商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#42

特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。

本願商標「大戸屋/ごはん処/OOTOYA」

1.出願番号  商願2000-114987
2.商  標  「大戸屋/ごはん処/OOTOYA」
3.商品区分  第42類:宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,求人情報の提供,栄養の指導,衣服の貸与,カーテンの貸与,家具の貸与,壁掛けの貸与,敷物の貸与,自動販売機の貸与,タオルの貸与,加熱器の貸与,調理台の貸与,流し台の貸与,食器類の貸与,業務用食器洗浄器の貸与,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与,布団の貸与,ルームクーラーの貸与
4.適用条文 商標法第4条第1項第16号
5.拒絶理由  本願商標は、その構成中に『ごはん処』の文字を書してなるものであるから、これを本願指定役務中『飲食物の提供』以外の役務に使用するときは、その役務の質について誤認を生じさせるおそれがある。

拒絶理由通知 意見書における反論 商標登録第4651321号
商標登録第4651321号

拒絶理由通知 意見書における反論

(1)拒絶理由通知書において、審査官殿は、「本願商標は、その構成中に『ごはん処』の文字を書してなるものであるから、これを本願指定役務中『飲食物の提供』以外の役務に使用するときは、その役務の質について誤認を生じさせるおそれがあり、商標法第4条第1項第16号に該当する」と認められました。しかしながら、本出願人は、斯かる認定に到底承服できませんので、以下に意見を申し述べます。

(2)本願商標は、願書の商標見本からも明らかなとおり、四角青色地に白で三段に「大戸屋/ごはん処/OOTOYA」と書したもので、具体的には、「大戸屋」の文字を大きな独特の筆記体であらわし、「ごはん処」も小さめながら独特の筆記体であらわし、さらに「OOTOYA」は外国人にも馴染めるように欧文字の活字体であらわしたものであります。そしてこの商標は、本出願人にとって永年の信用が化体したいわば“店の暖簾”であります。本出願人は、昭和33年1月の創業以来約40年間、「大戸屋/ごはん処」の暖簾の下、「人々の心と体の健康を促進し、フードサービス業を通じ、人類の生成発展に貢献する。」ことを経営理念として、また「かあさんの手作り料理をお値打価格でお客様に!」を合い言葉として、愛情を込めた店舗づくりとメニューづくりに打ち込んで参りました。その結果、「大戸屋/ごはん処」は、現在では首都圏に71店舗を構えるまでに成長し、今年2001年の夏にはジャスダックへの株式店頭上場も果たしました。このような躍進の中で、本願商標は、いわば“会社の暖簾”、“店の暖簾”として、店舗、カタログ、料理メニュー、封筒、会社案内等あらゆる媒体に「大戸屋/ごはん処」を表示し、信用の蓄積に努めて参りました。そして、現在その店舗の多くは直営店でありますが、将来的にはフランチャジーに対するフランチャイザーとしての指導体制の強化・充実を図らなければならず、本願の指定役務中に掲げた役務は当然に本部として行わなければならない役務であります。「ごはん処」はごはんだけ作ればいいという時代ではありません。暖簾の信用を守るためには、一層の指導、援助、管理体制の強化が必要となります。
 殊に、ここ数年みられるような新業種・新業態の発生、インターネット等新情報網の発展、経営多角化・多様化への移行等々、経済界のめざましい変動を考えた場合(SONYが生命保険や銀行業を手がけ、トヨタ自動車が分譲マンション事業に進出する時代です)、「大戸屋/ごはん処」の信用を今後も維持し発展させてゆくためには、将来的なフランチャイジーへの人的、物的、経営的指導は欠かせないものであります。そして、それが顧客の健康重視という愛情ある料理を提供する「大戸屋」の責務であると考えております。首都圏を中心に70を上回る店舗数の中で、これからも「大戸屋/ごはん処」の信用を築き維持していくためには、人的指導体制は勿論、物的支援体制も欠かすことの出来ない業務であります。「ごはん処」という文字が暖簾・看板にあるからといって、これらフランチャイザーとして指導や管理業務が成し得ないはずはありません。この暖簾・看板の下に、指定役務に示す飲食物の提供以外の役務を行ったとしても、「大戸屋/ごはん処」の役務ではないなどと誰が誤認を起こすでありましょう。取引者・需用者がそのような誤認を起こすはずはありません。それ故、この点に関する審査官殿の認定は、大きな誤解に基づくものであり、納得できません。
 繰り返し述べますが、ここ数年フランチャイズ展開を図るフードサービス業は、日本各地で急増しており、そんな中で、「料理素材の名前」(例えば、ごはんとか、パンとか、めしとか、サンドイッチとか)が暖簾・看板にあるからといって、「料理だけを出す店だ!」とか、「飲食物の提供しかしていない会社だ!」などと誰も思うはずはありません。当然に、フランチャイザーとして業務、即ち本願で指定している指導業務やレンタル業務などは、業として行っているものだと理解するはずであります。そして、その様な本部としての業務に対しても、暖簾・看板である本願商標の「大戸屋/ごはん処/OOTOYA」は当然使用します(知名度を上げるためにあらゆる媒体に積極的に使用する方針です)が、これを使用したからといって、そこに質の誤認などという問題が起こるはずはありません。

