商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#35

特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。

本願商標「ASSAM HelpDesk/アッサムヘルプデスク」

1.出願番号  商願2001-086005
2.商  標  「Assam HelpDesk/アッサムヘルプデスク」
3.商品区分  第9類
4.適用条文 商標法第4条第1項第16号、第4条第1項第11号
5.拒絶理由
 (1)その構成中にコンピュータやソフトウェアの使い方等の相談、質問に応答するサービスを認識させる「HelpDesk」の文字を有してなるものであるから、これを本願の指定商品中、上記に照応する商品(例えば「ヘルプディスクの運用管理に用いるコンピュータプログラムを記憶させた記録媒体」)以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせる(4条1項16号)。
(2)登録第2138861号の登録商標「アッサム/ASSUM」と類似する(4条1項11号)。

拒絶理由通知
出願商標・商標登録第4609731号
拒絶理由通知
引例商標・商標登録第2138861号

拒絶理由通知 意見書における反論

(1)第2回目の拒絶理由通知書において、審査官殿は、以下1,2のような拒絶理由通知を発せられたが、本出願人は、斯かる認定に承服できないので、以下に意見を申し述べます。
 1.この商標登録出願に係る商標は、その構成中にコンピュータやソフトウェアの使い方等の相談、質問に応答するサービスを認識させる「HelpDesk」の文字を有してなるものであるから、これを本願の指定商品中、上記に照応する商品(例えば「ヘルプディスクの運用管理に用いるコンピュータプログラムを記憶させた記録媒体」)以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものと認める。
 したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する。
 2. この商標登録出願に係る商標は、登録第2138861号(商公昭63-081357)の登録商標(以下、引用商標という)と同一又は類似であって、その商標に係る指定商品)と同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2) まず、審査官殿は、本願商標を構成する「HelpDesk」の文字について、コンピュータやソフトウェアの使い方等の相談、質問に応答するサービスを認識させる言葉であるとして、これを指定商品中、例えば、「ヘルプディスクの運用管理に用いるコンピュータプログラムを記憶させた記録媒体」以外の商品に使用するときは、あくまでも、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあると認定しております。
 しかしながら、「HelpDesk」の文字は、「コンピュータシステムのサポートを行う組織や窓口」(一種の“団体”のイメージ)という意味に使われておりますので、コンピュータとは関連があるものの、「ヘルプデスクの運用管理に用いるコンピュータプログラム」を普通に認識させるとまでは言えないと思料します(この点は、先の平成14年8月26日付け意見書でも述べたとおりであります)。つまり、ここでいう「HelpDesk」の言葉の意味合いとしては、せいぜい「コンピュータシステムのサポート組織・窓口」(一種の“団体”)ぐらいの意味でしかないと思料します。
このことは、例えば、
(イ)「Help desk Builder」(第3279425号、H09.04.11登録、日本電気)や、
(ロ)「ClearHelpdesk」(第4205117号、H10.10.30登録、米国法人)
などの登録商標の指定商品が、「ヘルプデスクの運用管理に用いるコンピュータプログラム」などに限定されておらず、電子応用機械器具及びその部品やその他の第9類に属する一般的な指定商品を指定して登録されている事実からも理解できます。
 つまり、仮に、この「HelpDesk」が品質を表示する用語であるとするならば、指定商品には、例えば「ヘルプデスクの運用管理に用いる……」という限定がなければおかしいでありましょうが、これら過去の登録例(イ),(ロ)を見ても(過去とは言ってもそれほど遠い過去ではない)、その様な限定は付されておりません。この「HelpDesk」でも他の文字との結合によって、十分に識別機能を発揮する商標であると考えます。
 したがって、本願商標の「HelpDesk」を品質表示用語と捉え、例えば、「ヘルプディスクの運用管理に用いるコンピュータプログラムを記憶させた記録媒体」以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるとの認定は妥当ではないと考えます。よって、本願商標は、その指定商品を限定せずとも、商標法第4条第1項第16号に該当することはないと考えます。
(3) 次に、審査官殿は、第2138861号登録商標「アッサム/ASSUM」(日本電子計算株式会社)を引用して、本願商標「Assam HelpDesk/アッサムヘルプデスク」は、この引用商標と同一又は類似であって、その商標に係る指定商品と同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当すると認定しております。
 しかし、この認定は、「HelpDesk」が品質表示であって、自他商品識別力がない、ということを前提とする認定であり、その前提自体がおかしい以上、その様な認定に納得することはできません。上述したとおり、「HelpDesk」の文字自体は、コンピュータプログラムは勿論、その他の第9類に属する商品との関係にあって、その品質を普通に表示する用語ではありませんので、本願商標の「Assam」の文字のみを抽出して、引用商標「ASSUM」との類否を論じるような比較の仕方は、適当ではないと考えます。
本願商標は、先の意見書でも述べたように、「Assam HelpDesk」という商標として、左右に分断できない1つの造語商標であり、これら全体が一体となったところに造語商標としての意味があります。つまり、本願商標は、“コンピュータ用プログラムを含む電子応用機械器具及びその部品”(第9類)等の本願指定商品との関係にあって、単に「インドのアッサム州産」だとか、或いは単に「ヘルプディスクの運用管理に用いるコンピュータプログラムを記憶させた記録媒体」だとかの観念を生じさせるものではありません。その様な左右を分断する本願商標把握の仕方は誤りであります。常に一体不可分の商標と捉えるべきであります。
先の意見書でも述べましたが、本出願人は、「Assam」の文字を含む登録商標を以下のとおり所有しております。
 A.「Assam Whois」(第4173443号、H10.7.31登録)、
 B.「Assam Internet Applets」(第4209005号、H10.11.6登録)、
 C.「Assam WebBench」(第4393720号、H12.6.23登録)、
 D.「Assam WebGuard」(第4573808号、H14.5.31登録)。
本願商標の「Assam HelpDesk」は、この一連の「Assamシリーズ」に加えるべき一商標であって、同じ商品を指定し、使用するものである以上、取引者・需用者を同じくするものであります。その様な取引状況の中にあって、本願商標だけを今までの「Assamシリーズ」とは別の物であるなどと取引者・需用者が認識するはずはありません。同じ出願人が、同じ「Assam○○○」の商標を用いていて、何か今までの「Assamシリーズ」とは別の意味を持つ商標だなどと、誰が認識するでありましょうか。今までの上記A.B.C.Dの「Assam」シリーズと同一のコンセプトに基づく仲間の商標と認識するのが自然でありましょう。ましてや、「Assam」と「HelpDesk」とを分断して把握するような取引者・需用者はいないでありましょう。全体を一つの商標として捉え、片仮名文字で読みをあらわしたように、「アッサムヘルプデスク」と一連にのみ称呼するはずであります。そう称呼してこそ、「Assamシリーズ」の中の一シリーズものであるとの認識を持つことができます。単なる、「アッサム」や「ヘルプデスク」と称呼したのでは、何のことか分かりません。一連に「アッサムヘルプデスク」と称呼してこそ、本願商標は自他商品識別力を発揮し、商標としての価値を持ちます。その様な意味を持つ商標であるからこそ、今までのAssamシリーズと同一の取引者・需用者は、本願商標を一体不可分の商標と認識し、一連に称呼するものと思います。
 したがって、本願商標「Assam HelpDesk/アッサムヘルプデスク」は、引用商標の「アッサム/ASSUM」と類似することはなく、商標法第4条第1項第11号に該当することはないと考えます。

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