特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。
本願商標「BACKS GROUP」×引用商標「BUCKS&雄ジカ図形」
1.出願番号 商願2001-109306
2.商 標 「BACKS GROUP」
3.商品区分 第35類、第42類
4.適用条文 商標法第4条第1項第11号 他
5.拒絶理由 登録第4116018号商標「BUCKS & 雄ジカ図形」」と類似する。
拒絶理由通知 意見書における反論
Ⅰ. 本日付け提出の手続補正書において、第35類に属さないとされた役務「求人情報の提供」(国際分類版表示第7版)を、第35類から第42類に変更する補正を行うと共に、不明瞭であるとされた「改善案の提供」という表現を指定役務中より削除する補正を行いましたので、発送番号248551に係る拒絶の理由(2)は、解消したものと思料します。因みに、補正後の「受注事務・人事事務・経理事務・総務事務の代行」とは、言い換えれば「会計・総務・人事その他の事務的事項に関する事務処理代行」のことです(なお、このような表現の方が分かりやすいと言うことであれば、補正する用意がありますので、ご指摘下さい)。
なお、第42類が増えた結果不足するとされた出願料15,000円は、本日付け別途提出の手続補正書(手数料補正)において、納付手続を済ませました。
Ⅱ. そこで次に、発送番号248550に係る拒絶の理由(1)について、意見を申し述べます。
(1) この拒絶の理由(1)において審査官殿は、本願商標は、登録第4116018号(商願平6-083945)の商標(以下、引用商標という)と類似であって、その指定役務と同一又は類似の役務に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当すると認定されております。
しかしながら、本出願人は、本願商標と引用商標とは、外観・称呼・観念のいずれにおいても類似することのない非類似の商標であると思料しますので、斯かる認定に承服できません。
(2) まず、本願商標は、本出願人の社名「バックスグループ」を英文字で「BACKS GROUP」と横書きして成るものであるのに対し、引用商標は「左右一対の角を持つ雄ジカの胸から上の部分の正面図形」と「その背景である逆二等辺三角図形」と「雄ジカ図形の直ぐ下側に小さく横書きしたMILWAUKEEの英文字」と、更に「その下側に大きく横書きしたBUCKSの英文字」とから成る文字・図形混在の商標であります。したがって、本願商標と引用商標とは、外観上全く異なるものであります。
(3) また、観念の点についてみると、本願商標の「BACKS GROUP」は、「後援、後ろ盾」を意味する「BACKS」と、「集団、集まり、群れ」を意味する「GROUP」とを結び付けた商標であって、「人材派遣等を通じて企業の活動を後援する団体でありたい、後ろ盾になる団体でありたい。」という願いを込めて選定した本出願人「バックスグループ」の英文字表記であります。そして、この本願商標からは、全体として字義通り、「後援する集団」「後ろ盾になる集団」等のまとまった一つの観念を生じさせるものであります。
これに対し、引用商標の図形部分は「雄ジカ」を観念させ、また、文字部分の「MILWAUKEE」は米国Wisconsin州南東部ミシガン湖畔の港市である「ミルウオーキー」を観念させ、大書した文字部分「BUCKS」(二文字目は「A」ではなく「U」である)は「雄ジカ」を観念させるものであり、この引用商標全体として「ミルウオーキーの雄ジカ」を観念させるものであります。
したっがって、両者は観念上も全く異なるものであります。
(4) そこで、次に、称呼の点につき検討します。
本願商標は、英文字で「BACKS GROUP」と横書きして成り、「BACKS」と「GROUP」との間にやや間隔をあけた態様ではありますが、左右に軽重の差なく同書・同大で全体がバランス良く配置されています。また、前述したように、全体として「後援する集団」「後ろ盾の集団」等の一つの観念を生じさせるものであります。そして、全体を一連に称呼しても決して称呼しにくいわけではなく、むしろ社名商標であることから全体を一連に称呼するのが自然であります。全体を一体に捉え一連に称呼してこそ、社名の意味があります。分断して単に「バックス」とか、「グループ」とか称呼したのでは何のことか分かりません。分断して称呼するのは如何にも不自然であります。それ故、本願商標は、単に「バックス」と称呼されるようなことはなく、常に一連に「バックスグループ」とのみ称呼されるものと思料します。
これに対し、引用商標は「雄ジカ」の図形と「BUCKS」の文字との間に、やや小さいとはいえ「MILWAUKEE」の文字を有することから、基本的には、「ミルウオーキーバックス」と称呼されるものと思料しますが、「雄ジカ」の図形と大書した「BUCKS」の文字から、取引者・需用者は単に雄ジカをイメージして「バックス」と称呼する場合があるかも知れません。
しかしながら、引用商標が「ミルウオーキーバックス」あるいは「バックス」のいずれに称呼されたとしても、本願商標は、上述のように、あくまでも常に一連に「バックスグループ」と称呼されるものであることから、両者は明らかに聴別でき、称呼上も決して類似することはないと思料します。
(5) この点に関し、審査官殿は「GROUP」の部分に商標の要部はなく、「BACKS」の部分にこそ本願商標の要部があるから、本願商標からは単に「バックス」の称呼も生じ得るとして、引用商標を引いてきたのではないかと思料しますが、そのような見方は妥当ではないと考えます。
本願商標の「BACKS GROUP」は全体として捉えて初めて、本出願人の社名をあらわすものであって、単に「BACKS」と把握したのでは何のことか分かりません。また、「BACKS GROUP」を全体として捉えてこそ、「後援する集団」「後ろ盾の集団」等のまとまった一つの観念(企業理念)を生じさせるものであり、全体を一体として把握するのが自然であります。敢えて、分断して「BACKS」の部分のみを要部として抽出すべき理由はありません。
「BACKS」が造語であれば、或いはそのあとに「GROUP」の言葉を付けた場合、「BACKS」という本体があって、そのグループだというような意味合いに取られる危険性があるかも知れませんが、「BACKS」の言葉は造語ではなく、「後援、後ろ盾」を意味する普通の確立された言葉ですので、その様なことはないはずであります。「BACKS」は「GROUP」の単語と結び付いて「後援する集団」「後ろ盾の集団」等の意味合いを生じさせるものであり、一体であります。
それ故、本願商標はあくまでも全体が要部であって、「GROUP」を省略出来ない商標であります。
(6) ところで、過去の商標登録例を見ると、本願と同じ区分である第35類の関係で、東邦シートフレーム株式会社所有の登録第3044209号「TOHO」(図あり)(平成7年5月31日登録)という商標の存在にも拘わらず、その後の出願に係る表示灯株式会社の「TOHO GROUP」が第3152051号として平成8年5月31日に登録された事実があります(役務抵触)。
この場合、仮に「GROUP」が要部ではないと判断されていたならば、後願に係る表示灯株式会社の商標は拒絶されていたはずであるのに、現実には登録されております。これは「GROUP」も商標の要部であると判断し、全体を一体の商標として把握したからに他なりません。
然るに、本願商標のケースもこれと同様に考えるべきで、本願商標は常に「バックスグループ」とのみ称呼すべきものと考えます。それ故、たとえ引用商標が「バックス」と称呼された場合でも、両者は決して類似することはないと考えます。
(7) 以上のように、本願商標と引用商標とは、外観および観念上全く異なるものであって類似することはないと共に、称呼上も「グループ」の称呼の有無によって語感語調を全く異にし、取引者・需用者をして決して紛れることはないものと思料します。
したがって、本願商標と引用商標とは非類似の商標であり、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものではないと思料します。
Ⅲ. 以上の次第ですので、今般の拒絶の理由(1)(2)は全て解消したものと思料します。