2.新しいタイプの商標の活用
平成26年からは新しいタイプの商標が登録可能となっており、それは音商標、位置商標、色彩のみの商標、ホログラム商標、動き商標というカテゴリーに分かれています。このうち音商標は、主にテレビコマーシャルで聞かれる音やメロディで聞かれる印象と思いますが、コンピュータやビデオゲームの効果音なども登録できる商標になっていますので、ソフトウエアやプリケーションのオープニングでの効果音を入れたり、それを商標として登録することも知的財産を守る手法の1つです。位置商標もハードウエアとしてのパソコンや部品などには、用いられてきており、登録例も増加しています。
iMac事件として知られるように、かつてソーテックのe-oneとアップルのiMacの商品形態の類似性が裁判で争われました。裁判では、その商品形態の類似については、不正競争防止法の概念であり、原告側が周知性や類似性を立証して行くことで差止めを実現させたものでしたが、新しいタイプの商標が導入された今日では、同様の差止請求については不正競争防止法だけではなく商標法の訴因も利用することが可能です。登録商標の侵害を認定させるためには、商標的使用であって且つ類似であれば良い訳ですから、不正競争防止法よりも武器としては使い易く、また部品形状の位置のような商標では、全体が似ていなくとも良いので、部分意匠の意匠登録ように守備範囲が広く、しかも永続的な権利であるという強みがあります。
3.標準化と商標
標準化とは、広く規範となる事柄を定めて統一化することを意味し、効率化や社会的なニーズに応じて、各分野ごと、または、分野にまたがって種々の標準が設けられています。ソフトウエアも統一することで、利用の範囲を大きく広げることが可能です。例えば、コンピューターのOSとしては、MicrosoftのWindows、Apple ComputerのiOSなどが有名ですが、無料のソフトウエアとしてLinuxなどが有名であり、そのディストりビューションとしてUbuntu, Red Hat, Fedoraなども知られています。ところが、無料のソフトウエアといっても商標とは無関係ではありません。それは商標を押えて行かなければ誰かに獲られてしまう可能性があるためです。
4.ドメイン名と商標
情報系企業であれば、ドメイン名は企業活動の中心に位置する重要な事項であり、ブランド化を図る場合には不正な目的の第3者も少なからず存在するという認識が必要と思います。特に悪意の第三者は、ドメイン名の場合、世界中のどこでも存在する可能性があります。自社商標に関連するドメインを全て押えて行くことは、多額の予算が必要ですので大企業のみが成し得ることとは思いますが、大企業よりは少し規模の小さな企業であってもハウスマークやその企業活動のブランド化に深く関わる商標のドメイン名については、気を配る必要があるものと思います。特に新gTLDについては、商標所有者の優先登録期間、所謂サンライズ期間がありますので、サイバースクワッターやタイポスクワッターに対する予防にも配慮し、ドメイン取得費用と訴訟費用のアンバランスを念頭に後手に回らないことも重要です。