商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#80

特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。

本願商標「KEYCOFFEE通販倶楽部」× 引用商標「通販倶楽部」

1.出願番号  商願2006-23914
2.商  標 「KEYCOFFEE通販倶楽部」×「通販倶楽部」
3.商品区分  第30類、第35類
4.適用条文商標法第4条第1項第11号
5.拒絶理由  類似する。

拒絶理由通知 出願商標・商標登録第5002779号
出願商標・商標登録第5002779号
引例商標1・商標登録第4002271号
引例商標1・商標登録第4002271号
引用商標2・商標登録第4125306号
引用商標2・商標登録第4125306号
引用商標3・商標登録第4354150号
引用商標3・商標登録第4354150号(標準文字)
引用商標4・商標登録第4438567号
引用商標4・商標登録第4438567号

拒絶理由通知 意見書における反論

【意見の内容】
(1)拒絶理由通知書において、本願商標は、下記の登録商標と同一又は類似であって、その商標に係る指定商品(指定役務)と同一又は類似の商品(役務)について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当すると、認定された。
                 記
 区 分   引用No
 第16類     1
 第30類     3
 第35類     2、  4
 引用No  引用商標一覧
    1  登録第4002271号(商願平 7-088390)「通販倶楽部」
    2  登録第4125306号(商願平 8-016713)「通販倶楽部」
    3  登録第4354150号(商願平10-102066)「通販倶楽部」
    4  登録第4438567号(商願平11-078375)「8989通販倶楽部」
 しかしながら、本出願人は、本願商標と引用商標1,2,3,4とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても紛れることのない非類似の商標であると考えますので、前記認定には承服できず、以下に意見を申し述べます。
(2)本願商標は、願書の商標見本から明らかなように、欧文字の「KEYCOFFEE」と漢字の「通販倶楽部」とを結合して、横一列に「KEYCOFFEE通販倶楽部」と書してなり、第16類、第30類及び第35類の商品又は役務を指定するものであります。 これに対し、引用商標はいずれも「通販倶楽部」の文字を要部とするもので、本願と同一又は類似の商品・役務を指定商品又は役務とするものであります。
 したがって、引例はいずれも本願商標の要部の一部である「KEYCOFFEE」文字を構成中に持たず、両者は外観上類似しないこと、明らかであります。
(3)次に観念についてみますと、本願商標は、「KEYCOFFEE通販倶楽部」の態様からなるところ、「KEYCOFFEE」の文字はコーヒーの製造販売で有名な本出願人の「キーコーヒー株式会社」を、また「通販倶楽部」の文字は、「商品の通販を行うための組織・団体」を表すもので、全体として、「キーコーヒー株式会社で運営する通販のための組織・団体」等の「特定の通販組織・団体」を観念させるものであります。
 これに対し、各引用商標の「通販倶楽部」は、単に「商品の通販を行うための組織・団体」を観念させるだけで、「特定の通販組織・団体」を観念させるものではありません。
 したがって、両者は、観念上も類似するものではありません。
(4)次に、称呼の点につき検討します。
 前述のように、本願商標からは、「KEYCOFFEE通販倶楽部」という組織・団体を観念させるため、本願商標からは唯一「キーコーヒーツウハンクラブ」の称呼が生じるものと思料します。
 即ち、本願商標は、全体として一つの観念を有する「KEYCOFFEE通販倶楽部」の構成態様からなるところ、本願商標を見た取引者・需要者は、これを敢えて前後に分断して、一方の「キーコーヒー」のみ、或いは「ツウハンクラブ」のみを称呼するとは思えません。一つのまとまった観念を生ずる以上、その観念を表す称呼としては、唯一、「キーコーヒーツウハンクラブ」しか称呼はないはずであります。単に「キーコーヒー」や「ツウハンクラブ」では「KEYCOFFEE通販倶楽部という組織・団体」を認識することはできません。その意味からも短縮した称呼はあり得ません。
