に使用すると、商品の品質に誤認を生じるというものですが(商標法第4条第1項第16号)、これに関しては、本日付け提出の手続補正書において、本願の指定商品を「コーヒー」に限定する補正をおこないましたので、拒絶の理由は解消したものと思料します。
Ⅱ.次に、拒絶理由通知書の理由2において、審査官殿は、本願の「ご褒美コーヒー」は、登録第4779944号商標の「ごほうびスイート」(引用商標)と類似するとしておりますが(商標法第4条第1項第11号)、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても紛れることのない非類似の商標であると思料しますので、かかる認定には承服できず、以下に、意見を申し述べます。
(1)本願商標は、願書の商標見本からも明らかなように、ひらがな、漢字及びカタカナを交えて「ご褒美コーヒー」と書してなるものでありますが、引用商標はひらがなとカタカナで「ごほうびスイート」と書してなるものであります。したがって、両商標は、外観上類似しないこと明らかであります。
また、本願商標「ご褒美コーヒー」は、「ご褒美のコーヒー」という意味合いを生じさせるものでありますが、引用商標「ごほうびスイート」は、「ご褒美の甘味」「ご褒美の甘味食品」等の意味合いを生じさせるものでありますので、両商標は観念上も類似しないこと明かであります。
(2)そこで、次に称呼の点につき、検討します。
まず、本願商標は、上記態様「ご褒美コーヒー」より、通常は「ゴホウビコーヒー」又は「ゴホービコーヒー」と称呼されるものと思料しますが、指定商品「コーヒー」との関係で、単に「ゴホウビ」(又は「ゴホービ」以下同じ)と称呼される場合があるかも知れません。
本願商標を構成する「コーヒー」の言葉が、商品「コーヒー」との関係で品質内容表示と理解され、「ご褒美」の部分を捉えて、単に「ゴホウビ」と称呼される場合もあると考えるからです。
これに対し、引用商標「ごほうびスイート」は、指定商品がスイートな商品(甘美な商品)に限定されているわけではなく、「アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー及びココア,氷,菓子及びパン,調味料,香辛料,コーヒー豆,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす」の中には、およそ「スイート(甘美)」とは無関係な商品も含まれております。
したがって、ここで言う「スイート」は、指定商品との関係において品質表示用語ではなく、「ごほうび」の言葉と共に、自他商品識別力を有する言葉(識別標識)として機能しております。また、商標全体で「ご褒美の甘味」の如き一つの意味合いを生じることから、引用商標「ごほうびスイート」は、前後を分断して把握されることはなく、常に一つの商標として把握されるべきものと考えます。一つの意味合いを生じるような言葉をわざわざ分断して把握するようなことは通常あり得ないからです。一連に称呼するには冗長であって、語呂も悪く、称呼しにくいといった特別な事情でもあれば別ですが、引用商標「ごほうびスイート」は、一連に称呼して、冗長でなく、語呂も良く、一連に称呼しやすい商標であります。常に、一連に「ゴホウビスイート」と称呼される商標であると考えます。単に「ゴホウビ」とか、「スイート」とかの称呼は生じないものと思います。
以上のように、本願商標の称呼が「ゴホウビコーヒー」又は「ゴホウビ」であるのに対し、引用商標は常に「ゴホウビスイート」であります。然るに、「ゴホウビコーヒー」と「ゴホウビスイート」は称呼上明確に識別できると共に、本願商標が単に「ゴホウビ」と称呼されたとしても、引用商標の「ゴホウビスイート」とは、「スイート」の有無に大きな違いがあり、両者は称呼上も十分に識別できる非類似の商標であると考えます。
(3)ところで、過去の登録例を見ると、
(A-1)登録第4711889号商標「ごほうび/Gohoubi!」(宝ホールディングス株式会社)が存在するにもかかわらず、
(A-2)登録第4832987号商標「ごほうびレシピ」(日本たばこ産業株式会社)が登録されております。
なお、これらは、指定商品として類似群32D01、32E01、32F01を共通にしております。
また、
(B-1)上記登録第4832987号商標「ごほうびレシピ」(日本たばこ産業株式会社)が存在するにもかかわらず、
(B-2)登録第4830654号商標「ごほうびぷりん」(興真乳業株式会社)が登録されております。
これらは、指定商品として類似群30A01を共通にしております。
この登録関係を見ますと、登録第4832987号商標「ごほうびレシピ」は、全体として一つの商標、即ち、前後を分断して把握することのできない一体不可分の商標と理解されていると、考えざるを得ません。
今回の引用商標「ごほうびスイート」とて同様です。「ごほうびレシピ」と同じく分離できない一つの商標と捉えるべきものであります。
然るに、これらA-1とA-2、B-1とB-2が併存できて、本願商標と引用商標とが併存出来ないとされる謂われは全くありません。
(4) 以上のように、本願商標は、引用商標と外観、称呼及び観念のいずれにおいても紛れることのない非類似の商標であり、十分に登録適格性を有するものと思料します。