(3)このことは、本出願人の出願に係る別件の商願2000-108983「大戸屋/ごはん処」が登録査定(平成13年11月15日)を受けている事実(第1号証の1「願書」、第1号証の2「登録査定」)からも伺い知ることが出来ます。
 即ち、この商標は、平成12年10月5日に、第35類「広告,経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,インターネットのホームページを利用した商品販売契約の媒介又は取次ぎ,財務書類の作成又は監査若しくは証明,職業のあっせん,競売の運営,輸出入に関する事務の代理又は代行,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作,広告用具の貸与」を指定して商標登録出願したものですが、つい先日の平成13年11月15日に特許庁より登録査定がなされました。これに対しては既に登録料を納付しましたので、まもなく設定登録がなされるはずです。これら35類の役務も出願人が新たな事業展開を図っていく上で必要な役務であり、それ故に出願をしていたわけですが、「ごはん処」の文字を商標中に含むからといって、質の誤認が生ずるなどという認定は為されておりません。そうだからこそ、商願2000-108983の商標「大戸屋/ごはん処」(第35類指定)は、登録査定を受けたのであります。本願商標も、同様に登録査定されてしかるべきです。

(4)そして又、本願商標「大戸屋/ごはん処/OOTOYA」が登録されるべきことは、以下のような飲食物の素材名称等を含む商標が、第42類の「飲食物の提供」以外の「宿泊施設の提供,電子計算機のプログラムの設計・作成,気象情報の提供,美容,写真の撮影,衣服の貸与、加熱器の貸与,調理台の貸与,コンピュータの貸与,、布団の貸与,ルームクーラーの貸与」等の役務を指定して、現に多数登録されている事実からも伺い知ることが出来ます。

 例えば、
(a)登録第3249613号「FRESHSANDOWICH/55/サンドイッチ」……第2号証
(b)登録第4015413号「和食処/JAPANESERESTAURANT/夢庵/ゆめあん」第3号証
(c)登録第4039186号「たかせのうなめし」……………………………第4号証
(d)登録第4108195号「ごはんですよ!」………………………………第5号証
(e)登録第4210380号「白扇/寿司処/Sushi」…………………第6号証
(f)登録第4232058号「焼きたてパンとサンドイッチの店/DoneBrown/ダン・ブラウン」……第7号証
(g)登録第4244882号「本家/和琉ごはん/おかわり」………………第8号証
(h)登録第4494818号「ザめしや24」…………………………………第9号証等です。

 もし仮に、審査官殿のような考え方に従うのであれば、上記 (a)~(h)の商標は、「飲食物の提供」以外の役務を指定した場合には、登録されないはずであるのに、現実には、全て登録されているのであります。
これは、飲食店の役務も、飲食物の提供だけに限られないということが認知されている証左でありましょう。また、商標中に素材名や提供料理名があったとしても、それだけに提供役務が限られるものでないことが認知されてきていることの証左でありましょう。
 故に、本願商標「大戸屋/ごはん処/OOTOYA」も、これらの商標と同様に登録されてしかるべきであると考えます。飲食物の提供以外の役務に使用しても質の誤認など生じるはずもありません。

(5) 以上の次第でありますので、本願商標は「ごはん処」の文字を有してはいても、全体がいわば“店の暖簾”であって、「飲食物の提供」以外の役務に使用しても、その役務の質について誤認を生じさせるおそれは全くなく、商標法第4条第1項第16号に該当するものではないと確信いたします。

商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例目次

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