 これに対し、引用各商標は、その構成態様から単に「ツウハンクラブ」と称呼されるだけであります。
 したがって、前段の「キーコーヒー」の有無の違いにより、両者は称呼上も紛れることのない非類似の商標であると考えます。
(5)ところで、インターネットのGoogleやYahoo!JAPANなどで「通販倶楽部」を検索してみますと、数多くの「通販倶楽部」の使用例が検索できます。中には、単に「通販倶楽部」とした例も2,3見受けられますが(その場合でも概ね画面を見れば、取り扱い会社名が表示されていて、どこの通販かは認識できるようになっております)、ほとんどのホームページは「通販倶楽部」の文字の前に、何らかの文字を付加して、何処の通販かを明示し、或いは何の通販かを明示すると共に取扱会社名等も表示して、「特定の組織・団体の通販」であることを明確にしております。これによって、他の通販倶楽部(運営サイト)との識別を図っているのだと思われます。
 例えば、次のような「通販倶楽部」のサイトが容易に発見できます。
 「東急ハンズ通販倶楽部」、「ファッション通販倶楽部」、「化粧品通販倶楽部」、「トータルサービス通販倶楽部」、「生活家電通販倶楽部」、「通販倶楽部ジュリエッタ」、「幸喜通販倶楽部」、「ダイエット通販倶楽部」、「ターフィー通販倶楽部」、「カンタベリー通販倶楽部」、「あしあと通販倶楽部」、「健康通販倶楽部」、「ペティエ通販倶楽部」、「カタログ通販倶楽部」、「モモトラ通販倶楽部」、「ムーヴィン通販倶楽部」、「バッグ通販倶楽部」、「海外通販倶楽部」、「ベッド通販倶楽部」、「赤ちゃん通販倶楽部」、「AKIBA通販倶楽部」、「ジュエリー通販倶楽部」、「お助け商品の通販倶楽部」等々。
 これは、「通販倶楽部」の文字のみでは何処の通販倶楽部か分からない、即ち通販倶楽部の運営主体の区別が付かないということで、他の文字を加えて「一つのある特定の通販組織・団体」を表すようにしているのだと思います。
このような状況を考えると、「通販倶楽部」自体は、もはや通販業界において、識別標識として機能していないと思われます。他の文字と一体となって初めて一つの組織を表す言葉となって識別力を生じるのだと思われます(*即ち、通販市場の認識は、「通販倶楽部」=「通信販売を行うための組織・団体」程度でしかないと思われます)。
 したがって、本願商標の「KEYCOFFEE通販倶楽部」も、「通販倶楽部」だけを抽出したのでは何処の通販倶楽部なのか分からず、それ故、そのような抽出の仕方は通常しないと考えます。本願商標はこれ全体として一つの組織、団体等を表す言葉と理解すべきで、そのような理解をすれば、これを前後分断して「通販倶楽部」のみを抽出するような要部認定は妥当性を欠くこと、明かであります。それでは何処の通販倶楽部か分からなくなります。全体を一体として把握して初めて「KEYCOFFEE通販倶楽部」という組織・団体を認識できるはずでありますので、一体として捉えて初めて意味を為します。
 そして、このように、通販業界において「KEYCOFFEE通販倶楽部」が一つの組織・団体を観念させる言葉であるとすれば、その取り扱いに係る第16類の「カタログ,雑誌」等や第30類の「茶、コーヒー」等の商品についても、また第35類の「広告代理」等の役務についても、同様に分離できない一体の商標として把握されるべきものと考えます。
 したがって、一つの組織・団体を表示する言葉であることを無視し、前後を分断して本願商標を意味のないものとして把握し、後半の「通販倶楽部」のみを抽出して引用商標の「通販倶楽部」と比較している審査官殿の判断手法は、妥当なものとは思えません。
(6)以上の次第ですので、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても紛れることのない非類似の商標であると考えます。
 審査官殿は、対比観察の結果、両者を類似すると判断したのでしょうが、前述のように“本願の「KEYCOFFEE通販倶楽部」は、全体として、一つの称呼・観念を持つ言葉であり、前段と後段とを分離して後段の「通販倶楽部」のみを抽出することができない以上、引用商標の単なる「通販倶楽部」とは異なります。本願の「KEYCOFFEE通販倶楽部」と引例の「通販倶楽部」とは、互いに非類似の商標とみるべきであります。

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